「高級食材の完成だ」迷信・文化的なタブーの描かれ方 | ダンジョン飯
アニメ『ダンジョン飯』では、冒険者パーティはダンジョンで遭遇する魔物たちを倒し、食べながら冒険を進めていく。
私は『ダンジョン飯』を見始めるまで、現実世界で人間が狩りをしてさまざまな動物を食べるのと同じ感覚で、物語の世界では魔物食が存在する、という設定なのかと思っていた。
しかし見始めてすぐ、登場するほとんどの人類は魔物食に対してかなり強い嫌悪感を持っていることに気がつく。
たしかに、その方がより興味深い設定だ、と私は思った。
第1話目の『水炊き/タルト』が始まってすぐ、ライオス一行はダンジョンで「歩き茸」や「大さそり」、「スライム」を食することになる。
魔物の食べ方について書かれた『迷宮グルメガイド』という本が存在するところを見るに、魔物食自体が法律に違反したり、人体に悪影響を及ぼしたりするわけではなさそうだ。
物語の中における宗教的にも、問題はなさそうである。
それでも、ダンジョン内でも人が多く賑わっている水場の近くで調理を始めたとき、さっそくチルチャックがこんなことを言う。
もう少し、人目のないところでやった方がいいのでは?
なるほど。
あまり人目に触れたくない—つまり、魔物食は、文化的・社会的なタブーに近いのか。
と、私は解釈した。
さらにおもしろいのが、スライムの調理を始めたセンシが言う以下のセリフだ。
このままでは、とても食えないが。
柑橘類の果汁を加えた熱湯でよく洗い、水分をよく拭き取るか、
あるいは塩を揉み込み、じっくり天日干しすれば、高級食材の完成だ。
なるほど。と、私は重ねて思う。
ある文化圏では忌避される食材が、別の文化圏では珍味や高級食材として取り扱われる。
これは、現実でもよくあることだ。
たとえば日本では動物の内臓がよく食べられるが、さまざまな理由で受け入れがたい文化圏も多いだろう。
馬は?鳩は?虫は?カエルは?
同じ国の中でも、地域によってこの感覚は異なったりもするし、個人の思想や好みによっても異なる。
このあたりの食の多様性を、上手にコミカルに、テーマにしていると思った。
なかでも私は、魔物食が迷信・文化的なタブーとしてどのように描かれているのか、という点に注目したい。
引き続き何回かに分けて、このテーマについて書いていこうと思う。
🥘
本コラムをおもしろいと思っていただけた方には、以下もオススメです。

