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第24話 | 手足口病|頼めなくなったこと

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第1話|抱っこと決意|シングルファザーとなった最初の日https://note.com/fast_deer7937/n/n74aef03be245 

この時期の子育ては、
本当に病気が続く。
ピノの発熱は、
だいたい急だった。

朝、様子が少しおかしかったら、
体温を測る。

高ければ、会社に半日年休の連絡を入れて、
病院へ向かう。

病気が続くと、
この電話が、だんだんしづらくなる。

私の上司は、
「おー分かった、もう丸一日休めや」
と、いつも軽く言ってくれる。

電話を切った後、
少しだけ気が楽になる。
これが、
嫌味のひとつでも言われていたら、
多分、かなり凹んでしまうだろう。

この日は、
熱以外の症状はなかった。

大したことはないだろう、
そう思いながら診察を受けると、
先生は淡々と言った。

「手足口病ですね。
 症状は軽いですが、
 重症化することもあるので、
 一週間ほど安静にしてください」

一週間!?

さすがに、会社を休み続けるのは厳しい。

妻方の母に連絡し、
診断結果を伝えたうえで、
預かってもらえないか聞いてみた。

返事は、
少し間を置いてから。

「重症化って聞くと、
 うちでは、ようみんわ。
 やっぱ、よその子を預かるのは怖い」

終わった。

こないだの救急車の件か……
これは、しゃあない。

会社に事情を話し、
結局、一週間ほど休みをもらった。

帰り道、
一つだけ考えた。
手足口病とはいえ、
この程度の熱なら、
ピノは元気そのものだ。

元気な子供を、
一週間、安静にさせる。
これは、なかなか難しい。

考えた末、
平仮名を覚えられる
DSのソフトを買って帰った。

頼むから、
安静に、平仮名を覚えてくれ。

その日の夜、
遠方に住む母に状況を伝えると、
次の日には、
車で我が家に来てくれた。

これで母に預けて会社に行ける。
ありがとう、母さん。

-------とっちゃRECO-------

手足口病は、
主に乳幼児に多いウイルス性の感染症で、
名前の通り、
手・足・口に症状が出ることが多い。

ただし、
必ずしも分かりやすく出るとは限らず、
発熱だけで経過することもある。

この時のピノも、
注意して見んと分からんくらいの斑点が、
手と口に少しあるだけだった。

言われてから靴下を脱がせてみると、
同じような斑点が足にもあった。

ああ、プロじゃなぁ、
と素直に思った。

この病気が厄介なのは、
「元気そうに見える」ことと、
「安静が必要」であることが、
同時に成立してしまう点にある。

見た目が元気だと、
周囲も、本人も、
病気として受け取りにくい。

一方で、
無理をすると、
髄膜炎などの合併症につながることもあり、
医師は「念のため」を強く言う。

軽そうに見えて、
軽く扱えない。

親はその曖昧さの中で、
仕事や生活の判断を、
一つずつ迫られることになる。

当時の私は、
病名そのものよりも、
「一週間安静」という言葉の重さを、
先に受け取っていた。

-------とっちゃRECO-------

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