【健診の読み方】腎臓を守る最初の1歩|eGFRが少し低い人が見るべき「去年との差」
こんにちは。内科の医師をしています、くまのです。
いつも読んでくださってありがとうございます
普段の診療で、健診結果や生活習慣病を見ながら、いつも思うことがあります。
それは、身体はすべてつながっているということです。
病気という名前がつく前に、自分の身体が出している小さなサインをすくい取ること。
それが、いちばん優しくて、いちばん身近な予防医療だと思っています。
だから、診察室で伝えきれなかったことや、健診結果の裏側にあるストーリーを、ここに少しずつ言葉として残しています。
私がどんな人間なのか、そこでなぜこのnoteを書いているのかは、こちらにまとめました。
前置きが長くなりましたが、今日は、健診結果で「eGFRが少し低い」と言われたときに、まず見てほしい“去年との差”について、少し一緒に考えてみます。
健診結果で、eGFRだけは読み飛ばされやすい
健診結果を開いたとき、たぶん多くの人が最初に見るのは、血糖値とか、HbA1cとか、コレステロールとか、血圧あたりだと思います。
いや、わかるんですよ。
このあたりの数字は、なんとなく意味が想像しやすいんです。
血糖値が高いと「甘いものかな」
コレステロールが高いと「揚げ物かな」
血圧が高いと「塩分かな」
そんなふうに、自分の生活とつながりやすい。
一方で、eGFR。
この文字列、ちょっと距離がありますよね。
アルファベットだし、読み方もよくわからないし、結果表の片隅にさらっと置かれていることも多い。
「腎機能」
「軽度低下」
「B判定」
「経過観察」
そう書かれていても、痛みがあるわけではない。
息切れするわけでもない。
食欲もあるし、仕事もできている。
だから、なんとなくこう思ってしまう。
まあ、まだ大丈夫かな、と。
そう思いますよね。
だって、身体は普通に動いているし、病院から電話がかかってきたわけでもないし、健診の紙もなんとなく「要精密検査」ではなく「生活に注意」くらいの空気感で届く。
でも、腎臓という臓器は、少し不思議なところがあります。
悪くなり始めても、あまり大きな声を出さないんです。
かなり頑張り屋さんというか、黙々と働く裏方スタッフというか。
職場でいうなら、誰より早く来て、誰より遅くまで残って、でも「大丈夫です」と言いながら仕事を引き受け続けるタイプ。
周りが気づいたころには、実はだいぶ疲れていた、みたいな涙
腎臓も少しそれに似ています。
だからこそ、eGFRが少し低いと言われたときに大事なのは、今年の数字だけを見て、良い悪いを一瞬で決めることではありません。
まず見てほしいのは、去年との差です。
今年のeGFRが少し低い。
それだけだと、まだ情報としては一枚の写真です。
でも、去年、一昨年と並べると、急にそれは動画になります。
身体がどんな方向へ進んでいるのか、その“動き”が見えてきます。
今日の記事で一番伝えたいのは、ここです。
腎臓を守る最初の1歩は、いきなり特別なサプリを飲むことでも、急にストイックな食事制限を始めることでもなくて、まず、自分の健診結果を去年と並べてみること。
拍子抜けするくらい地味ですよね。
でも、たぶんこういう地味な一歩が、いちばん身体に優しいのだと思います。
eGFRは、腎臓の“今の働き”をざっくり見る数字
では、そもそもeGFRとは何なのか。
ここで一気に専門用語の森に入ると、たぶん多くの人が静かにブラウザを閉じるので、できるだけ日常の言葉でいきます。
eGFRは、ざっくり言うと、腎臓がどれくらい血液をろ過できているかを見る数字です。
腎臓はよく「フィルター」にたとえられます。
身体の中を流れる血液から、いらないものや余分な水分をこし取って、尿として外に出す。
キッチンの排水口のネットみたいなもの、と言うと少し生活感が強すぎるかもしれませんが、イメージとしては近いです。
水は流すけれど、いらないゴミは受け止める。
必要なものはできるだけ残し、不要なものは外へ出す。
腎臓は、これを毎日、黙々とやっています。
eGFRの「GFR」は、腎臓のろ過する力を示す言葉です。
その前についている「e」はestimated、つまり「推定された」という意味です。
実際には、血液検査のクレアチニンという数字や年齢、性別などから計算して、腎臓の働きを推定しています。
ここで大事なのは、eGFRはとても便利な数字だけれど、絶対的な“腎臓の成績表”ではないということです。
たとえば、採血の前に少し脱水気味だった。
暑い日に水分をあまり取っていなかった。
体調を崩していた。
筋肉量が多い、あるいは少ない。
食事や薬の影響が少しあった。
こういうことで、数字は多少揺れます。
だから、1回のeGFRだけを見て「もう終わりだ」と落ち込む必要はありません。
そこまで怖がらなくて大丈夫です。
一方で、1回の数字だけを見て「まだ大丈夫」と安心しきるのも、少しもったいない。
大事なのは、今回だけ少し低いのか。
それとも、毎年少しずつ下がってきているのか。
たとえば、テストの点数で考えると少しわかりやすいかもしれません。
今年の点数が65点だったとしても、去年も65点、一昨年も66点くらいなら、そこまで大きな変化ではないかもしれません。
でも、一昨年が85点、去年が75点、今年が65点だったらどうでしょう。
65点という数字だけを見ると、まだ赤点ではないかもしれない。
でも、流れを見ると、少し気になりますよね。
腎臓も同じです。
eGFRは、今年の“点数”として見るだけではなく、ここ数年の“流れ”として見る。
そのほうが、身体の変化に気づきやすくなります。
ここで、少しだけ臨床の空気を混ぜると、診察室で健診結果を一緒に見るとき、私はよく去年の数字を探します。
患者さんは今年の赤字や判定を見ている。
私はその横で、去年のeGFR、去年のクレアチニン、去年の尿蛋白を探している。
まるで、物語の前のページをめくるような感じです。
今年の数字だけだと、登場人物が急に出てきた場面しか見えない。
でも去年の数字を見ると、「あ、この話はここから続いていたんだ」とわかることがある。
健診結果は、単発の通知ではなく、身体から届く連載日記みたいなものなのかもしれません。

📣 関連して、健診結果を“今年だけ”で見ないことについては、こちらの記事でも書いています。
去年との差を見ると、“静かな変化”が見えてくる
ここからが、今回の記事の本題です。
eGFRが少し低いと言われたとき、まず見るべきは、今年の数字だけではありません。
去年との差です。
たとえば、今年のeGFRが62だったとします。
これだけを見ると、少し低いような、でも緊急ではなさそうな、なんとも言えない数字に見えるかもしれません。
では、去年が64、一昨年が63だったらどうでしょう。
この場合、もともとそのくらいで推移している可能性があります。
もちろん、年齢や尿蛋白、血圧なども一緒に見る必要はありますが、少なくとも「急に悪くなっている」という印象は強くありません。
一方で、今年が62、去年が72、一昨年が82だったらどうでしょう。
これは少し見え方が変わります。
今年の62だけを見れば「軽度低下」かもしれない。
でも3年分を並べると、身体の中で何かが少しずつ進んでいるのかもしれない、という気配が出てきます。
この“気配”が大事なんです。
病気という名前がつく前の、まだ輪郭がぼんやりしている段階。
でも、身体は毎年の数字に少しずつメモを残してくれている。
「今年も少し下がったよ」
「去年よりちょっと変わったよ」
「そろそろ見てくれる?」
そんな小さなメモです。
いや、もちろん数字だけで全部がわかるわけではありません。
eGFRは体調でも動きますし、採血条件でも変わります。
でも、同じ方向に毎年動いているなら、その動きには耳を傾けたい。
腎臓は、痛みで知らせてくれないことが多い臓器です。
だから、数字の変化が代わりに声を出してくれていることがあります。
ここで大切なのは、不安になることではなく、確認することです。
「え、下がってる、怖い」ではなく、
「本当に下がっているのかな」
「一時的な変化かな」
「尿蛋白は出ているかな」
「血圧や血糖はどうかな」
と、少し視点を増やしていく。
健診結果を読むというのは、数字を見て自分を裁くことではないと思います。
むしろ、身体から届いたメモを、少し丁寧に読み直す作業です。
たとえば、部屋の片づけでもそうですよね。
ある日突然、部屋が散らかるわけではない。
机の上にレシートが1枚置かれる。
その横に郵便物が置かれる。
あとで読もうと思った書類が積まれる。
気づいたら、ちょっとした地層になっている。
腎臓の数字も、似ているところがあります。
急に大事件が起きることもありますが、多くの場合は、少しずつ、静かに、積み重なる。
だからこそ、去年との差を見ることに意味があります。
今年の健診結果を見たとき、eGFRが少し低いと言われたら、まず過去の結果を探してみてください。
去年の紙がなければ、一昨年でもいいです。
スマホに写真が残っていれば、それでもいい。
健診サイトにログインできるなら、そこから見てもいい。
そして、1回深呼吸して、横に並べてみる。
たったそれだけで、今年の数字の意味が少し変わって見えることがあります。
“少し低いだけ”のうちに気づけるのは、むしろチャンス
ここまで読むと、少し不安になった方もいるかもしれません。
「え、毎年少しずつ下がっていたらどうしよう」
「腎臓って戻らないって聞いたことある」
「もう手遅れだったら怖い」
そう思いますよね。
健診結果って、見ようと思えば見られるのに、なぜか見るのに少し勇気がいる。
封筒を開ける瞬間の、あの独特の緊張感。
わかります。
でも、ここで伝えたいのは、怖がってほしいということではありません。
むしろ逆です。
“少し低いだけ”のうちに気づけるのは、チャンスです。
腎臓は、悪くなり始めても自覚症状が出にくい臓器です。
だからこそ、症状がない段階で見つかった小さな変化には意味があります。
まだ痛くない。
まだ苦しくない。
まだ日常生活は変わっていない。
その段階で気づけたなら、できることがあります。
血圧を見直す。
血糖を見直す。
塩分を少し意識する。
脱水になりやすい生活をしていないか振り返る。
痛み止めを頻繁に使っていないか確認する。
尿蛋白が出ていないか見る。
こういう一つひとつは、派手ではありません。
でも、腎臓を守る行動って、たぶん派手なものではないんです。
「今日から劇的に人生を変えましょう」みたいな話ではなく、
「去年より少し下がっているなら、今年は少しだけ身体の扱い方を変えてみよう」
くらいの、地味で現実的な一歩。
そのくらいが、長く続きます。
外来でも、ときどきこういう場面があります。
患者さんが健診結果を持ってきて、少し申し訳なさそうに言うんです。
「先生、これって大丈夫なんですかね。腎臓が少し悪いって書いてあって」
そのときに、いきなり「これは危険です」と言うわけではありません。
まず一緒に去年の数字を見ます。
変わっていなければ、「大きく動いてはいなさそうですね」と少し安心できる。
下がっていれば、「じゃあ、尿の検査や血圧も一緒に見てみましょうか」と次の一歩が決まる。
この“次の一歩が決まる”という感覚が大事です。
健診結果は、読者を怖がらせるためにあるわけではない。
身体を責めるためにあるわけでもない。
むしろ、今のうちに方向を修正するための、小さなナビゲーションです。
車のカーナビで、目的地から少しずれているときに「ルートを再検索します」と出ますよね。
あれです。
「あなたは間違っています」と責めているわけではない。
少しずれてきたから、ここで曲がると戻りやすいですよ、と教えてくれている。
eGFRが少し低いという結果も、それに近いことがあります。
怖がるより、読み直す。
落ち込むより、並べてみる。
自分を責めるより、次の一歩を決める。
腎臓を守る最初の1歩は、そんなに大げさなものではありません。
eGFRだけでなく、尿蛋白・血圧・血糖も一緒に見る
ここで、もう一つ大事な話をします。
eGFRが少し低いとき、eGFRだけを見て終わらないでほしいんです。
腎臓の数字なのに、腎臓だけ見ればいいわけではない。
ここが、身体の面白いところでもあり、少しややこしいところでもあります。
腎臓は、血管のかたまりのような臓器です。
血液が流れ込み、細かいフィルターを通って、余分なものが外へ出ていく。
つまり、腎臓の健康は、血管の健康とかなり深くつながっています。
だから、eGFRを見るときは、尿蛋白、血圧、血糖も一緒に見たい。
尿蛋白は、ざっくり言うと、腎臓のフィルターから本来あまり漏れてほしくないものが漏れていないかを見るサインです。
キッチンのザルでいえば、本当は残っていてほしい具材まで流れ出ていないか、という感じです。
少し雑な例えですが、イメージとしてはそんなところです。
血圧は、腎臓のフィルターにかかる圧力です。
ホースの水圧が高すぎると、先端や接続部に負担がかかるように、血圧が高い状態が続くと、腎臓の細い血管にも負担がかかります。
血糖は、血管やフィルターにじわじわ影響します。
糖尿病があると腎臓に負担がかかることはよく知られていますが、はっきり糖尿病と診断される前の段階でも、血糖や体重、脂質、血圧が重なってくると、身体全体の代謝の流れが少しずつ変わっていくことがあります。
つまり、eGFRは単独の数字ではなく、身体全体の文脈の中で読む数字です。
今年のeGFRが少し低い。
では、尿蛋白はあるのか。
血圧は高くないか。
HbA1cはどうか。
中性脂肪や腹囲はどうか。
最近、脱水になりやすい生活をしていなかったか。
痛み止めをよく飲んでいないか。
こんなふうに見ていくと、健診結果はただの数字の羅列ではなくなります。
少しずつ、身体の地図のように見えてくる。
ここで注意したいのは、全部を自分だけで判断しようとしなくていい、ということです。
健診結果を読み解くのは、ひとりで難しいこともあります。
むしろ、難しくて当然です。
だって、医師でも去年の数字を探しながら、尿検査を見ながら、薬を確認しながら考えるのですから。
だから、読者の方に求めたいのは、診断を自分でつけることではありません。
まず、気づくこと。
そして、聞けるようにしておくこと。
「eGFRが去年より下がっているように見えます」
「尿蛋白も一緒に見たほうがいいですか」
「血圧や血糖も関係しますか」
「痛み止めをよく飲むのですが、腎臓に影響しますか」
このくらい聞ければ、もう十分すごいです。
診察室でこういう質問が出ると、私はけっこう嬉しくなります。
「お、ちゃんと自分の身体の数字を見てくれているな」と思うからです。
医療者側からすると、健診結果をただ持ってくるだけでも大事なのですが、去年との差まで見て持ってきてくれると、かなり話が進みやすい。
それは、患者さんが自分の身体に興味を持ち始めたサインでもあります。
身体はすべてつながっています。
腎臓だけを腎臓として見るのではなく、血圧、血糖、脂質、体重、睡眠、薬、生活のリズム。
そういうものの交差点として見る。
そうすると、健診結果は少しだけ面白くなります。
いや、健診結果が楽しい、とは言いません。
そこまで言うと、さすがに言い過ぎです。
でも、ただ怖い紙ではなく、身体の変化を教えてくれる地図として見られるようになる。
その感覚は、少しだけ面白いと思うのです。
まず今日やることは、健診結果を去年と並べること
では、この記事を読んだあと、まず何をすればいいのか。
答えはとてもシンプルです。
今年の健診結果を、去年の健診結果と並べてください。
できれば3年分。
なければ2年分でも大丈夫です。
見る場所は、まず
eGFR
今年だけを見るのではなく、去年と比べてどうか。
一昨年と比べてどうか。
大きく変わっていないのか。
少しずつ下がっているのか。
急に下がっているのか。
次に、
クレアチニン
これはeGFRの計算にも関わる数字です。
クレアチニンは、筋肉から出る老廃物のようなもので、腎臓の働きを見るときによく使われます。
ただ、この数字は「筋肉の量」にも強く影響を受けます。
余談ですが、、、
実は以前、外来にものすごい筋肉美の方が来られたことがありました。
体調は万全で、どこも痛くないし、全体としては健康そのもの。なのに、血液検査を見ると、クレアチニンが1.7くらいと、かなり高めに出ていたんです。
そのままeGFRを計算すると、失礼ながら、少しお疲れ気味の高齢の方よりも低い数字になってしまう。
でも、これは腎臓が急に壊れているという話ではありません。
単純に、筋肉量が多いぶん、クレアチニンが多く出やすい身体だった、ということです。
数字だけを見ると少しドキッとする。
でも、目の前の人を見ると、明らかにその数字だけでは説明できない。
診察室で、少しだけフフッと頬がゆるむような、身体と数字のアンバランスでした笑
だからこそ、eGFRという数字は、体格や筋肉量、その日の体調によっても揺れます。
1回の数字だけで「もうだめだ」と一喜一憂するのではなく、やっぱり自分の過去の数字と並べて、流れとして見ることが大事なんです。
次に、
尿蛋白
ここは見落とされやすいですが、とても大事です。
eGFRが大きく下がっていなくても、尿蛋白が出ている場合は、腎臓のフィルターに負担がかかっているサインかもしれません。
そして、
血圧
血圧は、腎臓にとってかなり重要な数字です。
「血圧は心臓の話でしょ」と思うかもしれませんが、腎臓にとっても大事です。
最後に、
HbA1cや血糖
糖の流れは、血管の流れでもあります。
腎臓は血管の臓器なので、血糖の影響を長い時間かけて受けます。
ここまで見ると、健診結果を全部完璧に理解しなければいけないように感じるかもしれません。
でも、そうではありません。
今日やることは、診断することではなく、並べることです。
紙を並べる。
数字を見比べる。
気になるところに丸をつける。
スマホで写真を撮る。
次の受診で聞きたいことを1つだけメモする。
それで十分です。
むしろ、最初の一歩としては、それくらいがちょうどいい。
人は、完璧にやろうとすると動けなくなります。
「腎臓に良い生活を全部やろう」と思うと、たぶん疲れます。
塩分を減らして、水分も気にして、運動して、体重を減らして、血圧を測って、薬も確認して、睡眠も整えて……となると、もはや生活改善というより、生活が改善に支配されます。
それはそれでしんどい。
だから、まずは去年との差を見る。
このくらいならできます。
健診結果を引き出しにしまう前に、eGFRだけでも去年と比べてみる。
そのついでに、尿蛋白と血圧と血糖も少しだけ見る。
それだけで、身体との距離が少し近づきます。

最後に、少しだけ余韻の話をさせてください。
健診結果って、どうしても「評価される紙」に見えます。
A判定。
B判定。
C判定。
要再検査。
まるで、自分の生活に点数をつけられているような気持ちになることがあります。
でも本当は、健診結果はあなたを責めるための紙ではありません。
身体が毎年、少しずつ書き残してくれている日記のようなものです。
今年の自分。
去年の自分。
一昨年の自分。
そのページを並べて読むと、今の身体がどこから来て、どこへ向かっているのかが、ほんの少し見えてきます。
eGFRが少し低いと言われたら、まず落ち込む前に、去年との差を見てください。
それは、腎臓を守る最初の1歩です。
特別なことではありません。
でも、身体の小さなサインをすくい取るには、十分に優しい一歩です。
そしてもし、毎年少しずつ下がっているように見えたら。
それは「もうだめ」という意味ではなく、
「そろそろ一緒に見ていこう」という身体からのメッセージかもしれません。
健診結果を閉じる前に、今年の数字だけでなく、去年の自分にも少し会いに行ってみてください。
そこに、今の身体を守るヒントが、静かに残っているかもしれません。
📣 ちなみに、健診結果で本当に見逃されやすいのは、今回のような「少しだけ悪い」「毎年じわじわ変わっている」サインです。
☆今日の一言

📣 健診結果を、もう少し全体として読んでみたい方へ
今回の記事では、eGFRという腎臓の数字を取り上げました。
でも本当は、腎臓だけを単独で見るよりも、血圧、血糖、脂質、尿蛋白、体重、肝機能などと一緒に見た方が、身体の流れはずっと見えやすくなります。
健診結果は、ひとつひとつの数字の集まりではなく、身体から届いた小さなメッセージの集まりです。
このnoteでは、健診結果を「身体全体の物語」として読むための記事を、少しずつまとめています。
参考文献
この記事は、以下の資料・ガイドラインを参考にしながら、健診結果を読みやすく理解できるように、一般の方向けに再構成しています。
・CKD診療ガイド 2024
・KDIGO 2024 Clinical Practice Guideline for the Evaluation and Management of Chronic Kidney Disease
・エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン
・日本高血圧学会 高血圧治療ガイドライン
・日本糖尿病学会 糖尿病診療ガイドライン
・慢性腎臓病 CKD実践ハンドブック
なお、この記事は医学的な考え方をわかりやすく紹介するためのものであり、個別の診断や治療を行うものではありません。
eGFRやクレアチニンの値は、年齢、体格、筋肉量、その日の体調、尿検査、血圧、血糖、内服薬などによって意味合いが変わります。
気になる結果がある場合は、健診結果をできれば数年分持参して、医療機関で相談してみてください。
