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【健診の読み方】BMI 25未満でも危険です―“自分は太っていない”人ほど読んでほしい、隠れ肥満を防ぐ6つのチェックポイント

こんにちは〜
いつも拝読いただきありがとうございます☺

昨日、意気揚々と新しい靴を下ろした瞬間に雨が降ってきました。
神様はたまに、こういうベタな意地悪をしてきますよね涙
おかげで予定がキャンセルになり、たっぷり時間ができたので、今日はこの頃みなさんに伝えたかった話を文章に落とし込んでみました。

📣 はじめてこのnoteに来てくださった方へ
このnoteでは、健診結果や生活習慣病を「数字だけ」で見るのではなく、身体から届く小さなメッセージとして読み解いています。
全体の読み方はこちらにまとめています。


外来でわりとよくあるんですが

健康診断の紙を、ちょっとだけ不服そうな顔で机に置かれて
「先生?私、太ってないんですよね」
と話し始める方がいます。

その気持ち、いや、すごくわかるんですよ。

だって、体重は昔と比べてそんなに増えていない。
服のサイズも大きく変わっていない。
学生時代からずっと“普通体型”で生きてきた。
鏡を見ても、いわゆる“肥満”のイメージとはちょっと違う。

なのに健診では、血糖が少し高いとか、中性脂肪が気になるとか、肝機能がじわっと悪いとか、なんだか空気の読めない数字たちが並んでくる。

あれ、地味に腹が立ちますよね。

「いやいや、もっと明らかに太ってる人いるじゃん」
と、心の中で会議が始まる

自分がこんななら、昔から恰幅のよかったあいつはどうなるんだと

でも、血管はそんなに雰囲気で動いていません。

ここ、かなり大事です。

体重が標準であることと、体の中の脂肪のつき方が安全であることは、まったく同じ意味ではないんです

ここを、少しだけ図にしてみるとわかりやすいかもしれません。

同じような体重、同じようなBMIに見えても、身体の中身は人によって違います。
筋肉がしっかりあって内臓脂肪が少ない人もいれば、見た目は普通でも、お腹の奥に内臓脂肪がたまり始めている人もいます。

【イラスト①:BMIだけでは見えない“身体の中身”】

BMIというのは、体重と身長からざっくり体格を見る指標で、たしかに便利です。
健診でもまず最初に目に入りますし、世の中の会話でもものすごく使いやすい。

けれど、BMIはあくまで入口です。

脂肪がどこについているか。
筋肉がどのくらいあるか。
血糖や脂質、肝機能に小さな変化が出ていないか。

そこまでは、BMIだけでは教えてくれません。

📌 先に結論だけ置いておきます。

BMI 25未満でも見ておきたいのは、体重そのものよりも、

腹囲
ウエスト身長比
血糖
中性脂肪
肝機能
筋肉量や運動習慣の変化

です。

つまり、「太っているかどうか」ではなく、内臓脂肪や筋肉量の変化が、健診結果に出始めていないかを見る。

この記事では、そのための6つのチェックポイントを順番に整理していきます。

怖がらせるためではありません。

「ああ、健診ってこう読むのか」
「体重だけ見て安心していたけど、見る場所はそこだけじゃなかったんだ」

と、少しだけ視界が広がるような記事にしたいと思っています。



「太っていないのに数値が悪い」は、わりと普通に起こります

まず最初に、安心してほしいことがあります。

それは、あなたの努力が足りないとか、あなたが怠けているとか、そういう雑な話ではないということです。

外来で会う方の中にも、食事を気にしている人はたくさんいます。エレベーターより階段を選ぶ人もいるし、夜食を控えている人もいるし、甘い飲み物をやめようと頑張っている人もいる。それでも、血糖や脂質、肝機能にじわじわ変化が出ることがある。

なぜか。

理由のひとつは、脂肪の“量”より“場所”が大事だからです。

脂肪には、皮膚のすぐ下につく皮下脂肪と、内臓のまわりにつく内臓脂肪があります。
皮下脂肪は見た目に出やすく、内臓脂肪は見た目より先に体の中で悪さをしやすい。

一般的に、内臓脂肪は皮下脂肪より健康障害との関連が強く、糖尿病、高血圧、脂質異常症などと結びつきやすいことが知られています

しかも脂肪組織は、ただの“倉庫”ではありません。内分泌臓器、つまり体の中にいろいろなメッセージを出す臓器として振る舞います。内臓脂肪が増えると、炎症を促したり、インスリンの効きを悪くしたり、血圧を上げやすい方向に傾けたりする。

医学的には、肥満症は内臓脂肪を発生源とするアディポカイン異常や慢性炎症、RAAS活性化、交感神経亢進を通じて、糖尿病や高血圧、脂質異常症、CKD、HFpEFへつながる全身疾患として描かれます。

ここで出てくるインスリン抵抗性という言葉、難しそうですが、ざっくり言えば
「インスリンが働いているのに、体がその声をちょっと無視し始める状態」
です。

📍 インスリン抵抗性について、もう少し知りたい方へ

血糖が少し高い。
中性脂肪が高い。
お腹まわりが気になる。
肝機能も少しだけ悪い。

これらは別々の問題に見えて、実は同じ根っこでつながっていることがあります。

その入口になるのが、インスリン抵抗性です。

▶︎ インスリン抵抗性という見えない始まり

本来インスリンは、血液の中の糖を細胞に取り込ませて、血糖を整えるホルモンです。でも内臓脂肪が増えたり、慢性的な炎症が続いたりすると、体がその指示を聞きにくくなる。すると血糖が上がりやすくなるし、中性脂肪も増えやすくなるし、肝臓にも脂肪がたまりやすくなる。

だから、見た目が細いことと、代謝が安全であることは、同じではないんですね。


なぜ“普通体型”の人ほど見逃すのか

ここ、少し意地悪な言い方をすると、普通体型の人ほど“安心する材料”が多いんです。

体重は普通
BMIも25未満
服も入る
周りからも「全然太ってないよ」と言われる

この布陣、強いですよね。安心感の敵幹部みたいです。

でも、その安心感が、逆にチェックを止めてしまうことがある。

ガイドラインでも、NWO、つまりNormal Weight Obesity、日本語でいえば“標準体重なのに脂肪が多い状態”を見逃さないことが強調されています。たとえばBMI 23でも、ウエスト周囲長が基準を超えていれば、内臓脂肪型肥満として管理対象になりうるとされています。

しかも、BMIだけでは筋肉量も見えません。

たとえば、昔より運動しなくなって、筋肉が少しずつ減っているのに、体重そのものは大きく変わっていない場合。体重は同じでも、中身は変わります。筋肉が減ったぶん、脂肪の割合が増える。これも見た目だけではわかりにくい。

研究では、BMIは筋肉量を反映せず、高齢者ではサルコペニア、つまり筋肉量や筋力の低下を見逃しうるとされています。普通体重に見えても、実は脂肪過多で筋肉が減っている、ということが起こるわけです。

だから
「太っていないから、自分はこの話の対象外」
と思っている人ほど、実は一回立ち止まった方がいい。

このテーマの嫌なところは、見た目の説得力が強すぎることです。
でも、体の中は、外見のプレゼンにそれほど乗ってくれません。


ここからが本題です|“太っていないのに数値が悪い”人の6つの確認ポイント

では、どう見ればいいのか。

ここからは、体重計の数字だけで終わらないための確認ポイントを、6つに分けて整理します。

大事なのは、どれか1つだけで判断しないことです。

BMIだけ。
腹囲だけ。
血糖だけ。
中性脂肪だけ。

そうやって1つずつ切り離して見ると、身体の中で起きている変化は見えにくくなります。

でも、いくつかの数字を重ねて見ると、

「あれ、体重は変わっていないけど、お腹まわりと中性脂肪が一緒に上がっている」
「BMIは普通だけど、ALTと腹囲がじわっと増えている」
「血糖だけでなく、筋肉量や運動不足も関係していそう」

というふうに、少しずつ景色が見えてきます。

まずは、次の6つを順番に見ていきましょう。


1. BMIだけで安心していないか
2. ウエスト周囲長が増えていないか
3. ウエスト÷身長、つまりWHtRが0.5以上ではないか
4. 健診で血糖・脂質・肝機能に“小さな異常”がないか
5. 体重は変わらないのに、お腹だけ出ていないか
6. 運動不足や筋力低下が進んでいないか

【イラスト②:BMIだけで安心しないための6つの確認ポイント】

1つ目 BMIだけで安心していないか

はい、いきなりこれです。

BMIは便利です。便利だからこそ、みんな使うし、健診でも最初に見ます。
でも便利な指標ほど、雑に信じすぎると危ない。

いろいろな研究においても、
BMIの限界として、脂肪分布を反映しない、筋肉量を反映しない、サルコペニアを見逃す、NWOを見逃す、という点が並んでいます。

BMI 25未満というのは
“肥満ではない可能性が高い”
くらいの意味であって
“代謝的に安全です”の保証書ではない
んです。

大事なのは、BMIを見たあとに
「で、お腹まわりはどうだろう」
「去年と比べてどうだろう」
「血糖や脂質はどうだろう」
と、一歩先へ進むことです。


2つ目 ウエスト周囲長が増えていないか

ここから急に現実味が出ます。

日本の基準では、ウエスト周囲長、つまり腹囲の目安として
男性85cm以上、女性90cm以上
が内臓脂肪のスクリーニングに使われます。資料でも、腹囲は臍の高さで測り、内臓脂肪をみる入口として使うと整理されています。

この数字、正直ちょっと独特ですよね。男性85で女性90なんだ、と思った方もいるかもしれません。ここは腹部CTで見た内臓脂肪面積100cm²と対応するよう設定されている日本の基準です。

大事なのは、1回の数字だけではなく
“去年より増えていないか”
です。

ベルトの穴がひとつ外にずれた
座ったときだけお腹が主張してくる
体重は同じなのに、下腹だけじわっと前に出てきた

こういう変化、ものすごく大事です。

健診って、異常値を探すゲームみたいになりやすいんですが、本当はそうではなくて
“変化を読む”
ものなんですね。


3つ目 ウエスト÷身長、つまりWHtRが0.5以上ではないか

少しだけ英語が出ます。

WHtRはWaist-to-Height Ratioの略で、ウエストを身長で割ったものです。
日本語にすると、「身長に対してお腹がどのくらい出ているか」という、とても身もふたもない指標です。

資料では、WHtRは全人種で0.5以上が心血管リスクの高い目安として有用とされています。

これ、かなり使いやすいです。

たとえば身長160cmなら、ウエスト80cmで0.5
身長170cmなら、ウエスト85cmで0.5

つまり
「お腹まわりは、身長の半分を超えないほうがよさそう」
という感覚で覚えられる。

BMIが正常でも、WHtRが0.5を超えている人は、けっこういます。
しかもこの指標のいいところは、体重の言い訳が入りにくいことです。

体重って、浮腫でも増えるし、筋肉でも増えるし、タイミングでも揺れます。
でも腹囲はわりと正直です。
お腹、口ほどにものを言う。


4つ目 健診で血糖・脂質・肝機能に“小さな異常”がないか

ここ、すごく大事です。

読者の方の中には
「いや、再検査じゃないし」
「基準値をちょっと超えたくらいだし」
「B判定とか、あれ半分イベントみたいなものでしょ」
と思っている人もいるかもしれません。

気持ちはわかります。わかるんですが、体はたいてい、いきなり大きく壊れません。
最初は“ちょっとした違和感”で出てきます。

血糖が少し高い
中性脂肪が少し高い
HDLが少し低い
ALTが少し高い

こういう微妙な変化です。

ガイドラインでも、
肥満に関連する代謝異常として、2型糖尿病、脂質異常症、MASLDが繰り返し重要視されています。特に肥満に伴う脂質異常症は、高TG、低HDL、小型で酸化されやすいLDLが増える“アテローム惹起性脂質異常症”として整理され、LDLが正常っぽく見えても油断しないことが強調されています。

ここで中性脂肪という言葉が出ましたが、これはざっくり言えば
「余ったエネルギーが血液の中で運ばれている形」
です。食べすぎ、飲みすぎ、運動不足、インスリン抵抗性などで上がりやすい。
過栄養やインスリン抵抗性により脂肪酸合成が進み、NAFLDや高TG、肥満につながるとされています。

またMASLDというのは、昔のNAFLDに近い概念で
「代謝異常を背景に肝臓に脂肪がたまる状態」
です。お酒を飲まなくても起こります。だから
「自分は酒飲みじゃないから肝臓は大丈夫」
も、地味に危ない思い込みなんですね。
肥満者の多く、糖尿病患者の約65%にMASLDが合併しうると知られています


5つ目 体重は変わらないのに、お腹だけ出ていないか

これ、かなり“あるある”です。

久しぶりに会った友人に
「変わらないね」
と言われる。自分でも体重はほぼ同じ。だから安心する。
でも写真を見ると、なんか昔より胴体が丸い。
横から見ると、妙に説得力のあるシルエットになっている。

これは、筋肉が減って脂肪が増えたときに起こりやすい。

体重は同じでも、中身は変わります。

若いころは多少食べすぎても、勝手に戻っていた。通勤や部活や日常の無駄な動きで、そこそこ消費していた。
でも仕事が忙しくなり、座る時間が増え、疲れて動かなくなり、筋トレなんてしばらくしていない。すると筋肉が減って、基礎代謝、つまり何もしていなくても消費するエネルギーが落ちる。そのぶん脂肪がつきやすくなる。

これはサルコペニア肥満、つまり脂肪が多いのに筋肉が減っている状態が、高齢者だけでなく“普通体重に見える人”の見落としポイントとして知られています

つまり
「体重が増えていないから安心」
も、けっこう危ない。

見た目の変化は、数字の予告編みたいなものです。


6つ目 運動不足や筋力低下が進んでいないか

最後は少し地味ですが、とても大事なポイントです。

“太る”というと、食事ばかり責められがちです。
でも実際には、筋肉が減ることもかなり重要です。

筋肉は、糖を受け取って使ってくれる大きな臓器です。
筋肉が減ると、同じ食事でも血糖が上がりやすくなるし、脂肪もたまりやすくなる。

ガイドラインでも、高齢者肥満への介入原則として、食事制限だけでは筋肉量や骨密度を下げてしまうおそれがあり、レジスタンストレーニングとタンパク質摂取を組み合わせた介入が有効とされています。

ここでいうレジスタンストレーニングは、要するに筋肉に負荷をかける運動です。腕立て、スクワット、マシントレーニング、チューブ運動、なんでもいい。
「有酸素運動だけしていれば大丈夫」と思われがちですが、隠れ肥満を気にするなら、筋肉を守る視点がかなり大事です。

体重だけ落として筋肉まで削ってしまうと、数字は少し良くなっても、中長期ではしんどくなることがある。
だから
“まず痩せよう”ではなく、“まず中身を整えよう”
くらいの方がうまくいきます。


今日からできる、隠れ肥満セルフチェックの進め方

ここまで読んで
「で、私は何をしたらいいの」
となっている方へ、手順をシンプルにまとめます。

ステップでいきましょう。


ステップ1 BMIを確認する。でも、そこで終わらない

まずはいつも通りBMIを見てください。
25未満なら、“肥満ど真ん中ではない”という確認にはなります。

でも、そのあとに
「じゃあ腹囲は?」
と必ず続ける。
ここが分岐点です。

ステップ2 腹囲を測る

おへその高さで、息を軽く吐いた状態で測ります。
メジャーがなければ、今日コンビニに行くついでに買ってください。医療の第一歩がメジャー、ちょっとシュールですが本当に役立ちます。

目安は
男性85cm以上
女性90cm以上
です。

ステップ3 WHtRを計算する

腹囲 ÷ 身長 です。
0.5以上なら、一度ちゃんと気にした方がいいサイン。

ステップ4 健診結果を“点”ではなく“流れ”で見る

去年と比べてどうか
3年前と比べてどうか
じわっと上がっていないか

基準値内でも、右肩上がりならそれは立派な情報です。
特に血糖、HbA1c、中性脂肪、HDL、ALTあたりは、静かに変化が出やすい。

📍 健診結果を、もう少し全体で見てみたい方へ

血圧、血糖、脂質、腎臓、肝臓、体重、睡眠。

健診結果の数字は、ひとつひとつ別々に見えるけれど、身体の中では静かにつながっています。

「正常か異常か」だけではなく、去年からどう変わったか、どの数字が一緒に動いているか。

そんな読み方をまとめた記事はこちらです。

▶︎ 健診結果を受け取ったら|最初に読む地図

ステップ5 必要なら体組成をみる

もし
「体重は普通なのに不安」
「お腹だけ出ている」
「筋肉が減っていそう」
という感覚があるなら、BMI以外の評価もあります。

資料では、BIA、DXA、腹部CTなどが補完指標として挙げられています。
BIAは体組成計で電気を流して体脂肪率や筋肉量をみる方法
DXAは骨や筋肉、脂肪の量をより詳しくみる検査
腹部CTは内臓脂肪をかなりはっきり確認できます。

もちろん全員がいきなりCTを撮る必要はありません。
でも、“体重以外にも見方がある”と知っておくだけで、かなり景色が変わります。

ステップ6 異常があったら、自己流の極端なダイエットに走らない

ここ、声を大にして言いたいところです。

隠れ肥満っぽいからといって、いきなり食事を極端に減らす。
糖質を完全に悪者にする。
毎日体重だけ見て落ち込む。
これはあまりおすすめしません。

なぜなら、隠れ肥満で問題になりやすいのは、単純な体重の多さより
内臓脂肪が多いこと
筋肉が少ないこと
代謝が崩れ始めていること
だからです。

必要なのは、体重計への説教ではなく、現状把握です。

腹囲、血液検査、運動習慣、食事内容、睡眠、生活リズム。
このあたりを一緒に見てもらえる内科やかかりつけで相談する価値は十分あります。


よくある質問集

ここからは、診察室でよく出る質問を、そのまま置いていきます。

Q. BMIが25未満なら、肥満じゃないんですよね?

“いわゆるBMI基準の肥満”ではないことが多いです。
でも、それで終わりではありません。

肥満症学会でも、BMI 25未満でもウエスト周囲長が基準超なら内臓脂肪型肥満として管理対象になりうるし、内臓脂肪面積が100cm²以上ならJASSOの肥満症診断基準を満たしうるとされています。

つまり、BMIは入口。
入口で帰らないことが大事です。

Q. 体重は軽いのに、お腹だけ少し出ています。これも関係ありますか?

あります。かなりあります。

体重が軽いことと、内臓脂肪が少ないことは同じではありません。
BMI 23で腹囲88cmのようなケースはNWOの典型例として挙げられています。

体重よりも
“お腹まわりの主張”
のほうが、むしろ重要なことがあります。

Q. 見た目が細ければ、糖尿病や脂質異常症は起きにくいのでは?

起きにくい、とは言い切れません。

内臓脂肪やインスリン抵抗性があれば、見た目に関係なく血糖や脂質は崩れます。
日本人は同じBMIでも体脂肪率が高く、低いBMIで代謝リスクが顕在化しやすいとされています。

細いことは、悪いことではありません。
でも“細いから安心”は、ちょっと雑です。

Q. とりあえず体重を減らせばいいですか?

そこは少し慎重にいきたいです。

もちろん、内臓脂肪を減らす方向は大事です。
でも、筋肉まで落としてしまうと、むしろしんどくなることがある。

食事制限のみの減量は筋肉量・骨密度を低下させうるため、レジスタンストレーニングとタンパク質を組み合わせた介入が有効とされています。

だから
“痩せる”より“整える”
この発想の方が、長くうまくいきます。

Q. どこから受診を考えればいいですか?

腹囲が基準を超える
WHtRが0.5以上
健診で血糖、脂質、肝機能に変化がある
去年より右肩上がり
家族歴がある

このあたりがあれば、一度相談してよいです。

何か大病が確定している、という意味ではありません。
でも、だからこそ早い方がいい。

病気って、進んでから見つけるより
“まだ引き返せるところで気づく”
方が圧倒的にラクです。


最後に|“太っていないはずなのに”と思ったときこそ、体重以外を見てみる

ここまで読んでくださった方に、最後にいちばん伝えたいのはこれです。

BMI 25未満でも、安心とは言い切れません。

これは、あなたを怖がらせたいからではありません。
「太っていないのに数値が悪い」という違和感を、もう少し丁寧に読み解くためです。

日本人では、低いBMIでも内臓脂肪がたまりやすく、代謝リスクが前に出やすいことがあります。
BMIは大事です。
でも、それだけでは脂肪の場所も、筋肉の量も、体の中で起きている小さな変化も見えません。

だから本当に見たいのは、体重そのものだけではありません。

腹囲。
ウエスト身長比。
血糖。
中性脂肪。
HDL。
ALT。
筋肉量や運動習慣。
そして、去年からの流れ。

「自分は太っていないから関係ない」

そう思っていた人ほど、このテーマは自分ごとです。
というか、むしろそこがスタートです。

今日できることは、そんなに多くなくて大丈夫です。

まずは、腹囲を測る。
健診結果を去年と並べてみる。
血糖、中性脂肪、HDL、ALTに小さな変化がないか見てみる。
体重は変わっていないのに、お腹まわりだけ変わっていないか思い出してみる。

それだけでも、身体の中で起きている変化が少し見えやすくなります。

数値は、あなたの人格ではありません。

ただの通知表です。
しかも人生全体の通知表ではなく、いまの生活の一場面を切り取ったメモみたいなものです。

だから、落ち込まなくて大丈夫です。
でも、見て見ぬふりをしなくても大丈夫です。

健康診断って、敵じゃないんです。

ちょっと口うるさい先輩みたいなもので、
「最近こうなってるよ」
と先に教えてくれているだけだったりします。

もしこの記事を、

「BMIは普通なのに、健診結果がなんとなく悪い」
「太っていないはずなのに、血糖や脂質が気になる」
「体重は変わっていないのに、お腹だけ少し出てきた気がする」

そんな気持ちで開いてくださったのなら、今日いちばん持ち帰ってほしいのはこれです。

見るべきなのは、体重だけではありません。

体重の数字だけで、自分を安心させすぎなくていい。
逆に、体重の数字だけで、自分を責めすぎなくてもいい。

今年は健診結果を、体重だけでなく、もう少し全体で読んでみましょう。

最後まで読んでくださって、ありがとうございました。

もし周りに、
「いや、自分は太ってないから」
と言いながら、健診結果に微妙な顔をしている人がいたら、この文章をそっと渡してあげてください。

健康の話って、怖い話より、覗き込みやすい話の方が続きますからね。

▼スマホで保存して健診を受け取った日に見返してください

今日の一言


📍 健診結果を、もう少し全体で見てみたい方へ

BMI、腹囲、血糖、脂質、肝機能。
今日の記事では、このあたりを中心に見てきました。

でも健診結果には、血圧、腎臓、尿酸、睡眠、心電図など、ほかにも身体からの小さなサインがたくさんあります。

ひとつひとつは別々の数字に見えても、身体の中では静かにつながっています。

健診結果を「正常か異常か」だけで終わらせず、もう少し全体で読んでみたい方は、こちらにまとめています。


参考文献

・日本肥満学会.肥満症診療ガイドライン
・日本肥満学会ほか.肥満症:理解から管理へ――現代臨床のための包括的テキスト
・日本糖尿病学会 / ADA Standards of Care 2026 を踏まえた糖尿病体系的臨床テキスト
・JAS 2022 / ACC/AHA 2026 / ESC 2025 を踏まえた脂質異常症テキスト
・JSH 2025 / AHA/ACC 2025 / ESC 2024 を踏まえた高血圧症 臨床判断テキスト

※本記事は、上記資料をもとに、一般の方向けにわかりやすく再構成して解説しています。
健診結果の解釈や診断・治療方針は、年齢、既往歴、内服薬、家族歴、生活背景によって異なります。
気になる数値や症状がある場合は、自己判断で極端な食事制限や減量を行わず、医療機関でご相談ください。

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