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「最初の一口は、わけのわからないものだ」迷信・文化的なタブーの描かれ方 | ダンジョン飯

前回の記事で、アニメ『ダンジョン飯』における魔物食は、文化的なタブーとして描かれている、といったことを書いた。

魔物食は、人の目を避けて調理すべきものであり、食している事実が知られると他の人から引かれたりするのだ。

魔物食に生理的な嫌悪感を持つマルシルやチルチャックといった登場人物が、少しずつでも、その異文化に馴染もうとしていく様子が興味深い。

S1E3『動く鎧』で、ライオスはそれまで無機物とされていた「動く鎧」が、実は貝のような魔物の集合体である事実を突き止める。

そして例によってこの「動く鎧」を食べようと仲間に提案するが、マルシルは露骨に嫌そうな反応をする。


はあ?!
こんなわけのわからないもの、食べられるはずないでしょう。

S1E3『動く鎧』 - マルシル


これに対するライオスの返しが、秀逸だ。


まあまあ、マルシル。

どんな食べ物も、最初の一口はわけのわからないものだ。

S1E3『動く鎧』 - ライオス


この発言は、核心を突いていると思う。

私たちが日常的に食している野菜も肉も魚介もきのこ類も、最初の一口は「わけのわからないもの」だったに違いない。

長い時間をかけて安全で衛生的な食べ方が研究され、定着し、今はそれが「普通」になっているにすぎないのだろう。

この回では、「わけのわからない」と呼ばれた「動く鎧」は、蒸し焼きやスープ、炒め物などに調理され、ライオス一行は美味しく安全にたいらげる。

さらに S1E5『おやつ/ソルベ』では、ライオス一行は「宝虫」に遭遇する。

真珠や宝石、金貨に擬態した魔物である。

私は雑食でなんでも食べる方だが、昆虫食は苦手だ。
「宝虫」を食べることになるのは、人によっては抵抗があるかもしれないな、と思いながら見ていた。

ところが、ここでチルチャックは「コイン虫なら食べたことがある」と言いだす。

それを受けてマルシルも「郷土料理みたいなの、あるよね」と言葉を返す。

なるほど。郷土料理になっている虫は、許容範囲なのか。
これはまた、興味深い。

現実世界の日本にも、イナゴや蜂の子といった昆虫食の郷土料理がある。
こうやって少しずつ現実世界の食文化と接続するのが、おもしろい。

多少の文句を言いながらではあるが、結局マルシルもチルチャックも、「コイン虫のせんべい」や「真珠ムカデの串焼き」を美味しく食し、旅路を進めていく。



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