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「まぁ、けがれ信仰だよね」迷信・文化的なタブーの描かれ方 | ダンジョン飯

アニメ『ダンジョン飯』において、魔物はダンジョンで獲得できる、栄養価の高い貴重な食材だ。

一方で魔物食は「文化的なタブー」として扱われ、登場人物の多くが嫌悪感を持つ対象でもある。

S1E19『山姥/夢魔』以降、ライオスのパーティに獣人のイヅツミが加わってから、魔物食の「文化的タブー」感はより色濃く、描かれることになる。

イヅツミが、極端に魔物食を嫌うからだ。

S1E20『アイスゴーレム/バロメッツ』でイヅツミは、センシが携帯食として作った、魔物「マンドレイク」の甘露煮を食べたがらない。

「一口くらい食べたらいい」「動物を食べるのと何が違う?」と勧めるライオスの顔を、イヅツミは思わず引っ掻いて怪我をさせてしまう。
それほどに、拒否感が強いのだ。

イヅツミはその時、このように言い放つ。

魔物なんか食べたら、変な病気にかかって魔物になるんだ。

だから嫌だ。

S1E20『アイスゴーレム/バロメッツ』 - イヅツミ


これに対してライオスが「魔物を食べるだけで、魔物になれたら、苦労しないんだが…」と返すが、イヅツミは聞き入れない。

ここで、自身も魔物食には抵抗があるものの、「マンドレイク」の甘露煮は美味しそうに食べていたマルシルが、このように話す。


まぁ、けがれ信仰だよね。
理論的じゃないのは分かってるけど。

私を含め、ほとんどの人がそういう理由だと思う。
なんとなく、悪いものを取り込む気がしちゃう。

人と関わりの近い生物から新しい病気が出たりするし、
“なんとなく嫌”って、案外ばかにできないと思うけどね。

S1E20『アイスゴーレム/バロメッツ』 - マルシル


「けがれ信仰」という言葉を聞いて、なるほど、と思った。
かなり、しっくりくる。

「未知のものによる身体汚染イメージ」は、現実の世界でもかなりの影響力を持つ。

「○○組み換えした食品を食べると体が変わる」系の誤解や、食品添加物に対する過度な恐怖や俗説といったものが、いくつも頭の中に浮かぶ。

「いやだいやだ」と繰り返すイヅツミに対し、ライオスは以下のように、淡々と説明をする。

いいか、イヅツミ。
魔物を食べて魔物になることはない。

羊を食べて、羊になる人間がいるか?
視力を失った者が、目玉を食べれば回復するか?
羊は植物しか食べないが、植物になるか?

食事と栄養って、そんな簡単なものじゃないんだ。
だから人は苦労して、試行錯誤してるんだ。

S1E20『アイスゴーレム/バロメッツ』 - ライオス


かなり説得力のある説明で、「私だったらこれで落ちそうだな」と思ったが、タイミングが悪かった。

ちょうどこの時、ライオス一行が向かっている場所に、植物から羊が生えたような見た目の「バロメッツ」という魔物が見えたのだ。

たしかにパンチのあるビジュアルで、「魔物を食べたら魔物になっちゃった」みたいな形状をしている。

この「バロメッツ」を根拠に、「ああなりたくない」とイヅツミはさらに嫌がった。

ここでライオス一行は一度分散し、物語がひと展開したあとに、合流する。

その展開についてはここでは飛ばすが、最終的には、植物から羊が生えたような見た目の「バロメッツ」の未成熟の実を、ライオスは調理することになる。

その実を割ってみると、中には羊の幼体のような魔物が入っていた。

骨付きのそれを料理する様子はまるでラム(子羊)のように見えるが、ここで今度はマルシルが「あぁ、無理!魔物とは別の意味で、倫理的に無理」と言いはじめる。
ここも、非常に興味深い。

たしかに現実世界でも、基本的に何の肉でも食べるけれど、倫理的あるいは生理的に「子羊は無理」という人もいると聞く。

マルシルが少し前に言っていたとおり、「なんとなく嫌」は、本当にばかにできない。

以前にも書いたように私は昆虫食が苦手なのだが、ここにも「なんとなく嫌」以外の理由はない。

もしかして人間は、自分が「なんとなく嫌」なものにそれっぽい理由をつけて、それを倫理的・文化的理由と呼んだりもするのだろうか。

私はそんなことを考えながら、最終的にはバロメッツの料理を美味しそうに平らげるイヅツミの様子を見ていた。

ちなみにバロメッツは、見た目は肉のようだが、味はカニに似ているらしい。

肉のような形状の食材で、魚介の味に似た、植物のような魔物、バロメッツ。

たしかに、何が何だかわからないな。

こうやって、ファンタジーならではの方法で食の多様性を見せてくれて、普段あまり考えないことについて考える機会がもらえるのは、本当に楽しい。



余談。

コラム的にまったくの余談を紹介させてもらうが、この度以下のような仮想ゲームのサントラみたいなものを作ってみた。

その名も『Tokyo 8-Bit Shadows』。

(※映像はありません)

私は実はファンタジー漫画もゲームも通らずに大人になってしまったのだが、私が「記憶や感情には紐づかない、ファンタジーっぽい音楽が聴きたい」と思ったように、「ゲームのサントラっぽい音楽が聴きたい」というニッチ需要があるかもな?と思ったからである。

作り始めたらその気になってきて、SUNOに対して、「もっとこう、ガーっとさ、盛り上がる感じの、頼むよ。ニンジャ!とか、サムライ!とか、そういうイメージで」という雑な指示を出しまくり、出来上がったのがこちらだ。

Tokyo 8-Bit Shadows トラックリスト:
1. Sakura Gate
2. Moonlit Shrine
3. Cherry Blossom Chase
4. Neon Yokai
5. Shadow Festival
6. Paper Lantern Battle
7. Oni Castle
8. The Final Torii

ご興味のあるから、聴いてみていただけたら嬉しい限りです。


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