リテンションのための「想定退職理由リスト」の作成
人材獲得が難しい中で、社員の引き留め = リテンション は経営上の課題としてますます重要になっています。
リテンションチェックのために社員にとっての退職理由(退職のトリガー)を想定してみる
現在の人事制度・施策や組織カルチャー等が社員のリテンションに繋がっているかをチェックするために、想定で(またはこれまでのオフボーディングプロセスを通じて把握した退職理由データから)退職トリガーリストを作成しておくと便利です
退職のトリガーには「将来 = 将来の希望が見えない」や「今 = 今の環境を変えたい」だけでなく、「過去 = 過去のわだかまりが消えない」こともあると感じています。「過去」はそれだけで直接的な退職トリガーにはならなくても、何かあった時に退職への心理的なハードルを下げる要因になっているケースがあります (退職面談をしていてよくそう感じました)。キャリア面談等の社員コミュニケーション時には、将来や今だけでなく過去についても耳を傾けてみる必要があります。
退職理由リスト(例)
[将来] このままこの会社にいても将来の自分のイメージができない
✔︎ ここにいても将来の自分の姿をイメージできない/成長できない
✔︎ 周囲に"将来こうなりたい""一緒に働きたい"と思える人物もいない
✔︎ 5年後もやっていることが今と変わらないのではないかという不安がある
✔︎ ステップアップする方法が分からない/そのチャンスの掴み方が分からない
✔︎ 将来のチャンスは全く平等でないと感じることが多い
✔︎ 報酬が上がっていくイメージがない
✔︎ 近い将来は [希望勤務地] で働きたい
✔︎ 近い将来はもう少し自分の時間が取れる環境で働きたい 等
[今] 今の環境を変えたい/今の状況から抜け出したい
✔︎ 今やってる仕事や会社の事業に意味を見い出せない
✔︎ 直近で希望していた異動や担当変更、昇格は叶わなそう
✔︎ 上司や周囲に自分の働きが認められていない/評価されていない/尊重されていない(と感じる)
✔︎ 上司や周囲との人間関係が良く無い/心を許せる同僚等がいない
✔︎ ここでは能力や経験を活かせない
✔︎ 家庭や自身の事情により今の働き方ができない/そうした悩みを相談できる相手(上司含む)がいない
✔︎ 報酬が低い(と感じる)
✔︎ とにかく今、疲れている/ストレスの高さが限界である
✔︎ ハラスメントがある/非倫理的な行動が容認・推奨されている 等
[過去] 過去のわだかまり・もやもやを引きずってしまう
✔︎ この会社や上司に育ててもらったりお世話になった、という実感や感謝の気持ちは特に無い
✔︎ 自分がこの会社に何か貢献できた、という実感はない
✔︎ 自分が同僚にとって助けになった、という実感はない
✔︎ どうしても納得がいかない過去の評価がある
✔︎ 上司が変わると評価が変わりすぎるため評価に対して信頼できない
✔︎ どうしても理解できない過去の異動や担当変更・勤務地変更がある
✔︎ 入社の時から歓迎されている感じがしなかった 等
退職理由リストの使い方
退職理由リストをもとに、①②③の必要性を確認・検討します。
①人事制度・施策の見直し
②社員コミュニケーションの強化・職場風土の改善
③キャリア開発支援策の強化
①人事制度・施策の見直しについては:
・報酬
・異動・配置
・昇格
・人材開発 等制度の改定 があり、
②社員コミュニケーションの強化・職場風土の改善については:
・社員対話の強化
・人間関係の改善 (または異動等による解決)
・ハラスメント防止・コンプライアンスの徹底 等 そして、
③キャリア開発支援策の強化については:
・キャリア研修の強化
・キャリア面談・相談対応の強化 等 があります。
社員コミュニケーション強化のためには、管理職に退職理由リストを共有することも有効です。また、管理職リテンション研修の中で、退職理由リストを見ながら部下一人ひとりの退職リスク(=社員の感情)を想定してみるといった活用方法もあります。
リテンション活動は入社初日(または採用時)から始まっている
リテンション活動は、自己都合の退職率が上がり出してから(だけ)でなく、日常的な取り組みが大事です。
実際、退職率が急激に上がり始めると、さらなる"連鎖退職"を防ぐためにも、構造的な防止策よりも目の前の退職意向社員を引き止めることや、退職者の人材補充の調整・人材の再配置手続き、残っている社員のフォローが最優先となりがちです。
連鎖退職:同じ組織内が増えると、退職者の業務のカバーで残っている社員の業務負荷・疲労度が上がりさらなる退職を引き起こすことがあります。また、周りがどんどん辞めていくと自分はここにいて良いのかという不安が広がることも更なる退職に繋がります。
退職率が上がり始めてから、退職意向社員の希望を叶えて異動・昇格させたり個別の報酬(賞与等)を調整すると、他の社員にも「退職すると言えば希望が叶う」と捉えられてしまいかねません。
退職率が低く安定している時からリテンションを考えておく必要があり、さらには入社した初日 (または採用選考時) の期待や歓迎の伝達からリテンションは始まっているとも言えます。
入社時のオンボーディングや採用選考時のメッセージやプロセス・面接のやり方なども「リテンション」の視点から一度チェックみてみるとよいかもしれません。
【参考】オンボーディングプログラム一覧 は こちら(note)
【参考】オンボーディング用チェックリスト は こちら(note)
【参考】面接官トレーニング:自社の魅力を伝える は こちら(note)
【参考】採用強化タスクリスト は こちら(note)
【参考】採用&オンボーディングのデータ活用 は こちら(note)
