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炊飯器だけで生きてきたミニマリストが、無印良品の鍋を買った理由|故郷の味噌汁が教えてくれたこと

東京に暮らしていた頃の僕には、
炊飯器だけが料理道具の全てだった。

お米を炊くだけじゃない。
すき焼きや煮込みも作るし、お好み焼きだって焼ける。
そばも、そうめんも、パスタも、炊飯器一台で作っていた。

炊飯器があれば、だいたいのものはなんとかなる。
そう思っていたし、実際なんとかなっていた。

でも最近、鍋を買った。
これは僕にとってはちょっとした生活革命だ。

無印良品のステンレス両手鍋。
デザインがシンプルで、頑丈だから長持ちしそう。
それだけの理由で選んだ。

元々、料理は嫌いじゃなかった

思い返せば、
料理そのものが嫌いだったわけじゃない。
大学生になって一人暮らしを始めた頃は、節約も兼ねてよく自分で作っていた。
もちろん、手の込んだものじゃない。
カレーとか、パスタとか、水炊きとか、そんな程度のもの。

でも、東京の忙しさに流され、キッチンの狭さに辟易して、いつしか包丁すら持たない暮らしが当たり前になっていた。

引っ越しのたびに、調理道具を手放していった。

別に困らなかった。
炊飯器と、あとはコンビニと飲食チェーン店や居酒屋があれば、生活は普通に回っていく。

時短。
合理的。
暮らしの最適化。

言い方はいろいろあるけど、冷静に考えたら、それは人らしさを削ぎ落とす行為でもあったんだと思う。

全部を否定するつもりはない。
とはいえ、豊かさには、やっぱり手間暇が不可欠らしい。

きっかけは、味噌汁だった

地元に戻ってきて、部屋が広くなった。
それだけでも十分な変化だったけど、もうひとつ、大きなきっかけがあった。

実家の味噌だ。

母親が作っている、手作りの味噌を少しだけ分けてもらった。
これで作る味噌汁が、世界で一番うまい。

うまいというか、
ただの味噌汁じゃない何かがある。

そう言うと大袈裟に聞こえるかもしれないけど、まぁ、慣れ親しんだ故郷の味、おふくろの味ってやつ。

そんなわけで、この味噌をちゃんと活かしたいと思ったのが、鍋を買った一番の理由だ。

炊飯器でも、やろうと思えば味噌汁くらい作れなくはない。

でも、それは違う。
実家の味噌を使うのであれば、ちゃんと鍋で作りたいと思ったのだ。

蕎麦とそうめんも、鍋の担当になった

当たり前といえば当たり前のことかもだけど、鍋を買ったことで、味噌汁だけじゃなく、蕎麦やそうめんも茹でるようになった。

今までは炊飯器で作っていたが、蕎麦もそうめんも明らかに美味しさが違う。
麺を茹でるという、たったそれだけの工程に、鍋を使う意味がちゃんとあった。

削ぎ落としすぎていたもの

ミニマリストとして、モノを減らすことにはずっと自覚的だった。

持たない暮らし。
身軽な生活。

そのこと自体は、今も間違っていなかったと思っている。

でも、包丁もフライパンも鍋もない暮らしは、削ぎ落としというより、ただ乱暴に手放していただけだったのかもしれない。

効率化の名のもとに、本当は大事にしたかった手間暇まで、一緒に捨てていたわけだ。

選んだのは、20cm

無印良品のステンレス両手鍋。
サイズは20cm。

正直、一人暮らしには少し大きい。
持ってみると、重さもそれなりにある。

でも、蕎麦やそうめんを気持ちよく茹でるには、これくらいの容量が欲しかった。
小さすぎる鍋だと、麺が鍋の中で窮屈そうにしている。
それだけで、なんだか美味しくなさそうに見えてしまう。

重さは、正直言えば少しネックだ。
特に洗う時には力がいる。

とはいえ、長く使う前提で選ぶなら、そこは妥協しなくてよかったと思っている。
軽さより、ちゃんと使い続けられることの方が大事だった。

そしてもうひとつ、地味に秀逸だったのが、鍋の内側についている水量メモリだ。

これがあるだけで、毎回きっちり定量で作れる。
気分次第の目分量に比べて、味のブレがぐっと少なくなる。

実家の味噌汁の味を再現したい身としては、これは想像以上にありがたい機能だった。
(まあ、分量だけでは同じ味は再現できないのだけど)

ミニマルに暮らすといっても、なんでもかんでも手放せば幸せになるというわけではない。
自分の今のライフスタイルの最適化。
それができてはじめて少ないもので豊かに暮らせる。

もし今、あなたの生活が何か少ししっくりこないと感じているなら、手放すではなく、新調することも検討していいかもしれない。

暮らしの最適化は、ものが多いから、少ないから、という定量で設計するものじゃない。
豊かさの境界線は、自分でしか描けないんだ。

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