FaceBrooklyn × iza tkm「cool」──“一日だけ人生を交換してみたい”。相手の目を通して自分を見つめる。メノルカの海、一瞬交わる視線を包む、軽やかでハイパーなドリームポップ
最新シングルリリース 2026/07/23
FaceBrooklyn & iza tkm • cool
FaceBrooklyn × iza tkmの新曲「cool」は、「一日だけ人生を交換してみたい」という印象的な発想から広がっていく一曲。
冒頭では「今日はもっとcoolになりたい」「少しだけあなたみたいになりたい」と歌われる。ここでの“cool”は単に「かっこいい」というより、もっと自由に、考えすぎず、軽やかに生きたいという感覚に近い。
そして曲の核になるのが、
「一日だけ人生を交換してみよう。そうすれば、私がいつもあなたをどう見ているか分かるかもしれない」という視点。
相手に憧れているだけではなく、「あなたは自分で思っているより、ずっと素敵なんだよ」と伝えているようにも聴こえる。
後半では、「何を感じてる?」「何が見える?」「自分が何者なのか考えてみて」と問いかけながら、「もう少しここにいて」「朝が来るまで何もしなくていい」「海風を顔に感じよう」と、より穏やかで親密な景色へ変わっていく。
だから「cool」は、単純な恋愛ソングというより、誰かと一緒にいることで、自分自身を少し違う目で見られるようになる瞬間を描いた曲なんだと思う。
サウンドを支えるのはHeartgaze。プロデュース、レコーディングに加え、ビート、ギター、シンセまで担当しており、FaceBrooklynのラテン・アーバン/インディー感覚と、iza tkmの内省的なオルタナティブ感を、軽やかで浮遊感のあるポップにまとめている。
『i Music Listen』の「incondicional」に続くiza tkmとの再共演となる今回。
タイトルは“cool”だけれど、その中心にあるのはむしろ、「あなたは、自分で思っているより素敵だよ」という、とても温かいメッセージだ。
Heartgaze & FaceBrooklyn「bby confía」 2026/07/09
「bby confía」は、6月にリリースされた「fanático」に続くHeartgazeプロデュース作品だ。
La Tercera(チリの大手日刊紙)が「fanático」をより親密で実験的な時代のcapítulo 1(第1章)と紹介していたことを踏まえると、「bby confía」はその物語を引き継ぐcapítulo 2的な立ち位置とも読める。
友達以上恋人未満の戸惑いを描いた「fanático」から、深く依存し合う関係を描く「bby confía」へ、Heartgazeとのタッグの中で、FaceBrooklynの”新章”が着実に進行している。
歌詞で描かれるのは、愛する相手への依存にも近い感情と、それでもなお信じたいという願いだ。
「君なしでは目覚めたくない」「それが本物じゃないなら生きたくない」「もし君が愛してくれるなら、すべてを置いていける」
傷つくことを恐れながらも誰かを求めてしまう。そして何度も繰り返される、
“Baby confía”「Baby、信じて。」という言葉。
それは相手へのメッセージであると同時に、『tutorial de como creer』という作品全体を貫く問いへの答えにも聞こえる。
サウンドは、エモラップ、クラウドラップ、ドリームポップ、ラテントラップを横断するHeartgazeらしいスタイル。浮遊感のあるシンセとオートチューンのボーカルが、現実と夢の境界を曖昧にしていく。
作詞は Heartgazeこと Clemente Calandra と FaceBrooklynこと Felipe Etcheverry が担当。さらに作曲、プロデュース、ミックス、マスタリングまでHeartgaze自身が手掛けている。
FaceBrooklyn自身、この一年でキャリアは大きく動いている。
2025年の3rdアルバムno somos igualesリリース後、Lollapalooza Chileへの2度目の出演を果たし、10月10日のTeatro Coliseo公演はソールドアウトを記録した。それでも本人はSACHのインタビューで「自分の成長を見るのが苦手で、誰かに言われて初めて気づくことが多い」と、飾らない言葉で語っている。数字や会場規模が物語る”上昇”と、本人の等身大の感覚のギャップこそが、FaceBrooklynの楽曲に一貫して漂う誠実さの源なのかもしれない。
“Baby、信じて。”
それは相手に向けた言葉であると同時に、自分自身の成長をまだ実感しきれていないアーティスト自身への言葉のようにも響く。“信じることを学び直す”新章は、まだ始まったばかりだ。
fanático 2026/06/11
タイトルの「fanático」はスペイン語で「熱狂的なファン」「夢中になっている人」という意味。
この曲で彼が夢中になっているのは、相手の見た目だけではない。むしろ中心にあるのは、君と話している時間、君の隣にいる安心感、そしてこの瞬間が終わってほしくないという感情だ。
冒頭の「Quédate un poquito(もう少しだけここにいて)」という一言から、曲はすでに恋のはじまりの空気をまとっている。「¿Y ahora qué hago si te tengo al frente?(君が目の前にいるのに、僕はどうしたらいいんだろう)」 恋に落ちた瞬間の戸惑いが、そのまま声になったような一節だ。
印象的なのは「Soy un fanático de tu plática(僕は君との会話のファンなんだ)」という言葉。身体的な魅力や派手な誘惑ではなく、“会話”に惹かれている。さらに「こんなに恥ずかしがる君を見たことがなかった」「ロマンチストだなんて知らなかった」と続き、相手の知らなかった一面を少しずつ発見していく時間が描かれる。その変化がこの曲の甘さになっている。
後半では気持ちがさらにまっすぐになる。「Si me pierdo, búscame/Si me caigo, atrápame/Si te amo, ámame(迷ったら探して/倒れたら受け止めて/愛したら愛して)」ほとんど祈りのような言葉が重なる。強がるのではなく、相手に委ねている。FaceBrooklynのこれまでの楽曲に多かった失恋や未練とは違い、「fanático」はまだ始まったばかりの恋を素直に歌う。それがこの曲の新しさだ。
作詞・作曲: Felipe Ignacio Etcheverry Barria(FaceBrooklynの本名。彼自身のペンによる極めてパーソナルな楽曲です)
サウンド面では、Heartgazeがビート/プロデュース/レコーディングを担当
Madafunkyがギターとレコーディングで参加。ミックスはPablo Feliú、マスタリングはWain。
Heartgazeらしい浮遊感のあるプロダクションに、Madafunkyの柔らかいギターが重なり、レゲトンというよりインディーポップやドリームポップに近い質感がある。ラテンアーバンのビート感を持ちながら、全体のムードはかなりメロウでロマンチックでFaceBrooklynの甘さと素直さが、かなり綺麗に出た新曲だ。
2mil16
タイトルの「2mil16」はスペイン語読みで”dos mil dieciséis”——すなわち2016年のことだ。歌詞に直接その答えがある。
“Tenemos algo pendiente, lo dejamos en el 2016”
(俺たちにはやり残しがある、2016年に置いてきたままの)
高校時代に始まって終わりきらなかった何か。その「宿題」を、何年も経った今、掘り起こす曲だ。
歌詞のテーマ:2016年へのプレイバック
歌詞の核となるのは、「2016年にやり残したこと(Something pending)」です。
「あの頃」の記憶: 学校に通っていた頃の思い出や、週末に一晩中踊り明かした記憶が鮮明に描かれています。
再会と葛藤: 相手に対して「自分たちはただの友達だって思い出させてくれ。じゃないと(君の目を見ると)忘れてしまいそうだ」と訴えるシーンがあり、友情と愛情の狭間で揺れる複雑な感情が表現されています。
注目ポイント:強烈な情熱と執着
曲の後半にかけて、感情はより直接的で官能的な表現へと変わっていきます。
止まらない想い: 「どうすれば君の夢を見ずにいられるのか?」という問いかけ [00:22] や、寝ている間も相手の姿が見えてしまうという描写から、相手への強い執着が伝わります。
夜の描写: 「7時に火をつけて、8時に服を脱ぎ、9時にまた始める」といった具体的な時間の経過と共に、一夜の情熱的な関係がリアルに綴られています 。
楽曲のメッセージ
この曲は、単なる失恋ソングではありません。
「愛しているなんて言わないでくれ 」「早く寝るのには飽きた 」といったフレーズからは、純粋な恋愛というよりも、抑えきれない本能的な惹かれ合いや、過去の熱狂をもう一度取り戻したいという切実な願いが感じられます。
「2mil16」は、レゲトン調のビートに乗せて、誰もが胸の奥にしまっている「あの頃の誰か」を思い出させる一曲です。
FaceBrooklynのメロウな歌声が、過去と現在を繋ぐ橋渡しとなって、聴く者の心に深く刺さります。
プロフィール
FaceBrooklyn(フェイスブルックリン)は、チリ・バルパライソ州の港町ビニャ・デル・マル出身の22歳(2025年現在)のシンガーソングライター/プロデューサーです 。
本名はフェリペ・エチェベリー (Felipe Etcheverry) で、幼少期からピアノやギターに親しみ、音楽一家に育ちました 。高校生の頃に米ラッパーXXXTentacionの死をきっかけに
初めて自作のトラックをネットに公開し、本格的に音楽制作を開始します 。
当初はインディーロックやポップス志向で、チリ系ノルウェー人アーティストのボーイ・パブロや米国のクレイロに影響を受けていましたが  
次第にラテンのトラップ/レゲトンにも魅了され、自身の感性を融合させた独自の音楽スタイルを追求するようになりました  。
10代後半にはアルゼンチン・ブエノスアイレスに渡りファッションを学んだ経験もあり  、音楽のみならずビジュアル面での自己プロデュースにも強いこだわりを持っています。
実際、FaceBrooklynはアーティスト活動においてオンラインと現実双方でのビジュアル・美学を重要視しており、楽曲のアートワークや自身のファッションにもそのセンスが表れています 。
このように多彩なバックグラウンドを持つ彼は、「シーンで頭角を現すチリの若き才能」として注目されており、2023年には有力音楽メディアから「新人発見の星」と評される存在となりました  。
現在の活動拠点はチリの首都サンティアゴで、地元ビニャ・デル・マルから2022年頃に移住しました 。
移住当初は知己が少なく孤独を感じる時期もあったようですが、そこで出会った若手女性トラップ歌手Akriila(アクリラ)とは深い友情で結ばれ、彼女の紹介でイベントやスタジオに日参するなど、人脈を広げる「ロビー活動」に励んだと語っています 。
本人いわく「音楽を世に出すには人脈作りも重要。1年間、曲を出す前にひたすら顔を売ったんだ」とのことで、そうした努力がキャリア初期の飛躍につながったと振り返っています 。
また、「常に本当の自分でいること」を信条に掲げており、トレンドに左右されず自然体で制作・発信を続ける姿勢が熱心なファン層の共感を呼んでいます  。
FaceBrooklyn自身、「媚びずに自分の音楽を作り続けた結果、少数でも熱狂的に支持してくれるファンとの“すごく素敵な繋がり”ができた」と語っており 、その言葉通りファンとの距離の近さや誠実さも彼の魅力の一部となっています。
音楽キャリアの歩み
FaceBrooklynは2021年頃から楽曲制作と発表を本格化させ、同年中に自主制作のミックステープ『Brooklyn 999』
および『Same old dreams』をリリースしました 。
これら初期作品は本人いわく「様々なジャンルの実験的な詰め合わせ」であり、本人的には“正式なアルバム”とは位置づけていませんでした 。
しかし2023年4月、満を持して9曲入りの正式デビューアルバム『Caricias(カリシアス、意訳: 愛撫)』を発表します 。
同作にはKidd VoodooやAkriila、Daiki(ダイキ、日本人プロデューサー)といった新進気鋭アーティストが参加し、インディ・ポップの繊細さとラテン・アーバンのエネルギーが融合した独特の音世界で高く評価されました  。
本人もアルバム完成を記念したリスニング・パーティーで感極まりトイレで涙したと明かしており、メディア関係者やブランドも駆けつけたそのイベントは、シーンにおける彼の存在感を示す象徴的な出来事となりました  。「『Caricias』は自分のキャリアの幕開けだ」と本人が語るように 、このデビュー作は2023年のチリ音楽界において最も鮮烈なデビューの一つとみなされ 、彼は同年の新人賞的存在として各所で紹介されるようになります。
翌2024年8月には、第2作となるアルバム『Hablando de Ti(アブランド・デ・ティ、意訳: 君について語る)』をリリースしました 。全12曲からなる本作では、前作以上にコラボレーションが充実し、スペイン語圏で人気を博すEasykidや、チリのトラップスターDrefQuilaといった大物とのフィーチャリングが実現しています 。
リード曲の「BANDI2 (バンディード) feat. Kidd Voodoo」
やAkriilaを迎えた「FREDDY」はネット上で口コミ的に広がり、
FaceBrooklynは一躍チリの若手Urbanシーンの注目株として脚光を浴びます 。
収録曲「NADIE TEKITA (ナディエ・テ・キタ) feat. Easykid」や、
DrefQuilaとの共作「LAS OLAS (ラス・オラス、波)」はメロウなレゲトン調の失恋ソングで、切なさと vulnerabilidad(無防備さ)に満ちた歌詞が印象的だと評されました 。
実際「Las Olas」は「夏の終わりに消えゆく恋」をテーマに、郷愁誘うメロディと力強いビートを融合させたメランコリックな一曲であり、リスナーから夏の失恋アンセムとして支持を集めました 。
これらの楽曲によってFaceBrooklynは10代・20代のリスナーにさらに浸透し、初恋や別れの痛みをリアルに代弁する存在としてファン層を拡大します 。こうした支持を背景に、2024年にはサンティアゴ市内の中規模ホール(Teatro SúbelaやSala Metrónomo)でのワンマン公演を立て続けにソールドアウトさせ 、着実にライブアーティストとしての地位も高めました。
また同年3月には世界的音楽フェス「ロラパルーザ・チリ 2024」への初出演も果たし、
多様な観客層に存在感をアピールしています 。このようにHablando de Ti期までに国内で盤石の人気を築いた彼は、「チリの新世代アーバン音楽を代表する一人」として認知されるまでになりました 。
最新アルバム『no somos iguales』(2025)
2025年8月21日、FaceBrooklynは待望のサードアルバム『no somos iguales(ノー・ソモス・イグアレス、西語で「俺たちは同じじゃない」の意)』をリリースしました 。
デビュー作からちょうど2年で到達した本作は、本人曰く「キャリアにおける真の転換点(antes y después)」となる意欲作であり 、タイトルが示す通り「過去の自分とは違う新章の始まり」を強く意識した作品となっています。
アルバム発売直前に公開されたインタビューで彼は「このアルバムで何かが変わる予感がする。自分自身も周囲の仲間も、そしてファンにとっても、一つのビフォーアフターになるような作品だと思う」と語っており 、実際サウンド面・制作体制面の双方で大きな飛躍が見られます。まずプロデューサーには、これまでの作品でもタッグを組んできたチリ出身の気鋭Taikoを全編に起用しました  。
Taikoはバッド・バニーやカロルGといったラテンポップ世界スターの仕事で知られる存在ですが、FaceBrooklynはその才能を信頼し共同作業を継続しています。
本アルバムからの先行シングル「sssubelo(スススベロ)」および「amarte fuerte(アマルテ・フエルテ、強く愛する)」はTaikoのプロデュースによるもので、インディーポップの新機軸とアーバンビートの融合によって失われた愛の複雑な感情を表現した意欲作となりました 。
さらに直前に公開された「no voy a estar mañana(ノー・ボイ・ア・エスタール・マニャーナ、明日にはもういない) feat. Nsqk」は
メキシコのインディR&B系シンガーNsqkを迎えた叙情的なコラボバラードで、進行形の恋の終焉をテーマに据えた楽曲です 。
この曲は曲構成も型破りで、「空や天使、走馬灯のようなイメージが浮かぶ、ジャンル分け不能なプログレッシブな曲だ」と本人も語るように 、インディーポップとエモ・トラップを同時に内包したような独特のサウンドスケープが展開します。
これら先行曲はいずれも過去の失恋の痛みや未練を綴ったもので、ノスタルジックなメロディと率直な歌詞がリスナーの共感を呼びました  。
『no somos iguales』は全12曲からなり、アルバム全体をSide A / Side Bの二部構成に分けるユニークなトラックリストを採っています(各6曲ずつ) 。全曲リストと主な特徴は以下の通りです。
『no somos iguales』トラックリストと各曲の概要
1. el combito – アルバム冒頭を飾るアップテンポな曲。邦訳すれば「ちっちゃな仲間たち」の意で、アルバムのイントロダクション的役割を果たす。詳細なレビューはまだ少ないものの、ライブでは観客を温めるキラーチューンになることが期待される。
2. #millones – タイトルにハッシュタグが付いた遊び心ある曲名で、「何百万もの~」といった意味合いを持つ。歌詞内容は公表されていないが、SNS世代の若者の心情を扱っているとの指摘もある。軽やかなポップビートが特徴。
3. incompatibles (feat. paopao) – プエルトリコ出身の女性R&Bシンガーpaopaoを迎えたラブソング。タイトルは「相容れない者同士」を意味し、お互い惹かれ合いながらもすれ違う男女の切ない関係を歌っているとみられる。paopaoの参加により柔らかいラテンR&Bの色彩が加わり、本作のハイライトの一つとなっている。
4. sssubelo – 先行シングル曲の一つ。【「Subelo(音量を上げろ)」を強調した造語タイトル】が示すように、アップリフティングなエレクトロ・ポップ調のトラックに乗せて、新境地を切り開いた意欲作 。失恋後の痛みをエネルギーに変えるような前向きさも感じられるナンバーで、Taikoのプロデュース技術が光っている。
5. meteoro (feat. Young Cister) – チリの若手トップスターYoung Cisterとの共作。スペイン語で「流星」の意。トラップ/レゲトン色が強く、両者のラップとメロディが融合したダイナミックなクラブチューンに仕上がっている。Young Cisterの参加により、本国での注目度も一層高まった。
6. sexxx break – タイトルから窺える通り、官能的なムードを湛えた曲。既存のジャンルに当てはまりづらい実験的なサウンドで、ミッドテンポのビートに乗せて甘美なボーカルと挑発的な歌詞が展開する。3つの“x”は**Explicit(露骨さ)**を示すとともに、**休憩(break)の文字通り「一時の逢瀬」**を描いた曲と推測される。
7. algo parecidos (feat. Nina) – Ninaという女性シンガー(詳細不明)を招いた一曲。タイトルは「どこか似ている」といった意味で、アルバムタイトル「no somos iguales(私たちは同じじゃない)」との対比が示唆的である。男女それぞれの視点から違いと共通点について歌うデュエット曲で、繊細なバラードに仕上がっているとの評価もある。
8. cruela – ディズニー映画のヴィラン「クルエラ(残酷な女)」を想起させるタイトルの通り、冷酷な恋人像を描いたとみられる一曲。皮肉交じりの歌詞に乗せて、ダークなエレクトロポップサウンドが展開する。失恋の苦みをスタイリッシュに表現したナンバー。
9. down bby (feat. Juanki) – 実弟でアーティスト仲間でもあるJuanki(フアンキ、別名Dimelojuank)とのコラボ曲。兄弟ならではの息の合った掛け合いが聴きどころ。曲名は「元気出して、ベイビー」のような意味合いで、落ち込んだ友人を励ます内容とも取れる。エモーショナルなメロディにトラップビートを絡めた、温かみのあるミディアムチューン。
10. amarte fuerte – 先行シングル曲の一つで、邦訳すれば「強く愛する」。力強い愛の表現とその裏に潜む不安を歌ったラブソングで、ハウシーなビートとエモーショナルなボーカルが特徴です 。FaceBrooklyn流のラブバラードとしてファンから支持されています。
11. no voy a estar mañana (feat. Nsqk) – メキシコのシンガーソングライターNsqkとの共作で、本アルバムの最後の先行シングルとして発表された楽曲です 。タイトルは「明日には僕はいない」という意味で、終わりゆく恋への未練と喪失感をテーマにしています 。曲構成は型破りで、静謐なピアノから始まり次第に盛り上がるプログレッシブな展開が特徴です。インディー的なノスタルジーとトラップ的なビートが融合し、ジャンルを超えた美しさを湛えた名曲との呼び声も高いです 。
12. aprovechame hoy – アルバムの締めくくりを飾るナンバー。タイトルは「今日のうちに僕を利用して(=今この瞬間を大事にして)」というような意味で、刹那的な恋の輝きを歌っていると推測されます。アルバム全体のテーマ「no somos iguales(私たちは同じではない)」に呼応しつつ、過去と決別して今を生きる決意が滲む感動的なエンディングとなっています。
本アルバムは、オルタナティブ、ポップ、ラテンアーバン、エモの要素が縦横に駆け巡る音楽的万華鏡のような作品であり 、全編を通してFaceBrooklynのクリエイティビティが遺憾なく発揮されています。
参加アーティストも多彩で、前述のpaopao(プエルトリコ)、Nsqk(メキシコ)、Young Cister(チリ)に加え、KuinaやAkriilaといったチリの同世代実力派、さらには兄弟のJuankiまで、国内外から盟友たちが集結しました  。
この強力な布陣もアルバムの充実度を支える一因となっています。リリース直後のレビューでは「オルタナとエモを織り交ぜた意欲作」「ジャンルの壁を越えたカラフルな一枚」といった評価が相次ぎ、特に複雑な恋愛感情を真正面から描いた歌詞の世界観はファンのみならず批評家筋からも高く評価されています  。
一部の楽曲には「進行が読めないがそれが癖になる」といった声もあり、FaceBrooklynの実験精神と表現力の豊かさが改めて浮き彫りになりました。ファンの間では発売直後から各曲の感想がSNS上で飛び交い、「泣ける」「共感しかない」といったコメントや、お気に入りの歌詞フレーズを引用して投稿する動きも見られます(例:「ya no necesito tus caricias(もう君の愛撫は必要ない)… no somos iguales, solo algo parecidos(俺たちは同じじゃない、ただ少し似ているだけ)」とアルバムタイトルに絡めた投稿など) 。
総じて『no somos iguales』は、FaceBrooklynが培ってきた個性とシーンからの期待が結実した集大成であり、アーティストとして次のステップへ踏み出す重要作と位置付けられています。
実際、リリースを記念した10月開催のTeatro Coliseo公演(自身初の大会場ワンマン)は即日完売となり  、本人も「これから始まるツアーで全曲披露する。この瞬間のために自分自身を温めてきた」と意気込みを語っています 。
ファン・批評家双方の高い関心を集める中、『no somos iguales』は2025年後半のラテン音楽シーンにおける注目アルバムの一つとなっています。
楽曲のテーマとスタイルの特徴
FaceBrooklynの楽曲は一貫して青春期の繊細な感情をリアルに切り取っている点が大きな特徴です。そのテーマの多くは恋愛、とりわけ若者世代の初恋や失恋、浮気・裏切りなど 、一見レゲトンやトラップで好まれがちなマッチョな題材とは異なります。むしろ彼はそうした題材を「アルファ(男性優位)的でなく、より感受性豊かな視点で描きたい」と考えており 、そこが他のアーバン系アーティストと一線を画す点です。
例えば代表曲「Las Olas (feat. DrefQuila)」では、夏の終わりに訪れる淡い恋の終焉が歌われます。ゆったりとしたビートに乗せて〈波の音をバックに君の話を何時間もしている〉といった情景描写が続き、曲全体が郷愁と未練に満ちた雰囲気です  。この曲について地元メディアは「彼の世代に響くメロディック・レゲトンで、同世代の他の曲より一歩抜きん出た失恋ソング」と評し、特に脆さ(vulnerabilidad)を帯びた歌詞が彼の作風を象徴していると指摘しました 。
他にも「Serás infiel con él」(君は彼と浮気するだろう)や「NADIE TEKITA」(誰も君を取ったりしない、の意)といった曲名からも察せられる通り、裏切りや独占欲、不安といったネガティブな感情を赤裸々に表現した楽曲が多く見られます。それらの歌詞は、リスナーである若者たちから「自分の気持ちそのものだ」と共感され、FaceBrooklyn自身もファンとの“心の繋がり”を築く原動力になっていると語っています 。
スタイル面では、メロディアスでエモーショナルなボーカルと、最新のラテン・トラップ/レゲトンのビートを融合させた「メロディック・レゲトン」「エモ・トラップ」とも言うべきサウンドが持ち味です 。
これには前述のように彼の音楽的ルーツが関係しており、インディーロックやベッドルーム・ポップの感性を下地に持ちながら、後天的に身につけたレゲトン愛をミックスすることで他に類を見ないオリジナルな質感を生み出しています  。
本人も「伝えたい想いはインディーの曲で歌うような内容なんだけど、それをあえてレゲトンのフォーマットに乗せてみたらどうなるかと思った」と語っており 、この発想が功を奏して従来接点のなかったティーンエイジャー層と深い共鳴を生んだといえます 。例えば先述の「Las Olas」は、哀愁的なシンセやギターでインディー色を醸しつつも、裏ではしっかりと腰に来るレゲトンビートが鳴っています 。
このように「泣けるけど踊れる」二面性を持つ曲調は彼の真骨頂であり、「メランコリーとリズムの二重奏」との評価もあります 。
一方で「BANDI2」や「FREDDY」のように仲間とコラボした曲では、よりストレートにトラップのノリを前面に出しつつ、その中にもキャッチーなサビメロディを忍び込ませるなど、ポップセンスも光ります。こうしたスタイルの幅広さもFaceBrooklynの楽曲の特徴で、チャート受けするポップ感と尖った実験性**とのバランス感覚に優れていると評価されています  。
代表曲としては、既に触れた「Las Olas」や「NADIE TEKITA」のほか、デビュー当時からファンに愛されている「Contigo/Conmigo」(君と/僕と)や「Deyandel」(デヤンデル)などが挙げられます 。「Contigo/Conmigo」は別れた恋人との思い出を綴ったエモーショナルな一曲で、そのタイトルが示すようにかつては一緒だった二人の対比を歌詞で巧みに表現しています。また「Deyandel」は具体的な意味が判然としないタイトルながら、ネット上で歌詞の解釈議論が起きた楽曲で、ミステリアスな雰囲気と中毒性のあるメロディで人気を博しました。
さらに、最新アルバムからは「no voy a estar mañana」が早くも代表曲の仲間入りを果たしつつあります。複雑な構成でありながらリスナーの心を揺さぶる同曲は、「FaceBrooklyn史上最高傑作」との声も上がるほどファンの支持を集めています。総じてFaceBrooklynの曲の歌詞は日記を読むようにプライベートでありながら、それゆえに現代の若者のリアルな心情が投影されている点が大きな魅力です。その等身大のメッセージと、ジャンルの壁を超える独創的な音楽性が相まって、彼の楽曲はチリ国内のみならずスペイン語圏全体で注目されるようになっています 。
メディアで語る思想・メッセージ
FaceBrooklynはインタビューやSNSを通じてアーティストとしての哲学も積極的に発信しています。そのキーワードとなるのが「リアルであること」と「コミュニティとの繋がり」です。
前述したように、彼はデビュー前から地道なネットワーキングやセルフプロモーションに努めてきましたが、それも「自分自身を偽らず常にオーセンティック(本物)であること」が大前提だったと語ります 。
実際、2023年当時のインタビューで彼は「サンティアゴに出てきてからずっと自分のスタイルを貫き、周りを気にしすぎないようにした。そうすることで道が開けた」と述べており 、媚びのない姿勢が評価に繋がったと分析しています。
また「音楽を通じて自分と同じように感じている人に寄り添いたい」という想いも強く持っており  、失恋や孤独に苦しむリスナーに対しては「君だけじゃない」と語りかけるようなスタンスを取っています。実兄弟とのコラボ曲「down bby」にもそうした仲間への優しい眼差しが表れていると言えるでしょう。
さらに彼は「夢を追うこと」の大切さも訴えています。自身が音楽活動を始めるきっかけとなったXXXTentacionのメッセージ(「自分の夢を追いかけろ」)を作品に織り込んだエピソードを紹介し、「自分もファンに同じことを伝えたい」と述べています 。
これはチリの若者たちに向けたポジティブなメッセージとして、多くのメディアで取り上げられました。加えて、音楽以外の趣味だったファッションやバスケットボールの経験についても触れ、「全ての経験が今の自分を形成している。好きなことに全力で打ち込むことが創造性に繋がる」と発言しています  。
これらの言葉からは、彼のクリエイティブな自己表現への飽くなき情熱と、ファンや仲間への深い感謝が感じられます。
実際、2025年のアルバム発売時にも「この作品は自分だけのものじゃない。関わってくれた仲間や支えてくれたファンすべてのおかげで完成したんだ」とコメントし 、周囲へのリスペクトを公言しています。FaceBrooklynはこうした謙虚で真摯な姿勢も相まって、メディアから「等身大で誠実な新世代アーティスト」と評価される存在となっています。
ビジュアル面のこだわり(アートワーク・ファッション)
音楽だけでなくビジュアル面での自己演出にも優れた感性を発揮しているのがFaceBrooklynです。学生時代にはファッションデザインを専攻していたほどで  、ミュージックビデオやアーティスト写真、ステージ衣装に至るまで明確な美意識を持って臨んでいます。彼のスタイルはストリートウェアとハイファッションの融合と評され、フーディーやキャップなどカジュアルな装いに独自のアレンジを加えるのが定番です。
また髪型やアクセサリーにもトレンドを取り入れつつ、自身の音楽の世界観(例えば1stアルバム『Caricias』期はパステルカラーの柔らかい雰囲気、2nd『Hablando de Ti』期は夜の都会的なムードなど)に合わせたコーディネートを見せます。アルバムごとに明確なコンセプトカラーやテーマを設定している節もあり、実際2025年の『no somos iguales』では白と黒のモノトーンを基調に「対極」を表現するビジュアル展開がなされています(アルバムアートワークには向き合う二人の人物のイラストが採用され、“同じではない二者”を象徴している)  サンティアゴ市内の街角に描かれた『no somos iguales』のアートワーク・モチーフはSNSでも話題を呼び、音楽ファンのみならずアート好きをも巻き込んだプロジェクトとなりました。
このように音楽と視覚芸術をクロスオーバーさせる試みもFaceBrooklynのこだわりの一端です。
ライブ演出にもビジュアルへの情熱が表れており、ステージ上のスクリーン投影や照明にもコンセプトを持たせています。
2024年の公演では次作タイトル「NO SOMOS IGUALES」の文字を大胆にスクリーンに映し出し観客の期待を煽る演出をするなど、視覚効果で音楽のメッセージを強調する工夫も見られました 。
こうした総合芸術的なアプローチは、彼がデジタル世代のマルチクリエイターであることを如実に示しています。ファッションやアートワークに込められた意味を探ることも、ファンにとって作品を楽しむ醍醐味となっており、「ジャケットのあのモチーフは何を表しているんだろう?」とファン同士で考察が交わされることもしばしばです。 FaceBrooklyn自身、「ビジュアルは音楽の延長線上にある」と語っており 、見る者・聴く者の五感に訴えるトータルな表現を目指していることが伺えます。
海外でのプレゼンス・配信状況
FaceBrooklynの人気はチリ国内に留まらず、着実にスペイン語圏全体へと広がりつつあります。その象徴がストリーミング・サービス上のリスナー数で、Spotifyにおける月間リスナー数は2025年8月時点で約67万人に達しています 。
聴取上位の都市は地元サンティアゴが最多ですが、次いでメキシコのメキシコシティ(Cuauhtémoc地区)やアルゼンチンのブエノスアイレスなどがランクインしており  、中南米の各国でファンベースを拡大していることがわかります。特にメキシコでは、前述のNsqkとのコラボ効果もあって注目度が上がっており、現地のSpotifyバイラルチャートに彼の楽曲が登場するなど徐々に存在感を示しています。
またRolling Stone Latin(ローリングストーン・ラテン)などの著名音楽メディアも彼の動向を取り上げ始めており、最新シングル発売時には「チリのFaceBrooklynが近くリリースするアルバム『NO SOMOS IGUALES』に先駆け、新曲をドロップ」といったニュースがコロンビアや米国のスペイン語媒体で報じられました 。これにより、南米以外のスペイン語話者にも彼の名前が届き始めています。
配信面では、SpotifyやApple Music、YouTubeなど主要プラットフォームで全カタログを公開しており、新譜はハイレゾ配信サイト(ProStudioMasters等)でも購入可能になるなど 、世界中どこからでも彼の音楽にアクセスできます。
YouTube上の公式チャンネルではミュージックビデオも精力的に発表しており、「Las Olas」や「FREDDY」のビデオは数十万回再生を記録しました 。今後はこれらプラットフォームを通じて更なる国際的ヒットが生まれる可能性も十分あり、実際本人も「自分の音楽が国境を越えて届くのは本当に光栄」とコメントしています。
ライブ展開に関しては、2025年現在まで海外公演の実績は多くありませんが、2024年にはスペインの人気歌手Saiko(サイコ)のチリ公演でオープニングアクトを務めたり 、エクアドルでのフェス出演など徐々に足場を固めています 。今後は中南米ツアーや、スペイン本国への進出も期待されており、彼自身もインタビューで「ぜひ色々な国のファンに直接会いに行きたい」と意気込んでいます。
総じて、FaceBrooklynはチリ発の新世代アーティストとして国内外での存在感を増しつつあり、その音楽は同世代の共感とジャンル横断的な革新性を武器に国境を越えて広がっています 。
今後スペイン語圏のみならずグローバルな舞台で活躍する可能性も十分に秘めており、その動向から目が離せません。
