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発達障害のボクが図書館という居場所をみつけた日

「キライ。本なんて、キライ」

ボクはそう思っていた。
幼い頃から、本という存在は、ボクにとって理解不能で、ただ遠いもの。
宇宙語みたいなものだった。

学校の図書館。


みんながお気に入りの本を探して読書にふけるなか、
ボクにとってそこは“本を読む場所”じゃなかった。

あの静けさと、木の匂いの中でボクはただ──

昼寝をしていた。


なぜ読めなかったのか?

答えは単純。

読めなかったから。

文字を追っても、途中から突然“自分が何してるか分からなくなる”。
まるで頭の中に、思考を壊すパラシュート部隊が降下してくるみたいに。

クラスメイトが絵本に夢中になる中、
ボクだけが取り残されていた。

漢字もひらがなも、ただの模様。


読み進めようとしても、すぐに別のことを考えてしまう。

先生たちも首をかしげていた。
「なんで読めないんだろうね」
「もう一回、やってみようか」

何度もトライ&エラーを繰り返した。
でも、唯一

“読めた”

のはだけだった。


ボクは、本がキライだったんじゃない

詩は読めた。
短くて、音が心に響いた。
意味がスッと入ってきた。

言葉自体は、好きだった。


でも、「読む」という行為が、どうしてもできなかった。

当時、自分が

発達障害(ディスレクシア)

だなんて
誰も知らなかった。自分自身さえも。



すべての本がキライだったわけじゃない

小説や説明文はダメだったけど、
絵本、図鑑、地図、写真集──これらは読めた。

絵本は絵が語ってくれた。
写真は写真が物語を持っていた。
地図や図鑑は、ページをめくるだけで世界が広がった。

「読まなきゃいけない本」じゃなく、
「感じられる本」が、ボクにとっての読書だった。


転機:読むつもりがなかった1冊

中学に入り、不登校になった。
心も体もつかれきって、ただ毎日を消費していたある日。

部屋の隅にあった、表紙が好きで買っただけの本を
何気なく、寝転びながら開いた。

その瞬間だった。

スッ…と、言葉が入ってきた。

え?読めた?

バラバラだった文字が、線になって意味を持ち始めた。
言葉が脳に届く感覚。まるで通電したみたいだった。


読書に必要だったのは、「自分のペース」だった

あの時、誰にも見られてなかった。
誰にも急かされていなかった。

学校では、読む速さも答えるタイミングも全部「周り基準」。
そのスピードに合わせようとして、ついていけなくて、苦しかった。

でも一人きりなら──何回読んでも、どこから読んでもいい。
それが、ボクにとっての「読み方」だった。


本がキライだったんじゃない

“読めないままの自分”が、キライだった。

「できないのに理由がわからない」
「できないことを気づいてもらえない」
その苦しさをどうにもできずに、
ただ「本なんてキライだ」とラベルを貼っていた。

でも、今なら言える。

ボクは、読書ができないんじゃなかった。
ただ、“自分のリズム”を知らなかっただけだった。


読み方に、正解はない

読み方は人それぞれだ。

・時間をかけて読む人
・耳で聴く人
・絵から感じる人

いまはオーディオブックや読み上げAIだってある。

“読めない”ことに悩んでいたボクから見たら、まるで魔法のような時代。


誰かと同じじゃなくていい。


読書は競争じゃない。ひとりの旅だ。


いま、図書館は「かえりたい場所」になった

昔は昼寝してた図書館。
いまは静かに言葉と向き合える、心の居場所になった。

相変わらず読むのは遅いけれど、
それでもボクは、少しずつ世界を読んでいる。


読めないことで苦しんでいる人へ

もし、今あなたが
「読むのがつらい」
「読めない自分がダメだと思う」

そう感じているなら、伝えたい。

読む順番も、スピードも、スタイルも、あなたの自由でいい。

焦らなくていい。
止まっても、迷っても、大丈夫。

読書は、誰とも比べない、あなただけの旅だから。

この文章が、あなたの「読書の扉」をそっと開く
小さなきっかけになりますように。


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