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[28]【母の顔が浮かんだ日】人生が終わった日も、朝のコーヒーだけは飲んでいた。-新聞配達編-


■この物語は筆者の実体験をもとに執筆しています。
・正直、極限まで恥をさらしてます。
・僕が生きてきた記録(ノンフィクション)です。
・ほぼ毎日更新を目指してます。


【母の顔が浮かんだ日】


午前1時。
コーヒーをいれる。
湯を注ぐ。
立ちのぼる湯気を見る。
カップを持つ。
一口飲む。

苦い。
けれど、うまい。
カフェインが身体中に沁みる。

鹿島の春は、まだ身体のどこかに残っていた。

テレビでは大型連休と言っている。
ラジオでも渋滞予測を流している。
コンビニには旅行雑誌が
並んでいる。

折込チラシも日帰り温泉旅行だの
グルメツアーだのが増えていく。

でも、新聞は休まない。

祝日でも、
雨でも、
誰かが死んでも、
新聞は配る。

そう、基本的にはそうだ。

ただ、
誰かが倒れた時だけは別だった。

本人が体調不良なら、
どうしようもない。

そういう時のために、
社員が代わりに走る。

社員は、自分の担当以外の区域も、
ある程度、頭に入れていた。

この家は階段の下。
この家はポストが裏。
このアパート部屋番号が
ややこしい。などなど。

そうやって、
二重にも三重にも
保険をかけて、
新聞は毎朝、届けられている。

配れないという事態は免れる。

外田新聞店でも
ゴールデンウィークの
シフト相談会が始まっていた。

バイトの方たちは
3連休欲しいという。

社員も2連休は欲しい。

毎日4,000部の新聞をバイト18人と
社員6人でまわしている。

世間のゴールデンウィークとは
日がずれても連休ということに
この仕事ならではの
ありがたさがある。

たとえ2連休でも。

シフトを組む。
と言っても、ベテランから順に
希望を聞いていくだけだった。

僕の休みは、
ゴールデンウィークが
終わったあとになった。

ありがたい。
世間が浮ついてない、
普通の日の休み。

さぁ、何をしようか。

そう考えた時、母の顔が浮かんだ。

電話の向こうの声ではない。

ちゃんと、ハッキリとした
顔だった。

お母さん___。



【次の話】第29話「帰る場所がまだあった」へ
肺炎療養中のため、
掲載が不定期になります。




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「人生が終わった日も、朝のコーヒーだけは飲んでいた。」

【第一章・失踪編】
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1話から読む

【第二章・新聞配達編】
目次から読む
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