ハムスターの心臓病治療【内服薬、胸水抜去】
今日はちょっと専門的な記事になりますがハムスターへの強い愛がある方には読んでほしいお話です!
ゴールデンハムスターに比較的多い心臓病の標準治療と、うちのハム次郎(享年3.5歳)の時に実施していた治療を合わせて紹介していきます。
*内服の処方例としてハム次郎の使っていた薬などを書いていきますが、ハムちゃんの病状や病院の先生によって出されるお薬は変わってきます。
*胸水抜去に関しては先生によって考えややり方が変わってきます。
ハム次郎の記事はこちら
🐹ハムスターの心臓病について
高齢のゴールデンハムスター、特に1.5歳以上でのハムスターに動脈血栓が認められるという報告があります。
心不全に続発して起こることが多く、発生年齢は雌のほうが雄よりも若い傾向があります。
ゴールデンハムスターの系統によっては拡張型心筋症が高率に発生し、そこから心不全に至る可能性が高いと思われます。(遺伝的素因の関与)
🐹心臓病の症状について
一番わかりやすい症状は【呼吸がしんどそう】ということです。
寝ている時に大きく体が動いていたり、呼吸回数が多かったりでわかることがあります。
普段からよくみていないと気づきにくいと思います。
そのほかには、
・食欲が落ちている(食欲不振)
・鼻の色や耳の色、歯茎の色が白っぽい(チアノーゼ)
・運動をしない(運動不耐性)
・お腹などが浮腫んでいる(浮腫)
・元気がないのに体重が増えている(腹水や胸水)
などがあります。
🐹心臓病の診断
・レントゲンでの心臓サイズや胸水、腹水の評価
・エコー検査での心臓の動き方や血栓の評価
などがあります。
状態が進行していて呼吸が苦しいときは検査のストレスで死亡する可能性があるため、診断的治療(心臓病と仮定して先にお薬などを与え、効いたかどうかで判断すること)を行うこともあります。

🐹心臓病の治療
・心臓の収縮を助ける強心剤
・循環が悪く浮腫んでしまうため、水を外に出す利尿剤
・心臓の負荷をとる血圧降下剤
などが使用されます。
また胸水が溜まってしまい呼吸が苦しい場合は、胸の水を抜く胸水抜去を
行うことがあります。
胸の水に対しては利尿剤が効きにくく、お薬が効く前に水が溜まる量が多く呼吸困難になるからです。
通常は麻酔下で実施する方が安全ですが、状態が悪く麻酔がかけられない場合、無麻酔で行われることがあります。
腹水に関しては呼吸に直接関わらず、利尿剤が効くため通常抜くことはありません。
🐹ハム次郎の内服と胸水抜去
【内服薬】
前回の記事でもある程度お話ししていますが具体的な薬用量を載せます。
前回の記事はこちら
いずれも1日2回投与
エンロフロキサシン(抗生物質) 5mg/kg
フロセミド(利尿剤・途中から変更)1mg/kg→段階的に3mg/kgまで増量
→トラセミド0.2mg/kg→段階的に0.35mg/kgまで増量
スピロノラクトン(利尿剤・途中から追加)2mg/kg
ピモベンダン(強心剤)0.5mg/kg→段階的に1mg/kgまで増量
ウルソデオキシコール(肝臓薬)10mg/kg
スパカール(肝臓薬)2mg/kg
タウリン(肝臓薬) 30mg/kg程度
メトクロプラミド(食欲増進剤)0.5mg/kg
この投与量はあくまで一例であり、体重・状態により必ず獣医師の指示に従ってください。
*肝臓薬は胆石症に対し1年前から投与
*メトクロプラミドは腸蠕動亢進薬ですがわかりやすく食欲増進としています。
*抗生剤の投与に根拠はありませんが細菌感染の除外が難しいため投与しています。
20%グルコース2ml加えたのち水道水で5mlに調整
液体1滴を0.05mlと換算して1回2滴を1日2回投薬します。
【胸水抜去】
ハム次郎はかなり大人しいハムスターだったため無麻酔で実施しています。
1回の胸水抜去で約1−3ml抜去しています。
胸水検査
・比重1.012−1.014
・沈渣 赤血球と中皮細胞のみ
*炎症性ではない漏出液の性状でした
エコー検査で胸水が一番溜まっていて安全に針を刺せる場所を探します。
大抵は右下脇腹付近に針を刺すことが多いです。

なるべく負荷をかけないようにハムスターを保定して本人にバレないように(バレます)時間をかけて針を進めます。
実際持つ場合はもう少しハムスターが安定するように包み込んで持ちます。
噛まれるリスクがあるため、無麻酔での実施は性格的に大人しい個体に限られます。
まだ暴れる元気のある子、気の荒い子で実施する場合はガス麻酔にて一時的に麻酔をかけて実施する方が安全です。
抜けたものがこちら

【酸素室】
心臓病にて呼吸が苦しい場合、酸素室に入れるという方法があります。
レンタル酸素室を貸し出してくれる業者があり、ほとんどの病院がパンフレットなどを置いたりしています。(特定の業者と提携してる場合もあります)
酸素をケージ内に入れることで呼吸が楽になるメリットがあります。
(心臓病を治すわけではありません)
あまりにしんどそうな場合は検討すべきかと思いますが、ケージの掃除やご飯を与える際、急激に酸素濃度が下がってしまい『離脱症状』として呼吸状態が悪化することがあります。
1度入れたらふれあうことは厳しいことが多いため、担当の先生とよくご相談ください。
⚠️ちなみに市販の酸素ボンベなどは酸素量が少なくて常に酸素を送るのには適さないです。
⚠️また酸素発生装置として市販で売られているものはマスクでの吸引を想定されていて、ケージ内の酸素濃度を上げるような出力はありません。
🐹治療効果
一生懸命治療しましたがハム次郎の場合は約1ヶ月の延命となりました。
この1ヶ月が長いと思うか短いと思うかは個人の見解によります。
人間の寿命を80年、ハムスターの寿命を3年として計算すると
人の1日=ハムスターの27日(約1ヶ月) に相当します。
1ヶ月寿命が伸びたということは単純計算で人で30ヶ月長生きしたということです。
個人的には十分頑張った🌸と思うのです。
延命ってどうなのという意見もあるかもしれません。
しかし状態としても呼吸が早く食欲がない状態から内服薬と胸水抜去により最期の日の前日まで食べることができました。
この1ヶ月でいろんな美味しいものを与えることができました。
介護食のほか、食べやすい野菜やフルーツ、ヨーグルト、豆腐など・・・
私は治療して良かったと思いますし、できることをしてあげられたと思います。
どこまで費用をかけられるかやご家族の考えなど様々ですが、見送り方は非常に重要だと思います。
せっかくその子を選んで一生を共にしたのだから、納得のいく形で見送ることが悔いのない方法だと思います。
そしてそのお手伝いができたらと思います!
ここまで読んでいただきありがとうございました!
ハム好きの皆様に幸あれ!!🐹

病気の早期発見についてはこちら
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