#493_モノローグ_ひかりの中から、スックと立つ
──あたりまえのようにそこにある光。
昼下がりの光の中で、
きみはあまりにも自然に立っていた。
だからすぐには気がつかなかった。
強い日射しでもなく、
ドラマチックな影でもない、
ごく普通の、この街の午後に。
その平凡さの中で、
きみだけが輪郭をもっていた。
髪が風にほどけるたび、きみの時間だけが
周りよりもゆっくりと流れている。
急がない歩幅。
無駄のない視線。
呼吸の深さ。
どれも「見せよう」とはしていないのに、
自然体のまま、昼の光に溶けていく──。
かざらず、構えず、
ただ自分の速度で生きている人の美しさ。
その姿を見て、
僕の中のざわつきが
すっと静まっていった。
昼の光は残酷だ。
嘘も、ごまかしも効かない。
きみはその中で、
影を恐れずに立っていた。
信号が変わり、視界の端のきみが
一歩、歩き出したとき。
「ありがとう、急いでるの」
英語でサラリとかわす声まで、
無理のない、きみらしい美しさだった。
<了, 約 386 字>
本日は、リライトでお送りしました。

夜の女性は「静かな佇まいの美」。
昼の女性は「光の中で自然体でいる美」
同じ “美しさ”でも、
時間帯が変わるだけで、
まったく違う物語になるのが面白くて書きました。
今回は、とある女性がモデルです。
モノローグ・関連作品はこちらです
夜、昼、朝、光、夜、(本稿)

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