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現場の声をカタチに ─ 私の技術者人生を変えた工場移転プロジェクト(2)

第二章(現場経験によって導かれた決断)
2.1 役員ヒアリング:一言の重み
(私はあなたの案を聞きたい ── 緊張と不安と自信が交錯する瞬間 )
ある日、プロジェクト担当役員から3人にヒアリングのための招集がありました。
上司2人は新工場建設案を役員に説明しましたが、最後に役員は私に向ってこう言いました。
「私はあなたの案を聞きたいのです。」
その言葉に緊張で震えながらも、私は持参した図面をもとに、既存工場の活用案を力強く説明しました。
結果、その場で既存倉庫を活用する案でプロジェクトを進めることが決定しました。

私が考えた案が採用されたのです。

移転先とレイアウト案は決まりましたが、問題はまだ山積みでした。

2.2 肌感覚が導く判断:目に見えない老朽化の見極め
(音や手触りで判断する“目に見えない劣化”)
対象となる設備はどれも老朽化しており、中には移設が難しいものもありました。
また、そのままでは新しいレイアウトに収まらないものもあり、再構成が必要でした。
移設する設備と、新規に製作する設備の仕分け作業は、非常に困難を極めました。
一つひとつの判断がプロジェクトの予算に大きく影響します。
当然、目標となる予算は既に決まっており、その中で最適な取捨選択を迫られていたのです。
こうした不確定要素の多い状況の中で、現場で培ってきた経験が大いに活かされました。
もし現場での経験がなければ、リスクを恐れてすべての設備を新設するという判断をしていたかもしれません。
しかし、私は毎日現場で設備と向き合ってきたことで、「この設備は移設できる」と判断できるだけの肌感覚と確かな根拠を持つことができていたのです。
設備の老朽化は見た目だけではわかりません。日ごろから音や手触りなど知り尽くしたうえでの判断が求められます。

2.3 理想の現場の追求:生産性・品質・保守性・安全性 すべてを反映せよ
(現場作業者との対話から生まれた理想の設計)
一方で、新設すると決まった設備については、既存設備の単なるコピーでは済まされませんでした。
ここは、生産技術者としての真価が問われる重要な局面でした。
私は、日ごろ現場作業者の方々との会話の中で得た情報を基に、生産性と品質向上のための改善策を設備に盛り込みました。
さらに、保全技術者としての経験を活かし、保守性や安全性の向上も設計に反映させました。
しかし、移転のスケジュールはすでに決まっており、絶対に失敗が許されない状況の中で、新しい技術を盛り込んでいくのは非常に勇気のいる決断でした。
設備メーカーの設計者とは、何度も何度も打ち合わせを重ね、「これなら大丈夫だ」と確信できるところまで詰めましたが、それでも、寝ているときに設備が正常に動かない夢を見ることが一度や二度ではありませんでした。

教訓:誰しも、生活のすべてをかけて仕事に集中しなければいけない時がある。ただし、それがいつまでも続くようであれば、仕事人としては失格である。


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