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呼吸不全の初期対応〜「AかBか」で手が止まらなくなる判断の型〜

割引あり


呼吸不全の対応って、
研修医が当直で一番焦る場面のひとつだと思います。

呼吸不全の考え方は、
「酸素をとにかく上げる」では到底対応できません。

「悪いのは肺?それとも心臓?」
「とりあえずNPPV?始めから挿管?」

呼吸不全で本当に難しいのは、酸素化が悪いことそのものじゃなくて、
「何を先に判断するか」です。

鑑別を急ぐべき場面もあれば、
まず治療介入を優先しないと危ない場面もある。

しかもその優先順位は、患者の重症度や時系列でどんどん変わります。

もうひとつ、このnoteで意識してほしい視点があります。

「その場で介入できるか」「介入してどれくらいで改善するか」。

たとえば気道緊急でアナフィラキシーだけ別格に扱うのは、
アドレナリン筋注という特異的な治療があって、
数分で劇的に改善しうるから。

意識障害でルーチンに
低血糖を鑑別するのと同じ考え方です。

緊急性が高い場だからこそ、疾患の緊急度だけでなく
「今ここで手が打てるかどうか」まで判断に組み込む。

これができると、もう一段階上の救急対応になります。

このnoteでは、呼吸不全(ここではSaO₂低下を呈する状態とします)に対して、救急外来で「何から手をつけるか」の判断の型を、かなり実戦寄りに整理していきます。



※今回は鑑別、というより"各段階での介入"に重きをおいたnoteです。
鑑別について詳しく知りたいなら以下noteをチェック。

以下、参考文献。





第1章 まず決めるのは「Aの異常か、Bの異常か」

どんな主訴でもABCDの評価から入る。

これは別のnoteでも書いた通りです。

呼吸不全に限って言えば、最初の分岐点はここ。

⭐️A(Airway=気道)の異常か、B(Breathing=呼吸)の異常か。

この2つでは、緊急度がまるで違います。

気道が塞がると、数分で心停止に至ります。

Bの異常でじわじわ酸素化が落ちていくのとは、タイムスケールが別物。

だからまず、Aに明らかな異常がないかを判断する。

これが最初のステップです。


第2章 Aの異常 ── 緊急気道とアナフィラキシー

気道が塞がったら、BVM換気も効かない

Aに異常がある場合、基本的には気管挿管の適応です。

鑑別に上がるのは以下の疾患。


  • アナフィラキシー

  • 血管性浮腫

  • 急性喉頭蓋炎含めたkiller sore throat

  • 扁桃周囲膿瘍・咽後膿瘍

  • 異物誤嚥、外傷などによる頸部血腫

ここで知っておいてほしい知識として。

気道緊急が疑われる症例では、そもそも気道が塞がっているのでバックバルブマスクでの換気があまり功を奏しません。

いわゆるCVCI(換気困難・挿管困難)のリスクがきわめて高い状況です。

だから気道緊急では、以下の原則が大事になります。

  • 熟練者(救急医・麻酔科・耳鼻科)がいる前提で挿管に臨む

  • 鎮静はなるべく浅めにする(自発呼吸が消えると呼吸停止のリスク)

  • むやみに咽頭を刺激しない(嘔吐や腫脹悪化のリスク)

  • CTなどで不用意に仰臥位にしない

それでも換気・挿管ともに不可能なら、外科的気道確保(輪状甲状靭帯切開)やVV-ECMOが選択肢になってしまいます。

気道緊急のなかでアナフィラキシーだけはルーチンで考案

なぜアナフィラキシーだけ特別扱いするか。
理由は明確です。

アドレナリン筋注という特異的な治療があり、投与後数分で劇的に改善しうるから。

つまり、アドレナリンさえ打てれば、挿管そのものを回避できるケースがあります。

救急外来でも十分に対応可能な疾患です。

だからこそ、Aに異常を認めたら「アナフィラキシーの兆候はないか」「アレルギー歴はないか」を必ず確認する。

ここはルーチンに組み込んでおいてください。

※血管性浮腫もここに分類されますが、、、珍しい疾患なのでルーチンで考えろ、とはいいにくいですね😅


第3章 Bの異常 ── まず酸素化を確保する

Aの異常がない。アナフィラキシーでもなさそう。

そうなるとBの異常、つまり呼吸そのものの問題です。

軽度のSpO2低下はまだしも、以下のように重症呼吸不全を示唆する場合
早期介入が必要。

✅呼吸回数25-30回/分以上、
✅努力呼吸(陥没呼吸・肩呼吸)、
✅SpO₂の明らかな低下、

── こういった所見があれば、鑑別の前にまず酸素化をどうにかするのが先です。


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