ハムスターを長生きさせるには?【3歳半まで生きたハムスターの話③治療編】
🐹3歳半生きたゴールデンハムスターのハム次郎
3歳半というのはゴールデンハムスターの中ではかなり高齢!
闘病期間は約1ヶ月でした…
前回の記事はこちらから👉
やっぱり治療を頑張ってもあっという間に逝ってしまうなぁ
以下は当時のメモです。
1/5 体重94g いつもより少ない=食べてないかも。
この時点で心疾患を疑い、いつものお薬に強心剤、利尿剤を混ぜてお薬調整。
1/10 体重95g 少し持ち直して食べている様子
1/18 体重100g 異常な体重増加 レントゲン実施→胸水の可能性
1/20 うずくまることが増えているが食べている
1/25 体重130g 胸水もしくは腹水がありそう
1/26 体重134g 胸水抜去実施 1.3ml
1/28 体重137g 胸水抜去実施 1.7ml
1/31 体重134g 胸水抜去実施 1.4ml
2/2 体重124g 胸水抜去実施 3.3ml レントゲン検査実施 内服薬大幅変更
2/4 体重124g
2/5 21:30死亡
🐹レントゲン検査でわかること
まずあまり食べてないのに体重が増えている。
この時点で何か病気があることは推察されます。
・ガンが出来ている
・腹水や胸水など、水が溜まっている
上記のように体に余計なものがあり、重さの原因になっているということです。
癌、胸水、腹水などはレントゲンで診断が可能ですし、ハムスターを押さえる時間が短くて済むのでレントゲン検査を実施することにしました。
レントゲン検査がこちら

レントゲンは骨が白く、空気が黒く、それ以外の水や脂肪はグレーに見えます。
グレーの濃淡で臓器の状態を観察します。
心臓がやや大きく見られます。(ピンク点線)
肺の輪郭が浮き出ていて(ギザギザになってる部分)胸水が溜まっていることがわかりました。
つまり心臓の機能が弱って渋滞した血液成分の中の水が、胸の中に染み出しているような状態でした。
🐹胸水抜去って?
肺の外側に水が溜まっている状態です。
水が胸の中に溜まると肺が膨らむスペースが小さくなるので呼吸が苦しくなります。
胸水抜去というのは胸の水を抜く処置です。
どうやって抜くかというと
胸に針を刺して水を抜きます。
え!?あんな小さなハムスターに!?
そうなんです。あんな小さなハムスターの胸に針を刺して水を抜きます。
ご想像の通りかなり危険度の高い処置です⚠️
こちらがエコーで確認した胸の画像です。

この黒い部分が抜くための胸水
狙う深さも幅も1cmもありません
手に伝わる感触だけで、筋肉を通過したな、というところで針を進めるのをやめて吸引します。
こちらが実際に抜去した胸水です。

やや透明で赤味がかった液体が取れました。
これでかなり呼吸は楽になっています。
*ハムスターの場合これくらいの量ですが、犬猫の場合は200mlくらい抜けることも!
🐹使っていた内服薬
胸水を物理的に抜くことも大事ですが、原因となる病気の治療もしないといけません。
胸水にガン細胞なども見当たらなかったことからやはり心臓が弱っていると判断して、薬を調剤しました。
使用した薬
エンロフロキサシン(抗生物質)
フロセミド→トラセミド(利尿剤・途中から変更)
スピロノラクトン(利尿剤・途中から追加)
ピモベンダン(強心剤)
ウルソデオキシコール(肝臓薬)
スパカール(肝臓薬)
タウリン(肝臓薬)
メトクロプラミド(食欲増進剤)
*肝臓薬は胆石症に対し1年前から投与
*メトクロプラミドは腸蠕動亢進薬ですがわかりやすく食欲増進としています。
*抗生剤の投与に根拠はありませんが細菌感染の除外が難しいため投与しています。
医療従事者の方は見覚えもある薬も多いかと思います。
投与量などはマニアックすぎるので次回に。
🐹私の帰宅まで待っててくれたハム次郎
最後の胸水抜去で3.3mlの水を抜いた時、もうダメかも・・・という気はしてました。
100gのハムスターから3.3mlの水ということは人間が50kgとすると1.5Lの水が胸に漏れてるのとほとんど同じ。
そしてそんなに病状が悪いのに、1.5Lの水を補充する(飲水や点滴)こともできないだろうなと。
もう胸水を抜くのはやめて見送ろうと決意した3日後、仕事から帰宅した私の手に乗せた瞬間に、息を引き取りました。
最後の最後まで、ケージの前面まで歩いてきて、『おかえり』を言ってくれました。
前日まで自分で飲み食いし、ずっこけながらトイレに行って用を足していました。
本当にお利口なハムスターでした。
最後まで私に色々なことを教えてくれました。
しばらくはハム次郎を手のひらに乗せてしくしく泣いていましたが、5分程度でそれも切り上げました。
『病理検査しなくちゃ』
病理検査は遺体が新鮮なほどちゃんとした結果が出ます。
時間が経つと死後変化と言って、血が偏ったり、臓器が腐敗していくため、ちゃんとした検査結果が出ないことがあります。
泣きながらもう一度職場に戻り、ハム次郎の解剖を行いました。
🐹ハム次郎の病理結果
前回も記載しましたが以下が結果になります。
肝細胞変性と胆石症
心房内の器質化血栓
肝不全ならびに血栓形成による循環不良が死因
要するに臓器の限界であり老衰と言っていいと思います。
ハムスターの血栓は比較的よく見る所見で、心臓の動きが弱ってくるとできやすい印象です。
こうしてハム次郎の3年半の生涯は幕を閉じました。
何年か経った今でも思い出深いペットの1匹です。
🐹この治療はみんなが受けられるものなのか?
答えはNOです。なぜなら
①ハムスターの胸水抜去をしてくれる病院は少ない
技術的なところもそうですが、本来は麻酔下で行われるべき処置です。
動いたら心臓に針が刺さり、一瞬で死にます。
患者様にも実施したことがありますが、リスクを十分お伝えし、無麻酔または麻酔下で実施します。
実際処置を嫌がりかなり動いてしまい、心臓に刺さり亡くなった子もいます。
また麻酔下でも麻酔に耐えきれず亡くなるパターンもあります。
ハム次郎はハムスターの中でもかなりおっとりしており、処置も嫌がらずに受けてくれたためできたということもあります。
②金銭面
まずレントゲンで一般的な病院で5000円前後。
胸水を抜く前にエコーを当てるのが1000〜3000円程度。
胸水抜去となると病院によって様々ですが3000〜5000円程度。
内服薬ももりもりに薬を使っているので…
ハム次郎の処置、お薬で飼い主様価格だと当時勤めてた病院換算で
トータル13万程度かかりました。
いやいやいや!!ハムスターに10万て!!!
というのが一般的な飼い主様の正直な反応だと思います。
出せる方ももちろんいるでしょうけど…
現実的な額じゃない気がします。
③ハムスターの性格・保定できる熟練看護師さんの少なさ
①でも書きましたが性格はかなり大事で、おっとりした子では無麻酔チャレンジ。
基本は麻酔下が推奨されます。
(そうすると麻酔代もかかります・・・)
下手に動くと本当に致命的です。
また、ハムスターを支える人も大事です。
ストレスなく動かないようにもつということのなんと難しいことか。
苦しいと暴れますからね。
*ハム次郎の場合は私一人でわしづかみにして処置できました。
🐹まとめ
今回はどんな検査と治療を実際にやったかをまとめました。
そしてそれはどのハムちゃんにも適応できる治療ではないことも書かせていただきました。
結果ハム次郎は亡くなりましたが、悔いのない良い病理結果でした。
全てのハムちゃんが寿命をまっとうできるように、これからも精進していこうと思います!
ここまで読んできただきありがとうございました。
最後に死ぬ1日前まで『おかえり』をしにきたハム次郎の動画を載せておきます。
心臓病の治療内容についてはこちら
いいなと思ったら応援しよう!
より良い記事を書く励みになります!