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[6]【現場は、何も教えてくれなかった】人生が終わった日も、朝のコーヒーだけは飲んでいた。-新聞配達編-


■この物語は筆者の実体験をもとに執筆しています。
・正直、極限まで恥をさらしています。
・僕が生きてきた記録(ノンフィクション)です。
・ほぼ毎日更新を目指しています。


・配達をしていた頃。失踪時とくらべて、かなり痩せてます。


【現場は、何も教えてくれなかった】


午前3時。

僕は、まだ突っ立っていた。

人は多いのに、
誰も僕を見ていない。

皆、黙々と動いている。
速い。
無駄がない。

___どうすればいい?

その時。

「おい」

後ろから声が飛んできた。

振り向く。

「お前、新人やろ。こっち来い。」

少し強い口調だった。
僕は慌てて後を追う。
新聞の束を渡された。

重い。

「これな、順番あるから。番号見て配れ。」

番号___?

束に書かれた数字を見る。

意味が分からない。

「分かるか?」

「___はい」

反射的に答えていた。
分かるわけがない。
でも、もう始まっていた。

外に出る。

バイク。
エンジン音。
冷たい空気。

前の人が走り出す。
ついていくしかない。

夜の住宅街。
暗い。
静かすぎる。

前のバイクが止まる。
ポストに新聞を入れる。
すぐにまた走る。

速い。
ついていけない。
焦る。

同じようにやる。

ポスト。

新聞。

入れる。

___これで合ってるのか?

次。

次。

分からない。

表札が見えない。

番地も分からない。

どこがどこだ。

前の人はもういない。

置いていかれた。

___やばい。

適当に入れる。

違う気がする。

でも止まれない。

新聞を一部、落とした。

慌てて拾う。

手が震える。

順番が分からなくなる。

もう、ぐちゃぐちゃだ。


その時。

後ろから声。

「おい。」

振り向く。

さっきの人だった。

「違うやろ!」

低い声。

心臓が止まりそうになる。

「番号、見ろや。」

それだけ言って、走っていった。
残された。


一人。


分からない。

でも—___

やるしかない。

ポケットを探る。
小銭。
自販機。
缶コーヒー。

温かい。

一口、飲む。

___この味。

まただ。


吉田がくれていたやつ。


___やめろ。
今は、それじゃない。
顔を上げる。

配る。

もう一度。

一軒ずつ。

遅くてもいい。

間違えてもいい。

それでも___

配るしかなかった___。

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「人生が終わった日も、朝のコーヒーだけは飲んでいた。」

【第一章・失踪編】
目次から読む
1話から読む

【第二章・新聞配達編】
目次から読む
1話から読む


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