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ジュビロ磐田 戦術チェック#2

2025明治安田J2リーグは第23節を迎えようというところ。

前節はホームで山口戦だった札幌。前半終了間際での先制点を守りきり、後半は危ないシーンもあったが勝利し、今シーズン初の3連勝となった。昇格への勝負のための下地ができてきて、磐田・鳥栖・長崎と続くこの後の3試合はとてつもなく重要。ターニングポイントになるうるこの夏の上位との対決、そしてその内の最初のゲームである今節も落とせない。直近5試合負けなしで勝ち点11を積み重ねた自信をもとに進む。

一方、磐田は仙台・熊本と2連敗中。直近5試合の成績は2勝1分2敗と五分。ついにはPO圏内からも陥落し、悪い雰囲気が漂っている。しかし、大宮や千葉といった上位直接対決では2試合で勝ち点4は稼げているので力はあるヤマハでの札幌戦は、公式戦6連敗中、2018年の天皇杯以降勝利がない。苦しい現状と悪すぎる相性のなかで状況を打破できるか。

では、対戦前に磐田の戦術チェックに入っていきます。
今回も直近3試合を参考にしています。

↓前半戦の対戦試合の振り返りはこちらから。


スタメン

第20節 vs.千葉(白:磐田)
第21節 vs.仙台(水:磐田)
第22節 vs.熊本(水:磐田)

ここまでの直近3試合の磐田のスタメン。
ベースは4-2-1-3。

メンバーは結構固定されていて、そこまで大きな変化はなさそう。メンバー変わっても役割やキャラクターも同じような印象。

しかし、前節の熊本戦での敗戦後にジョン ハッチンソンは割と「いやー、なんなんこれぇ」みたいな感じで、次節のメンバー変更も考えられる。ペイショットや井上潮音といった個があるので、どんなメンバーで来るかは警戒。


保持〜攻撃

保持時は割と繋ぎながらサイドに展開して、サイドアタックに持って行く流れがある。サイドではクルークスや倍井といった1v1タイプの鋭いアタッカーが控える。+CBからのフィード力も特徴的。


[第20節 vs.千葉]

まずは、千葉戦。

磐田のビルドの入り口は、ベースの4-2-1-3からそこまで変わってはいないが、左SB松原は少し高い位置をとって開いている。このサイドはSH倍井との位置関係も関わってくる

トップ下の佐藤凌我は、相手の4-4-2のブロック内のライン間で生息する。スペースに流れてフリーでボールを引き出そうとする。他のゲームでもトップ下の受ける位置は流動的である一方で、磐田の保持の中心である右サイドに偏っている印象。

守る千葉は4-4-2で構える。


そのトップ下の話だが、磐田はまずセンターから右SB為田に回す。この時にpressingにくるのが、千葉の左SHである。磐田は右SB-CB-CBの3枚での入り口となっており、それに枚数を対応させる(マークはそのまま)ため千葉は左SHを押し上げて対応する。というか、為田は低めの位置を取るので対峙するSHが引きつく。

それを利用して磐田はトップ下へのコースを作れる。
上図のように、前に出ていった相手SHの背中にトップ下佐藤が入ってくる。DFがpressingに出るということはその背後は空くというわけだ。+佐藤の受けるスペースを作ることとDFに寄せられないようにフリーな状況を作り出すために、同サイドWGのクルークスは高い位置をとって相手SBを押し下げる

=千葉のSB-SH間がガバッと空くので佐藤がそこで受けやすくなる。クルークスは皆が知っているように鋭い仕掛けとクロスが持ち味。それを高い位置で披露してくるので対峙するDFは対応する。なので、クルークスが前に出るならマークも一緒に下がる。けど、マーク(千葉のSB)は下がるが千葉のSHは前に出ているため、そこでギャップが生まれている

千葉としては、SHをどこまで出すのか・流れてくる磐田のトップ下をどう管理するのかが焦点だった。

とはいえ、磐田はうまく前進できているように見えてもここからが問題。チャンスメイクという意味ではサイドに預けて仕掛けさせるかとかになる。ここを封じられる・対応されると他に手段がない印象。あるいは、そもそもスライドされたり為田のところでpressing強度を上げられ戻すしかないとか。

戻すなら大抵GK川島なのだが、川島はパスを受けると十中八九ロングを蹴って吐き出すので、守る千葉はそうさせて回収すれば良い。


左サイドへの展開では高い位置をとって開いている松原がキー

左SB松原は攻撃的なSBで、ワイドに開いているなら相手の右SH(ここでは杉山)の斜め後ろを位置取ることで、パス1本で千葉のMF,FWの2ラインを越すことが出来る。

こういった形を作り出すために、同サイドのSH倍井はインサイドに取ることで対峙する相手SBを中に連れていく。このことで、ワイドで受けた松原に対して寄せれる準備ができている千葉のDFはいない。SHは前に出ているしSBは倍井の釣られているし…。

磐田の左サイドにおける、SB,SHの位置関係と高低差は特徴的で相手の守備陣系を崩す一手になっている。

右からの前進よりも左からの前進の方が脅威な印象。右では受けに行く佐藤が後ろ向きだが、左ではワイドに開く松原(倍井)が前向きで持てるのでアタックへストレートに向かえる。


また、この左サイドでの起点作りにおけるポジショニングは、松原・倍井でインサイド・アウトサイド逆になることも多々あった。

特に倍井がワイドに出ると、受けてからドリブルでの仕掛けやチャンスメイクなど武器がある。ポジションチェンジすることでマークがズレたりDFが寄せるのが遅れたりするので、倍井が持ち上がる時間設けたり敵陣侵入にかかる時間を少なくすることができる。(+カウンター時とかは持ち上がりのスピード速い)

松原がインサイドに入ると、かなり高い位置まで出て行くので(上図2枚目ではシャドーとかの位置)、押し込めると攻撃枚数をかけることができる。4バックで守る相手に対して、5枚くらいはかかるので得点への期待も大きい。

前半はこの形での前進・アタックを継続し、倍井が仕掛けた形からペナ内で倒され決勝点となるPKを獲得していた。


後半になると、SB松原がワイド・SH倍井がインサイドというのが基本になった。押し込む時間帯で、常に最前線は5v4の形でサイドの優位性を保てていた。

ワイドの松原に気を取られるDFに対して、インサイドに入った倍井が後方からタテパスを受けて一人でフィニッシュまで完結する形も何度か。こういうシーンがこれまでの直近3試合でよく見られた。倍井はワイドでも中でも仕掛けられるプレイヤーである。

or 倍井が受けてDFが引きつくなら(相手のSBなど)次にワイドの松原を使ってクロスなどに展開できる。


攻撃の形や前進の形は見えてはいて、そこに個があるからこそ磐田の攻撃力はJ2でも高い方である。

一方で、構えられてマークがハマってしまうと出しどころを見失ってしまう。右からの前進では前に出てきた相手SHが外切り中誘導のpressingをしてくると、磐田は戻さざるを得ない=GKが蹴ってお終い。また、CB(グラッサなど)がボールを持っている場面では、前線へのフィードは確かに武器ではあるが蹴るだけになってしいまい前後のタイミングが合わない。構えて守っている相手に対してロングを蹴ってもロストするだけである。

発射台がグラッサで、ここから脱出するようなロングボールが供給されてはいるが、これが活きるのは対High-lineの相手だけだろう。(前半戦の札幌戦の先制点など)


[第21節 vs.仙台]

続いて、仙台戦。

このゲームでも磐田は4バックから左SB松原を高い位置に押し出して、残りの3枚で組み立てる。トップ下佐藤も千葉戦と同様に、右のスペースへ流れてボールを引き出す。

対して、守る仙台はミドルブロックの構え。4-4-2から4-2-4に変形し、最前線の4枚でフタをしながらCHを含めた6枚(2-4)で磐田の中盤のコースを消す。2トップが最初から磐田のCHを背中で消している。また、磐田のCBなどボールホルダーへのpressingは行わず、中閉めが最優先で外誘導からなるべくトップが流れてpressingするという形。


やり方は変わらない磐田。

右サイドはトップ下佐藤が流れて引き出すが、仙台のSHがpressingに出たところで背後を狙う。併せて、同サイドWGクルークスは高い位置まで張って対峙するSBをピン留め。

しかし、仙台はここのケアをしっかりしてきた。
ボールがサイドに動けばSHを押し出してpressingし、中盤はこのタイミングでスライドする。CHがスライドすることで、SHの背後に流れてくるトップ下佐藤を捕まえることができる。

CHがスライドするなら磐田のCHはマークがつかないのでは?と思うが、仙台は磐田のビルドのスタートの時点で2トップがCHを意識して背中で消すなどしていたので、ボールが動いても変わらずコースを消し続けてフロントスクリーン(背中で消すこと)で対応する。←荒木・エロンの立ち位置。

磐田はサイドからの前進・切り崩しでのキーになっていた、佐藤のスペースinを封じらてしまったので、結局DFラインで持ちながら…停滞する


しかし、その中でもしっかりやり方を変えて深くまで入るシーンがあった。サイドの引き出しとインサイドからのアンダーラップである。

上図1枚目のように、元々高い位置に張っていたクルークスがポジションを下げてサイドでボールを引き出す。クルークスに対しては、仙台の左SB石尾が常に監視しているためここでもマークについてくる。となれば、SBを引き出せたのならその背後が空く

磐田は、クルークスがワイドで受けて対峙するSBが前に出てきたタイミングでCH金子がスペースへ飛び出していく。飛び出して行く金子に対して、仙台は誰かがいかないと簡単にクロス等まで持っていかれるが、中の状況を見るとトップ渡邉・トップ下佐藤が仙台の2CBをロックしているので仙台はリソースをスムーズに割けない

この形で前進しうまくスペースを突いていった磐田。トップ下佐藤が相手のSHの背後を使えないなら、インサイドに戻ってクルークスにスペースを使わせる。そして前進の段階で、インサイドに戻った佐藤が相手のCBをロックすることで、スペースへ金子などが飛び出して深い位置でボールを受けることが出来る。

トップ下佐藤・ワイドのクルークスが警戒されている中で両者が組み立て側となり、チャンスメイクしたのは、相手FWにコースを消されて仕事ができていなかったCH金子だった。配置の整備と役割の変更でうまく切り崩す。


一方、左サイドは千葉戦と同じような前進方法。このゲームでは、WG倍井が大外で受けて持ち上がるシーンがほとんどだった。=SB松原はインサイドの高い位置まで出ていく

4-2-4で構えている仙台の守備陣形に対して、最前線4の外側でワイドのプレイヤーが受けることでスムーズな前進が可能になる。

しかし、仙台のSH(郷家)のプレスバックが素早かった。
仙台は森山体制の下、守備への意識は高くこのシーンでも、自陣に進まれたら全体がしっかり戻ることを決めていた。なので、倍井にパスが入ったとしても戻ってくる郷家がすぐに対応する。

千葉はインサイドに上がってくる松原(倍井)を管理しないといけなかったため、最終ライン4枚はインサイドに固定されてワイドで受けた倍井(松原)に対して寄せるタイミングが遅れる。+SHもすぐには戻ってこない。

⇔対して仙台は、前提としてSHがしっかり帰陣することを約束し、最終ライン4枚はインサイドに入ってくるプレイヤーや2トップを管理するだけに集中すれば良い。ボールホルダーであるワイドのプレイヤーへはSHが対応し、安定的な守備を継続する。守備への意識というか、ほんの2,3秒のスプリントを実行できるかどうかが仙台と千葉の差異だったか。


磐田は仙台の隙の少ないミドルブロックに対応されて、持たされる展開が続き停滞感も出てくる。保持しているが進めないという重苦しい状況。

という中で、痺れを切らすように発射台ことグラッサが前線にフィードする。これに対して、インサイドに入ってきている左SB松原が飛び出していくが、ボールも相手も見えている仙台の守備陣は焦ることなくこのロングボールを回収する一方である。

相手がpressingしてこないなら自由に蹴ることはできるが、それ故、相手の守備陣形は明確にセットされており整っている。それに対してロングを使っても回収されやすいのである。磐田は強力なポストプレイヤーがいるわけでもなく、中央で受けようにも相手の絞っている4バックに対応され、ワイドを使おうにもスライドや相手のSHバックで対応される(1v1で仕掛けられない、クルークスの強みも活きない)。

あらゆるコースを消されて焦ったい磐田。無理矢理にでも前進しようとするが、コンパクトで守備時の距離感の良い仙台の守備網に引っかかりロスト…という流れ。

後半になって、押し込む時間が増えたが守備枚数をかける仙台のブロックを崩すような決定機は生まれず、無得点に終わる。

仙台がそれなりに磐田対策を見せてくれたのではないだろうか


[第22節 vs.熊本]

この項最後は、前節の熊本戦。

磐田のビルドの入り口は特に変化なし。
このゲームでは、トップ下に角昂志郎が入ったところが変化した。

守る熊本は、ベースの3-1-3-3から最前線3枚でpressing・中盤はアンカーの上村とトップ下藤井で見る・後方は5バック気味で対応する。高い位置を取ってくる磐田の左SB松原のところもケアしたいので、右WB豊田は完全に最終ラインに吸収されずに少し中途半端な立ち位置をとる。

最前線3枚という部分で、WGの古長谷・塩浜がインサイドに絞って、ワントップ神代と3枚になる。特に右WG塩浜は、攻撃時もインサイドに入ってプレーすることが多くあった。=攻守で一体性を持つ。


磐田の右からの前進はここまで出てきた通り。

トップ下の角も右サイドに流れてパスコースになる。ここのトップ下の動き方は確実にやってくる部分

熊本は、最終ラインをスライドして角に対して左WB岩下を押し出す。おおよそマンツーで管理する熊本は、一個ずつズラしてマークを決定する。中盤も後方もハマっている。

磐田はサイドからの切り崩しに苦慮。

右サイドはオーバーロードでトップ下が入ってきて、枚数で崩したりパスコースを確保したいっぽいが、それ故、渋滞が起きてしまいチームのストロングであるクルークスまでボールが通らない。1v1やクロスが特徴的なクルークスまで通すには、相手がもっと守備的になってからである。ここを活かせないのが非常に勿体無い。


左からの前進では、マンツーでハメる熊本に対してハーフスペースで倍井が引き出す形が多くあった。

左SB松原がワイドに開いている+熊本のWGがインサイドで守備をしている ということもあり、倍井は左サイドでのビルド時はタテのパスコースで受けられる。

倍井はハーフスペースで受けて対峙する脇CBと1v1という様相へ。しかし、ここが孤立しているので、サポートがない分ミスするとすぐにロストしてしまう。また、ワイドで1v1するよりもゴールへの距離は近いが、DF側からするとサイドに追いやれば怖くないのでそういう対応をするだけで良い

また、倍井が受けた際には松原がワイドに駆け上がっていくが、熊本の右WB豊田がマンマークでついていくので大外のサポートにはなれない。

倍井は1v1でなかなか破れず、ワイドの松原を使おうにもそこにはマークがいる。中央を使って崩したいがそこも守備枚数は揃っている…。

ビルド〜アタックのところでは、かなり苦戦しているような印象で、CHやトップ下を使って中央から前進しようにも、熊本の守備網に引っ掛かるか自分らのミスが目立ちうまくいかない。磐田はもう少しCHの立ち位置や前後のボールの繋ぎ方を工夫しないと頭打ちになる(おそらく、CHが動かないのはトップ下を自由に動かしたいからであろう⇔しかし、トップ下も相手のマークの受け渡しに対応されたりスペースを消されたりする)。


そういった停滞感が強まると、どうしようもなく後方からロングボールを入れていく。倍井がウラを狙っていたり、渡邉が足元で収めようと試みているがそことのタイミングが合わない。

発射台のグラッサのフィードが評価されるような形で使われることはなく、ただの吐き出しになっている=ロストの対象。他に、GK川島は前線にとりあえずフィードするだけになっている感。

↓のような守備側はやることやって飛び込まなければ簡単に守れる


後半、より停滞感を感じるようになった磐田は熊本のラインが上がったpressingに押されて、自滅から2失点した。

上図のように自陣はマークをハメられて同数。+1でGK川島がいるが蹴る選択しかない(あとは手前のCBにパスするくらい)。前線に送ろうにも同数になっており、そもそも後方で蹴れるのはGK川島くらい。蹴っても滞空時間で熊本は帰陣しボール周辺に枚数かけられる。

↓以下のような失点に繋がってしまった。効果的なポジションチェンジを自陣(手前)で行えていないことが要因か。動いているのはトップ下と左サイドくらい(左サイドは前に出ていくのでビルドにそこまで関わらない)。


押し込める時間が来ると(熊本がリードして守備的になっただけ)、ペイショットの投入+高い位置でようやくボールを持てたクルークスがクロスを供給する。チャンスはあったものの後少しの精度を欠いた。

熊本戦は0-2の敗戦。

ジョン ハッチンソン、ブチギレ


(確かに中身のないゲームだった印象)


データで見ると

ロングボールデータ

磐田のロングボールの使用本数は1217本でリーグ内では札幌と競るくらいに高い数値を残している。1試合平均55本くらい(札幌は60本くらい)で同じ感じか。

といっても、磐田はロングの使い道は勿体無いシーンが多い印象。ビルドで詰まったりpressing受けて出しどころなくて吐き出す、みたいな形が頻繁になるので効果的な使い方ではない


APT,支配率,ロング頻度

まずは、APT(アクチュアルプレーイングタイム)だがリーグ内では普通くらい。札幌よりも1試合平均では+1.5分くらい。保持と放り込みがあるので札幌と似た数値にはなる。

支配率は57.9%でリーグ首位。札幌が2位なので、今節もどちらが持つことになるかというところ。札幌からすると、持つ場面(攻撃で相手を見る)と持たない場面(スピード感ある攻撃、他に守備時)を明確にしたい持たせて良い守備を敷いた方が良いという感触がある。

ロングの使用頻度は、ロング1本蹴るのに大体34.17秒くらいで平均の少し下。支配率が高いので、ロングの本数が多くても頻度は下がってしまう。が、地上でのポゼッションも多いし、その中で放り込んでくることもある。バランスが取れている?のかもしれない。

↓以上のデータは以下の記事内で紹介してます。


左:札幌 右:磐田

時間ごとの得失点も見ておきます。

磐田の得点が多いのは、前半中盤以降・後半中盤以降
ボールを持ち始めてリズムが出てきたなかで、押し込みつつゴールへ迫っていくという形。特に、後半終盤にかけて得点が多いのは、相手が守備的になるくらい攻撃への意識を持てているということで押し込む時間も多くなる。ここは札幌の守備力が試される。

失点は後半中盤以降が多い
押し込む時間が多いと書いたが、逆に相手に奪われればオープンになるのでピンチにもなりやすい。また、ボールを持ててはいるがそこからの前進に問題があると、詰まって自滅などの失点もある。

後半の畳み掛けで札幌も力で押し返したい。
お互いに力はあるので拮抗した試合になるのか、それともどちらかのワンサイドゲームになるか。


守備

守備は前から圧力をかけるのが特徴的で、敵陣に守備枚数をかける。その一方で、それをウラ返される形も結構あり


[第20節 vs.千葉]

まずは、千葉戦。

千葉のビルドの入り口は、ベースの4-4-2のまま。

磐田としては、ベースの4-2-1-3からトップ下を前に置いて4-4-2にしてpressingする。ただ、千葉の両SBが低い位置を取っているため、磐田のSH(元はWGだが守備時はSH的な位置)は高めの位置になる。=マークが前にいるから。

なので、陣形的には4-2-4でのpressingになる。


千葉の右サイド=磐田の左サイドにボールが動けば、スライドしてpressingをする。

大抵、保持側は右利きが多いので右サイドからビルドを始める。ということで、磐田はこちらサイドではより前進を阻止しようとなる。特に、左SB松原は相手のSHに対して強く出れるように準備しており、攻撃時同様にアグレッシブなポジショニング


ある程度強度を上げつつpressingする+後方もマークをハメておく磐田に対して、蹴る選択しかなくなっている千葉はロングで脱出することしかできない。前線にターゲットがいるわけでもないのでロストになる。スピードのあるSH田中なども活かせない、ここやこのウラにボールを供給できない。磐田はpressingをかけて蹴らせて回収する流れへ

敵陣深い位置でのpressingではより前からのpressing強度が高く、ボールホルダーへの距離も一気に詰める。ここで4-2-4で最前線に4枚かけている意味を成す。ここでも蹴らせて、プレーを切らせて高い位置でスローインを獲得できたりする。

相手が蹴らないならpressingを徐々に強めて、ゴール前やペナ内で保持しだすならもっと強める。じわじわと距離を詰めて相手の余裕を制限する。


しかし、サイドのところでSH(元WG)がそれほど強く行かないので、千葉はその余裕を持ってサイドウラを攻略し始める。

磐田は、特に前がかりなポジショニングを取っている左SB松原の背後を取られてしまう。ここで、SB松原が出ていくのは良いが、CBはマークがいるのでそれによって固定されてしまう。=CB-SB間にスペースができて、SBのカバーがいなくなったり

そういう磐田の特徴を突いた千葉は、きっかけを掴み押し込む形を再現する。ウラに抜けるのはインサイドのプレイヤーで、最前線のトップが相手のCBをロックしてスペースを埋めさせない(カバーさせない)


また、千葉はSBが高い位置に出ていこうとするシーンも散見された。

ここでSBが上がることによって、その前にいるSHがインサイドに入っていく。この動きに対して、磐田はSBが相手の上がってきているSBに対応しようとする。大外は大外で管理。しかし、そうなるとインサイドに入ってくる相手のSHはどう管理するのか?

上図のように、千葉のSB(ここでは高橋)に倍井・松原どちらも意識が向いているのでインサイドに入ってきた千葉のSH杉山はフリー。ここにパスが入ってpressingが無効化、千葉の前進〜アタックの起点となってしまう。

例えば、SBを松原に任せて、インサイドに入ってきているSHは倍井が背中でコースを消すなどできれば前進されない、という考えもある。


この現象は、逆の守っている右サイドでも見られた。

千葉の特徴的なSBの押し上げが発揮され、SBを大外高い位置に配置し、その前のSHはインサイドへの形。これは磐田も攻撃時にやっていたことであるが、やはりチャンスになりやすい形。

これで磐田のSBに対して千葉は2枚かけれているので、2v1でどちらかがフリー。+SH(元WG)クルークスも自陣に戻って大外対応するとか、インサイドのSHを消すとかはやらない

CHがカバーしようにも千葉の中盤がいるので手離せない。


千葉は目論み通り、インサイドにボールを入れてから上がってきているSBを使ってサイドの深い位置に侵入する。

相手の高い位置をとるSBとインサイドに入るSH、この2枚のマークや管理の仕方が曖昧になっており、かつ磐田のSH(元WG)の仕事がなくなった結果である。サイドでの優位性を簡単につくられ、その対策も講じられなかった。

pressingに出ている時はある程度自由を制限できるが、セットして構えている時では相手のポジションチェンジに対応しにくくなる


他に、千葉は後半のビルドでCHの立ち位置を変えて引き出させる形もあった。

磐田は4-2-4でpressingするので、2列目のワイドがいない=中央の2枚だけになっている。本来、サイドのところにはSH(元WG)が下がって対応し、前線のpressingはトップに任せるなど。

しかし、ここでSH(元WG)が前に出ていることで背中が空くその背中に千葉のCHが流れてきてボールを引き出して前進する。最前線でSHが磐田のSBを押し込んでロックしているので、磐田はSBが前に出られない(前に出ると対峙するSHがフリーになる、スライドも間に合うとは思えない)。

少し前後(4と2-4)が分断されてしまっているような印象

前半は繋ぐよりも蹴ってセカンド狙いだった千葉は、相手のpressingを引き出してスペースを創出した。繋ぎながら地上で前進する千葉は、後半から足元での引き出しがうまいカルリーニョス ジュニオを投入し、足元での引き出しも増やした。狙いも持って安全に前後が繋がる。

「セカンドボールでは出足の速い磐田だったが、そういう状況がなくなりpressing時のかけ方・陣形の保ち方にフォーカスされると瓦解するような…。」


磐田の右サイドでもそういうシーンは頻発。

やはり、pressingで前に出るSH(元WG)の背後を使われているよう。ここのスペースに少ないタッチでのポゼッションで運ばれてしまう。SH(元WGクルークス)は、外の相手SBがいる中で外へのコースを切りながら中へ誘導できているが、中央へパスが差さるとCHが潰せないので意味がなくなった

外にいるSBも最初はコースを切られていたが、中央にパスが差されば角度が変わるのでパスコースになれる。その1,2パスでSBがハーフスペースで受けてcarry可能になる。

磐田は4-2-4でかけているが、その弱点をしっかり突かれてしまった印象。失点はなかったが、前半ほどpressingは機能しなかった。


[第21節 vs.仙台]

続いて、仙台戦。
このゲームは仙台が守備的だったので、磐田の守備面での話はそこまで多くない。

仙台は4-4-2の形は保ちつつ、最前線はSHを高い位置に配置することで同数にする。特に、右SH郷家はインサイドに入って相手の左SBを中に誘導する。=サイドにはスペースあり、右SB奥山が隙を見ては走り込んでいく

磐田は同様に4-4-2から4-2-4に可変してのpressing。仙台のSBがビルドの入り口ではそこまで高い位置を取らないので、そのままSBを見れるくらいの位置まで上がっている。磐田の守備時のSHは攻撃時はWGになるので、なるべく高い位置で守備をしたいというのが、この記事を通してそろそろわかってくる頃だろう


という中で仙台は、繋ぐことはせずに前線に長めのボールを送り込んでいく。

郷家がインサイドに入っている右サイド側では、磐田の守備陣と3v3の同数になっており、特にワントップ エロンは強力なポストプレイヤーなのでここをターゲットに設定して放り込む。

前からきている磐田に対して、磐田の最前線4枚をウラ返す手法でボールを進める。また、ロングのこぼれなどの球際への意識は強く、磐田に勝るくらいに仙台もがっつく。攻守での球際へのこだわりが見える。


千葉と同様に仙台も磐田のサイドウラを狙う機会があった。

進むのは右サイド。
SB奥山が持った時に郷家が降りてくる(=サポートするような格好)。これに釣られて、磐田の左SB松原が前進する。取りに行くため、足元潰すため、前を向かせないため。

ここでキーになるのはワントップ エロンの引き出し


郷家が降りたことで対峙する磐田の左SB松原も前に出た。その背後が空いてくる。その先にいるのが、エロン。

先ほど出たように、エロンはフィジカルの強さも相まってポストプレー可能。そういう特徴がある上で、SB奥山からのパスに対してエロンが引き出す。しかも、磐田のSB松原は前に出ていることで周辺にはスペースがある

こういった前がかりな磐田のpressingのウラを取るようにして仙台は着実な前進を試みる。しかし、ここからのフィニッシュワークは未だに課題か。


後半は保持から中央を突破するような形で前進した仙台。磐田の守備の緩さ加減を見計らって、割と簡単に前進できていた。その中で、守備の時間もあったが、最終的には後半ATで決勝点を奪った。

磐田は守備の部分で穴が大きいというか、あまり対応しきれていない印象。


[第22節 vs.熊本]

最後は前節の熊本戦。

熊本はベースの3-1-3-3の形は保っているが、ポジションチェンジでマークをズラして受ける圧力を緩和する。

磐田はこのポジションチェンジに対応しきれず、苦慮を強いられた感。


そして、いつもの如く、前に出る左SB松原の背後が狙われる。

熊本はポジションチェンジで、磐田になんとかついて来させようとする。磐田はマークにつくことに注力しており、特にサイドはハメ込みたいのでガッチリ人につきたい。しかし、そのウラがある

熊本は、元々右WGであった塩浜がインサイドに入った状態でプレーしており、ワイドにはトップ下の藤井が流れる。このポジションチェンジでマークをズラしつつ、ワイドに流れた藤井がSB松原に意識を向けさせて、その背後でインサイドから塩浜が飛び出していく

ロングの頻度が上がり始めている熊本は、繋ぐことに固執しすぎず狙いを持ったロングの利用でうまく進められている。札幌戦でもそうであったように、相手の守備陣形にある穴を突けるようになった。言い方は悪いが、自己満なポゼッションonlyなサッカーから脱却し、より効率的な戦い方ができている印象。

磐田は外誘導しながら、大外でSH(元WG)が出力してボールに出る狙いがある。+その次のセカンドはSBが狙いという流れ。しかし、大外にボールが出てきてもそこまで強度を上げられない。SBも連動して前に出ているが、1stプレッシャーで出られないので蹴られたらSBも越される。これが磐田が何度もやられている形。SH(元WG)のポジショニング・pressing強度を気にしないといけない。


戦いの目安

磐田の攻撃力や狙いを持った可変などは、対応を明確にしないと簡単にやられてしまうので、守備での守り方の選択を誤りたくない。磐田の守備では、確実に穴ができてくるようなので、そこをうまく突くためのポジショニングとボールの動かし方が重要


札幌保持時。

磐田はCHはマンツーで見てくるので、4-2-4の2-4は札幌陣内に入り込んでくると予想

その2-4を無効化するようにして、2-4の背後でアマドゥや木戸などといった引き出しのうまいプレイヤーが必要になる。2-4を越せればあとは自由にフィニッシュワークまで持っていけば良い。

上図のシーンでも、ボールサイドでは白井が対峙する磐田の左SB松原を引き出して、アマドゥ周辺にスペースを作り、受ける余裕をプレゼントしたい


タテパスでアマドゥまで入れば、そこからは素早くカウンターのようにアタックしたい

アマドゥのレイオフをCHが受けて、SH白井(スピードを活かして)が一気にサイドを破る。この形で深い位置までの侵入と、決定機を作り出すことができるのではないだろうか?

磐田はセカンドボールなどへの出足は良いため、タテパスをアタックのスイッチとしてスピード感持って深い位置まで入りたい。=磐田を置き去りにするような素早いアタックの展開。

やはり、磐田の左SB松原はアグレッシブなポジショニングをするので、それをウラ返すようなサイドウラの使い方や、ここでSH(白井・近藤)が高い位置で勝負できるようにしたい。

というのが、昨シーズンの磐田戦↓


また、アマドゥをビルドの出口・アタックの入り口 とするのは良いのだが、これをやり過ぎると磐田もCB2枚で対策するなどして余裕がなくなり始める

そういった時には逆サイドを見たい。
磐田のDFラインがスライドすることで逆SHは空いてくる。右SBに高嶺が入るなら、左足で中に持てるのでタテへの選択肢と逆への展開の選択肢、色々な展開が可能になる。サイドチェンジすれば、スペースも広大にあるので仕掛けて速攻で得点も狙える。

※磐田はSH(元WG)が下がって守備をすることはないので、逆で待ち構える札幌SHは自由があるだろう…。

こういったタテへの選択ができれば良いが、自陣でGK周辺で繋ぎ始めると磐田は高強度なpressingを敢行してくるので警戒。ちまちま持つよりも早めにリリースして前線で起点を作りたい。そのために、中盤・前線のプレイヤーは相手を動かすポジショニングが必要。(これで磐田が構えてくるなら慎重に攻めつつ、ブロックを崩すための動きやミドルシュートがキーになる)


札幌守備時(磐田保持時)。

磐田保持時の札幌は焦れないことが重要

pressingはそこまで前に出る必要はないとし、2トップは背中で相手CHを消すような立ち位置で我慢(=外誘導する)。トップ下がスペースに浮いているなら、CBかCHどちらかが出れるようにコミュニケーションをとりたい。


磐田の右展開となれば、左SHを押し上げてのpressingを開始。

ここで縦のレーンに磐田のトップ下が流れてくるなら、そのコースを消すようなpressingがSHに求められる外切り中誘導である。

最終ラインも全体でスライドして、左サイドに向かってコンパクトな陣形を保ってスペースを埋めれるようにする。磐田の右サイドでは、ワイドにクルークスという怖いアタッカーがいるので、そこまでボールを通させないような守備スタイルが効果的。タテへの矢印をへし折り、戻させて再びセットしたい。

GKまで戻ればロングがくるのでそれを回収しよう。


磐田の左展開では。

アマドゥがpressingに出ながら外誘導になるかな?
外に誘導した時に、SH白井(近藤)が前に飛び込まなければパスがきても対応可能。磐田はこの左サイドでのワイドを使った前進をしたいと思うので、それをさせないようにこのサイドのSH(白井・近藤)は低めの位置で構えるほうが吉

全体で4-4-2でコンパクトに綺麗にセットする。

これで持たせて停滞させれば、磐田は焦れてロングボールを放り込んでくるだろう。これを後方でしっかり回収できればマイボールになり、狙い通りに攻撃を展開すれば良い。

どちらが先に焦れるかの勝負でもありそう。


負けられない夏。
ここで勝てれば一気に上位への道は見えてくる。それだけ重要な一戦であるが、これまでの磐田の振る舞いを見れば対策は十分に取れるし、簡単に穴を空けないようにできれば0で守れる。そして、逆に磐田の穴を作り出し、そこをうまく活用すれば勝利への活路は見えてくる。

前半戦の対戦、相性の良さ、現在のチーム状況、これからの未来。
様々な条件で見ても勝たないといけない試合。負けるわけにはいかない。札幌はまだまだ止まらないはずだ。

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