怠惰なミニマリストが選んだ手動コーヒーミル|生活の速度を落とす朝の珈琲タイム
雨の音が聞こえる。
そんな朝は、美味しいコーヒーが飲みたくなる。
僕の部屋には、ほとんど何もない。
デスクとチェアと、ベッドくらい。
ミニマリストを自認するくらいだから、まぁ、当たり前か。

そんな僕が、今年に入ってわざわざ購入したものがある。
コーヒーミルだ。
しかも、手動。

恥ずかしながら、丁寧な暮らしに憧れはある。
誤解なく言っておくけど、ミニマルな生活と丁寧な暮らしは、必ずしもイコールじゃない。
丁寧な暮らしのために持ち物を厳選している人も多いけど、僕の場合はただ怠惰に持ち物を増やしたくないだけだ。
引っ越し、移動の多いライフスタイルの成れの果て、としか言いようがない。
そんな僕が、コーヒーミルを買うに至った理由を語るには、少しだけ時間を巻き戻す必要がある。
折り畳めるドリッパーから始まった
最初に買ったのは、折り畳み式のドリッパーだった。
普段からコーヒーは好きでよく飲むけれど、ドリッパーが収納の場所を取るのが嫌で、家ではインスタント一択にしていた。
でも、この折り畳み式は違った。
スペースを取らない。
引っ越しのときも畳んで持ち運べる。
「これは合理的だ」
そう思えた。
しばらくは挽いた豆を買って楽しんでいた。
でもそのうち、どうせなら自分で豆から挽いてみたい、と思うようになった。
なぜ2,600円のミルにしたのか
購入しようと決めてからは、色々と見比べた。
例えば、TIMEMOREやポーレックスの一万円前後の定番品。
どれも間違いない。
見た目もいい。
ふるさと納税の返礼品も考えてみた。
でも、結局最後はあえて2,600円のものにした。
それがこれ。
理由はシンプル。
見た目が最高に好みだったから。
あと、失敗しても痛くない値段だったのもエントリーとしては良かった。
頻繁に使うとわかれば、そのときはちゃんと投資すればいい。
いきなり最高峰を買うのは、ミニマリスト的に合理的じゃない。
そしてもうひとつこだわりがあった。
電動は選ばなかったこと。
電動で挽くなら、挽いてある豆を買えばいい。
僕が欲しかったのは“速さ”じゃない。
あの、ガリガリという所作だった。
ガリガリという時間
届いたミルは、どこか偉そうだ。
「ひけるもんなら挽いてみろ」
そう言っている気がする。
豆を投入。
慣れない手つきでこぼした数粒には、3秒ルールを適用しておいた。
ガリガリ。
腕にしっかりと手応えがある。
うん、丁寧な暮らしって感じ。
ガリガリ。
……ガリガリ。
あの…ちょっと長くないっすか?
ガリガリガリガリ……
え、まだ?
お湯、沸いちゃうよ?
ガリガリ。
……ガリガリ。
後半は無心だ。
でも面白いことに、挽くのにかかる2〜3分は、お湯が沸く時間とちょうど同じくらいだった。
コーヒーを淹れようと思い立って、お湯を沸かし、豆を挽き、ドリップしてカップに注いでようやく飲める。
全体では10分くらいかかっているかもしれない。
でもその10分が、朝のスピードを強制的に落としてくれる。
味そのものに劇的な差があるかと言われると、正直そこまではわからない。
さすがにインスタントとは全然違うけど、挽いた豆を買ってきたときと、カップの中身は大きくは変わらない気がする。
でも、違いはそこじゃなかった。
挽き終えて、ミルを開けた瞬間のふわっと立ち上がる香り。
袋を開けた最初の一回にしかなかったはずの多幸感が、毎朝再生される。
それだけで、少し得した気分になる。

合理的に考えても悪くない
このミルはコンパクトで、分解して洗える。
一人分を挽くには十分。
引っ越しの多い僕でも持てるサイズ感だ。
これは“効率の道具”じゃない。
“速度を落とすための道具”だ。
・一人分だけ淹れたい人
・電動を置くスペースがない人
・速さよりも時間を選びたい人
にはちょうどいい。
逆に、
・忙しい朝に一瞬で淹れたい人
・家族全員分を毎日挽く人
には向かないだろう。
時間がかかる。
これを手間と思うか、情緒と思うか。
そこが分かれ目だ。
東京で購入して、福岡への引越しについてきた、数少ないアイテムの一つ。
今も僕の部屋で活躍してくれている。
1日の始まりが、ちょっとした一手間で変わる。
皆さんも、贅沢な朝をいかがでしょう?
合わせて読みたい
使用機材
▶︎Nikon Zf
▶︎AstrHori 50mm F2
Andyのデジタル写真集
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「雨光幻影」ー滲む世界と、溶ける色彩―
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