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ロティチャナイの美味しさの秘密@ペナンマレーシア | CMFデザイナーの食観察記



工業製品のCMFデザイナーを生業とする私。

出張先では、その土地の素材や色だけでなく、食べ物の作られ方もつい観察してしまう。

昨年8月のマレーシア滞在中、何度かお世話になったのがロティチャナイだった。

最初に食べたのは、ホテルで仕事をしていた日。夜ご飯外に出て行くのが面倒くさくなり、色々Grabでオーダー。
Grabはマレーシアではこのアプリひとつで、交通手段から食事まで手配可能。
逆にスマホ無くしたらと思うと恐ろしいほど、旅行者には欠かせない。地元民にもきっとそのはず。

ロティチャナイは空港からのGrabの運転手さんにオススメしてもらった食べ物のひとつ。
本当は夕飯向きじゃ無いと言われたけどまだ試せてなかったため、勢いでオーダー。

届いたロティは紙に包まれていて開けると小麦の甘い匂い。
薄く伸ばした生地を折り重ねて焼いたパンのようなもの。外はサクッとしていて、中はもちっとしている。

ロティチャナイとカレー


添えられているカレーにつけても美味しいし、そのまま食べても美味しい。

ちなみカレーはビニール袋に入って届く。私は日本から持ってきた紙皿があったから良かったけど、ない人はどうやって食べる想定なんだろ。(これからペナン行く方でGrabでお部屋食検討してる場合、少し深さのある紙皿あると安心ですよ。)

お手軽な食べ物で、お値段も他に比べても特に安い。


数日後帰国直前、インド人街の近くに宿をとっていた。最後にもう一度ロティ食べたい!と思い朝イチで屋台に立ち寄る。

店先では職人が生地を空中で回しながら薄く伸ばしている。

その様子だけでも見入ってしまうのだが、焼き上がった後の工程が面白かった。

焼きたてのロティを両手で、何度も叩くようにつぶしている。
せっかく綺麗に焼き上がったものを、かなりの力で縦横に手で挟みつけている。
完成品だけ見れば一枚の平たいパン。

ふんわりさせるためのスマッシュ工程



最初は何をしているのか分からなかった。

しかし、その瞬間にロティがふわっと膨らみ、何層にも重なった生地がほぐれていく。

この工程によって層の間に空気が入り、あの独特の軽さと食感が生まれるらしい。

私はロティを作ってた老人をロティマスターと呼ぶことにした。

何十年も同じ動きを繰り返してきたのだろう。
生地を伸ばす手つきにも、焼き加減を見る目にも迷いがない。
めちゃくちゃ熱いはずの鉄板の上のロティを次から次へと仕上げていく。
これはマスターの称号に相応しい。

一方、私の注文は本当に辿々しかった。
右往左往。誰が次の順番待ちなのかも不明...
誰に注文を伝えるのかもよくわからない。
でも周囲お客さんたちが、すこーし距離取りながらも優しく色々手伝ってくれて無事ロティチャナイ注文完了。
ガタつくテーブルと椅子に座る。
登校前の大学生、親子、おじさん、多様なお客さんに混ぜてもらう。

ロティ、完成品だけ見れば一枚の平たいパン。

でも、その最後のひと手間を知ると、同じロティチャナイが少し違って見える。
帰国直前になって、その美味しさの秘密を知れて嬉しい。

便利さならGrabだけれど、人々の生業の中に入り込んで見る体験は、何倍もの経験値を得た気持ちになる。

日本に帰っても、あの「バシバシ」とロティを叩く音度々思い出してる。

工業製品のデザインでもそんな工程や素材の物語を発見できるから、CMFという仕事はやっぱり面白い。


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