“動かないクライエント”は本当に問題なのか?
支援に乗らないクライエント
頑張って支援しているのに、
クライエントがまったく動かない——
そんな経験、ありませんか?
これってケースワークではよくあることで、支援者だけが焦る構図が出来上がっていくものです。
私自身も幾度となくそういう場面を経験してきました。
入院が必要なのに応じない、ヘルパー導入が必要なのに拒否する——そんな場面です。私だけでなく、ケースワーク経験者なら、多くの人が通ってきた悩みではないでしょうか。
問題はクライエントなのか
このような場合、動かないクライエントこそが問題だと考えてしまいがちなんですよね。
でも、ちょっと待ってください。
もし、クライエントが“動かない”のではなく、“その支援に動く理由がない”だけだったら?
陥りやすい落とし穴を3つ整理してみます。1つでも当てはまったら、ケースワークを見直すきっかけにしてみてください。
落とし穴① ニーズのずれ
今進めている支援は、支援者側の“こうあるべき”から考えられたものではないですか?似たようなケースと同じ方法を取ろうとしていないですか?
そこからニーズのズレが生じてくるものです。まずはケースを個別化して、ニーズを精査してみましょう。
落とし穴② タイミングのズレ
支援を急ぎすぎて、クライエントがペースに乗れないことがあります。これは、"最低限防ぎたいこと"が定まっていないときに起こりがち。ボトムラインを設定するだけで、支援者にも余裕がでてきます。
支援にも、タイミングというものがあるんですよね。
落とし穴③ ラポールが形成できていない
当たり前ですが、信用していない人の言うことは聞きたくないですよね。支援を考えるあまり、信頼関係(ラポール)が形成できていないことがあります。
クライエントとの関係性や距離感をもう一度確認してみましょう。
どうするか
"動かないクライエント"を支援するときのポイントを3つお伝えします。
(1)リフレーミングしてみる
少しだけ考えを変えてみましょう。なぜクライエントは動かないのでしょうか。動かない理由にこそ、クライエントのニーズはないでしょうか。
例えば、入院したくないクライエントに対し、なぜ入院しないのかと考えがちですよね。でも、"そこまでして家にいたいんだ"という転換をすることができます。
その視点に変わると、在宅で生活するにはどうしたら良いかをクライエントとともに考えられそうな気はしませんか?
リフレーミングによって、発想も考え方も変えることができます。
(2)ボトムラインを設定する
クライエントが動かないとき、何を心配していますか?恐らく、最悪の事態が起きること、ではないでしょうか?
先ほどの入院拒否を例とすると、ボトムラインを「家で孤独死させないこと」としたら、支援する内容もレベルも大きく変わりますよね。
“改善”だけが支援ではないのかもしれません。
(3)ラポールを形成する
これ、とてもシンプルですが、案外強力だったりします。ケースワークっていくら技術的なことをいっても、結局は人対人なんですよね。
支援を急ぐ前に、信頼関係そのものを支援として捉える視点も大切です。
やってみよう
もし、今担当しているクライエントで、動かない人がいたら…。明日から関係者に対して次のような声掛けをしてみましょう。
「この人は“なぜ動かない”のではなく、“何なら動ける”でしょうか?」
この問いかけで、一気にクライエント視点での支援が進みます。
“動かない”を問題にする前に、
“何なら動けるか”を考えること。
そこから、本当のケースワークが始まります。
