“話を聞いてるだけ”でいいの?―― ケースワーカーの無力感
変わり映えのない面接
少しカビ臭い、いつもの和室。
汚れた座布団に座って聞く話はいつもと同じ。賞味期限の切れたコンビニ弁当に目を落としながら、話を聞いている。
変わり映えのない面接にため息がでる。
── また何も進まなかった…
ケースワーカーの仕事において、最も大切で、最も時間をかけること。それは「面接」ですよね。
ニーズの把握や関係作り、時には助言をすることも。
ケースワーカーとしては "意味のある面接" をしたいものですが、手応えのない面接って意外と多いもの。
「なんの時間だったんだろう…」
ケース記録を書きながらため息を付く。
誰しも経験することではないでしょうか。
"手応えがない"の正体
手応えがない──
きっとそれは、何か目的をもって
面接をしていたからですよね。
それなのに、
一方的な話をされて終わった…
脱線ばかりされてしまう…
なぜか説教までされてしまった…
クライエントのペースにのまれ、自分がしたい面接ができない。加えて目的すら達成できないのであれば、手応えは感じられませんよね。
そんなとき、ケースワーカーは無力感に苛まれるものです。
"意味のない面接"はあるのか
少しリフレーミングしてみましょう。
本当に"意味のない面接"ってあるのでしょうか。
(1)面接が"できている"
面接ができていること自体に価値があります。
ケースワーカーに対して拒否的ではない、というアセスメントになりますし、今後も面接予定の見通しが立ちやすい状況ということです。
(2)現状を確認できている
当然ながら、現在のクライエントの状況把握ができます。「ちょっと臭いが…」、「少し痩せた?」、「同じ服着てる」など、ちょっとした変化からアセスメントを取ることができるようになります。
(3)関係作りに寄与している
それだけクライエントの話を聞けているのであれば、きっとクライエントは気持ちよくお話しができたことでしょう。
その面接を通して関係が深まれば、後の支援がやりやすくなります。
2つの視点
"話を聞くだけ"の面接を、"意味のある"面接に変えるには、上記のようにケースワーカー自身の考え方を変えてみることです。
そうすれば、意味のない面接は存在しなくなります。
一方で、忘れてはいけない視点があります。
それは、
"面接をコントロールできなかった"
ケースワーカー自身の反省です。
「関係づくり」という言い訳に甘えて、
よく分からず面接を続けていくことは、
それこそが"意味のない面接"なんです。
また、"話を聞くだけ"の面接を、本当に聞くことだけに集中していたら、何も気づけません。
クライエントの身なりや自宅の状況、認知機能など、目や鼻、感覚など、耳から入る情報以外でも確認することがたくさんあります。
"意味のない面接"はありません。ケースワーカー自身が、"意味"を持たせていくのです。
とはいえ、毎回同じ話を長時間聞くことは、また別の問題とも言えます。
ケースワーカーができることは、「面接の枠」を決めてあげることではないでしょうか。
毎回同じ話になるクライエントに対しては、30分だけと指定するなど、面接時間に枠を設けることで、"話を聞くだけ"の面接のハードルも一気に下がります。
『何もなかった』を成果に変える
「今日は何も進まなかった」
面接後にそう思うことはきっとあるでしょう。
でも、意味のない面接は存在しません。
どんなに経験豊富なケースワーカーでも、上手く面接を進められないことはいくらでもあるんです。
しかし、「何も進まなかった」 と感じる面接の中にも、 ケースワーカーは意味を見つけていかなければならない。
その積み重ねこそが、 ケースワークの“技術”なのかもしれません。
