【38】考察:パンやケーキの「骨組み」としてたんぱく質/アイスクリームスコーンの改良レシピ
豆腐・ヨーグルト・卵白・きな粉など、いろいろな材料を小麦粉に混ぜて実験を重ねてきたけれど、そういったものを入れる理由は概して、やわらかい食感や保湿性を期待するか、小麦粉を減らした(=グルテンを減らした)ことのバーターだった。
だが、それぞれの素材の特長は具体的になんだろう?知っているようで知らない…
そもそも「たんぱく質」とは?
以前に小麦粉のグルテンについて調べた内容を踏まえて考えると、ざっとこんな感じだろう。(参考:【9】グルテン② ジスルフィド結合)
構造体として機能は何か?
「立体的な形をキープする」主役
熱や酸が加わることで、液体から網目状の立体的な構造(骨組み)へと変化する性質
アミノ酸が数珠つなぎになった「長いひも」
アミノ酸がペプチド結合(N-H-C=O)で繋がった、ひも状の物質であり、折れ曲がったり、絡まったりして大きな分子になっている。アミノ酸というビーズが糸でつながったネックレスのようなものともいえる。
水分や酵素で解けて、アミノ酸の形態に戻る
素材(植物性・動物性)によって「網の目の強さ」が違う
小麦や大豆などの【植物性】と、卵や乳製品などの【動物性】では、アミノ酸の組み合わせも網の目の結びつきの強さも全く異なる。
素材を調整することで、焼き上がりの「歯ごたえ」や「口どけ」に変化をつける。
ほどきやすいたんぱく質ほど、消化しやすい。
消化酵素
体内では、おもに消化酵素のはたらきにより、最終的にアミノ酸の状態まで分解される。
動物性も植物性も、消化酵素の種類は同じだ。
・ペプシン(胃)
・トリプシン(小腸)
・キモトリプシン(小腸)
・ペプチダーゼ(小腸)
大雑把に言えば、胃で絡まったたんぱく質をほどいてひも状にして、腸で、そのひも状たんぱく質を切断して、アミノ酸にするという流れである。
・・・ということは、
立体網目構造をほどいて、ひも状にしやすいか?
食物繊維やでんぷんや脂肪に邪魔されることなく、消化酵素がたんぱく質まで届くか?
あたりがポイントなのだろう。
なお、グルテンの消化については、以前に調べた。↓
たんぱく質の機能比較
では、小麦グルテン、豆腐、ヨーグルト、きな粉、卵白にはどのような違いがあるのだろうか?
それぞれを建築材料に例えると、こんな感じだと思う。
小麦グルテン=鉄筋
卵白=鉄筋コンクリート
豆腐=スポンジ状の断熱材
ヨーグルト=接着剤・保湿材
きな粉=木粉や繊維材
表にまとめるとこんな感じ。

卵白入りスコーンやアメリカンビスケットがよく膨らんだ理由も、この表からある程度の説明がつく。
グルテン:基本の骨組みを作る。
卵白:加熱時に第二の骨組みを形成し、気泡を固定する。
ヨーグルトや豆腐:水分を保持してしっとり感を出す。
きな粉:栄養や風味があるが、入れすぎると骨組みを弱めるため、薄力粉の一部を置き換える場合は10〜20%程度が限界である。
つまり、役割として、
気泡を固定する力:卵白
しっとり感:豆腐やヨーグルト
風味や栄養:きな粉
ということだろうか。
豆腐は消化しやすいのにきな粉は消化しにくい理由は?
同じ大豆でも、きな粉が多い焼き菓子のほうが、豆腐多めの焼き菓子よりもずっとお腹にたまる気がするが、そこは製法の違いが原因だろう。
きな粉とは?
大豆を丸ごと粉にしたもの
食物繊維が残る
たんぱく質が繊維に包まれている
豆腐とは?
豆乳だけを使う
おからを除去
たんぱく質が水中に均一に分散
ー> 豆腐のほうが、消化酵素がたんぱく質に届きやすい。
卵白やヨーグルトについても色々と調べたが、いつかまた別の機会に書くことにする。
今後の実験(案)
知識を整理すると、また、試したいことが増えてきた。
卵白を冷凍ー>解凍してから使うと、変化があるのか?
高野豆腐(豆腐のフリーズドライ)を砕いて粉末にしたものを材料にするとどうなるか?
麩(焼いたグルテン)を粉末またはペースト状にしたものを材料にするとどうなるか?
美味しいのか?
消化によいのか?
簡単なのか?
…などなど、とても気になってくる。
ヴィーガンではないので、植物性たんぱく質にこだわる理由はまったくないが、なにか新しい精進料理ができそうで面白い。
今週の試作:アイスクリームスコーン改良版
先日作成した「焼き芋アイスクリームときな粉のスコーン」について、材料はそのままで、手順を変えてみた。
アイスクリームスコーンを作る際に一番困るのは、手の温度でどんどんアイスクリームが溶けることなので、その改善を目指した。
ポイント
生地はジップロックの中でまとめる
手の熱を伝えないよう、キッチンミトン越しに作業する
工程ごとに冷蔵庫で冷やす
作り方案
① バターとアイスの約7割を使って、生地のベースを作る。
薄力粉、きな粉、ベーキングパウダー、塩と一緒に、バターとアイスの約7割をぶんぶんチョッパー(手動フードチョッパー)でしっかり混ぜる。
② ジップロックに移す。
生地をジップロックへ移し、残り約3割のバター・アイス(ともに約1cm角)と牛乳大さじ2を加える。
③ 袋の上から軽くまとめる。
キッチンミトン越しにやさしくもみ、生地がまとまったら棒状に整える。
④ 一度冷やす。
冷蔵庫で約10分休ませる。
⑤ 生地を折りたたんで層を作る。
ジップロックをハサミで開き、カードで生地を回収する。軽く伸ばして二つ折りを2回繰り返す。
⑥ 成形する。
抜き型と同じくらいの幅の棒状に整え、再び冷蔵庫で約10分冷やす。
⑦ 型抜きする。
生地を押しつぶさないよう、抜き型で真っすぐ「スパッ」と抜く。
⑧ 焼く。
表面に牛乳を塗り、さらに約10分冷蔵庫で冷やす。190℃に予熱したオーブンで約15分焼けば完成。
画像集




右側の崩れた2つは、余り生地で作ったもの

前回よりも、見た目と食感の両方の面で改善したと思う。
