メキシコとチリが交わる夜──Yeri Mua&Lucky Brown『Un Pacto』が描く、ベッドの上の秘密の契約と官能的ラテンアーバン
最新リリース 2026/05/29
Yeri Mua, Lucky Brown - Un Pacto
Yeri Muaが、チリ系ラテンアーバンシーンで活動するLucky Brownを迎えた新曲「Un Pacto」をリリースした。
タイトルはスペイン語で「ある契約」という意味。
サウンドはメロウで体を揺らすタイプのセクシーなレゲトン。激しく煽るというより、ムードをじっくり漂わせる仕上がりだ。
Lucky Brownの色気のあるボーカルが加わることで、Yeriのギャル感がひと回り大人っぽく映る。
歌詞のテーマは”危うい契約”。
ベッドの上で交わした秘密の約束、離れたいのに離れられない依存に近い引力——最近の「強い女」モードとは少し違う、欲望に飲まれていく感情が前面に出た一曲だ。
「Chile, México」という歌詞のシャウトが象徴するように、メキシコ×チリ、2つのストリートカルチャーが融合した今作。
プロデュースはBastian、ミックスはMNNYが担当。Yeri自身もYeri Cruz Varelaとしてソングライティングにクレジットされている。
2026/04/02
Yeri Mua × Alemán「Baddie」
ズシっとしたローライダー感のあるビート、それに乗るAlemánのバースにはG-funkの魂が宿っている。
「Con puro de a cien y diamantes me ven / En la Cayenne su culo se mira bien / Siempre volando, ya me siento Clark Kent / La mera punta del tren, fino y caro como un Benz」
「Con puro de a cien y diamantes me ven」
「俺のことをみんな見てる、de a cienのスタイルとダイヤモンドで」。de a cien はメキシコのスラングで「全開・マックス状態」という意味。全力で輝いている俺の姿を周りが見ている、というニュアンス。
「En la Cayenne su culo se mira bien」
「カイエン(ポルシェ)に乗ってたら、彼女のお尻が映える」。ド直球なラインですが、これがAlemánらしいところ笑
「Siempre volando, ya me siento Clark Kent」
「いつも空を飛んでる、もうクラーク・ケント気分」。クラーク・ケント=スーパーマンの変装した姿なので「実はスーパーパワーを持ってる男」という自己表現。
「La mera punta del tren, fino y caro como un Benz」
「列車の先頭(=トップ中のトップ)、ベンツみたいに上品で高価」。
高級車を乗り回す余裕、空を飛ぶような万能感、それをメキシコのスラングで包んだフレーズ。Dr. DreやSnoop Doggが描いた世界観をメキシコの文脈に読み替えたような、Alemánのバースはそういう説得力を持っている。ウェストコーストが本当の意味で「メキシコのもの」になった瞬間とも言える。
歌詞はシンプルに言えば、“baddie=強くて自立した女性”の宣言。
「私は前に進んでる」
「輝いてるのはダイヤのせいじゃない」
「簡単にbaddieにはなれない」
といったラインからも分かるように、誰かに評価される存在ではなく、自分で自分を定義する強さが軸にある。
同時に、「嫌われても気にしない」「泣くならフェラーリの上で」といった少し誇張された表現には、Yeriらしいギャル的な開き直りとユーモアも感じられる。
Alemán(アレマン)
メキシコを代表するラッパーの一人。
90年代USヒップホップの影響を感じさせるフロウと、ラテン特有のグルーヴを融合させたスタイルで知られる。
https://www.instagram.com/mxalemanmx?igsh=MWlzajhjcHh2ZnJzbA==
本名Erick Raúl Alemán Ramírez、メキシコ・バハ・カリフォルニア・スル州出身。
2Pac、Dr. Dre、Snoop Doggをルーツに持ち、Homegrown Mafiaクルーを率いる。
2018年のアルバム『Eclipse』でシーン内での存在感を確立し、Snoop DoggやBizarrapとのコラボも実現。
今回の「Baddie」では、ウェッサイ的な空気感をより強く引き寄せる役割を担い、Yeriのポップでギャルな世界観に“ヒップホップの芯”を通している。
『Chaparrita (Remix)』 2026/02/26リリース
「チャパリータ」な女王が、国境を越えた
2026年2月27日、メキシコとチリの音楽シーンを揺るがす一曲がリリースされた。チリのスターStandly、メキシコのプロデューサーÓscar Maydon、そしてメキシコシティが生んだ新星Cachirulaとの4者コラボ——『Chaparrita (Remix)』。
Chaparrita (Remix) が示す新しい女性像
本作のタイトルにもなっている「Chaparríta(チャパリータ)」は、本来「可愛らしい小柄な女の子」を指すスペイン語の愛称です。しかしこのリミックス版では、その言葉のニュアンスがより大胆に拡張されています。
ここで提示されるのは、単に守られるだけの可憐な存在ではありません。Yeri MuaとCachirulaという二人のアイコンは、そのチャーミングさを武器にしながらも、自らの欲望や身体性を主体的に語る女性像を打ち出しています。
特に注目すべきは、ラテンダンス文化の核心である「ペレオ(Perreo)」の描き方です。本作におけるペレオは、誰かに従うための動きではなく、あくまで自分の意思で身体を表現するスタイルとして描かれています。
“Me gusta bailar sola” というラインにも象徴されるように、踊る主体は常に自分自身です。
楽曲の中のYeri Mua ── 強気な一撃
歌詞の世界に目を向けると、Yeri Muaの独自のポジションが際立つ。
男性陣が「友達を呼んで3人で」と誘う展開に対し、彼女はこう返す。
「Suéltate, papi…(パパこそ身を任せて、もう友達は呼んだわ)」
主導権を手放さない、圧倒的な余裕。受け身ではなく、自ら仕掛けていく彼女のスタイルが、このワンラインに凝縮されている。
そしてアウトロで放たれる宣言がさらに衝撃的だ。
「La que trae los chilenos por detrás(チリの男たちを従わせる女)」
これは単なる韻踏みではない。メキシコからチリのシーンへの、圧倒的な宣戦布告だ。チリ発のヒット曲の「リミックス」に招かれながら、楽曲そのものを支配してしまう——それがYeri Muaというアーティストの凄みである。
Amor de Anexo
「Amor de Anexo」は、“Arreglamos con sexo(セックスで解決する)”という一節に象徴される、トキシックな関係を描いたレゲトン。
ケンカして、忘れて、また身体を重ねる——愛かどうか分からないまま続く腐れ縁を、Yeri Muaは美化も反省もせずに歌っている。
親も友達も反対する関係でありながら、「Qué rico hacemos el amor(でもセックスは最高)」という一言が、すべてを壊し、つなぎ止めてしまう。
Cachirula、Loojanとの強力コラボで、アルバムの中でも一際光る一曲。
Loquito – Cachirula × Loojan × Yeri MUA
Loquito — 狂気と快楽を踊らせる
『SEXOLANDIA 2』に収録された「Loquito」は、
Cachirula × Loojan に Yeri MUA が参加することで完成した一曲だ。
歌詞で繰り返されるのは、
「少しずつ、少しずつ気持ちよくする」――
欲望をじわじわ高め、理性を外して獣のようになる衝動。
「ドバイで抱いてほしい、罪でも構わない」――
境界線を越える大胆なイメージ。
「Dale pa’trá」――
フロアを一斉に揺らすクラブの掛け声。
そのすべてが、狂気と快楽のラリーとして展開される。
ここに Yeri MUA が加わった意義は大きい。
彼女の声がフックを強烈に残し、
挑発と甘さが混ざった存在感が「Loquito」の世界観を決定づけている。
SNSで見せる無邪気な狂気、
クラブを支配する大胆さ。
そのキャラクターこそ、この曲に必要なピースだった。
だから「Loquito」は、ただのネオペレオでは終わらない。
Yeri MUA が参加することで、
狂気と快楽がよりポップに、より華やかに、
夜を踊らせるアンセムへと変わったのだ。
Cachirula紹介はこちらから⬇️
『De Chava(Deluxe)』リリース
『De Chava(Deluxe)』には、新曲が3曲追加されて、リリース。
https://open.spotify.com/prerelease/5yiqTnb9A23FTSgZNuqS7t?si=Fyl0wfYIQcKI2XH-DyyLNg
Apple Musicによると、通常版の15曲から**18曲に拡大された『De Chava(Deluxe)』**のトラックリストには、新たに以下の3曲が追加されています 。
1. Maldita(フィーチャリング Bb Trickz)
Bb Trickzスペインのラッパーのフィーチャー
Bb trickzについてはこちらから
2. Lambo(フィーチャリング Rich The Kid)
Rich The Kid(リッチ・ザ・キッド)
アメリカ・ニューヨーク出身のラッパー/シンガー。
2018年のヒット曲「Plug Walk」や、Kendrick Lamarとの共演で注目された「New Freezer」で知られる。
トラップをベースにした高音フロウが特徴で、USヒップホップシーンの一線で活躍中。
今回Yeri Muaとの「Lambo」で共演し、国際的な化学反応を生んでいる。
3. Ya Cogí con Otro(フィーチャリング Six Sex)
先行でリリースされてた「Ya Cogí Con Otro」(ヤ・コヒ・コン・オトロ=“もう他の人と寝た”)は、
アルゼンチンのクィアアーティストSix Sexをフィーチャーしたことで、音楽性もテーマ性も大きな進化を遂げた注目作。
• 音楽的にはダークで低音の効いたネオ・ペレオスタイル
• ビジュアル面ではY2K+毒々しいピンクというYeriらしい世界観
• 歌詞は**「別れた相手に対しての皮肉と自己解放」**を直球で描いており、痛みと快感、怒りと自己主張が詰まっている
この楽曲を通して、Yeriは“セクシーな見た目=軽い女”という偏見に対し真っ向から挑み、Six Sexとともに**「女性の性の主権」を音楽とダンスで叩きつけている**。
Six Sexについてはこちらから
1. Yeri Mua(イェリ・ムア)とは誰か?──TikTokクイーンの正体
Yeri Mua(本名:Yeri Cruz Varela)は2001年生まれ、メキシコ・ベラクルス州出身。
10代の頃からFacebookやTikTokでメイク動画を投稿。
YouTubeチャンネルやとこれかなメイク動画など💄😳
TikTokでは2024年に世界で最も人気のあるアーティストとしてランキング1位に輝いた。

Y2KやBratz風ビジュアルと、赤裸々なトークを武器にファンを拡大。その後、レゲトン・アーティストとしてデビューし、現在はラテンアメリカを代表する若き女性アイコンとなっている。
今回は今年に入ってからのインタビュー記事を中心にまとめています。
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2. 「Chupón」でのデビューと音楽転身
2023年、El Gudiらとの共作「Chupón」で初登場。そのビジュアル・インパクトとセクシャリティを前面に出した表現で一気に話題をさらった。
以降、彼女は“音楽こそ自分の表現の最終形”として自覚し、アーティストの道を本格的に歩み始める。
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3. レゲトン・メヒャと女性表現の拡張
メキシコのレゲトン・シーン「Reggaetón Mexa」は、これまで男性優位の構造が強かった。
そこにYeri Muaは、「女性が性や恋愛について自分の言葉で語ることは恥ではない」と明言し、自己決定とセクシャル・オートノミーを音楽に持ち込んだ。
インタビューでも「グリット(覚悟)とグリッター(輝き)を同時に持ちたい」と語り、ピンク、ビジュー、メイクといった女性的な装いを“武器”に昇華している。
Yeri Muaは、最初に声がかかった楽曲すら「自分に合ってない」と感じていたという。
だが2023年、周囲の勧めもあり、レゲトン・メヒャ(reggaetón mexa)という新しい道に進む決意を固める。
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4. アルバム『De Chava』に込められたメッセージ
2025年リリースの初アルバム『De Chava』は、タイトルの通り「女子っぽさ(=Chava)」をテーマにしたパーソナルな1枚。
代表曲は以下:
• 「Traka」:アンチへの反撃と勝利宣言
• 「Él No Es Tuyo」:ライバルBellakathとの和解曲
同じレゲトン・メヒャの人気女性アーティストBellakathとは長く緊張関係にあったが、「Él No Es Tuyo」で共演し、互いの立場を尊重する形で和解。
SNSでの整形&ダンスの揶揄(2024) → Yeriの「Traka」がディストラック扱いになりファン同士も炎上。
ディストラックとは「diss(ディス)」=批判・侮辱 + 「track(トラック)」=曲
つまり、「誰かを批判・挑発するために作られた曲」のことです。
同年末のインスタライブで互いに謝罪し、共演曲「Él No Es Tuyo」を発表して和解。
対立から連帯へ──女性アーティスト同士の象徴的な雪解け。
「私は女の敵は作りたくない」と語った彼女の発言が象徴的だ。
・Morrita(Tinkerbell):自己価値と夢の儚さをポップに描く
Yeriは「Tinkerbell」などの楽曲を通して、悲しみと強さ、そして性の主体性を歌詞に込めている。
「女性が性について語ること」がタブーとされがちな中で、グリッターやピンクを纏いながら堂々と発信する姿勢は、既存のレゲトン文化にも揺さぶりをかける。
単なるかわいさではない、**自己解放としての“女性らしさ”**を提示している。
• 「Brattiputy」:ティーン時代の不安定さと生意気さの肯定
この作品を通じて彼女は、「メイクも性も悲しみもぜんぶ私」と、自分という“物語”を一枚にまとめ上げた。
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5. 移民経験とメンタルヘルス:闘いの記録
13歳のとき、家族とともにビザ切れでアメリカから強制送還された経験を持つ。
「子どもなのに大人のように扱われ、言葉も通じずとても孤独だった」と語る。
また、過去2年間、精神科ケアやカウンセリングを受けながらSNSによる中傷と向き合っていたことも告白。
「完璧じゃない、でもそれでいい」という彼女の姿勢に、多くの若い女性が共感している。
メイク動画から注目を集めたYeriは、しばらく「自分は本当にアーティストなのか?」というインポスター症候群に悩んでいたという。
だがある時、「これが私の心からの表現。これがアートなんだ」と気づいたことで、ようやく音楽に自信を持てるようになった。
日々の感情や出来事を、歌詞としてそのまま昇華するスタイル。
「恋して、泣いて、傷ついたこと」すら、彼女の音楽の一部だ。
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6.新曲「Avión Privado」で見せた新たなラブソング像
2024年末にリリースされたシングル「Avión Privado」は、これまでのセクシャル強調路線から一転して**“人に言えないけれど本当の愛”**を描くプライベートな一曲。
スタジオではCachirulaやEl Malillaらが参加し、洗練されたレゲトン・ポップに仕上がっている。
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7.グローバルへの飛躍:Coachellaを目指して
YeriはL.A. Timesのインタビューで、「Coachellaに出たい」と語り、Doja CatやKali Uchisとの共演を夢に描いている。
すでに米ツアーではSanta AnaやMiamiなどでライブを成功させ、Rich the Kidらとのスタジオセッションも進行中。
将来ビジョン:家族とキャリア
Yeriは「30歳までに母になりたい」と語っており、その目標のためにも「今は全力で突き進む時期」だと自身を位置づけている。
名声や富ではなく、目指しているのは「レガシー(遺産)を残すこと」。
その意思はまだ模索の途中にあるが、まっすぐに前を見据えた言葉には、年齢以上の覚悟がにじむ。
8.まとめ
Yeri Muaが象徴するのは、
「女の子らしさ」と「強さ」
「美しさ」と「下品さ」
「傷つきやすさ」と「攻撃性」
──これらを二項対立ではなく、“全部まとめてわたし”として提示する、ラテンアメリカ発・自己主張の完成形だと思う。
9.用語解説(Glossary)
レゲトン・メヒャ(Reggaetón Mexa)
メキシコ発のローカル・レゲトンスタイル。「Mexa」はメキシコらしさを表すスラング。カリブ系レゲトンをメキシコの若者文化や言語感覚でアップデートした音楽ジャンル。
▶ 例:Yeri Muaの「Traka」や「Línea del Perreo」などが代表的。
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セクシャル・オートノミー(Sexual Autonomy)
性的自己決定権のこと。誰と恋愛するか、身体や見た目をどう表現するか、自分自身で選ぶ自由。フェミニズムやジェンダー平等の文脈で重視される。
▶ 例:Yeri Muaは「Ya Cogí Con Otro」で“身体も感情も自分のもの”というメッセージを強調。
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ネオペレオ(Neoperreo)
レゲトンの中でも、電子音やベースを強調した実験的・アンダーグラウンド寄りのスタイル。トラップやエレクトロを融合した新世代の「腰振り」音楽。
▶ 例:Six Sexが得意とし、今回の共演曲でビートを提供。
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Y2Kビジュアル(Y2K Visuals)
2000年代初頭のファッション・メイクトレンド。メタリック、グリッター、厚底ブーツ、Bratz人形風メイクなど。
▶ 例:Yeri MuaはこのY2K感を自身のブランドイメージとして活用。
