#583_日記_震える手で、ペンを取るあなたと
──暗闇の底で、震える手を伸ばして。
助けて、怖い……
出口の見えない真っ暗なトンネルの中で、
壊れずに進むための、力強い一歩。
ありのままの情熱と熱望とを、
行ったり、来たりしながら、ただ一日を生きること。
いま、この瞬間の過酷な現実と、乱れる呼吸……
できっこない、と泣きながら、
それでも、前を向いてきたひと。
あなたは、どんなに自信に満ちているひとよりも、
ずっと勇敢で、人間らしい誇りに満ちている。
いまはその自信のなさも、不安も、
無理に追い払わなくて大丈夫だよ。
冷えた心と、身体を温めることだけを考えて…ね。
暗闇は何もしなくても、必ず夜明けへと繋がるから。
──よく頑張ってるね、怖くてもいいんだよ
あなたが一番、言ってほしい言葉を、
わたしに教えてほしい。
自分の弱さを冷静に見つめ、自分自身を甘やかさず、誠実に人生と対峙してきたひと。
できる、と過信して、血の滲むような努力を止めてしまえば、本当の破滅に繋がると。
内なる悲鳴を無視すれば、きっと壊れてしまうから。
厳しい静寂の中に身を置くこと、自分を追い込むことでしか、その高い壁を乗り越えられないと……。
──わからない、でも答えを急がない。
鉛のついた足が、怖い。
不屈の闘志を飼い慣らし、鞭打つ厳しさよりも、
震えながらも静かにペンを握り続けた執拗な継続。
──ただ、やるという事実だけを積み上げていく。
弱音を吐ききった、その先で
自信がなくて、不安で、できっこない。
その重たい感情をすべて吐き出したあとに残る、
空っぽで冷たい静寂。
そこを、本当のスタート地点にしてきたひと。
絶望を燃料にして、一歩、また一歩と、
泥の中を這うようにして進み続けてきた。
怠けてしまうのが怖い不安を、自分を動かすための
鋭い棘として、大切に持ってきたひと。
いま、この暗闇の中で、
これだけは、明日も続けたいと思える、
たった一つの、小さな習慣や約束を守り続けたひと。
それは、言葉を一つ覚えることでも、
温かい白湯を飲むことでも、いいみたい。
厳しさは、いつかあなたを、本当の意味で自由にしてくれると信じてきた、あなたをただ、尊敬します。
あなたの言葉は、夜の海を渡る心の灯り、
灯台のみちしるべだから──
かきおろし <了, 約 880 字>
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夜、昼、朝、光、夜、(本稿)

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