現場の声をカタチに ─ 私の技術者人生を変えた工場移転プロジェクト(4)
第四章(現場の声をカタチに)
4.1 トレーラー進入シミュレーション:緊張と安堵のジェットコースター
(シミュレーションと現地・現物・現実の相違)
トレーラーがゆっくりとハンドルを切りながら後ろから工場内に入ろうとしていきます。
その時、
「よかった!入った!」
トレーラーが無事に曲がり切り、工場の中へ進入できたのを見て、あれほどトレーラーの運転手を頼もしく思ったことはありませんでした。
その後、いよいよ設備を上流から順に稼働させていきました。
製品がライン上をどんどん形を変えながら流れていきます。
いくつかの箇所でトラブルも発生しましたが、どれも大きな問題ではありません。
動かない設備を動かす仕事なら、これまで何百回とやってきました。
それが、私の仕事なのです。
4.2生産技術者のやりがい:現場の笑顔
(設計者と作業者をつなぐ“架け橋”)
このプロジェクトを通じて、何より嬉しかったのは――
一緒に仕事をしてきた現場の皆さんが、新しい職場を「いい環境だ」と言ってくれたことでした。
限られたスペースの中でコンパクトに設備を配置したことで、無駄な歩行がなくなり、仕掛品の置き場や工具置き場といった細かな点も、日頃から聞いていた現場の声を反映させることができました。
設備設計技術者には、設備設計技術者にしかできない仕事があります。
現場作業者には、現場作業者にしかわからない知恵や工夫があります。
そして、生産技術者とは、その「両者をつなぐ橋渡し」として、新たな価値を現場に生み出していく、非常にやりがいのある役割だと私は思います。
特に若い技術者の皆さんには、
「泥臭い仕事を厭わず、愚直に現場に寄り添い、大きな価値を生み出す」
そんな技術者に育ってほしいと、心から願っています。
教訓:ホームランを狙っても最初からホームランを打つことはできない。愚直にヒットを重ねることによっていつかは大きなホームランが打てるようになる。
