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[3]【冷たいマットレスで眠った夜】人生が終わった日も、朝のコーヒーだけは飲んでいた。-新聞配達編-


■この物語は筆者の実体験をもとに執筆しています。
・正直、極限まで恥をさらしています。
・僕が生きてきた記録(ノンフィクション)です。
・ほぼ毎日更新を目指しています。


【冷たいマットレスで眠った夜】


僕は、まだ寝ている吉田の荷物の横に
缶コーヒーをそっと置いた。

音を立てないように。
ゆっくりと。

振り返らず、歩き出した。

途中のコンビニで缶コーヒーを買う。
吉田から
盗んだタバコに火をつけた。

深く吸って、吐き出す。

裏切った上に、
タバコまで盗んだ。

指先が震えていた。

残金、180円。
タバコ3本。

それが、その時の僕の全てだった。

生きるしかない___。

待ち合わせの公園に着いたのは
朝5時だった。

約束は10時。
あと4時間。

長すぎた。

通勤する人たちが、
次々に横を通り過ぎていく。

僕はベンチに横になり、
目を閉じた。

腹が減る。
喉が渇く。

わずかなタバコで、
ごまかすしかなかった。

吸うたびに、吉田の顔が浮かぶ。

起きただろうか。
僕がいないことに、
気づいただろうか。

いや、もしかしたら
あの時ほんとは起きていたのかもしれない。

考えても分からない。
分からないのに、
頭から離れなかった。

空腹。
恐怖。
罪悪感___。

もう限界だった。

「こんにちは。電話くれた方?」

顔を上げる。

「あっ___はい。」

「さぁ、行こうか。
しかし何日風呂入ってないの?
まずはそこからだね。」

言われるがまま、
僕はコインランドリー付きの
銭湯に連れて行かれた。

いつぶりの風呂だろう。
いつぶりに服を洗っただろう。
いつぶりに髭を剃っただろう。

湯に浸かった瞬間、
少しだけ人間に戻れた気がした。

「ご飯代あるの?
これ、千円。
銭湯代と合わせて、
給料日に五千円引かせてもらうから。」

うなずくしかなかった。

それから車に乗せられた。

窓の外の景色が、
少しずつ知らないものに変わっていく。

どこへ連れて行かれるのか。
本当に仕事があるのか。
途中で放り出されたら終わりだ。

不安だけが、
黙ったまま膨らんでいく。

やがて、
茨城県鹿島市に着いた。

外田新聞店___。

大きな新聞販売店だった。

配達用のバイクが、
何台も並んでいる。

中学の時、
新聞配達のバイトをしていた。

だから、
少しは分かるつもりでいた。

でも、
ここは大きい。

そう思った。

その時の僕は、
まだ何も分かっていなかった。

僕を連れて来た男が社長と思われる
男性と話している。

何を話しているのか___

気になって仕方ない。
値踏みされている気分だ。

「ちょっと形だけ面接ね。
この紙に経歴を簡単に書いて。」

僕を連れて来た男が
履歴書を差し出して来た。

社長と思われる人物と
形ばかりの面接。

日が変わって2時に来いという。
寮というアパートへ連れて行かれた。
家電などは揃っている。

マットレスが置いて有る。

孤独___。

寒い。マットレスに横になる。

とにかく身体を休めよう。

明日のために___。

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「人生が終わった日も、朝のコーヒーだけは飲んでいた。」

【第一章・失踪編】
目次から読む
1話から読む

【第二章・新聞配達編】
目次から読む
1話から読む


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