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第20話 | 一周忌 | 丸一年が経過した頃

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一年が経った。
振り返ると、
あっという間だったような気もするし、
正直、長かったとも思う。

一周忌の日は、
気持ちより先に段取りがあった。
時間、移動、挨拶。
やることをこなしていくうちに、
一日は終わった。

法事としては、
きっと問題なく終わったんじゃと思う。
けど、
何かが区切られた感じは、
自分の中には、あまり残らんかった。

この一年、
嫁さんのことを思い出さん日が
あったかと聞かれると、
たぶん、一日もなかった。

ふとした時。
子どもの何気ない一言。
夜の静けさ。
理由は毎回違うけど、
思い出すこと自体は、
ずっと続いとった。

もし、
幽霊でもいいから、
ふらっと出てきてくれるなら、
伝えたい感謝は、
いくらでもある。
話したいことも、
たくさん残っとる。

一年経って振り返ってみて、
話したいことは増えとるのに、
それを向ける相手は、
ほとんど増えとらんことにも気づいた。

仕事の話でもなく、
子どもの段取りの話でもなく、
ただ、
気心の知れた大人とする、
どうでもいい話や、
少しくだらない話。
そういう時間が、
生活の中から、
いつの間にか、
減っとった。

一年は過ぎた。
区切りは、来んかった。
それでも、
明日は来る。

-------とっちゃRECO-------
「大人との会話に飢える」という感覚は、
心理学的には、いくつかの要因が重なって
生じるものと考えられとる。

まず一つは、
役割が固定されたことによる
会話の質の変化。
子育て期、とくに一人で多くを担う状況では、
会話の内容が
段取り、確認、指示、調整といった
機能的なものに偏りやすくなる。

これらは生活を回すために
不可欠な会話じゃけど、
感情や思考を往復させる
「対話」とは性質が違う。

結論のいらない雑談や、
意味のないやり取りが、
人のストレス回復や自己調整に
重要な役割を果たすとされとる。

この部分が減ると、
会話の量があっても、
「話した気がしない」
という感覚が残りやすくなる。

次に挙げられるのが、
対等な関係性で話す機会の減少。

子どもとの会話は大切じゃけど、
どうしても
守る側、教える側、判断する側
としての立場が続く。

仕事でも、
役職や責任がはっきりするほど、
弱音や本音は出しにくくなる。
こうして日常から、
上下も役割もない関係での会話が
少しずつ抜け落ちていく。

この状態が続くと、
人は孤独を
「一人でいること」ではなく、
自分をそのまま出せる場がないこと
として感じるようになる。

だから、
人と話しとるはずなのに、
どこか満たされん感覚が残る。

この感覚は、
性格や気の持ちようの問題ではない。
同じ立場に立った人ほど、
同じ構造の中で、
同じように起きやすい。
あとになって振り返ると、
足りなかったのは
励ましでも、助言でもなく、
ただ並んで話せる相手
だったんじゃと、
気づくこともある。

気心知れた仲間や伴侶との
議論やしょうもない話は、
恐ろしく効果の高い癒しなのだ。

-------とっちゃRECO-------

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