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【大問Ⅰ】 早稲田文・文構の適語選択問題で、正解率86%(12/14問)を15分で達成する処理方法

早稲田大学文・文化構想学部入試の大問Ⅰです。

「文・文構の語彙レベルはハンパない!」
「準1級レベルも超えていて、もはや1級レベルだ!」

このように文・文構の英語を異様に煽り立てている記事や動画について、私は冷ややかな立場でコメントをしてきました。
自分が知らない単語が多いと、無責任に「これは難しい」という評価をする無能な「対策記事・動画」だらけだと思っているからです。

最悪なのは「英検1級レベルまで単語学習をしないといけない」などという狂った勉強方針でまとめている記事もあります。ネイティブに読ませて「難しい」という言葉を引き出させる、くだらない動画もありました…全てのネイティブは高い語彙力を持っているという前提が意味不明です。「難しい」の判断基準も、個人によって違います。つまり、全てが煽るための演出にすぎません。

早稲田大学が、さらには「文学部」が、高い語彙力を持っているかどうかで合否を判断すると思いますか?そんなことは試されていません。早稲田大学文学部・文化構想学部が、受験生・学生に求めている力をつけることこそ、合格に直結する道に他ならないのです。




さんざん文句を言ってきましたが、ここからは「ではどうすればいいのか」をお話します。

過去の合格者の自己採点と不合格者の得点開示データを見ると、そもそも大問Ⅰは配点が低い(おそらく1点)ことが推測されます。
さらに大問Ⅱ、Ⅲを見ても、英検1級レベルの高い語彙力が解答の決め手になる問題はひとつもありません。「一つも」です。

だから「英検1級レベルの語彙力」は、合格に絶対必要な力ではありません。受験生はそこまで高い語彙力は持っていないという前提で、どう戦うかが試されているのです。

数年分の過去問から、大問Ⅰを取り出して見てみましょう。


1. 英文の語彙・構文レベルと長さ

構成
(A)と(B)の2つのパッセージが出題され、各7問、計14問の空所補充形式。

長さ
各パッセージは約300〜400語程度。長文読解としては短めですが、その分、情報の密度が極めて高いのが特徴です。

トピック
2025年 (A)トースターとスライスパンの関係(技術と文化)、(B)「意見」の修辞学的定義。
2024年 (A)麻酔の歴史と手術(医療史)、(B)「週」という概念の社会学。
2023年 (B)ホメオパシーと科学的根拠(科学哲学)。※(A)は著作権により非公開。
2022年 (A)動物の意識とダーウィン(生物学・哲学)、(B)科学の反証可能性(科学論)。
2021年 (A)人新世(Anthropocene)と環境(地質学・環境論)。

レベル分析

語彙
英検準1級〜1級レベルの抽象語(例: meritocracy, anthropocene, rhetoric, sentience)が頻出しますが、専門用語そのものを問うのではなく、「高度な概念を一般的な学術英語でどう説明するか」という文体に焦点が当たっています。

構文
一文が長く、挿入句、分詞構文、関係詞が多用された「硬い」学術的文章です。論理構成(対比、因果、具体化)が明確であり、これを読み解く構文把握力が前提となります。


2. 空所と選択肢の設計思想 論理と語源

この大問の最大の特徴は、選択肢の並び方にあります。単に意味の異なる単語を並べただけの問題は少なく、以下の2つのパターンで受験者の「論理的思考力」と「語源的識別力」を試しています。

パターンA 【形態的類似性(語源・接辞)の識別】

選択肢に、同じ接頭辞、同じ語根、あるいは韻を踏む単語を並べ、文脈に合致する唯一の「ニュアンス」を選ばせるタイプです。

2025 B-12 inject / object / project / subject
語根 -ject(投げる)を共有する動詞群。文脈(古代の修辞学者は「ただの意見などない」と主張/反論する)から、自動詞として機能する object(異議を唱える)や文脈に合わない inject などを排し、論理的に適合する語を選ぶ必要があります。

2022 A-2 delude / diminish / dominate / duplicate
すべて "d" で始まる動詞。文脈は「神経系が単純になるにつれて、意識の豊かさは(  )する」。正解は「減少する」意味の diminish ですが、単語の字面(Visual)ではなく、正確な定義(Definition)を問うています。

2024 A-6  disagreement / disassociation / dissatisfaction / distractionすべて dis- で始まる名詞。麻酔が手術の痛みをどうしたかという文脈。

パターンB 【文脈論理によるコロケーションの特定】

単語単体の意味を知っていても解けず、前後の文脈や、学術的な慣用表現を知らなければ解けないタイプです。

2021 A-6 case / problem / question / request
空所を含む文は "A ( 6 ) could also be made for starting the clock..."。「時計(人新世の開始時期)を〜から動かすことについての(  )も成立し得る」。
ここで "make a case for..."(〜という主張をする/正当性を立く)という熟語的感覚を持っているかが鍵です。単に日本語訳で「問題」「質問」などを当てはめても判別できません。


3. 受験生のどのような力を測っているのか

早稲田文化構想学部がこの問題で求めているのは、以下の3つの力です。

学術的運用力
「意見」と「事実」の対比、「主観」と「客観」の対比など、学術論文特有の論の運びを理解しているか。
形態素認識力
単語を丸暗記しているのではなく、pro-(前へ)、de-(下へ/離れて)、-ject(投げる)、-tain(保つ)といったパーツの組み合わせから、未知の単語や紛らわしい選択肢の意味を推測・識別できるか。
統語的予測力
空所の後ろに that節 が来ているなら、思考・発言・主張を表す動詞が入るはずだ、というように、文構造から入るべき品詞や意味カテゴリーを瞬時に絞り込む力。いわゆる「精密な文法応用力」です。


4. 設問をどのような視点で見るか

早稲田受験生の標準的な語彙力で、実際の問題をどのように処理すればいいのか。いくつか例を挙げて検討してみます。問題を見ながら確認してみてください。

2025年度 (A) トースターとスライスパン

(1) implies / estimates / mystifies / sacrifices
論理

"The existence of the toaster ( 1 ) the existence of sliced bread." (トースターの存在はスライスパンの存在を( 1 )する)。トースターがあるということは、焼くためのパンが必要です。論理的帰結・前提関係を示す implies(含意する・前提とする)が正解。他は文脈不成立。mystifyなどという単語に惑わされる必要はありません。

(2) diversified / individualized / mechanized / qualified
文脈

パンが工場で作られ、均一化(standardized)されたという文脈。対義語的な概念ではなく、同義の mechanized(機械化された)が入る。

2025年度 (B) 意見とコミュニティ

(11) appreciate / denigrate / generate / relegate
語源・文脈

誰かの意見に異議を唱えることは、その人格を( 11 )することだ。文脈はネガティブ。「人格を傷つける・中傷する」という意味が必要。de-(完全に/下へ)+ niger(黒)=「黒く塗る=中傷する」の denigrate が正解。選択肢がすべて韻を踏んでいる(-ate)ところが受験生を惑わせます。

(13) different / modest / significant / presume
論理

コミュニティ内の( 13 )数の個人が意見を共有すれば、それは無視できなくなる。文脈は「個人の意見」から「社会的力」への転換。「かなりの/重要な」数を意味する significant が妥当。「なんとなく」で正解できます。

2022年度 (A) ダーウィンと意識

(2) delude / diminish / dominate / duplicate
論理

神経系が「より単純(simpler)」になるにつれて、意識の豊かさはどうなるか。正比例の関係で「減少する」はず。Dで始まる動詞群から diminish を選ぶ論理パズル。

(5) experimental / fundamental / preliminary / systematic
文脈

植物が適応・学習するという証拠は興味深いが、とても( 5 )なevvidenceである。まだ断定的ではないというニュアンスから preliminary(予備的な/段階の)が学術的に適切。

2022年度 (B) 科学の定義

(8) deriving / exposing / reminding / surviving
語法

"word, ( 8 ) from Latin..."。ラテン語に由来するという文脈。derive from のコロケーション。

(12) communication / evolution / gravity / relativity
背景知識・論理

引用符の中で「物体が地球の中心に向かって落ちる」と予言している。これは重力理論の説明であるため、物理法則の知識と照らし合わせ gravity 一択。英語力以前の常識的論理。

2021年度 (A) 人新世

(2) enriched / honest / obvious / understood
コロケーション

"For reasons that are alarmingly ( 2 )..."。我々が環境負荷を心配する理由は「驚くほど( 2 )である」。文脈上、環境破壊が明白であることから obvious が入ります。alarmingly(glaringly) obvious は強い強調のコロケーションですが、受験生には耳慣れないかもしれません。


5. 語彙力がなくても正解するためのアプローチ

ここまで見てきたように、大問Ⅰは表面的には「語彙問題」に見えますが、その実体は「文脈依存型論理パズル」です。

選択肢の撹乱
作問者は意図的に「見た目が似ている単語(語源的・音韻的類似)」を並べ、受験者の記憶の曖昧さを突いてきます(例:2025年の inject/object/project/subject)。この曖昧さをクリアするために、最低限の語彙力は必要です。

正解の根拠
正解の根拠は、空所の前後数語にあることもあれば(コロケーション)、段落全体の「主張の方向性(ポジティブかネガティブか)」にあることもあります。

対策の方向性
基本単語であっても。その訳語を1対1で覚えるだけでは不十分です。「この単語は、どのような論理展開(因果、対比、譲歩)の時に使われるか」という機能的語彙力と、未知語に出会った際にパーツ(接頭辞・語根)から意味を構成する語源的分析力がなければ、選択肢を絞りきれないように設計されています。

以下に、語彙力に頼らずに正解するための過去問の具体的な事例研究と、直前期に感覚を研ぎ澄ませるための演習問題(PDF)を記します。
「わずか数点であっても、最後まで合格可能性を上げたい」という受験生の役に立つことを願っています。


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