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【読む子育て】📖図書委員になれなかった次女と、優しい嘘☘️

 人はどんな時に嘘をつくのでしょう。
 思わぬ嘘がこぼれる時、ころがったカケラには「その人らしさ」が宿っているのかもしれません。

ーーーーーーーーーーーー🌱

📘「図書委員になりたいんだ」

 
 この間、胸が痛むやら、ジ-ンとくるやら、なんとも言えない気持ちになる出来事がありました。

 我が家の次女はこの春から小学5年生。
 4年生の終わり頃から「5年生になったら図書委員をやる!」と張り切っていたのです。

 次女の小学校では5年生になると学校全体での「委員会活動」に参加できるようになります。そのうちのひとつが図書委員。休み時間にカウンターに入り、司書の先生に見守られながら「貸し出しや返却」のお手伝いをするのが主なお仕事。
 
 本好きにとっては「ちょっとした司書気分」が味わえる、憧れの係です。

 ところが、いよいよ係を決める週になり、次女がこう言いました。

📙「意外と、希望者が多くて・・・」


👧「今日ね、なんの係になりたいか、の希望を取ったら、図書委員の希望者が意外といたの。確か5年生全体で5~6人って決まっているんだけど、それより何人か多いみたい」

👩「じゃあ、どうやって決めるの?」

👧「まだ聞いてない。話し合いとか、選挙とか、クジ引きになるのかな・・・。でも最終的には希望者は少し減るかもしれないんだ。まだほかの係と迷ってる子もいたから」

👩「じゃあ、なれるといいね。ママ応援してるよ」

👧「うん、絶対にやりたいの!  だって希望してる子のなかには全然本好きじゃない子もいるんだよ。朝読書の時にマジメに読んでないの、知ってる・・・。わたしはヒマな休み時間は大抵図書室にいるけど、今回希望した子の誰とも一度も図書室で会ったことないんだよ・・・」

👩「素朴な疑問なんだけど、本好きじゃない子が図書委員を希望する理由ってなに?」

👧「それは、図書委員ってわりとラクに見えるからかも。短い時間に図書室に行って本をピッってやればいいだけ、と思ってる子もいるみたい。他の係になるとイベントを企画したり、毎日教室の美化に気を配ったり、けっこう大変なこともあるの」

👩「ははは、図書委員にはそういうイメージもあるんだね」

👧「『美化委員とかより図書委員ラクだよね』って言ってる子もいたもん・・・」

📗本好きじゃなくても委員になっていい。でも・・・


 なるほど。次女の希望と「少しの憤慨」はわかりました。

 ただ、もちろん次女が言っているその子たちが「本当に本好きじゃないのか」はわかりません。

 そもそも「本好きでなければ図書委員になれない」という決まりはないし、係活動を「やりやすそう」という理由で選ぶのもそれぞれの自由。

 ただ次女が、ふだんから休み時間に図書室で本を眺めていたり、自らすすんで本の整理をしたりしているのをわたしは知っていました。

 司書、憧れだもんね・・・。『本好きの下克上』好きだし。

 そしてもしかしたら、もうひとつ理由があったのです。

 次女が今年度「図書委員になりたい」と強く願ったもうひとつの理由ーーそれはたぶん「わたし」です。

📙「ママと一緒に活動できるかな?」



 思うところがあり、今年度から図書室のPTAボランティアを始めることにしたわたし。月に数回だけで、司書の先生のお手伝いをほんの少しするくらい。全然たいしたものではありません。

 でも次女は「じゃあ休み時間に図書室に行ったらママに会えるんだね!」と目を輝かせました。

👩「お当番の日だけね。ちょっとだよ」
👧「じゃあその日はぜったい行くね」

 4月のはじめにそんな会話がありました。

 次女にとっては「大好きな図書室に、さらにママがいるなんて!」と二重のワクワクがあったことでしょう。

 そして「図書委員になってタイミングが合えば、一緒にカウンター業務ができるかも」と想像したに違いありません。

 それがなかったとしても、4年生から憧れていた図書委員。

 日頃から
 「もっと本好きの友達がいれば、読んだ本の話ができるのに」
 「よく図書室で会う子は、学年で1人か2人かなぁ」
 と嘆いている次女ですから、図書委員には希望すれば難なくなれるだろうーーとわたしも勝手に思っていました。

 なのに・・・。

いるだけで楽しいらしい


📚「ほかの子に、ゆずったから」

 
 それから2日ほど経って、次女は放課後、帰ってくるなり言いました。

👧「ママ、図書委員だけど、ほかの子にゆずったから」

👩「えっ⁉  ゆずったってどういうこと」

👧「結局、なりたい人が多かったから、ゆずったの」

 びっくりしました。

 でも思い至ったのは、「そういえばこの子、今までもけっこうゆずってきた・・・」という事実。

 幼稚園時代から、発表会などで
「本当はキジ役をやりたかったのに、希望者が多かったから『わたしはイヌ役でいい』とゆずった」
 ということが次女には何度かあったのです。
 
 でもそれは、もともと「キジ役」にそれほど思い入れのなかった場合。

 だから今回は違います。いったいどんなシチュエーションで「ゆずる」ことになったのか? 
 どれほど図書委員をやりたいか、ちゃんと主張したのだろうか?
 
 結果として図書委員にならなかったことはいいのです。それよりも、

 「絶対にやりたい!」と言っていたキラキラの瞳と、「ほかにやりたい人がいたから、ゆずった」という行動のバランスがおかしいのではないか?

 つい動揺してしまい、軽く詰め寄ってしまいました。

👩「あのね、本当にやりたいことは、ゆずらなくていいんだよ!」

 でも、無言で振り向いた次女の目を見てハッとして。

 目の奥に、悲しい影がありました。

 この件はこれ以上、深追いしない方がいい--と直感がはたらいて。

👩「まぁ、あなたが納得しているなら、それでいいんじゃない・・・」

 それからお菓子を食べて、この件は終わりになりました。

 結局次女はほかの係になったようで、「今日は学校でこんなことしたよ」といろいろ報告してくれるようになり。

 元気ならいい。とわたしのなかでも図書委員の件は少しずつ忘れていったのです。

 ーーところが。

📗思いがけない真相

 
 それから2週間ほど経ったある日のこと。
 
 小学校で「教育相談」というものがありました。
 これはすべての保護者が、担任の先生と15分ほど教室でお話する春の恒例行事(?)。
 
 保護者の心配事などがあればこの機会に相談し、お互いに「日頃の様子」をすり合わせて、連携を深めていくための面談です。

 次女の担任の先生とわたし。ひと通りの話が滞りなく終わったところでーー。

 ふと思い出し、最後にちょっと聞いてみたのです。

👩「そういえば先生、あの子、図書委員になりたかったみたいなんですが、来年はまたチャンスありますよね?」

👩‍🏫「あっそうですね。図書委員は希望者が多かったので、全員でクジ引きをしたのですが、〇〇ちゃんハズレを引いてしまい・・・泣いてしまって」

👩「え? クジ引きだったんですか?」
👩‍🏫「はい、申し訳ありません・・・」

👩「いえいえ、先生が謝ることじゃないですよ。そうですか。悔しくて泣いたんですね?」

👩‍🏫「はい、でもすぐに気持ちを切り替えて、『ほかの係を頑張ります』と言ってくれたんです」

👩「先生、教えてくださってありがとうございます。わたしとこの話をしたこと、あの子には内緒にしておいていただけますか?」

📙帰り道、その気持ちを推理する

 
 学校からの帰り道、考えました。

 なぜ次女は「ゆずった」なんて言ったんだろう。
 
 これがもし長女なら、合理的で率直でわかりやすい性格の長女ならーー帰ってくるなりこう言ったでしょう。
 
👧 「ねぇママ聞いて!今日委員決めでクジ引きしたんだけど、わたしハズレを引いて図書委員になれなかったんだよ。本なんか全然読まない子が、ラクだからって理由で図書委員やるっておかしくない? もうやってらんない! せっかくママと図書室で会えるかもって思ったのにさーー」
 
 はい、すごく言いそうです(長女よスマン)。
 
 でも、次女はまるで性格が違います。
 
 あの子は・・・

 たぶん、わたしのために嘘をついたのだーーと思い至りました。
 
 次女は、「クジ引きで負けた」と言ったらママがガッカリすると考えたのでしょう。

 だってさんざん、
「絶対なりたい!」
「なれたらいいね!」
と、ふたりで一緒にワクワクしたから。共通の楽しみだったから。

📘悲しませたくなかったんだよね

  
 次女は想像した。

👩「残念だったね・・・あんなになりたがってたのに。だってあなたほど本好きの子はいないんでしょう?」

 とママは悲しい顔をするに決まってる。

 事実そうなったと思いますし、すると次女は、せっかく気持ちを切り替えて帰ってきたのに、また泣いてしまうかもしれません。

 格好つけたのでしょうね。
 
 そして自分の落胆より、大切な人の笑顔を優先した。たぶんそういう嘘だった。

 子どもがそこまで考えるかな? 
 と思う人もいるかもしれません。

 でも次女は、そういう子なのです。
 

📗あの日、図書室で静かに読書していた横顔

 
 そしてもうひとつ、思い返すとジワっとくる出来事がありました。

 実は先生との面談の数日前。わたしがPTA の図書ボランティアに初めて入った日、次女は休み時間に図書室に来たのです。

👧「やあ」
👩「あ、来たんだ」

 と軽く会話をしただけで、次女は大テーブルのいちばん端に座り、ワイワイ本を返却する低学年の子たちの横で、静かに本を読んでいました。

 そして休み時間が終わると、何も言わずに教室に戻って行ったのです。

 時系列でいえば、クジ引きで負けた1週間くらいあと。

 まさに図書委員の子たちがカウンターに入り、私や司書の先生の横で「図書委員のお仕事」をしているのを横目に、次女は何を思っていたのでしょう。

 ごめんね。
 なんにも知らなくて。

 さてーー。


どうしようか、の帰り道。たぶんあの日次女も、
ママになんて言おうーーと考えながら歩いたはず


📗成長した君の心を私はすべて知らなくていい


 「ただいま~」
 と元気に帰宅したわたし。

 「おかえり」と先に帰っていた次女が、ソファでお菓子を食べながら迎えてくれました。

👧「面談どうだった?」
👩「うん。先生褒めてたよ。すごい頑張り屋さんだって」

👧「ははは。よかった。ほかになんか言ってた?」
👩「先生、推理小説が好きなんだって。東野圭吾の話で盛り上がっちゃった・・・」

👧「なにそれ? ウケるんだけど」

 と笑いながらテレビに顔を戻した次女。

 ーーママはなにも知りません。

 そう決めると、なぜかなんとなく清々しい気持ちにすらなりました。

 きっと他にも、わたしの知らないことがあるんだろうなぁ。

 それでもいい。

 突然クルリ、とこちらを見た次女が

「なんか今、見てた?」

と言ったので

「ソファにお菓子こぼさないでね」

と返しました。

 次女の後ろ姿は少し滲んで見えました。

 あの日、賑わう図書室で静かに読書していた横顔ーー。
 
 10歳の強がりと優しい嘘が、軽い痛みと寂しさを伴ってわたしの胸に刺さりました。

 おとなになっていくんだな。

 そうしてわたしは、この章のページを閉じることにしたのです。

(おしまい🌱)


図書委員「なれなかった」を「ならなかった」に
十歳の嘘は 母への愛 


すでに我が家の立派な図書委員じゃないの


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最後まで読んでくださり、ありがとうございました!
たくさんの方に素敵な読書時間が訪れますように📒✨
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