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['25 コンサドーレ] vs.V・ファーレン長崎 〜合理性を壊したもの〜

2025明治安田J2リーグは第25節。

前節はホーム鳥栖戦でなんとか勝利を収めた札幌。勢いそのままに大勝負の8月、そして大事な今節は勝利で飾りたい。勝てばPO圏へプレッシャーをかけることもできる。直接対決で落としてきた今シーズン、もう落とせない状況下で勝利は必須。

一方、前節はホーム仙台戦でチャンスを多く作るも決めきれずドローに終わった長崎。なんとしてでもホームで勝ちたい。前半戦ではアウェイで2点差を後半ATで追いつかれただけに、ホームで迎える第二ラウンドは勝ちきりたい。

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↓長崎戦前の戦術チェックはこちらから。

↓前節の記事はこちらから。

↓前回対戦時の記事はこちらから。

↓2025シーズンの各節の振り返りはこちらから見れます。


試合概要・スタメン

試合データ

結果は2-1で長崎が逆転勝利。
ホームの有利さそのままに5倍近くのシュート数を放ち、後半ATで劇的な逆転ゴールを奪った。期待値2越えは今シーズン8試合目。前節の仙台戦のように決めきれずに終わることはなかった。

札幌は先制し守ることを選択したが、後半で耐えきれず。大事な一戦で勝ち点を得られなかった。


スタメン

長崎は前節から1枚替え。
ワントップをフアンマからエジガルジュニオに代えた。それ以外はメンバーそのまま。

札幌は前節と同じメンバー。
配置的には西野が左に回ったくらいで、それ以外は前節の流れを継承する。システムも3-4-2-1で長崎に対してミラー


同じ展開

今節も守備的な形から入った札幌。まずは、長崎保持時から。

保持する長崎は、これまでのゲーム同様3CB+2CHでの組み立て。ワイドは高い位置と低い位置をどちらも取れるような配置。そこまで大きく可変することはない。

守る札幌は、3-4-2-1からWBを下げて5-2-3でのブロック。
pressingに出るよりも構えてセットし続ける(アマドゥ・白井・チェックはpressingに最初から出ない)ことで、安定的な守備を目指す。その中で、CHのところは克幸・高嶺でマンツーではめて簡単に前を向かせない。

全体的にマンツーでハマるミラーゲームになっており、それぞれマークが決まっている。


その上、札幌は前節の鳥栖戦同様に相手のシャドーへのコースを消しつつ、後方からCBを押し出すなどして自由を与えない。

鳥栖と同じように、シャドーがビルドアップ・アタックのキーになっている長崎。札幌からすれば鳥栖戦と同じように対策すれば良いだけだった

長崎の右シャドーマテウスジェズスには西野がマンツーでついており、このゲームでは常にピッタリついているようだった。逆の右シャドー澤田には浦上が出れるような状況。



となれば、札幌のシャドー(白井・チェック)の背中で長崎のシャドーへのコースを消しているが、それよりも脇CB(浦上・西野)が潰しに出れる距離で捕まえていることの方が重要そう。ここのマンツーとアラート具合は結構よかった。

構えながら相手に持たせるようにして、耐える選択。前半はアウェイチームらしく0狙いだった。

⇔対して、攻撃の肝になっているシャドーをうまく使えない長崎は、中央を使えないので外回りの攻撃になってしまう。これは直近のゲームでもあったことで、前節の仙台戦は特にそういう風潮だった。

これは、左WB翁長がサイドで仕掛けられることがポイントだった。夏のウィンドーで加入した翁長はサイドで持てば仕掛けることもでき、クロスも積極的。ここに集めればチャンスメイクできるので、「中央を使えなくても左を使えば良い」という流れに。


マテウスジェズスを捕まえる術

ただ、どうしてもボールを引き出したいマテウスジェズス(南米ではマテウスヘススになるらしい)。

これまでのゲーム同様、かなり低い位置まで降りて展開していきたい模様。特に札幌の5-2-3の2の脇に降りていくプレーが目立った。脇のスペースで受けて前を向くかサイドに展開するか…。

ここに対しても、札幌はマーカーの西野がしつこくついていく。部分的にマンツーでやっている中で、ここは一番重要な箇所と言って良いだろう。マテウスのマークを受け渡すのではなく、ついていくことで受け渡しの際に生まれるズレや隙を排除する=自由を一寸も与えない。


時に、マテウスがサイドに流れてWBの位置にまで流れていく。これと同時に元々のWB米田がインサイドに入っていく。

ここでのポジションチェンジでマークをズラすとも思えながら、マテウスがボールを触れるように米田が「スペース空けてやるかあ」という雰囲気か。マテウスがこんな低い位置で持っても何も起こらないのに(もっと高い位置で持った方が怖い⇔そこまでボールが進まない…)。

マテウスがサイドに流れると、西野が前進することもあったがここは原に任せる形もあった。原の場合は西野よりも強く出ずに、まあ見ておくくらいの感じ。この辺でボールを持たれても、チェックや高嶺等のヘルプもあるので安全性は高い。


それでもボールを持ちたいマテウスは、ほぼCHな立ち位置でボールを引き出すこともあった。

上図のような形になるが、札幌としては守備ブロックの外でマテウスが持つことになるので特にマークにつく必要もないし、警戒する必要もない。逆に、ここまで低い位置に降りてくれれば後方のタスクも減り、pressingに出ずに構える選択をしている前線にとっても別に気にしすぎずに済む。


こういった形で長崎はマテウスがボールを触って、なんとか前向きになってタテパスを前線に差したい。しかし、マテウスがこれまでのゲーム同様に敵陣では自由もなく降りるしかない(これは札幌が3月ごろにアマドゥが降りまくってたことに通ずるものがある)。


チャンレンジングになる必要性は?

札幌は少しばかり前から出るようになると、WBも前に出始める。WBが前に出てしまうとサイドの深い位置へのコースとスペースが開拓される

というか、左WB翁長が低めの位置でボールを受けるのでそこに札幌の右WB高尾が出るしかない。これは、前線が少しpressingに出たことで高尾も連動しなくてはならなくなったことが関連している引いていれば白井がバックでよかった)。

翁長のところでWBを引き出せれば、その背後のスペースに同サイドシャドーの澤田がアンダーラップから深い位置に入っていく。ブロックを敷いて堅くしている札幌に対して、サイドから穴を作って攻略を試みる長崎。or翁長がそのままアーリークロスを入れるなど。

札幌としては、前からpressingに出ることは大事だが、そうなるとこのような形で簡単に深い位置に入られる。せっかくブロックを組んでスペースを与えていなかったのに、自分たちからそのスペースを提供しているような印象


上図は大外ワイドの翁長が高い位置を取りながら、その下でシャドーの澤田がスペースで引き出そうとしている。

そして、この場面では札幌はpressingに出ずにセットして構えている。ここで澤田にパスが出るなら最短距離で行けるのは白井pressingに出ていないので、前後でスペースは空いていなくプレスバックが容易

先ほどのpressingに出る場面では、必ず最終ラインから誰かが前に出ないといけない(翁長に対して出るなど)。その結果として、スペースを空けてしまったり、その空けたスペースは自陣の深い位置である。しかし、構えて守っていればシャドーのプレスバックも計算でき、わざわざマーカー(澤田のマーク=右CB浦上)を前に出して後方のスペースを空ける必要はない。

そういったことを踏まえて、前からpressingに出てチャレンジングになる必要はあったのか?と思う。前半0で行けば良いということなら、ミドルブロックくらいで構えて押されてもローブロックで守れば良い。5-2-3で全体戻れば枚数も担保できると思うが…


一方、長崎の攻撃は…
右サイドはマテウスを使うことを優先しており、とにかくマテウスに預けてチャンスメイクさせようとしている。このサイドの王様。という中で、右が停滞するなら左に持っていって仕掛けさせる。左サイドはワイドを翁長が担当し、連動で澤田がインサイドワークを行う。イメージ的には澤田をペナ幅から出さないようにするような感じ翁長の幅と澤田のインサイドの両立

右が無理なら左に逃してチャンスメイク。
これで左からの攻撃が多くなった。


ワンチャンス

守備の時間が多くあった札幌は18分。

中盤で奪取すると、チェックが運び込んで右サイドから白井がクロス。クロスは合わないものの、こぼれ球を高嶺が蹴り込んでネットを揺らす。

守備をしっかり行う+少ないチャンスを活かす。この形で理想的な形で得点を奪う。こういうのだよなあ…!

やり方的には森山仙台に近しいものがある気がする


ズレを生み出せる

では、守備ばかりの札幌保持時はどうだったのか。

ベースが3-4-2-1の札幌だが、今節は浦上・宮の2CBから始まり、左CBだった西野は一個前に出ていく。ここが少し変わったところ。

前節であれば、西野が右CBで一個前に出てCH化。右WB高尾がSB化する形をとっていたが、今節はそれとはまた違うように見えた。


というのも、前節の形では右サイドを活性化しつつ、シャドーも降ろしてきていたようだった。サイドは右を活性化で、左ではシャドーのチェックが降りていきいた。

今節は、中盤の形的には前節の保持時と変わらず3v2で数的優位にする(=中盤1-2、アンカー+2IH)。この狙いは変わらない。そして、マテウスと同サイドだった西野が一個前に出るが、これに対してマテウスが下がってこないのでフリーができる。

守備ではマテウスを抑えつつ、保持ではマテウスの背中をとって浮いている。

この形をとることで、シャドーを下げて前線の枚数を削ることを避けることができる。前節はチェックのポジショニングが低かったが、降りる必要もないので割と前目に取れる。チェックも原も前目のポジションを取ると、長崎の最終ラインを留めることができ、西野がインサイドでフリーになることに障壁がない(長崎の右CBとかが前に出てこないのでマーカーがいない)。


マテウスの守備が終わってるので、西野はマテウスの背中を狙い目にボールを引き出して前進する。

上図のように長崎の5-2-3の2の脇でフリーで受けてそのまま前へ。前線を見ると枚数的には同数+西野が運び込めば+1枚になるので、チャンスになるという効果的なビルドアップ

西野がIH化して、長崎の守備の穴をついて前進がスムーズになる。この前進の部分においても、前節はあまり感触がなかったが今節はスムーズさが出たことは変わった点である。

攻守において構造的には工夫があったので、結構見ていて面白かったしかなり合理的だったかなという印象


押し込んだ先では、左WB原が1v1を仕掛けられる。ここにボールを預ける。または逃し先かつアタックの入り口。

逆の右サイド高尾は仕掛けるよりもクロサーなので、あまりボールを集めることにはならず、左中心のアタックに。併せて、前述の通りこのサイドはマテウスが下がってこないので原はほぼ確実に1v1ができる。マテウスが戻ると1v2で長崎が守備的に優位だが、そうはならない。

長崎としては、マテウスは攻撃でのタスクで力を発揮して欲しそうで、守備に戻させるのはあまり好ましくないのだろう。前残しでカウンター等で威力を発揮させたいよう。しかし、前線での守備でもそうだがマテウスが穴になって相手に押し込まれている。ここの整合性をどう取るか?

そこで、長崎は下平監督を解任した後に3バック=守備時は5バックになることで、マテウスが下がらなくても5バックで守っているので枚数的には太刀打ちできるだろう…という感じか。


札幌のアタックでは、左シャドーのチェックがスペースでフリーになってボールを受ける形もあった。ここで受けてクロスを入れるなど。

こういう場面では、左WB原がインサイドに流れてサイド・ハーフスペースを空ける。+原が流れてくることで長崎はマークがズレる。ここの隙でチェックが降りて、ボールを受ければチャンスメイクできる。ボールのハンドリングがうまいチェックにボールを持たせたい

ここでも長崎のマテウスが下がらないことでスペースが生まれており、このマテウスサイド(札幌の左サイド)は自由に切り崩せる。長崎はこれを許容するくらいマテウスに自由を与える。


ただ、言うても序盤は守備的な展開の中でカウンター的な形が多くあったが、そこで枚数的に不十分な状態だったり、守備から攻撃へ出力しきれないこともあった。

⇔先制シーンは良い出力から枚数をかけることができた・・・これはチェックが持ってドリブルで安全に時間を作れた(ボールを取られずに運ぶ)ことができたから。

上図のように前線で孤立しているアマドゥに当てて「どうにかしといて…」みたいな風になっていた。これではアマドゥは収められずCB2枚もきているので自由がない。(単騎では突破できない)

ただ、時間が過ぎる中で守備も安定しボール保持にも安定がもたらされると、しっかりじっくりボールを持つようになった。その中でうまくスペースを創出することや、相手の穴をうまく活用し攻撃に枚数をかけられた

このボールの進め方と持ち方は岩政監督が言う「圧倒するサッカー」の一部であろう。逆に、序盤のようにロングボールを使って簡単なロストをするのはあまり良いものではなく。ウラ抜けするプレイヤーもいない。

前進の部分での改善が見られたのはとても良かった。+相手の穴・ウィークポイントをしっかり突くことができた


前半はそのまま終了し、0-1でアウェイ札幌がリードして折り返す。


後半

HTで両チーム選手交代。
長崎は右WB米田を下げて笠柳を投入し左WBへ。左WBだった翁長は右WBへ。

札幌は克幸に代えて荒野を投入。


想定通りの展開

右に翁長・左に笠柳を置いた長崎。
両サイドに仕掛けられるプレイヤーを配置し、サイドアタックをより活性化しつつその中で中央のマテウスを使えるか。

それに対して、札幌は前半と同様に構える選択でリードを保ちながら守備的な選択。チャレンジングなことは控えて相手の攻撃を抑えられるよう準備する。

展開的には長崎は押す流れになり、ゲームを見た人ならわかると思うが長崎が攻め続ける後半で札幌は守ることだけにリソースを割くしなかった。が、これは守り抜くという意味では間違っているわけではなく、正しい判断であるはず。

というのも、長崎は特にホームゲームの後半は雰囲気的なものあって、オープンな展開にしてカウンター含めて攻撃の出力をさらに上げてくる。そういう展開で開幕戦も最近でも得点を奪っている。これに対して、札幌は前半部分で取り上げたように前から出ていってしまうと、ウラ返されてマテウスが収めて擬似カウンターとかになりかねない。それが長崎の得意な形であるならば、端から構えて枚数で守るようにした方が相手の攻撃の特徴を消せる。前半と同じように安定的に守れば良いのだ。


ブロックを敷く札幌に対して長崎は、後方からの放り込みやサイドからの切り崩しを目指す。

アタックに展開するところでは、ブロックの前にCH山口が出ていってボールを引き出す。そこからワイドに入れて仕掛ける体制を作ったり、ワイドに入れるプレーを見せながら時に中央でマテウスがウラを取るシーンもあった。

もちろん、左サイドでは笠柳の仕掛けもありここも脅威になっていた。そこで、左だけに限定的にならず右の翁長もおり、中央はマテウス等もいる。前半のようにチャンスメイクできるサイドが一方になっていたが、選手交代も含めてどのエリアからも攻め込めるようになった。

札幌はこれを耐え切れるか。


自滅と言えるだろう…

耐えていた札幌だったが、68分。

自陣浅い位置からスローインするも、ここでもたつきロストするとすぐにクロスを上げられ中でマテウスジェズスがハーフボレーで決める。同点。

この失点はスローインではっきりしたプレーができなかったことにある。ここで蹴るなり前線に放るなりすれば、危険なエリアから脱することができた。長崎が前がかりな中で。そして、スローインということでスローサイドに枚数が偏っており、奪われてクロスを上げられた時にはボックス内は宮とマテウスの1v1。しかもマテウスが前向きでシュート撃てる体勢。

防げたと思うがねえ…。


時間は過ぎていくと、97分。

カウンターからマテウスジェズスが抜け出して、GKとの1v1を決めて逆転は長崎。

この失点も攻撃をやり切ることが必要だった。スローインから角でキープするのかCKを取るのか。それができなくてクリアからカウンターを喰らった。球際でのファウルかどうかは、今何か言っても結果は変わらないので無視する。


リードある中での2失点で逆転されたが、自分らで防げた失点だっただろう。これ以外のシーンは5-2-3(58分の交代後は5-3-2へ)でローブロックで堅守を継続できていただけに、とても勿体無い2失点だった。そこでのミスや中途半端さがなければリードを守りきれたと断言できる。プラン通りで来ていたのだが…。

攻撃面ではチャンスも少なかったが、90分にゴール前でアマドゥに決定機が訪れたがシュートはバー。ここでの運の無さも悔やまれる。アマドゥがシュート撃つ直前でボールが跳ね上がったことで、シュートを撃つも少しシュートコースが上がってバーに当たった。しかし、このシュートシーンでの駆け引きはさすがだったが。


そのまま試合は終了。
2-1で長崎が逆転勝利。


総括

こういうゲームを簡単に落とすとはね。
重要なゲームで勝てないからこの順位にいる

戦術的な面では、ここ1,2ヶ月で採用し始めたセットする守備がハマっており、前節同様なやり方でそれぞれの役割も明確でキーマンを抑えることができていた。内容的には押されているという見方もあるが、守備の課題とこれ以上失点を重ねられないというチームの現状を考慮すると、このやり方が最適である。

攻撃の部分は、ビルド時の前進方法とスペースの活用はうまくいっていた。前節に比べればかなりスムーズで良いシーンも多かった印象。チャンスシーンやシュート数は満足できるものではないが、チャンスに繋げるという部分は改善され、うまくボールを持てていた。これを後半でもできていれば理想的だったが、ホームの雰囲気とオープンになることを恐れた印象。そこを考慮する方が安全で、リードもあったので守備的な選択は間違っていなかった(失点もミス絡み)。

ただ、結果として敗戦。
そして、8/10に岩政監督の解任報道…。
個人的な見解はXからぜひどうぞ。


次節は秋田戦。
解任が正式に出るかは、この記事を書いている現在わかりませんが、どうなるでしょうか。

次節は様子見しようと思います。
ここで崩れてはいけないのはもちろん。

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