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“センス”はどう生まれるのか──ギフテッド考察から見えてきた脳の仕組み

こんにちは、えめです。


センスのいい人っていますよね。

空気を読むのがうまかったり、
ちょうどいい提案をしたり、
上手くいくポイントがわかっている人。

こういう人を見ると、
センスがいい」と感じます。


でもこの「センス」って、
意外と説明が難しい言葉です。


『仕事ができるとはどういうことか』という本に
こんな一文があります。

センスというものには
どこの誰かは知らないけど、誰もがみんな知っている」という面があるんです。

この言葉はまさにセンスの性質を言語化していると思います。

センスを私なりに、あえて一言で表すと
気持ちいいパターンを把握している
だと思います。

ですが、我々は、日常で「センス」という言葉を使っているものの、肝心のその正体を説明することはなかなかできません。


しかし私は、
人の意識や思考を観察しているうちに、
あることに気づきました。

「センス」がよく現れる人たちがいる。

特性カテゴリで言うと、
ギフテッド」と呼ばれる人たちです。


ならば、ギフテッドの脳パターンがわかれば、
センスの正体、そして使い方もわかるはず。

ということで、今回は、
誰もがセンスを発揮できるように。

センスが生まれる脳の仕組み

センスを生む脳の使い方を、
ギフテッドの脳構造を手がかりに、
見ていきたいと思います。


「ギフテッド」の特徴に「センス」がある

センスがよく現れる人たちを見ていく前に、
まず 「ギフテッド」という言葉の定義を
少し整理しておきます。

「ギフテッド」と聞いて多くの人が思い浮かべるイメージはこのようなものがあると思います。

• 天才
• ずば抜けた才能
• 高IQ
• とにかく誰もが認めるすごい人

たとえば、

• 大谷翔平選手(野球)
• 藤井聡太名人(将棋)
• アインシュタイン(物理)
• ベートーベン(音楽)
• レオナルド・ダ・ヴィンチ(芸術・発明)

このようなイメージ。


でも、これはちょっと極端な例です。


「ギフテッドって、
IQ130以上の人のことでしょう?」

って思う人もいるかもしれませんが、
それは正確な定義ではありません。

スポーツ特化、音楽特化、
学歴偏差値は低いけどギフテッド。

いろいろいます。
IQは一部であって全部ではありません。


Wikipediaでは、ギフテッドは次のように説明されています。

「同世代の子供と比較して、突出した知性と精神性を兼ね備えた子供」

アメリカ教育庁 1993年

かなり曖昧です。



定義はあるのに、中身は曖昧。
これでは困ります。

なので、私は、当事者の方々と話し、
その特徴と脳の構造を調査しました。


【調査方法】
• さまざまな媒体で「ギフテッド」を使っている人を調査
• 当事者と交流
• 特性・発達・行動を分析
• 既存の定義では説明できない共通点を抽出
• その要因を「意識」と「脳機能」から考察

【結論】
ーえめが考えるギフテッドの要素ー
パッと見た時の理解力が高い
• 何かのセンスが突出してる
(芸術、運動、対人、経営、勉強、投資など)
本質力がある
• とにかくよく気づく

つまり、
ギフテッドの特徴を一言で表すなら、
IQよりむしろ、センス


冒頭でセンスを
「どこの誰かは知らないけど、誰もがみんな知っている」側面がある
「気持ちいいパターンを把握している」
と表現しました。


これをもう少し細かく分解すると、以下の要素があると考えられます。

①パターンを素早く見抜く
・複雑な状況から重要な要素をすぐ捉える
・本質をつかむのが早い  

②直感的に判断できる
・経験や知識が無意識で統合されて「なんとなくわかる」判断になる  

③小さな違和感に気づく
・空気や構造の、微妙なズレを感じ取る  

これらの機能が働いて、
「気持ちいいパターン」がわかる。

これをセンス
ー言い換えるとギフテッドネス
と呼んでいるのではないかと思います。

では、脳機能の説明に入る前に、
みなさんのギフテッド像を、
「天才」「才能」というカテゴリから、
もう少し実像に近いイメージに戻すために、
一つ例を紹介したいと思います。


ギフテッドのイメージは「サトシのピカチュウ」

私の所感ですが、ギフテッドほど、
その人物像・イメージがバラバラでまとまらない特性はありません。

そこをあえて中央値を取って、
ギフテッドとは?
のイメージを出すとすれば。

私の答えは、サトシのピカチュウです。


ピカチュウは、
特別な伝説ポケモンではありません。

その辺にいそうな普通の存在です。

でも、サトシのピカチュウは、
ひとつ、大きな特徴があります。

彼は、モンスターボールに入りません

普通のポケモンは、
当たり前のようにモンスターボールに入ります。

でも、サトシのピカチュウはそれを嫌がる
※ポケモンアニメ1作目第一話より。

「ポケットモンスター」という、
前提の概念から疑うかのようなその姿勢。

「だって、普通に考えて嫌でしょ。」
といったような、シンプルなNO。

考えてみると、なんでボールに入れる必要があるのかわかりません。
それって人間の都合でしょ?
なんか変じゃない?

「ピカピカ」しか言いませんが、
そう表現されると、
「そう言われると、確かに。」となります。

小さな違和感に気づく。
「どこの誰かは知らないけど、誰もがみんな知っている」感覚です。


そしてもう一つ。

サトシのピカチュウは、
見た目は普通なのに(ピカチュウなのに)
ところどころおかしいくらい強い。

複雑な状況からポイントを押さえて、
直感的に「上手くいくパターン」を選んでいる。

まるで、
鬼滅の刃の「隙の糸」でも見えてるかのように、
センスの良い戦い方をしているのではないでしょうか。


この、「普通に考えて」の本能的感覚があり、
たまに謎の鋭いセンスを発揮する。

でも、「伝説の」とか「特別な」という感じでもなく、身近に普通にいる。

あくまで中央値的なイメージですが、
サトシのピカチュウはかなりギフテッドを象徴する特徴を持っているかなと思います。


ギフテッドの脳の構造

では、なぜこうした感覚が生まれるのでしょうか。

ここからは、少しだけ脳の仕組みの話をします。

心理学には
潜在抑制(latent inhibition)
という概念があります。

これは、脳が拾った情報のうち
重要でない刺激を意識に上げないようにする
いわば、脳のフィルター機能です。

私たちは普段、このフィルターによって
大量の情報の中から
必要なものだけを見て生活しています。

しかし研究では、
この潜在抑制が弱い人ほど
無関係な情報にもアクセスできるため、
創造性と関連する可能性があることが
指摘されています。

つまり簡単に言うと

脳が拾う情報量が多い。

潜在抑制が弱いと、
脳が拾う情報量が増えます。

つまり

・小さな違和感
・構造
・パターン

が見えやすくなる。

これが直感的に把握されると、

センス

と呼ばれているものが生まれます。

ただし、
情報量が多い状態は
必ずしも楽ではありません

情報が多すぎると、
脳のゴミが発生しやすいので、
「統合」という、まともな思考をする機能が落ちやすくなります。

すると、

・思考が暴走する
・躁状態
・うつ状態

なども起きます。

しかし、
実は、「統合」が破綻する前の
ギリギリのところに

ゾーン

という脳の状態があります。

脳は、潜在意識によって、
無意識から意識へ情報が運ばれてきます。

素材(潜在意識が把握する情報)が多ければ、
より多くの構造やパターンが統合される。

その直感的な判断が自動で起こる脳の状態、
それが、ゾーンです。


つまり、
ギフテッドは潜在抑制が弱く、
脳神経の基本設定が
「ゾーン」に近い人

だから、
「こうなっているんだな」
「こうなっていくだろうな」
という理解が、
考える前に脳に入ってくる。

このように考察しています。

センスは誰にでも生まれる

ここで、面白い話をしたいと思います。

精神科医である益田先生は、
ある動画の中で、
うつ病患者さんの「ゾーン体験」について触れています。

つまり、
ゾーンは臨床的に観察されている現象ってことです。

もう一度画像を見てください。

うつ病は誰にでも起こる病気でしたよね?

何が言いたいかというと、

脳の状態によって、
誰にでもゾーンは起こり得る

ということになります。

なぜなら、
脳のコンディションは
日々変化しているからです。

疲労やストレス、
睡眠、
脳内の老廃物量などによって

脳が処理できる情報量も
変化します。

つまり、

センスやギフテッドネスは、
生まれつきの才能というより、

脳の状態で生まれる現象
とも言えるのです。


センスは、「勤勉」で育つ

ここまで読むと、

「結局、ギフテッドが能力高いって話じゃない?」

と思う人もいるかもしれません。

でも、私は、
特性だけで差が出るほど、
人の能力の話は単純ではない
と感じます。


たしかにギフテッドは、
脳の初期設定として
情報量が多く、ゾーンに近い人たちです。

だから、センスが“出やすい”。


しかし、
センスは、構造把握やパターンを積むと、
より磨かれる
特徴があります。

わかりやすく言えば、
"職人芸"みたいなものです。


ギフテッドは情報過多に対応するために、いろんな生存戦略を取ります。

・いちいち深く考えず、反射神経で生きる人
・「自分」のことを後回しにして、世界の構造の観察に没頭する人
・「世界はこんなものか」と諦めて、周囲の価値観に思考回路を固定し、センスを殺してしまう人

それぞれメリットとデメリットがありますが、
「できちゃう」ことに満足してパターンを積まなかったり、
「自分」の行動パターンの把握がおろそかになって、せっかくのセンスがズレたりすることがあります。

つまり、
"職人芸"が磨かれないこともままある。


"職人芸"を磨くのには、
脳の特性は関係ありません

好奇心をくすぐられたものを、
ちゃんと見にいくこと。

違和感を放置せず、
「なんでだろう」と考えること。

心が動いたものを、
そのまま流さずに掘ること。

美しいパターンを、勤勉に探究し続けること。

つまり、勤勉


勤勉は、誰しもが小学生くらいから始める、
成長過程です。

少年のような心を持ち続けることが大事
とよく言いますよね。

冒頭に出したような
いわゆる“天才”たちも、

センスだけで成立している人たちではありません。

むしろ、
ずば抜けているのは
勤勉さの方だと思います


いくら世界が見えていても、
勤勉が足りなければ、

ゾーンで拾った感覚は
形になりません。

センスのいい提案も、
センスのいい作品も、
センスのいい判断も生まれません。

見えることと、
使いこなせることは別

勤勉こそが、
後天的にセンスを伸ばす方法だと私は思います。


個人的には、
センスを殺してほしくはありません。

センスの世界は美しいからです。

私は、美しい世界を見たい。

だから、

ギフテッドかどうかとか、
才能があるないとか、
どうせ世界はなんちゃらとか、
選民思想とか、

そういう話で止まってほしくない。


脳を使いこなして、
勤勉で自分のセンスを育てて、

それぞれが
自分の見える世界を広げていく。

それが素敵な世界に繋がると、
私はそう思っています。

ラベリングのない世界

誰にでも、
センスの素養はあります。

どう脳を使いこなすか。
それをどの環境に置くか。

それによって

「無能」
「普通」
「才能」
「問題児」
「優秀」

そんなラベルは
いくらでも変わるもの。


また、センスには、
それぞれ固有の得意分野があります。

世界が全部見える
神様みたいな人間はいません。

それぞれが得意を活かしながら、

• 気づいたことをシェアし
• 謙虚に支え合う

そんな姿勢が、
人を活かし合う良い環境になるのではないかと思います。

「才能」「普通」「無能」という世界から、
それぞれの魅力や役割が発揮される世界へ。


これが、
えめの考える
攻めのメンタルヘルスです。


最後までお読みいただきありがとうございました。

勤勉についてはこちらの記事で解説しているので、より詳しく知りたい方は覗いてみてください。


勤勉コーナーでは、えめがセンスを磨くため、あれこれ考察している様子を記事にしています。
勤勉過程の参考にどうぞ。

ギフテッド関連記事はこちら

筆者:えめ 精神科看護師(脳科学/人育ての専門家)

おまけ

ちなみに、えめ自身も当事者の方から
「ギフテッド仲間だよね?」と言われることはあります。
でも私は、パッと見て把握するタイプではなく、かなり不器用で要領も悪いので、厳密には違うと思っています。

ただ、没頭や特性や病歴でゾーン入ったり、
人を理解したいという好奇心で勤勉したりが、
結果としてセンスを伸ばしてきたのかもしれません。

そういうのでいいんだと思います。
勤勉、ぜひ積み重ねてみてください。

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気になる方はこちらをご覧ください。


参考文献:

  1. 「仕事ができる」とはどういうことか? 著者:楠木建、山口周

  2. センスがいい人は頭がいい?5つの共通点と脳科学が証明した知性との関係  https://hito-zukan.hatenadiary.com/entry/sense-intelligence-connection

  3. Decreased Latent Inhibition Is Associated With Increased Creative Achievement in High-Functioning Individuals.Carson, Peterson, & Higgins, 2003 (PDF) PERSONALITY PROCESSES AND INDIVIDUAL DIFFERENCES Decreased Latent Inhibition Is Associated With Increased Creative Achievement in High-Functioning Individuals

  4. 洞察問題解決における手がかりの利用に気分が及ぼす影響.織田 涼,服部雅史.2014 JCSS2014_P3-33.pdf

  5. 「ある日突然、心が軽くなる瞬間」――絶望から抜け出す脳のしくみ.精神科医がこころの病気を解説するCh.2025 https://youtu.be/NR7Lg5NFu1g?si=oK2hKg-BzpEw0ouf


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