僕が 6 月に設計する雨季モード
梅雨を敵にせず、 内省と仕込みの月間ルールをつくる
6 月 1 日の朝、窓の外はまだ曇りのまま。
雨はこれから増えていく。
フリーランスになって十数年経った今も、6 月の入口に立つたびに同じことを思い出します。
——梅雨が来ると、何かが止まる。
タスクはある。
やる気もある。
なのに、手が動かない。
かつての僕は「これは意志の問題だ」と決めつけていました。
でも違いました。
問題は意志ではなく、梅雨に合わせた設計がなかったことだったのです。
これは、そのことに気づいてから整えた雨季モード。
梅雨の月間設計の枠組みと Obsidian で動かす具体的なルールの記録です。
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6 月になるたびに止まってきた
「また止まった。」
毎年 6 月になると、そう感じる瞬間がありました。
雨が続くと外に出にくくなる。
在宅の時間が増えるのに、なぜか前に進まない。
タスクアプリには赤いチェックが積み上がっていく。
「これは怠けているのか?」
「意志が弱いのか?」
そう自問しながら、また 6 月が終わる。
——この繰り返しを、フリーランスになってからも何度経験したか分かりません。
吃音の僕は、気圧が変わる月に特に体調が揺れやすい。
言葉が詰まりやすくなる週に、自己採点が一番厳しくなる。
雨音を聞きながら、画面の前で固まっていた朝が何度もありました。
梅雨は毎年やってくる。
それなのに、毎年同じところで転んでいた。
みなさんは、6 月になると何かが止まると感じたことはありませんか?
【かつての僕の失敗】 走れと焚きつけて潰れた
フリーランスになった最初の数年、梅雨を乗り越えるべき障害として扱っていました。
習慣を増やして気分を塗りつぶそうとした。
発信を増やして前進している実感を補おうとした。
「雨だから停滞しているわけじゃない」と、自分に言い聞かせながら。
4 月や 5 月と同じ勢いを 6 月にも持ち込もうとしたのです。
でも、梅雨の中で走り続けようとするたびに、同じところに落ちました。
雨の日が負けの予感に変わる。
習慣が崩れるたびに、自分を責める。
崩れを直そうとして、また無理な目標を立てる。
——負のループでした。
特に記憶に残っているのは、今年の春から梅雨にかけての記録です。
週次ノートの Big 3 に、毎週同じ項目が残り続けた。
「Vault サンプル、0 パーセント」と書かれ続けた週次記録。
4 月に加速したはずが、6 月には完全に失速する。
そのパターンを、僕は何度も繰り返してきました。
問題は怠けていたことではなかった、と今は思います。
梅雨の自分に合わない設計を持ち込んでいたのが原因でした。
問題は意志ではなく設計の不在だった
何度目かの梅雨の後、ようやくひとつの結論に着きました。
梅雨に前に進めないのは、意志が弱いからではない。
月が変わってから計画を立てようとしていた構造に問題があった。
春の勢いを 6 月にも持ち込もうとしていた。
6 月という月の性質は春とは違う。
外気が重い。
気圧が揺れる。
在宅時間が増える分、見えない疲れが溜まりやすい。
——それに合わせた設計が、そもそも存在していなかった。
先月の記事でこう書きました。
傘はすでに鞄に入っている。
6 月に持っていく荷物を 3 つだけ選ぶ。
梅雨が来てから考えるのをやめて、梅雨が来る前に枠組みを決めておく。
その発想が、雨季モードの出発点なのです。
雨季モードとは何か
雨季モードは、6 月だけのために設計する月間の枠組みです。
難しいものではありません。
一言で言えば、その月の性質に合った動き方を月初に先に決めておくこと。
4 月は加速する月だったので「出す・公開・連載」モードでした。
5 月は深める月だったので「磨く・読む・手放す」モードでした。
6 月は梅雨の月なので「仕込む・内省する・環を整える」モードです。
モードを決めるのは 3 つの動詞だけ。

| 月 | モード | 3 つの動詞 |
|:---|:---|:---|
| 4 月 | 加速モード | 出す・仕掛ける・循環させる |
| 5 月 | 深めるモード | 磨く・読む・手放す |
| 6 月 | 雨季モード | 仕込む・内省する・環を整える |これを月初(できれば前月末)に決めておくだけで、梅雨の中で「今月何をすべきか」と迷う時間がほぼなくなります。
重要なのは、モードに合わない動きを禁止リストに入れることです。
雨季モードでは以下を禁止にしました。
📍 勢いが必要な新規営業・大型提案
📍 今月だけ発信を倍にする系の目標
📍 デスクトップ環境の完璧な仕上げ
📍 UI のスクショを撮って公開する
6 月にやりたいことは増える。
「上半期だから振り返ろう」
「個人開発を進めよう」
「発信を増やそう」
——全部正しい。
でも、全部は置けない。
禁止リストがあると、やらないことの判断に消耗しなくて済むのです。
雨季モードの 3 つの柱
【柱 ①】 仕込む (外に出さず内側に積む)
「仕込む」は、6 月の中心の動詞です。
発信の量を増やすより、7 月以降につながる種を植える。
クライアント案件を丁寧にこなしながら、個人開発の設計を一歩深める。
表に出るより、内側に積む月。
釣りで言えば、雨の日は水辺に立たない。道具の手入れと次の釣行の計画をする日です。
個人開発(tsurilog か flowtask)も、6 月は設計だけと決めました。
📍 UI を触らない
📍 README を飾らない
📍 スクショを撮らない
やることは「設計メモ 1 本」だけ。
データ構造、ユーザーの 1 シナリオ、やらないことリスト。
それだけで 6 月の仕込みは十分です。
【柱 ②】 内省する (上半期を静かに俯瞰する)
6 月は上半期の最後の月です。
でも、振り返りを反省会にしないことが大事だと気づきました。
かつての僕は、上半期レビューのたびに「もっとできたはず」と赤ペンを入れていた。
それをやめて、続いたことだけ数える方式に変えました。
60 分だけ。
続いたこと 3 つ、手放してよかったこと 1 つ、下半期の 1 行の問い。
Obsidian に 1 ノートを開いて、この 3 項目だけ書く。
空欄があっても保存する。
完璧な振り返りは求めない。
内省は裁判ではなく、記録係としての仕事です。
「自分がどんな線で前半を歩いてきたか」を言葉にするだけでいい。
【柱 ③】 環を整える (雨の日に動ける最小環境)
「環を整える」は、仕込みでも内省でもない、作業の土台をつくる動きです。
完璧な机を作ることではありません。
雨の日に迷わない最小環境だけ整えること。
6 月に整えると決めているのは、たとえばこういうことです。
📍 起動時に開くアプリを 3 つに固定する
📍 作業中の照明を 1 箇所だけ変える
📍 Vault サンプルの最初の 1 フォルダ名を決める
小さい。
でも、雨の朝に「どこから始めるか」で消耗しないために、これで十分なのです。
Obsidian で動かす雨季モード設計書
雨季モードは、Obsidian に 1 ノートで管理しています。
ノートの名前は「2026 年 6 月 雨季モード設計書」。
構成はシンプルに、以下のかたちにしています。
# 2026 年 6 月 雨季モード設計書
## 今月の 3 動詞
- 仕込む
- 内省する
- 環を整える
## やらないことリスト(禁止)
- 新規営業の大型提案
- 発信量を倍にする目標
- デスクトップ環境の完璧仕上げ
## 今月の 3 つの約束
1. 上半期を 60 分で締め、下半期の 1 行の問いを置く
2. 個人開発の設計メモを 1 本残す(UI は触らない)
3. Vault サンプルを最小版(1 フォルダ + 1 ページ)まで進める
## 雨の日のルール
- 気圧で体調が揺れた日は、デイリーノートに 1 行だけ残す
- 習慣が崩れた日に自分を責めない(翌日戻れば OK)
- 外に出せなかった日は設計日とカウントする
## 今月の続いたこと採点(月末に記入)
1.
2.
3.このノートを月初に 1 回だけ開き、月末に続いたことの欄だけ埋める。
それだけです。
毎日開かなくていい。
週に 1 度、週次ノートのチェックイン時に参照するだけで十分です。
設計書があると、雨の朝に「今月、自分は何をする人だったか」を 30 秒で思い出せます。
雨の日を味方にする 3 つのルール
雨季モードを設計するだけでなく、雨の日そのものの使い方も変えました。
【ルール ①】 雨音が始まったら仕込み作業を開く
条件が決まっていると、動き始める摩擦が減ります。
雨音が聞こえたら、Obsidian を開く。
デイリーノートに今日の仕込み対象を 1 行書く。
それだけで、雨の日を停滞の日ではなく設計の日に変える合図になりました。
【ルール ②】 外に出せなかった日は減点しない
梅雨は気圧が変わる。
体調が揺れる日は、集中力が落ちやすい。
かつての僕は「今日も前に進めなかった」と赤ペンを入れていました。
今は「今日は設計日だった」と記録します。
発信できなかった日が、設計を深めた日になる。
この言い換えが、ループから抜け出す一歩でした。
【ルール ③】 月末ではなく月初の設計に 9 割の力を使う
雨季モードを機能させる一番のコツは、月初に設計を終わらせることです。
月が変わってから考え始めると、すでに梅雨の流れに飲まれています。
前月末に 3 動詞と禁止リストと 3 つの約束を決めておく。
傘はすでに鞄に入っているという感覚。
6 月 1 日の朝に必要なのは、向きを確認するだけでいい。
走らないと決めた理由
「6 月に走らないなんて、フリーランスとしてまずいのでは?」
正直、最初はそう思っていました。
でも、4 月に走り切ったあと、5 月で深め、6 月にまた走ろうとした年の自分を振り返ると、失速のパターンが見えてきます。
4 月に加速した。
5 月に少し立ち止まった。
6 月にまた走ろうとして、梅雨の中でタスクが積み上がった。
走れるかどうかより持続できるかどうかの方が、フリーランスにとっては大事だと今は思います。
年間テーマ「礎(いしずえ)」を置いた今年、6 月は礎を厚くする月です。
4 月は加速した。
5 月は深めた。
6 月は仕込む。
7 月から、またエネルギーが外に向かう。
そのためには、6 月に内側をしっかり積んでおく必要があります。
走らないのは怠けているのではなく、来月のために今月を使い切る設計なのです。
キャパを超えない設計の確認
3 つを決めたあとに、必ず確認することがあります。
「これは、6 月の自分のキャパで 1 ヶ月で完結できる粒度か?」
今月のクライアント案件の負荷、体調、家族の予定。
梅雨は気圧で揺れる月です。
体調が不安定な週も設計に織り込んでおく必要があります。
今回の 3 つは
「1 ノート」
「1 設計メモ」
「1 フォルダ + 1 ページ」
に落ちています。
キャパを超えていない。
もし 6 月の第 2 週で崩れたとしても、それは失敗ではなく 7 月の設計データです。
5 月に未完了だった Vault が、6 月の再設計につながったように。
未完了は招待状。
——来月の仕込みの素材になる。
その設計で今年は動いています。
梅雨は仕込みに向いている季節だった
この記事を書きながら、改めて気づいたことがあります。
梅雨という季節を乗り越えるものとして見ていたとき、毎年同じところで転んでいました。
梅雨を仕込みに向いている季節として設計し直したら、6 月が違う顔を見せ始めました。
雨で外に出にくい。
——だから、内側の作業が深まりやすい。
在宅時間が増える。
——だから、設計や思考の時間が取りやすい。
気圧で体調が揺れる。
——だから、無理に走らず、持続できる粒度に落とす。
マイナスだと思っていた梅雨の性質が、「仕込む」という動詞にぴったり合っていたのです。
敵だと思っていたものが、味方に変わる瞬間がある。
6 月の僕は、毎年そのことを思い出す月になっています。
雨が降るたびに、Obsidian を開く。
設計書の「今月の 3 動詞」を見る。
——それだけで、今日の仕事が始まります。
あなたにとっての雨季モードは、どんな 3 動詞になるでしょうか?
ひとつでいいので、今夜決めてみてください。
6 月の自分が少し楽になるはずです。
ひとりごと
6 月 1 日の朝に書いています。
窓の外はまだ曇り。
珈琲を淹れて、Obsidian を開いた。
雨季モード設計書は、先月末に完成していました。
今日は向きを確認するだけ。
梅雨が来るたびに潰れていた自分が、少しだけ変わったような気がしています。
まだ完璧には程遠い。
傘が鞄の中にある分だけ、6 月が怖くなくなりました。
読んでくれたあなたの 6 月にも、雨の日の味方が一つ増えますように。

Substack はじめました
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。
X では短い言葉で、note では整理した文章で発信していますが、Substack では、もっと途中経過の思考や削りきらなかった葛藤、技術者として日々考えていることを書いています。
もし興味があれば、覗いてみてください。
会社員(元システムエンジニア)からフリーランスとなり、
15 年目に突入しました。
納期と障害対応に追われる毎日の中で、
「もっと自由に、もっと本質的にものづくりがしたい」
そう思ったのが独立のきっかけです。
現在は、技術と文章を軸に、
仕事がラクになる仕組みや続けられる働き方を発信しています。
【フリーランスになって15年目突入】
— おおとろ|フリーランス開発者 × ストーリーテラー (@digiangler) March 3, 2026
14年という月日は長いようで、
あっという間だった。
成功したと言えるほどの派手さはないけれど、
今日までエンジニアとしてご飯を食べ、
新しいコードを書けている。
それだけで十分幸せなことなんだと思う。
明日は明日で、また淡々と、…
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雨季モードの傘を先に入れておくという設計思想がどこから来たのか。
その Why 編です。
月が変わってから計画を立てる構造の問題を解説しており、この記事と合わせて読むと 6 月の設計が一層深まります。
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雨季モードの「内省する」柱の背景にある考え方です。
減点ではなく記録係として振り返る方法を、6 月の最初の 60 分に使えます。
次の一歩を一緒に決める作戦会議室へ
雨季モードの設計書テンプレや月間設計の実際の運用について、もう少し具体的に整えたい方もいると思います。
作戦会議室では、フリーランスの月間・週次設計の話をメンバーと小さく分け合える場所にしたいです。
「6 月の仕込みをどう動かしているか」
を聞かせてもらえれば、設計を一緒にブラッシュアップできます。
梅雨の中で止まりそうになったとき、覗いてみてください。
ここから先は
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。もしこの記事が「役に立った」「心に響いた」と感じたら、珈琲一杯分サポートいただけると嬉しいです。あなたの温かい応援を力に、また次の創作活動に励みます。
