停滞は代謝低下原因説
〖プロローグ〗
減量中に体重が止まると、まず疑われやすいのが「代謝が落ちた」という説明だ。
たしかにそれっぽい。
食事を減らし、運動もしているのに数字が動かないと、体が省エネ化したと考えたくなる。
ただし、この話は半分までは合っているが、そこから先が雑になりやすい。
〖結論〗
この説は半分正解である。
減量が進むと消費エネルギーが少し下がる現象は実際にある。
ただし、短期の停滞をそれだけで説明するのは無理がある。
現実には水分、便通、塩分、月経周期、活動量の微減などが重なって「止まって見える」ことのほうが多い。
〖エビデンス〗
研究では、減量後に安静時代謝や総消費量が予測より少し低くなる、いわゆる代謝適応が確認されている。
一方で、その低下幅は劇的ではなく、数日から1週間程度の体重停滞を単独で説明できるほど大きくないことが多い。
また、大幅減量後でも停滞や再増加には食事遵守のゆらぎや日常活動の低下が強く関わることが報告されている。
〖研究から分かること〗
脂肪は毎日きれいに一直線で落ちない。
消費の軽い低下は起こるが、体重計に映るのは脂肪だけではないからだ。
減量が続いていても、体内の水分が増えれば数字は簡単に止まる。
ここを取り違えると、必要以上の食事制限や無意味なチートデイに走りやすい。
〖なぜこの説が広まったのか〗
停滞期という言葉が強すぎるからだ。
人は「見えない脂肪変化」より「見えている体重停止」を信じやすい。
さらに、代謝低下という説明は専門的に聞こえるので納得感もある。
だが、納得感と説明力は別物である。
〖制御ダイエット理論視点〗
重要なのは単日の値ではなく流れを見ることだ。
停滞に見えても、7日から14日単位で平均を追えば、実はゆっくり下がっていることがある。
本当に手を打つべきなのは、数週間単位で傾きが変わった時である。
原因を一つに決め打ちせず、摂取量、歩数、睡眠、塩分、便通の順に点検したほうが強い。
〖まとめ〗
停滞して見える原因の多くは、代謝そのものより水分や行動のゆらぎである。
代謝適応は実在するが、短期の停止を全部説明できるほど万能ではない。
判断は1日単位でなく、平均体重や数週間の傾きで行うべきである。
〖参考文献〗
Rosenbaum M, International Journal of Obesity, 2010。 Müller MJ, Obesity Reviews, 2016。 Fothergill E, Obesity, 2016。
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このシリーズは、 知識を単発で増やすためだけのものではない。
減量を"思いつき"ではなく"構造"として捉えるために書いている。
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