驚くほど柔軟な私たちの脳!大人になっても成長し続ける「脳の可塑性」の不思議
こんにちは!えひめITラボ代表のせいけです。
みなさんは「大人の脳はもう成長しない」「年齢を重ねると新しいことを覚えるのは難しい」なんて思っていませんか。実は近年の科学の研究で、私たちの脳は年齢に関係なく、一生にわたって変化し続けるとても柔軟な性質を持っていることが分かっています。
この、脳が経験や学習、環境に応じて変化する素晴らしい能力のことを、専門用語で「脳の可塑性(かそせい)」と呼びます。
今回は、この少し難しそうな「脳の可塑性」について、専門的な言葉をできるだけ使わずに、分かりやすくご紹介します。
(今日の一言: 脳科学系の話好きです)
そもそも「脳の可塑性(かそせい)」ってなに?
可塑性という言葉は少し聞き慣れないかもしれませんが、粘土をイメージすると分かりやすいです。粘土は力を加えると形を変え、そのままその形をキープしますよね。
私たちの脳も同じように、新しいことを学んだり、新しい環境に行ったり、あるいはケガをしたりしたときに、その状況に合わせて脳自体の「形」や「働き」を変化させることができます。
この変化には、大きく分けて2つのタイプがあります。
1. 脳の物理的な形が変わる「構造的変化」
勉強をしたり新しい経験をしたりすると、脳の神経細胞同士のつながりが増えたり、特定のエリアの体積が大きくなったりします。脳がフィジカルに変化する仕組みです。
2. 脳の役割分担が変わる「機能的変化」
脳の特定の場所がダメージを受けて使えなくなったときに、別の元気な場所がその役割を代わりに引き受けてカバーしようとします。脳がチームワークで働き方をアレンジする仕組みです。
脳が変わる仕組みと、最新の研究
脳の中では、神経細胞(ニューロン)同士が「シナプス」という接続部を使って情報をやり取りしています。
つながりの強さが変わる仕組み
よく使う情報の通り道はどんどん太くなり、逆に使わない通り道は細くなっていきます。これが、私たちが物事を記憶したり、学習したりするベースになっています。何度も練習するとスムーズにできるようになるのは、この通り道が太くなっているからです。
一瞬で記憶する新しい仕組みも発見
これまでは、何度も繰り返すことで脳のつながりが強くなると考えられていました。しかし最近の研究では、たった1回きりの経験から、数秒という短い時間でパッと記憶を作る新しい仕組み(行動時間スクールシナプス可塑性:BTSP)があることも分かってきています。脳の記憶のメカニズムは、私たちが思っている以上に賢くて複雑なようです。
脳のすごさが一目でわかる4つの具体例
脳の柔軟なチェンジ能力を示す、とても興味深い実例をご紹介します。
ロンドンのタクシー運転手さんの脳
ロンドンのタクシー運転手になるためには、街のとても複雑な道路網をすべて暗記する厳しい試験に合格しなければなりません。この訓練を乗り越えた運転手さんの脳を調べたところ、空間の記憶に関わる「海馬(かいば)」という部分が、一般の人に比べて明らかに大きくなっていることが分かりました。さらに、経験年数が長い人ほどその部分が大きい傾向にありました。大人の脳でも、経験によって物理的に大きくなる確かな証拠です。
片方の脳を取り除いても回復する子どもたち
重いてんかんなどの治療のために、手術で脳の片側をすべて切り取る「脳半球切除術」を行うことがあります。驚くべきことに、特に幼少期にこの手術を受けた子どもたちは、残されたもう片方の脳が、失われた脳の役割をカバーすることで、運動能力や言葉の力をほぼ正常に発達させることができます。脳のリカバリー能力には驚かされるばかりです。
目を使わずに「音」で周囲を知る人たち
視覚を失った人の中には、コウモリのように「舌打ちの音」を出し、その響き(エコー)を頼りに周囲の様子や障害物を察知して、自転車に乗れるようになる人さえいます。彼らの脳を調べると、通常は目からの情報を処理するはずの「視覚野」というエリアが、音の情報を処理するために使われていることが分かりました。使わなくなったエリアを、別の感覚のために有効活用しているのです。
音楽家の素晴らしい脳
長年にわたって楽器の練習を続けている音楽家は、そうでない人と比べて、手を動かすエリアや音を聴くエリア、左右の脳をつなぐパイプが発達していることが分かっています。特に子どもの頃から練習を始めた人ほど、その変化ははっきりと現れます。
これからの生活や医療への広がり
この脳の柔軟な性質は、私たちの暮らしを良くする様々な取り組みにも活かされ始めています。
例えば、耳が聞こえにくくなった難聴の方へのリハビリです。高音質な音響機器を使って毎日特定の音楽を聴くことで、脳の聴く力を刺激し、うるさい場所でも言葉を聞き取りやすくするトレーニング方法が研究されています。
また、脳卒中などで体に麻痺が残ってしまった方のリハビリにも、この脳の可塑性が大きな希望となっています。
おわりに
私たちの脳は、使えば使うほど変化し、新しい環境に適応しようとしてくれます。これは、何歳になっても新しい挑戦を始めたり、学び直したりすることが可能であるという、とても心強いメッセージでもあります。
みなさんも、何か新しい趣味や勉強を始めて、自分自身の脳を新しくアップデートしてみてはいかがでしょうか。
えひめITラボでも、みなさんの新しい挑戦や学びをサポートできるような、分かりやすくてためになる情報をこれからも発信していきます!
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