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ダイエットは明日から、その明日絶対来ない説

〖プロローグ〗


「今日はいいや、明日からやろう」

この言葉に覚えがある人は多いはずです。

そして多くの場合、その“明日”は来ない。

これは意志の強さの問題ではない。

行動の構造の問題である。

この記事では、「明日から」がなぜ機能しないのかを整理する。

〖結論〗

この説は、かなり本当である。

「明日からやる」は、基本的に機能しない。

ただし、例外はある。

それは
「明日から」と言いながら、今日のうちに開始条件を整えている場合である。

つまり問題は
「明日から」と言ったことではない。

正しくは
「今日のうちに入力を定義したかどうか」
である。

〖エビデンス〗

まず、人は先延ばしをする。

これは根性論ではなく、かなり一貫して見られる傾向である。

先延ばしは、報酬が遠く、開始コストが高く、結果の不確実性が高いほど起きやすいと整理されている。

ダイエットはこの条件をかなりきれいに満たす。

体脂肪はすぐには減らない。
食事や運動の開始には手間がかかる。
しかも、今日やったことが明日すぐ見た目に反映されるわけでもない。

この状態で
「明日からやる」
と置くと、行動は未来に送られる。

しかも未来に送られた行動は、次の日もまた同じように送られやすい。

さらに、行動は
「いつ・どこで・何をするか」
まで決まっているほど実行されやすいことが知られている。

逆に言えば、
ここが決まっていない行動は実行されにくい。

「明日からダイエットする」
は曖昧である。

何を食べるのか。
何を食べないのか。
朝どう動くのか。
外食のときどう処理するのか。

ここが空白のままだと、実行されないのは自然である。

加えて、習慣は同じ条件での反復によって形成される。

開始条件が曖昧なものは、そもそも習慣に乗らない。

つまり
「明日からやる」
が弱いのは、気合いが足りないからではない。

行動としての定義が甘いからである。

〖研究から分かること〗

難しいのは
「明日」という言葉ではない。

難しいのは
開始条件が未定義なこと
である。

人は、未来の自分を過大評価しやすい。

明日になればやる気が出る。
明日になればちゃんと選べる。
明日になれば自然に始まる。

こう考えやすい。

ただ、実際にはそうならないことが多い。

なぜなら、明日になっても環境はほぼ同じだからである。

今日と同じ冷蔵庫。
今日と同じ生活動線。
今日と同じ外食候補。
今日と同じ判断コスト。

これで急にうまくいく理由はない。

逆に言えば、
ここを変えればよい。

食材を決める。
食べるものを決める。
食べないものを決める。
朝の流れを決める。
記録方法を決める。

こうして初めて、
「明日」は実行可能なものになる。

〖なぜこの説が広まったのか〗

「明日からで成功した人」が実際にいるからである。

ただし、その中身を見るとかなり違う。

成功している人は、
明日からと言いながら

食材を買っている。
メニューを決めている。
朝の流れを決めている。
間食を消している。
記録の準備までしている。

つまり、
今日のうちに始めている。

外から見ると
「明日からで成功した」
ように見える。

でも実態は違う。

成功しているのは
「明日から」と言ったからではない。

今日のうちに条件を揃えたからである。

ここを雑に見ると、
「明日からでもどうにかなる」
という誤解が生まれる。

〖制御ダイエット理論視点〗

制御で見ると、この話はかなり単純である。

ダイエットは意思で動かない。

入力で動く。

「明日から」は入力ではない。

何を食べるか。
いつ食べるか。
何を消すか。
どう記録するか。

ここまで決まって初めて入力になる。

だから必要なのは、
気合いではない。

入力の定義である。

明日から始めること自体は問題ではない。

問題は、
明日の入力が未定義なままなこと
である。

逆に、今日のうちに入力が定義されていれば、
明日からでも普通に始まる。

つまり差は
意志の強さではない。

入力設計の有無である。

〖まとめ〗

「ダイエットは明日から」は、基本的に機能しない。

理由は、
開始条件が曖昧なまま未来に送られるからである。

先延ばしは意志の弱さではない。
構造的に起きる。

一方で、
「明日から」で成功する人もいる。

ただし、その人は今日のうちに始めている。

食材、メニュー、動線、記録。

そこまで決めていれば、
明日はただの実行日になる。

ダイエットは意思ではなく入力で決まる。

それだけの話である。

〖参考文献〗

Steel, P. (2007). The nature of procrastination: A meta-analytic and theoretical review. Psychological Bulletin.

Gollwitzer, P. M. (1999). Implementation intentions: Strong effects of simple plans. American Psychologist.

Lally, P. et al. (2010). How are habits formed: Modelling habit formation in the real world. European Journal of Social Psychology.

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このシリーズは、知識を単発で増やすためだけのものではない。

減量を
“思いつき”ではなく
“構造”として捉えるために書いている。

気になるところから辿ってもらえたらうれしい。

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