減量で見るべきは体重より体脂肪率説
【プロローグ】
「減量では体重より体脂肪率を見るべき」
これは一見、かなり“正しそう”に聞こえる。
体重は水分でブレるが、
体脂肪率なら本質を見ている気がするからだ。
だが、この説は構造的に危険である。
なぜなら、体脂肪率は“測定値”ではないからだ。
【結論】
「体脂肪率を主指標にする減量管理は誤り」
体脂肪率は推定モデルであり、
条件がズレれば簡単に数値が崩れる。
一方で体重は単純な観測値であり、
ノイズはあるがトレンドは安定している。
減量で見るべきは
“単発の数字”ではなく“体重のトレンド”である。
【エビデンス】
体脂肪率の測定に広く使われているのは
BIA(生体電気インピーダンス)法である。
これは体に微弱な電流を流し、
その抵抗値から体組成を推定する仕組みだ。
問題は、この抵抗値が
脂肪量だけで決まっていないことである。
・体内水分量
・食後/空腹
・運動後の炎症
・皮膚温度
これらの要因で抵抗値は大きく変動する。
つまり、体脂肪率は
「脂肪量を直接測っているわけではない」。
前提条件がズレれば、
数値は簡単に歪む。
【研究から分かること】
BIA法の研究では、
測定条件の違いによって
数%単位の誤差が生じることが報告されている。
特に運動後や脱水状態では、
体脂肪率が大きく上下する。
これは脂肪が増減したわけではなく、
あくまで推定モデルが外れているだけである。
つまり、日々の体脂肪率の変動は
“脂肪の変化”ではなく
“推定誤差”を見ている可能性が高い。
【ログから見た実データ】
ここで、僕の直近30日のログを見てほしい。
体重
・平均:83.9kg
・標準偏差:0.62kg
・変動係数:0.74%
体脂肪率
・平均:17.8%
・標準偏差:1.12%
・変動係数:6.29%
注目すべきは変動係数である。
体脂肪率は体重の約8.5倍ブレている。
つまり同じ「日々の測定値」でも、
信頼性がまったく違う。
・体重 → ほぼ安定(純ノイズ)
・体脂肪率 → 大きくブレる(推定誤差)
この差を無視して
体脂肪率を主指標にするのは、
誤差を見て意思決定しているのと同じである。
【なぜこの説が広まったのか】
理由はシンプルで、
「体重はブレる」という事実だけが強調されたからである。
確かに体重は水分やグリコーゲンで上下する。
だが、それは“ノイズがある観測値”であって、
“使えない指標”ではない。
むしろ問題は、
そのノイズを理解せずに単発で判断することにある。
体脂肪率は“ブレない本質の数字”として
誤解された結果、
過剰に信頼されるようになった。
【制御ダイエット理論視点】
減量とは「脂肪量」という直接観測できない状態を、
間接的に推定するプロセスである。
ここで重要なのは
“どの指標が安定しているか”ではなく
“どの指標が制御可能か”である。
体重はノイズを含むが、
ログを蓄積すればトレンドが抽出できる。
一方、体脂肪率は
推定モデルの内部状態に依存しており、
トレンドすら歪む可能性がある。
つまり、
体重=ノイズありの観測値
体脂肪率=前提依存の推定値
である。
減量の制御においては、
前者の方が圧倒的に扱いやすい。
【まとめ】
・体脂肪率は測定値ではなく推定値
・条件次第で簡単に誤差が発生する
・ログで見ても体脂肪率は体重の約8.5倍ブレる
減量で見るべきは
体脂肪率ではなく体重のトレンドである。
【参考文献】
Kyle UG, et al. Bioelectrical impedance analysis—part I: review of principles and methods.
Schoeller DA. Hydrometry and impedance analysis for body composition.
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「他の説もまとめて読みたい」 「制御ダイエット理論の全体像から入りたい」 という人向けに、入口を置いておく。
▶ ダイエット説検証シリーズ記事一覧 https://note.com/from100_control/n/n63117baf4dd2
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このシリーズは、 知識を単発で増やすためだけのものではない。
減量を"思いつき"ではなく"構造"として捉えるために書いている。
気になるところから辿ってもらえたらうれしい。
