なぜ僕はLeicaから距離を置いたのか|カメラコミュニティの功罪
デジタルLeicaを手放し、
メイン機をNikon Zfに変えた。
その理由は、これまで何度も書いてきた。
でも、まだ話していない本音がある。
今や、知る人ぞ知る程度だけど、
かつて僕はカメラコミュニティを運営していた。
当時のメンバーは最大で100人ほど。
Leicaを冠にしたコミュニティだった。
僕のYouTubeタイトルでもある「Leicaに恋して。」を写真展のタイトルに使ったことから始まった活動の場だ。
Leicaユーザーでなくても参加はできた。
でも、やっぱりほとんどがLeicaユーザーだった。
最初は、純粋に楽しい場所だった。
フォトウォークをして、
写真を見せ合って、
コーヒーを飲みながらカメラやレンズの話をする。
「写真が好き」よりも、「Leicaが好き」という一点で、すべてが回っているように思えた。
あの頃は、それで十分だった。
写真より、Leicaが共通言語だった
年齢も職業も住む場所も違う。
でも、Leicaを持っている。
それだけで、会話が始まる。
不思議な運命共同体のようなシンパシーが生まれる。
正直に言えば、あの頃は
写真よりもLeicaの方が、
説明のいらない共通言語だった。
それは悪いことではない。
他のメーカーのカメラでは得にくい、強い結束だったのだと思う。
一人で撮っていた頃には見えなかった景色に、
仲間を通して触れられた。
知識も増えたし、スキルも少しは上がった。
定期的な写真展も開催していた。
「見られる前提」で撮ること。
それは確実に、集中力を高めた。
刺激も、ワクワクも、確かにあった。

変わったのは、コミュニティじゃない
でも、いつからか、
何かが少しずつ、変わっていった。
コミュニティのあり方が変わったわけじゃない。
僕のあり方が、変わったのだと思う。
機材の話は楽しい。
レンズ単価。
ボディの色。
アポズミかズミクロンか。
ノクチの描写。
どれもワクワクする。
でも、人数が増えると、
空気は少しずつ“均一化”していく。
そのレンズは“通過儀礼”。
そのボディは“格”。
その撮り方は“正解”。
誰も明確には口にしない。
でも、確実に存在する平均値。
共同体は、自然と基準を作る。
基準は安心を生む。
でも同時に、正解を濃くしていく。
苦しかったのは自分のあり方
当時、僕が苦しかったのは、その空気ではない。
むしろ、そこに自然と馴染めないと
気づいてしまった自分だった。
写真より先に、
機材の話をしている自分。
作品より先に、
所有を語っている自分。
そして、
コミュニティという場を優先するがために、
写真が義務になる日々ー
イベント開催は半分が義務。
フォトウォークは、ほとんど管理業務。
さらに、写真展は無意識の“提出物”になる。
出す前提で話が進み、
当日はそこにいることが当たり前になるのだ。
好きで始めたはずなのに、
楽しさをすり減らしながら、
いつしか場を守る側にいることに、
息苦しさを感じるようになってしまった。
誰かが悪いわけじゃない。
でも、構造として、そうなりやすいし、
僕はそういう構造の側にはいられないタイプの人間だった。
(それが得意な人もいる。あくまで個性であり、キャラクターの話)

Leicaから距離を置いた理由
足の怪我は、分かりやすい理由だった。
でも本当は…
誤解を恐れずに言うなら、少し距離を置きたかったのだ。
Leicaという名の、信仰から。
濃すぎない空気。
ヒエラルキーを感じない場所。
もう一度、写真を主語に戻せる環境で、
自分を取り戻したかったのだと思う。
ちなみに、
僕はコミュニティを否定しない。
繋がることで得るものも多いし、
何より、あの経験がなければ今の自分はいない。
ただ、近づきすぎると、深みにハマっていく。
気づけば、立っているつもりでも、
足はもう海底に届かない。
潮の流れは速くなる。
そのまま、静かに流されていく。
息継ぎもできないまま、
泳ぎ方を忘れてしまったみたいに。
今、こうして振り返ってみると、
その当時、僕の写真はいつの間にか、
“好きなもの”から“守るもの”になっていたのだろう。
それは、自由だったはずの表現を、
自分で檻に入れていたということだ。
それは、表現だったのか。
それとも、信仰だったのか。
その話は、また次回。
…僕は、自分の写真表現を守るために、距離を取ることにした。
それもまた、一つの選択。
もし今、あなたが少しでも息苦しさを感じているなら、
それは、感性が鈍っているのではなく、
むしろ、目覚めている証かもしれない。
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