【健診の読み方】健診結果を受け取ったら|最初に読む地図
📣 はじめてこのnoteに来てくださった方へ
このnoteでは、健診結果や生活習慣病を「数字」だけでなく、身体全体のつながりとして読み解いています。
このnote全体の歩き方は、こちらにまとめています。
健康診断の結果が返ってきたとき、みなさんはまずどこを見ますか。
A判定が並んでいるか。
BやCが増えていないか。
「要再検査」の文字がないか。
あの封筒を開ける瞬間って、ちょっと独特ですよね。
別に悪いことをしたわけではないのに、なぜか通知表を渡される前みたいな気持ちになる。
そして、見慣れないアルファベットや数字が並んでいる。
血圧。
血糖。
HbA1c。
LDLコレステロール。
中性脂肪。
尿蛋白。
クレアチニン。
eGFR。
AST、ALT、γ-GTP。
一応見てみる。
でも、正直よくわからない。
「まあ、A判定ならいいか」
「C判定だけど、去年もそうだったし」
「D判定……これは検索した方がいいのかな」
そして夜、スマホを片手に検索して、逆に不安が増える。
そんな経験、けっこうあるんじゃないかなと思います。
健診結果は、身体から届いた小さなメッセージ
最初に、私がいちばん伝えたいことを書きます。
健診結果は、あなたを責める紙ではありません。
生活習慣を採点する紙でも、努力不足を突きつける紙でもありません。
もちろん、数字が悪いと少し落ち込むことはあります。
「最近忙しかったしな」
「運動できてないしな」
「夜遅くに食べてたしな」
思い当たることがあると、なんとなく怒られているような気持ちになる。
でも、健診結果は本来、あなたを責めるためにあるものではなく、身体が今の状態を教えてくれるためのものです。
いわば、身体から届いた小さなメッセージ。
「ちょっと血圧が上がってきているよ」
「血糖の処理が少し苦しくなっているかもしれないよ」
「腎臓に負担がかかり始めているかもしれないよ」
「睡眠や体重の影響が、数字に出てきているかもしれないよ」
そんな声が、数字の形になって届いている。
そう考えると、健診結果の見え方が少し変わると思います。
怖がるためではなく、守るために読む。
落ち込むためではなく、次の一手を考えるために読む。
そのための地図として、この記事を書いています。
まず大事なのは「異常かどうか」より「変化しているか」
健診結果を見るとき、多くの人はまず基準値を見ます。
正常範囲か。
基準値を超えているか。
A判定か、B判定か、C判定か。
もちろん、それは大切です。
でも、健診結果で本当に見落とされやすいのは、基準値を超えた瞬間ではありません。
むしろ、
まだ基準値内だけど、少しずつ悪くなっている状態
です。
たとえば、eGFRが去年より少し下がっている。
HbA1cが毎年0.1ずつ上がっている。
血圧が130台に乗ることが増えてきた。
中性脂肪がじわじわ増えてきた。
腹囲が少しずつ増えている。
ひとつひとつは、まだ大きな異常ではないかもしれません。
でも、身体は急に変わるより、少しずつ変わることの方が多いです。
だから私は、健診結果を見るときに、まずこう伝えたいです。
今年の数字だけでなく、去年との差を見てください。
できれば、3年分並べてみてください。
1年だけでは点に見える数字も、3年並べると線になります。
そして、その線の傾きに、身体の変化が見えてきます。
📖 関連記事
▶︎ [健診結果を3年分並べてみる話]
▶︎ [“少しずつ悪い”健診結果が一番見逃される話]

血圧は、血管と腎臓への静かな圧力
健診でよく指摘される項目のひとつが血圧です。
「ちょっと高めですね」
「家でも測ってくださいね」
「減塩しましょうね」
よく聞く言葉です。
でも、血圧はただの数字ではありません。
血圧が高いというのは、血管の壁にかかる圧力が高いということです。
その圧力は、脳、心臓、腎臓の血管に、毎日少しずつ負担をかけます。
しかも血圧は、健診会場や病院では高く出ることがあります。
いわゆる白衣高血圧です。
一方で、病院では正常なのに、家では高い人もいます。
こちらは仮面高血圧と呼ばれます。
だから、健診で血圧を指摘されたときに大切なのは、1回の数字だけで慌てることではありません。
家庭血圧を測って、自分の普段の血圧を知ること。
これが最初の一歩になります。
目安として、家庭血圧で135/85mmHg以上が続く場合は、高血圧として考える必要が出てきます。
特に、尿蛋白やeGFR低下が一緒にある場合は、腎臓への負担も意識したいところです。
📖 関連記事
▶︎ [血圧135/85をどう見るか]
▶ [1週間が勝負。高血圧が指摘されたら?]
▶︎ [高血圧と尿蛋白が同時にある人へ]
血糖は「今日の甘いもの」だけでは決まらない
血糖値を見て、
「昨日甘いものを食べたからかな」
「健診前だけ控えればよかったかな」
と思う方もいるかもしれません。
でも、血糖の評価で大事なのは、その日の血糖値だけではありません。
特にHbA1cは、過去1〜2か月くらいの血糖の状態を反映する指標です。
つまり、健診前日に少し頑張っただけでは、あまりごまかせません。
いや、言い方が悪いですね。
身体はけっこう正直です。
血糖の問題で大事なのは、単に「糖尿病かどうか」だけではありません。
その手前に、インスリン抵抗性という状態があります。
インスリン抵抗性とは、簡単に言えば、血糖を下げるインスリンが効きにくくなっている状態です。
この段階では、血糖値やHbA1cがまだ大きく悪くないこともあります。
でも、身体の中では、血糖、脂質、体重、血圧が少しずつつながり始めています。
たとえば、
中性脂肪が高い。
HDLコレステロールが低い。
腹囲が増えている。
血圧が高め。
血糖も少しずつ上がっている。
こういう組み合わせは、別々の異常ではなく、同じ根っこから来ていることがあります。
📖 関連記事
▶︎ [HbA1cは過去2ヶ月の通信簿]
▶︎ [インスリン抵抗性という見えない始まり]
脂質は「コレステロールが高い」で終わらせない
脂質の欄を見ると、LDL、HDL、中性脂肪、non-HDLなど、いろいろな数字が並んでいます。
正直、ちょっとややこしいですよね。
LDLは悪玉。
HDLは善玉。
中性脂肪は……なんか高いと悪そう。
だいたいそんなイメージかもしれません。
もちろん大きくは間違っていません。
でも、脂質もまた、ひとつの数字だけで見ると見落としが出ます。
LDLコレステロールが高い場合は、将来の動脈硬化リスクを考える必要があります。
中性脂肪が高い場合は、食事、飲酒、肥満、糖代謝、脂肪肝などとのつながりを見ます。
HDLが低い場合は、インスリン抵抗性や喫煙、運動不足などが背景にあることがあります。
そして、糖尿病や肥満がある人では、LDLの数字がそこまで高くなくても、血管へのリスクが高くなることがあります。
脂質は、血管の未来を考えるための数字です。
だから、
「LDLだけ」
「HDLだけ」
「中性脂肪だけ」
ではなく、血糖、血圧、腎臓、体重と一緒に読むことが大切です。
📖 関連記事
▶︎ [HDL90でも安心できないかもしれない話]
▶︎ [TG500と言われたらまず考えること]
▶︎ [糖尿病型脂質異常症の話](執筆中)
腎臓は、静かにがんばる臓器
健診結果で、腎臓の項目としてよく出てくるのが、クレアチニン、eGFR、尿蛋白です。
この中で、特に見てほしいのがeGFRと尿蛋白です。
腎臓は、かなりがんばり屋です。
多少負担がかかっても、すぐには症状を出しません。
むくみやだるさなどが出るころには、かなり進んでいることもあります。
だからこそ、健診で見つかる小さな変化が大切です。
eGFRは、腎臓のろ過する力の目安です。
ただし、1回の数字だけで一喜一憂するより、去年との差、数年の傾きを見ることが大切です。
尿蛋白は、腎臓のフィルターに負担がかかっているサインになることがあります。
特に、高血圧や糖尿病がある人で尿蛋白が出ている場合は、腎臓だけでなく、血管全体のリスクとして考えたいところです。
腎臓は、血圧とも、血糖とも、心臓ともつながっています。
だからCKD、つまり慢性腎臓病は、腎臓だけの病気ではありません。
身体全体の血管と代謝を映す鏡のような面があります。
📖 関連記事
▶︎ [eGFRを去年との差で見る話]
▶︎ [カリウムと腎臓]
▶︎ [CKDは腎臓だけの病気ではない話](執筆中)
体重と腹囲は、見た目ではなく内臓脂肪のサインとして見る
体重やBMIは、健診で必ず出てくる項目です。
でも、ここでも注意したいのは、単純に「太っているかどうか」だけではありません。
BMIが25未満でも、内臓脂肪が多い人はいます。
見た目にはそこまで太っていなくても、血糖、中性脂肪、血圧、脂肪肝などが悪くなっている人もいます。
いわゆる「隠れ肥満」に近い状態です。
逆に、体重だけを責めるのも違います。
肥満や体重増加は、単に意志の問題ではありません。
睡眠、ストレス、食環境、ホルモン、筋肉量、仕事の忙しさなど、いろいろな要素が関わっています。
だから、体重を見るときも、
「太ったからダメ」
ではなく、
「体重や腹囲の変化が、血圧・血糖・脂質・肝臓にどうつながっているか」
を見ていくことが大切です。
📖 関連記事
▶︎ [BMI25未満でも危険かもしれない話]
▶︎ [内臓脂肪から始まる血圧・血糖・脂質の連鎖]
睡眠や夜間頻尿も、健診結果とつながっている
健診結果というと、採血や尿検査の数字だけを思い浮かべるかもしれません。
でも、身体のサインは紙の上だけに出るわけではありません。
夜中に何度もトイレに起きる。
朝起きてもすっきりしない。
昼間に眠い。
いびきを指摘される。
階段で息切れする。
靴下の跡が残る。
最近なんとなく疲れやすい。
こういう変化も、健診結果とつながっていることがあります。
たとえば、夜間頻尿は、加齢だけでなく、血糖、睡眠時無呼吸、心臓、腎臓、むくみなどと関係することがあります。
いびきや昼間の眠気は、睡眠時無呼吸のサインかもしれません。
睡眠時無呼吸は、高血圧や心臓への負担とも関係します。
疲れやすさも、貧血、甲状腺、肝臓、腎臓、血糖、睡眠など、いろいろな要素とつながります。
「年齢のせいかな」
「忙しいだけかな」
で片づける前に、健診結果と生活の変化を一緒に見てみる。
それだけで、身体からのメッセージが少し読みやすくなります。
📖 関連記事
▶︎ [夜に何度もトイレで起きる人へ]
▶︎ [最近疲れやすい人が健診で見るべき項目]
▶︎ [いびき・高血圧・肥満をつなげる話]
健診結果は、バラバラの数字ではなく身体全体の物語
ここまでいろいろな項目を見てきました。
血圧。
血糖。
脂質。
腎臓。
体重。
睡眠。
身体の小さなサイン。
健診結果の紙の上では、これらは別々の欄に並んでいます。
でも身体の中では、別々ではありません。
内臓脂肪が増える。
インスリンが効きにくくなる。
血糖が上がる。
中性脂肪が上がる。
血圧が上がる。
腎臓に負担がかかる。
心臓にも負担がかかる。
睡眠の質が落ちる。
また体重や血圧に影響する。
そんなふうに、身体の中では静かに連鎖が起きています。
だから、健診結果を見るときは、ひとつの数字だけを切り取るより、
どの数字が、どの数字と一緒に動いているか
を見てほしいのです。
それは少し、物語を読むことに似ています。
登場人物は、血圧、血糖、脂質、腎臓、心臓、睡眠。
舞台は、あなたの生活。
そして主人公は、あなたの身体です。

最初に見るなら、この順番で
最後に、健診結果を受け取ったときの見る順番をまとめます。
✅ 1. まず去年との差を見る
A判定かどうかだけでなく、去年よりどう変わったかを見る。
✅ 2. 血圧を見る
外来や健診の1回だけでなく、家庭血圧も確認する。
✅ 3. 血糖とHbA1cを見る
その日の血糖だけでなく、過去1〜2か月の流れを見る。
✅ 4. 脂質を見る
LDL、HDL、中性脂肪を、血糖や体重と一緒に読む。
✅ 5. 腎臓を見る
eGFRの傾きと尿蛋白を確認する。
✅ 6. 体重・腹囲を見る
見た目ではなく、内臓脂肪や代謝のサインとして見る。
✅ 7. 睡眠・夜間頻尿・疲れやすさとつなげる
紙の上の数字だけでなく、生活の中の違和感も一緒に見る。
この順番で見ていくと、健診結果がただの判定表ではなく、自分の身体を知るための地図に変わっていきます。
健診結果は、あなたの人格ではなく身体の現在地
健診結果が悪いと、少し落ち込みます。
「自分がだらしないからかな」
「生活が悪いからかな」
「もう手遅れなのかな」
そんなふうに感じてしまうこともあるかもしれません。
でも、数値は人格ではありません。
数値は、今の身体の現在地です。
現在地がわかれば、次にどちらへ進めばいいかを考えられます。
少し戻ることもできるし、立ち止まって整えることもできます。
大事なのは、完璧な生活をすることではありません。
自分の身体が出している小さなサインに気づくこと。
そして、できるところからひとつずつ整えていくこと。
健診結果は、怖がるための紙ではなく、身体を守るための地図です。
このnoteでは、これからも健診結果や生活習慣病を、できるだけ暮らしの言葉で、一緒に読み解いていきます。
あなたの身体から届いた小さなメッセージを、少しずつ一緒に読んでいけたら嬉しいです。
📍 次に読むなら
まずは、健診結果を「点」ではなく「流れ」で見るところから始めるのがおすすめです。
