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自律神経と、ご機嫌な背骨の話。【手神さまへの手紙⑮】

よくお参りをさせてもらう近所の神社に、カシの木があります。
数日前のお散歩で訪ねたときには、ぽろん、ぽろん……ぽん、ぽろん、と、やさしい音が絶え間なく境内に響いていました。

カシの木の、どんぐりが落ちる音。
熟したどんぐりが、枝を離れ、地球の重力に身をまかせる音。
その軽やかなリズムは、どんぐりが地球という楽器を演奏しているようにさえきこえ……しばしその音に身をつつまれて幸せなひとときを過ごしました。

時間がゆるせば、いつまででもきいていたかったなあ!
どんぐりと地球の共演。
重力が働くからこその、やさしい音。

物理世界を支配する「四つの力」のなかで、「重力」は最も、そして圧倒的に弱い力とされています。
重力以外の力は、「強い力」「弱い力」「電磁氣力」と呼ばれていて(ネーミングがちょっと不思議ですね!)、たとえば「強い力」とは、「クォークを結びつけて陽子や中性子を作り、原子核を安定させる力」のこと。
そうした物理世界に存在する「力」のなかで、重力は、「桁違いに弱い力」なのだそうです。

地球という星に生きるわたしたちの実感としては、重力が「桁違いに弱い力」だといわれてもなかなかぴんときませんが、枝から落ちてくるどんぐりをやさしく受けとめる地球を感じていると……(ああ、そうか、これは「桁違いに弱い力」なのかあ)と、腑に落ちる氣がします。
そうして、あらためて、やさしい力の働く星の上に住まうことを、幸せに思うのです。

どんぐりの音をきくときも、そうでないときも……わたしはいつも重力を意識しながら生きています。
noteでも、よく重力の話をしますが、それは重力と上手につきあうことが、わたしたちがこの星の上で健やかに過ごすための秘訣であると感じているからです。

それについては、下の記事にも書いていますので、よろしかったら参考にされてくださいね。

最近は、9月から始動した「姿勢の配達屋さん」が、わたしの大事な日常に加わりました。
それは、重力とともに生きるコツや考え方を、配達先のみなさんにお届けする活動……ともいえるかもしれません。
配達後は、「体が軽くなった」「立っているのがとても楽」──とのご感想をいただくことが多く、本当に嬉しく思っています。

先日、そんな「配達屋さん」の活動について、詳細な記録とも呼べる記事を投稿してくださった方がいらっしゃいました。

ご投稿くださったのは、すうぷさん。
「『姿勢』と『呼吸』は一生もの」──素敵なタイトルの記事です。

一読して……感動。
わたし自身の活動についてふれられたものなので、嬉しく、ありがたいのはもちろんなのですが、3時間に及ぶ姿勢指導を、ここまできっちり、かつ、わかりやすくまとめてくださったその理解力と筆力に、感じ入ってしまいました。

「これは重要!」と、思わず付箋を貼りたくなるような大事な記述もあちらこちらに見受けられ──そのひとつをお借りする形で、今回記事のタイトルにもした「自律神経」について、少しお話できたらと思います。
まずは、すうぷさんの記事より引用します。

(よい姿勢を)続けていると、3日目ぐらいにご機嫌な時間が多くなっていることに気づきました。

理屈抜きに、背筋が伸びると気持ちも明るくなるということだと思います。

さらに、疲れにくくなって気持ちにも余裕が出るのだと思います。重力に引かれながら地球で暮らしている以上、姿勢を良くして最小限の負荷で済ませるのが理にかなってるのでしょうね。

姿勢がよくなると、「ご機嫌な時間が多くなる」!
姿勢指導のあと、たった三日でこれを感じていただけるなんて、嬉しい限り!

でも実際のところ、背骨をととのえて生活していれば、「三日でご機嫌になる」という感覚、おおいに納得できます。
「理屈抜きに」とすうぷさんは書いてくださいましたが、実はこれにはちゃんと説明できる、重要な理屈があるのです。

そのキーワードとなるのが「自律神経」です。

背骨は、脳から体の各部位に伸びる神経の通り道ですが、それは当然「自律神経」にも影響を与えています。
自律神経とは、心臓の動きや呼吸、体温調節など、「意思とは関係なく、生きていくために必要な生命活動をコントロールしている神経」です。

この自律神経の働きは、「交感神経」と「副交感神経」とにわけることができます。
よくアクセルとブレーキにたとえられるのを、きかれたこともあるのではないでしょうか。
アクセルである「交感神経」は活発な活動を司り、ブレーキである「副交感神経」は、休息やリラックスを促す働きを持っています。

実はこのふたつの神経は、平常時、呼吸にあわせて、その働きが循環する仕組みになっています。
吸氣で肺がふくらむときには、後方に押しやられる背骨にあわせて神経も引っ張られて緊張し、「交感神経優位」となります。
逆に呼氣で肺が小さくなるときには、背骨は前方に寄り、全体として緩んだ状態が生まれます。そのとき体は「副交感神経優位」となります(イラストA)。
つまり、体は本来、自らをこまめにリラックスさせ、ストレスを過度にためこまないための仕組みを備えているのです。

これをわかりやすく体感していただくには、両手をあげて「のび」をしながら、「ふうーっ」と大きく息を吐きだしていただくとよいかもしれません。
きっとごく自然に、体が緩みますよね。

そしてそのあとに、ちょっと逆の動作も試してみてください。
つまり、両手を肩より前に伸ばしながら背中側をまるめ、深く息を吐きだす動きです。

いかがでしょう。
同じように腕をのばしているのに、いまひとつ体が休まらない感じ、体感していただけるのではないでしょうか。

これは、前出のイラストAにも描かれた「リラックス時の体の動き」と背骨が逆行するからです。

本来、息を吐くときの自然な背骨の動きは、イラストBの左の絵。
けれどわたしたちの日常には、右側の絵のように背骨を使う習慣が、あちらこちらに潜んでいます。

たとえば背もたれに寄りかかったままのデスクワークやスマホ操作。
この体勢でいる限り、息を吸っても吐いても背骨はそこから動きません。
つまり、背骨が緩んで体がリラックスする、その時間が生まれません。

あるいは、ラジオ体操。
なぜか、深呼吸のときに、肺の動きとは逆方向に背骨を揺らす動作が定着しています。
息を吸うときに胸と背骨を前方に押しだし、吐くときに背骨ごとお腹を後方にをへこます体操は、あきらかに、肺の自然な動きと逆行していますよね。
けれど、長い間この動きに親しんできたわたしたちには、そうして呼吸する感覚が身についています。

すうぷさんが、「配達」のあと「ご機嫌になった」と感じられた理由は、まさにこのあたりにあります。

まず、呼吸と背骨の好ましい関係を、すうぷさんはしっかり理解してくださいました。
その時点で、体は自らの呼吸の認識を更新し、呼氣時に体をリラックスさせる道を模索し始めます。
体に指令を送るのは、脳の仕事。
ですから呼吸を「理解」することは、体をととのえるための大切な第一歩です。

また、すうぷさんはもともと決して姿勢の悪い方ではありませんでしたが、「配達」後には左右のバランスがきれいにととのい、それにともなって背骨がとてもやわらかくなりました。
それだけで背骨は呼吸と連動しやすくなりますし、楽に背筋を伸ばせるので、背もたれに寄りかかったり、猫背になったりする必要がなくなったのだと思います。
呼吸にあわせて背骨が自然に揺れるための、体の準備がととのったといえます。

もうひとつが、日課にしていただいたブランコ呼吸の効果です。
詳しくは下の記事でご覧いただけたらと思いますが、これは「緊張とリラックス」を意識的に繰り返す、深呼吸のワークです。
息を吐きだすときに、ブランコに乗っている子どもの背中を押すように、自分の背骨を押してあげる。
繰り返すうちに副交感神経は活性化されやすくなり、「ご機嫌」な時間が、ごく自然に増えていきます。

こうして「呼吸のたびに休息できる体」を取り戻されたすうぷさん。
記事では「結論」として、下のように書かれています。

地球で暮らす全人類にとって、「姿勢」と「呼吸」を学ぶことは一生もののスキルとなる!

そんな思いをすうぷさんに届けられたこと、「配達屋」として、なにより嬉しいなあ!と思うのです。

地球上で暮らしているわたしたちには、日々、誰にも等しく重力がかかっています。
けれど、その重力を「どう感じるか」を、わたしたちは自分で選べるのだと思います。

毎日ご機嫌で過ごせるくらいに背骨が緩んだ体にとって、重力は、次第に「重たい力」ではなくなっていきます。
冒頭でご紹介したように、「四つの力」のなかで「桁違いに弱い力」だという重力。
自分次第で、それを体感することも可能なのかもしれません。

しなやかに直立できるようになるほど、体は、重力を負担に感じることがなくなります。
体が軽い。心が軽い。
そんなご機嫌な毎日をつくっていくのは、他でもない、わたしたち自身。
そのための「一生もののスキル」をたゆまず磨いていきたいなあと、あらためて願うのです。



こちらは、最近投稿された「姿勢の配達屋さん」の体験記事です↓↓↓

過去の記事でご紹介したみなさまの体験記事は、マガジンからどうぞ↓↓↓



さて、マガジン「手神さまへの手紙」より、今回は、体の専門家でいらっしゃるおふたりの記事をご紹介させていただきます。

「手」を大切にされる治療家おふたりのハンドパワー、堪能してくださいね!


ひとつめの記事です。

ならまち月燈さんの、「身としての手と掌」。

奈良市のならまちエリアで、女性専門の指圧鍼灸院「ならまち月燈」を営まれる、ならまちさん。
その博識ぶりや、さまざまな療法に対する見識の深さは、この記事を読んでいただくだけでも伝わると思います。
要約するにはあまりにも壮大な記事ですが、その根幹に流れるのは、身体というものへの信愛にも似た信頼。
以下の記述を抜粋させていただきたいと思います。

手掌と手掌を合わせるのが合掌ですが、その合掌した手の中、またはその手の先に魂があるのは、きっとどなたにもイメージしやすいでしょう。

指圧師としての私は、じぶんの手掌と、患者さんの身の上を合わせながらそこに魂の交歓を感じています。

いつも申し上げることですが、指圧は私からの一方通行のものではありません。

双方向に、濃密に魂が通い合うのが指圧なのです。

手、掌、そして「身」を通した魂の通いあい。
引用部分だけでは伝わりきらない雄大な世界観を……ぜひ、ならまちさんの記事で体感されてくださいね!


続いてはこちらです。

田中弥三郎さんの、「僕の手には、両親が宿っている 『#手』」。

弥三郎さんも、まさにご自分の「手」で、生計を立ててこられた方。
鍼灸マッサージ師でいらっしゃいます。

手の生みだす「表情」が大好きとおっしゃる弥三郎さん。
記事は、治療家としてのご自身の手のお話から始まって、魅力的な「手の使い手」である、歌舞伎役者、ギタリスト、ピアニスト……様々な方の活躍のご紹介へと進みます。
引用部分は、多くのファンをお持ちの、藤井風さんの手に関する記述から。

(風さんは)白鍵の根元をタッチしてるんですよね。女性の手の力では、ちゃんと音が出ない(=弾けない)ところをタッチしてる😳
だからといってむやみにやかましい音じゃなくて、優しいのに力強い感じのするピアノ。たまらんですねぇ。

表情も魅力的だけど、もっと手元もカメラで狙ってほしい。手元も見たい。ニーズあると思うんだけどなぁ🤔

治療家のおふたりがみる「手」の世界。
どうぞ楽しまれてくださいね!



「手神さまへの手紙」の企画にご参加くださったみなさまに、心からお礼を申し上げます。

お寄せいただいた記事を、毎回できるだけひとつのテーマに沿いながら、順次ご紹介しています。
遅筆ゆえ、ご紹介に時間がかかっておりますが、どの記事も大切に思いながら書いています。すべての記事のご紹介まで、しばしお時間をいただけましたら幸甚です。


みなさんの「#手」の記事を収録したマガジンです。↓↓↓

みなさまの「#手」の記事を紹介した、わたし自身の投稿「手神さまへの手紙」シリーズ。そちらをまとめて収録してあります。↓↓↓


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