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『日本茶のすべてがわかる本』読み合わせノート 第3章 お茶のおいしい淹れ方

お茶好きの二人、しずくなみ。いろんなお茶屋さんに足を運ぶうちに、もっとお茶のことを知りたくなってきた。そこで日本茶検定の参考書の『日本茶のすべてがわかる本』を一緒に読み合わせてみることに。二人が気になったところを語り合う、そんなゆるい読書記録です。


📚 今回読む本

『改訂版 日本茶のすべてがわかる本 ── 日本茶検定公式テキスト』

▼ 全10章構成


1. 「美味しさ」って何でできている?

おいしさとは、基本味と言われる五味「甘味、酸味、塩味、苦味、うま味」に辛味、渋味が加わった味覚、こくや香りが加わった風味、触覚、視覚、聴覚などを加えた食味、さらに食事環境や食文化・食習慣など様々な要因が総合されて感じる味です。

なみ: 美味しさって、味覚だけで決まるわけじゃないんだね。五味に渋味・辛味が加わった「味覚」、そこにコクや香りの「風味」、さらに食文化や食事環境まで……全部合わさって初めて「美味しさ」になるんだ。

しずく: 図で見るとすごく分かりやすいんだけど、一番内側に味覚があって、その外側に風味、食味、さらに外側に心身の状態や食文化が囲んでるんだよね。味覚って、美味しさのほんの一部でしかない。

なみ: 食文化が美味しさに入ってくるっていうのが面白い。国によって基本の味が違うから、同じものを食べても感じ方が全然変わるんだね。

しずく: 日本は醤油ベースだから塩味に慣れてるし、他の国では辛くないと物足りなかったりする。お茶の世界でも、どんな食文化の中で飲むかで美味しさの感じ方が変わるっていうのは、なるほどなって思ったよ。


2. 温度と時間ですべてが変わる── 日本茶ならではの面白さ

お茶の味は、お茶に含まれる味成分が湯に溶け出す程度によって変わってきます。その鍵を握るのが「湯の温度」と「浸出時間」です。
カテキン類は低い温度では溶出しにくく、特に渋味の強いエステル型カテキン(EGCgやECg) は冷水にはほとんど溶出しません。

なみ: お茶って温度と時間を変えるだけで味がガラッと変わるんだよね。最初知った時はびっくりした。

しずく: ここが日本茶の一番面白いところだと思う。エステル型カテキンは冷水にほとんど溶け出さないから、水出しだと渋くならない。60〜70度台でコントロールすると、旨味を引き出しつつ渋味はほどほどに抑えられる。この温度帯の繊細な操作は、中国茶や台湾茶にはない日本茶ならではの楽しみ方だよ。

なみ: ただ、温度を下げると浸出時間がすごく長くなるんだよね。70度と60度、60度と50度で、倍にしても足りないくらい。

しずく: だから上級茶ほど茶葉を多めに、湯は少なめにして、3〜4煎かけてちょっとずつ楽しむんだ。テアニンの旨味を凝縮させたような飲み方で、玉露なんかはめちゃくちゃ小さい茶碗で飲むことになる。贅沢だよね。


3. 煮出す? 注ぐ?── 烹茶法と淹茶法

お茶の淹れ方には2つの方法があります。
ひとつは「烹茶法」といわれる方法で、土瓶等で湯を沸かしてお茶を入れ、一定時間煮出して成分を抽出します。
もうひとつは「淹茶法」といわれる方法で、急須にお茶を入れ、湯を注いで一定時間浸出して成分を抽出します。

なみ: 烹茶法(ほうちゃほう)と淹茶法(えんちゃほう)! お茶の淹れ方にそんなちゃんとした名前があるんだね。

しずく: 普段やってるのは淹茶法で、急須にお湯を注ぐやり方。烹茶法は土瓶で煮出すタイプで、番茶みたいに葉が大きくて硬いお茶に向いてるんだよね。

なみ: 番茶のパッケージに「煮出してください」って書いてあるのをたまにみかけるよね。あれが烹茶法なんだ。

しずく: そうそう。土瓶だとお湯の量が多くて温度が下がりにくいから、熱いお湯でじっくり時間かけて抽出するのに向いてる。家庭でみんなでたくさん飲む時のスタイルだね。


4. 99.7%が水── お茶に合う水と湯の沸かし方

お茶の浸出液は約99.7%がお湯(水)で、溶出成分は約0.3%にすぎません。このことから、淹れる時に使う水がお茶の味を左右することがわかります。

硬度とお茶の味についての実験では、……いずれのモデル水でも硬度10 ~ 50のものが味や香りの点で高い評価を得ました。硬度50以上では、「香りが乏しい」、「おかしな味がする」などと低い評価が出ています。

なみ: 0.3%しか溶け出してないのに、あんなに味がある……! 99.7%が水ってことは、水がめちゃくちゃ大事だね。

しずく: 硬度10〜50の軟水がベストで、50を超えるとミネラルが舌に残って香りも乏しくなるらしい。コントレックスみたいな超硬水だと、お茶の味が全然違うものになっちゃう。日本の水道水は基本的に軟水だから、沸騰させてカルキ臭を抜けば十分使えるっていうのは嬉しいよね。

なみ: 湯の沸かし方にもコツがあるんだよね。中国の古書に「魚の目」「蟹の目」のような泡が出てきたらよいって書いてあるの、面白かった。

しずく: 沸騰し始めたらやかんの蓋を外すか少しずらして、5分ほど沸騰状態を続けてカルキ臭を抜く。ただし沸かしすぎると水が蒸発して、相対的にミネラルの濃度や硬度が上がっちゃう。せっかくの軟水が硬水寄りになっちゃうから、やりすぎは禁物だよ。


5. 煎茶の基本── ゴールデンドロップまで出し切る

1人分約2 ~ 3gを目安として、人数分のお茶の葉の量を用意します。ただし、1人の時はやや多めにし、5人以上の場合は1人分2gと少なめにします。

人数分の茶碗に数回に分けて少しずつ注ぎます。これを「廻し注ぎ」といい、例えば、3人分の場合は1→2→3と少量ずつ注いだら、次は3→2→1と戻り、これを繰り返します。
……最後の一滴まで注ぎ切ることが大切です。

なみ: 1人分2〜3gでお湯は60mlくらい。マグカップと比べるとかなり少ないよね。

しずく: この分量は小ぶりの湯呑みに70度くらいで淹れる前提なんだ。回し注ぎで1→2→3、3→2→1って往復して、各碗の味と量を均一にする。そして最後の一滴まで出し切る。

なみ: 急須に残ったお茶は酸化して味が変わっちゃうもんね。茶葉が8〜9分目開いた頃が一煎目を出すポイントって書いてあるけど、この加減が難しい。

しずく: 「握り拳が少しだけ緩められたぐらい」っていう表現を見たことがあるんだけど、まだ完全には開いてない、でも少しほぐれた状態。その加減だと3煎は楽しめるんだ。最初は温度計を使いながら感覚をつかんでいくのがいいと思うよ。


6. 水出し・オンザロック── 冷茶の作り方いろいろ

冷水ポットを使う場合、水0.5Lに対して水出し用ティーバッグ1袋(約5g)を入れます。その後は冷蔵庫に20分間くらい置いて冷やします。

氷を用いて冷茶を淹れる場合には、まず急須に普通煎茶(1人分約3g) を入れます。約60℃に冷ました湯を注いで約2分間置いた後、氷をやや多めに入れたガラスの器に浸出した茶を注ぎます。この時に氷が溶けてお茶が薄まるため、濃いめに浸出することがポイントとなります。

なみ: 水出しって冷蔵庫に20分でいいの!? いつも2時間くらい置いてたんだけど……。

しずく: 水出し用ティーバッグは茶葉が細かくなってるから、意外と短時間で出るんだよ。普通の茶葉を使う場合は、冷水を静かに注いで5分待つ方法もある。深蒸し茶なら1人分3g、普通煎茶なら4gが目安。

なみ: オンザロックスタイルも面白いよね。60度で淹れたお茶を、氷を入れたグラスに注ぐやり方。

しずく: ポイントは濃いめに淹れること。氷が溶けてけっこう薄まるから、そこを見越して気持ち濃いめに出しておくとちょうどよくなるんだ。


7. いいお茶の見分け方と保存の極意

玉露や煎茶は深い緑色をしていて、表面に艶があるのが良いものです。
……玉露や煎茶は、手触りがしっとりとしていて、重さを感じるものが良いとされています。良いお茶は、硬く引き締まった感じがします。

産地のお茶屋さんでは、変質を防ぐためにマイナス20 ~ 40℃の冷凍庫で保管しているほどです。
……10日分くらいを取り分けて使い、残りは缶などに入れてテープなどで密封し、さらにポリ袋に入れて冷蔵庫で保存する方法をお奨めします。

なみ: 「針のように細い」茶葉がいいって聞くけど、深蒸し茶だと粉っぽくなるよね。あれは品質が悪いわけじゃないの?

しずく: 深蒸し茶は蒸し時間が長いから葉が柔らかくなって崩れやすいんだけど、それは雑なお茶なんじゃなくて、あえてそう作ったお茶なんだよね。光沢が少ないのも深蒸しの特徴で、それはそれで正解。一方で普通の煎茶や玉露は、深い緑色で艶があって、手に取った時にしっとりと重さを感じるものがいいとされてるよ。

なみ: 保存は冷蔵庫がベストなんだよね。産地のお茶屋さんはマイナス20〜40度で冷凍してるんだって!

しずく: 家庭では5〜10度の冷蔵庫で十分。10日分ずつ小分けにして、残りは缶に入れてテープで密封、さらにポリ袋で包む。ジップロックで二重にするのは、空気の層を作って匂いや湿気をシャットアウトするため。そして冷蔵庫から出したら、すぐ開けずに常温に戻してから使う。急激な温度変化で結露しちゃうからね。

なみ: お茶って湿気も酸素も吸う性質があるから、その二重の壁で守ってあげるのが大事なんだね。


8. 急須えらび── 持ち手・蓋・茶こし・大きさ

急須の持ち手には「横手」と「後ろ手」「上手」がありますが、日本の急須はほとんどが横手で、持ち手が横から棒状に突き出ています。……また、日本の優れた製陶技術は世界でも指折りで、注ぐときに蓋がガタガタ動くことはありません。

玉露は濃厚なうま味を少量ずつ楽しむお茶のため、急須も茶碗も非常に小さいものを使います。逆に、番茶はさっぱりした熱いものをたくさん飲むため、急須でなく、大きな土瓶を使ったり、肉厚の大きな茶碗を使ったりします。

なみ: 急須の持ち手って横にあるのが当たり前だと思ってたけど、後ろ手や上手もあるんだね。

しずく: 横手だと親指で蓋を押さえながら片手で注げるのが強みなんだ。後ろ手はティーポットに近い形で、上手は土瓶みたいに上から持つタイプだね。

なみ: 「蓋がガタガタ動くことはありません」って書いてあるけど、道具として蓋がぴったりなのは大事だよね。

しずく: 精密な急須だと、空気穴を塞ぐだけで注ぐ水量を自在にコントロールできるんだ。これも面白いよね。あと茶こしも重要で、深蒸し茶が普及してからは細かい茶葉が詰まらないように、金網の帯網タイプが増えてるんだ。最近はお茶屋さんにこのタイプの急須をよく見るね。

なみ: 急須のサイズもお茶によって変わるんだよね。玉露は小ぶり、番茶は大きな土瓶。

しずく: 玉露は少量を凝縮して楽しむから小さめの急須、番茶はみんなでたくさん飲むから大きな土瓶。煎茶はその中間くらい。急須の産地では萬古焼と常滑焼が有名で、萬古焼は紫泥の轆轤成型、常滑焼は朱泥の無釉で自然な手触りが特徴だよ。


次回は第4章「チャの育て方」。お茶の木がどう育てられているのか、産地の話に踏み込んでいくよ!



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