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窓骸|【狸の短編小説】

 北向きの窓辺に座りながら、壁に立てかけたままの絵と、時が止まった部屋の埃を眺めては、彼女の不在を吸い込むことが日課になっていた。

午後の光が滲む時、彼女のベッドの皺をそっと撫でていると、そこに残るわずかな凹みが、彼女の形を教えてくれた。

光の揺らぎの中で、息づくように光を集める窓は、知らぬ間に、とある文様を示し始める。

霜の結晶が緻密に組み上がり、鳥の肋骨をかたどったような白い文様が浮かび上がると、指で擦っても消えない、ガラスに染み込んだ傷となった。


 僕は文様を紙に写し取り、街の片隅で埃をかぶった品々に埋もれる男を訪ねた。

男は僕のスケッチを一瞥すると、何も言わずに古い革鞄から単眼鏡を取り出して、僕に頷いてみせる。

彼女の部屋に現れた男は、一言も発さず窓の前に立ち、単眼鏡を構えては向こうの骨を覗き込んだ。

男の息がガラスを曇らせ、指先がそっとその表面を撫でている。

僕は固唾を飲んで、その背中をただ見つめていた。


 窓辺で二人、同じ景色を眺めるこの日は、いつも僕の隣で微笑んでいた彼女との日々を、鮮明に呼び起こさせる。

長い沈黙の後、男はゆっくりと顔を上げた。

その目は深い憐れみをたたえて、僕の視線を受け止めると、静かに一度だけ首を横に振る。

男は音もなく去っていった。

気づけば僕は濡れた布を手に、ガラスが軋むほど強く、その骨を擦り上げていた。

その白い痕跡を、彼女の祈りを剥がすように。

やがて文様は跡形もなく消えて、窓はただの透明なガラス板に戻っていた。

窓はもう何も映さず、部屋の温度が下がっていることを示すだけの死体と化していた。



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