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露骨な性描写の先にある、“消費されない”自己定義─Six Sex、Gallery Sessionで『HUMO』『MY WET PUSSY』を披露。『ULTRA』を象徴する“煙”と主体性


Six Sex -HUMO / MY WET PUSSY        
GALLERY SESSION 出演
2026/06/26

デビューアルバム『ULTRA』のリリース直後、Six SexはGallery Sessionに出演し、アルバムから「HUMO」と「MY WET PUSSY」の2曲をパフォーマンスした。

 選ばれたのは、アルバムの中でも特にクラブカルチャーと身体性を色濃く映し出す2曲。ライブというより、『ULTRA』という作品の世界観を凝縮したショーケースと言える内容だ。

「HUMO」 煙の向こうへ溶けていくクラブ・トランス
 タイトルの「HUMO」はスペイン語で「煙」。
 歌詞ではその煙が、マリファナやタバコだけでなく、酒、クラブの熱気、そして性的興奮までも包み込む象徴として描かれる。
 「Humo, humo…」と呪文のように繰り返されるフックは、煙の中で現実感が少しずつ薄れていくようなトランス状態を演出。キス、ダンス、シャンパン、身体が触れ合う瞬間が重なり、煙は欲望そのもののメタファーへと変化していく。
 サウンドも極めてミニマル。重いデンボウのリズムと歪んだボーカルが、不穏でサイケデリックなクラブ空間を作り上げている。

「MY WET PUSSY」 欲望を隠さない、女性側の主体性
 タイトルは挑発的だが、歌詞のテーマは単なる性的表現ではない。
 「耳元で囁かれると濡れる」と率直に欲望を歌いながらも、「会うかどうかは私が決める」「私が呼びたい時だけ呼ぶ」という一節が示すように、物語の主導権は常にSix Sex自身にある。
 相手に選ばれる存在ではなく、自分が選ぶ側として振る舞う。その姿勢は「boyfree」や「PANTALOM」にも通じる、彼女の一貫したメッセージでもある。
 欲望を隠さず、しかし支配されることもない。『ULTRA』を貫く「性的主体性」が、この曲では最もストレートに表現されている。

『ULTRA』を象徴する2曲
 Gallery Sessionでこの2曲を続けて披露した構成も興味深い。
 まず「HUMO」で煙やクラブの熱気、トランス状態へ観客を引き込み、その流れのまま「MY WET PUSSY」で女性自身が欲望をコントロールする視点へと接続する。
 快楽を描きながらも、その主導権は決して他人には渡さない。
 『ULTRA』というアルバムは、露骨な性的表現だけが話題になりがちだ。しかし、その奥には「誰が自分の身体を決めるのか」というテーマが通底している。
 このGallery Sessionは、その世界観をわずか2曲で鮮やかに提示したパフォーマンスになっていると思う。

最新アルバムリリース予定 2026/06/07

ULTRA

 Six Sexのファースト・フルアルバム『ULTRA』は、単なる一過性のラテン・ダンスアルバムではなく、緻密に計算されたジェンダー批評、先鋭的なデジタル・サウンドデザイン、そしてグローバルなエンターテインメント資本のダイナミズムが奇跡的に融合して誕生した、2026年を代表する1枚になるだろう、いやそうなってほしい。

 QiriやBbynitoらが構築した凶暴な電子ビートと、Santiago De Simoneによる精緻な音響調整は、肉体的な「ペレオ」をポストデジタル時代の「アヴァン・ポップ」へと昇華させた 。
 歌詞における徹底した「男性の視線」の解体と、それに伴う「キャンプ」な身振りは、消費されるだけの女性アイドル像から脱却し、アーティスト自身が完璧にコントロールを握る新たなアイコン像を切り拓いている 。

【流れのイメージ:悪夢への突入と二面性】
アルバムは記事の核となる、男性のファンタジーと女性の恐怖が入り混じるガバ・トラック「Ultra Terrorific Fantasy」という強烈な一撃から始まります。続く「Not ur mom」で「私はあんたのママじゃない」と境界線を強く引き、10日にMVが公開される「LOVE ME HATE ME(愛して、憎んで)」へと繋がっていくことで、愛執や狂気といった「極限状態(Ultra)」の混沌とした世界へとリスナーをハメ込んでいく序盤です。
【流れのイメージ:デトックスとシスターフッド】
「FUchi!(フチ!=スペイン語で汚いものに対する『おえっ』「うわ、臭っ」というニュアンス)」や「TU AMIGO(あんたの友達)」といった、世間のしがらみや男たちを突き放すようなタイトルが並びます。そして7曲目の「boyfree」で、もっとも危険なドラッグである「男たち」をきっぱりとやめ、女友達(シスターフッド)との連帯の中に楽しさを見出すという、精神的なデトックス(毒出し)のフェーズへと移行します。
【流れのイメージ:過剰さの代償と内省】
「CALIENtE(熱い)」や「MY WET PUSSY」といったシックス・セックスらしい過激でセクシャルな全開のエネルギーが戻ってきますが、その合間に「no fomo(取り残される恐怖はない)」や「i don't love u(あなたを愛していない)」といった、すべて小文字表記のどこか冷めた、内省的なタイトルが挟まれます。ステージから降りると足から血が流れていた、脳がショートした、と彼女が吐露していたような、過剰な生活の裏にある「生々しい脆さや孤独」が垣間見えるゾーンです。
【流れのイメージ:パンクな時代の宣言】
終盤は、自らの境界線を保ったまま下品さをレベルアップさせたレゲトン「PANTALOM」で再びリスナーを圧倒し、「BEAUTY privilege(美貌の特権)」という皮肉とも取れるタイトルを経て、ラストの「no more porn(ポルノはもう終わり)」へと辿り着きます。「私はあなたのポルノスターじゃない」という、性的客体として消費されるパブリックペルソナを自らの手で完全に破壊し、自分自身のスケジュールを生きる「パンクな新時代」の到来を告げてアルバムが幕を閉じます。

ラテンカルチャーや最先端の音楽シーンを届けるメディア「Remezcla」 シックス・セックス(Six Sex)のインタビュー&記事 2026年5月28日

「Remezcla」 シックス・セックス(Six Sex)のインタビュー&記事 AI日本語訳/要約
アルゼンチン出身のダンスポップ・アーティスト、シックス・セックス(Six Sex)が、デビューアルバム『Ultra』のリリースと、バルセロナで開催される世界最高峰の音楽フェスティバル「プリマヴェーラ・サウンド(Primavera Sound)」での公演へ至るまでの軌跡を追った記事です。

デビューアルバム『Ultra』のテーマと制作背景
2025年5月、シックス・セックスはプロデューサーのQiriらと共にデビューアルバム『Ultra』の制作合宿に入りました。「多くの男性にとってのファンタジーは、私たち(女性)にとっては文字通り恐怖である」と彼女は語り、快楽と恐怖の境界線を曖昧にしながら、行き過ぎた放蕩が何をもたらすかを探求しています。「私はあなたのポルノスターではない」という歌詞に象徴されるように、欲求、同意、そして主体性がアルバムの重要な基盤となっています。彼女はこれまで、過酷なパフォーマンスで足から血を流したり、極端なライフスタイルを送っていましたが、制作過程で薬物の使用を断ち、過激な生活を美化することをやめる宣言(マニフェスト)として本作を完成させました。
セクシュアリティと社会の視線
本名フランシスカ・クエージョである彼女は、自身のセクシュアリティや身体を前面に出すスタイルをとっていますが、「女性が美しく見え、完璧なパフォーマンスをしても、短いパンツとクロップトップを着ていることしか見ない人がいる」と、女性に対する社会の偏見を指摘しています。過去にInstagramのアカウントが削除された経験から、現在は露出過多よりも検閲に対して気を配っており、インタビュー中には透けるドレスの下の乳首をダクトテープで隠すなどの対策をとっていました。現在の彼女は「自分の体を武器として使う」というパンクな精神状態にあると語っています。
ロラパルーザ・アルゼンチンでの成功
3月に開催されたロラパルーザ・アルゼンチンでは、親友でありコラボレーターでもあるフアナ・ロサス(Juana Rozas)やフィア(Fiah)らと共にステージに立ち、観客席に飛び込んでモッシュピットを巻き起こすなど、シスターフッド(女性同士の連帯)のエネルギーに満ちた大成功のライブを行いました。彼女にとってライブパフォーマンスはプロジェクトの中で最も好きな部分であり、観客とのエネルギーの交換が自身の力になっていると語っています。
初のアメリカツアー
その後に行われた自身初のアメリカツアーは、10都市以上を巡り全公演がソールドアウトしました。ヨーロッパやメキシコでのツアーと比べて都市間の移動距離が長く、体力的に過酷でしたが、言葉の壁を越えて彼女の曲を歌う北米のファンたちの熱狂的な反応に驚かされ、それが次のステージへ向かう原動力となりました。
プリマヴェーラ・サウンドと彼女の「究極のファンタジー」
10歳の頃に叔父から教わって以来の憧れであった「プリマヴェーラ・サウンド」でのステージ(6月4日)は、彼女にとって個人的にも非常に大きなマイルストーンです。このショーでは単にアップテンポな曲を並べるだけでなく、『Ultra』の楽曲を組み込んだ、より物語性と感情の起伏に富んだパフォーマンスが予定されています。アルバム『Ultra』は、その2日後の6月6日午後6時(アルゼンチン時間)に正式にリリースされます。

ババソニコス(Babasónicos)やクンビア・ビジェラといったアルゼンチンのルーツ音楽からの影響を公言し、地元の友人やプロデューサーたちと共に作り上げた本作は、彼女にとって自己実現と友情の象徴でもあります。数々の過激なファンタジーを作品で表現してきた彼女ですが、彼女自身の現実における究極の(Ultra)ファンタジーは仕事とは無関係であり、「1ヶ月休みをとってビーチハウスを借り、友達を全員呼んでリラックスしながらマリファナを吸うこと」だと率直に語っています。

「Remezcla」 シックス・セックス(Six Sex)のインタビュー&記事 こちら⬇️全文

ラテン音楽産業の再編がSix Sexを世界へ運ぶ

 Six Sexが所属するDale Play Recordsは、2025年3月にBad Bunnyを擁するプエルトリコのRimas Entertainmentが「重要な株式」を取得。さらにSony MusicとそのデジタルディストリビューターであるThe Orchardも加わり、アルゼンチン発のアーバン音楽を世界規模で展開するグローバルな流通網が整備された。

 加えて2026年6月には、ライブエンターテインメント界の巨人Live Nationが、Dale Playのライブ興行部門「Dale Play Live」の過半数株式を取得。Six Sexの北米ツアーや欧州フェスへの出演は、このような世界的プロモーターが主導するインフラの上で実現している。

 一見アンダーグラウンドに映る彼女の表現活動が、メジャーへの妥協なしにグローバル展開できている背景には、こうしたラテン音楽産業の急速な再編がある。

 そして、マクロレベルにおけるRimas、Dale Play、Live Nationの国境を越えた資本アライアンスは、このトランスグレッシブなクラブ・カルチャーがローカルな文脈を失うことなく、世界へ浸透していくための強固な背骨として機能している 。
 『ULTRA』が提示する圧倒的な音響体験と哲学的アプローチは、今後のラテン・エレクトロニクス、ひいては世界のクラブシーンにおける表現の可能性をどこまでも押し広げていくことになるだろう。

リリース リードシングル/MV

LOVE ME HATE ME    ( MV公開2026/06/10)

 アルバム制作の最終盤、2度のライティングキャンプを終えてブエノスアイレスの自宅スタジオに戻ったSix Sexは、完成した全曲を聴いて何かが足りないと感じた。プロデューサーのBbynitoに「新しい何かを作ろう」と声をかけ、締め切りを抱えた状況で生まれたのがこの曲だ。「デモを聴いた瞬間、絶対アルバムに入ると確信した。車が発進するような、何か速いものの感覚があった」と彼女は語る。

 歌詞は「love me / and hate me」の執拗な反復を軸に、スペイン語と英語が混在する。“una dolly en un tatami / fumo sushi con wasabi / de esas putas soy la mami”(タタミの上の人形 / 寿司とわさびで吸って / そこらのビッチの中で私がマミ)という一節は、アジア的イメージを借りながら自らの支配力を誇示する。“i’m a mami, i’m a daddy / vendo tix / tengo money”(チケット売って、金もある)という宣言は、愛憎の二面性を内包しながら、経済的・精神的自立を同時に歌う。

 「愛して、憎んで」という矛盾した要求を繰り返すことで、相手への依存でも拒絶でもない第三の状態、自分が主導権を握ったまま関係を制御する姿を描いた一曲だ。

PANTALOM        2024/05/02

 「PANTALOM」は正しい単語ではなく、
ほぼ確実にスペイン語の “pantalón(パンタロン)” を崩した/変形した表記です。
 直訳 pantalón = パンツ(ズボン)

 彼女の真骨頂とも言えるテーマ——性的主導権と自由——を真正面から描いた一曲だ。

 歌詞はスペイン語で綴られ、あからさまな性描写の中に、彼女らしい逆転の視点が宿っている。欲望を肯定しながらも、その条件を決めるのは常に自分自身。「マリファナを吸うのに忙しかったら、あなたとはヤらない」という一節は、そのスタンスを端的に示す。
 前作の「boyfree」が「男から自由になる宣言」だとすれば、「PANTALOM」は「快楽は自分が選ぶ」という続編にあたる。

 歌詞はスペイン語で綴られ、あからさまな性描写の中に、彼女らしい逆転の視点が宿っている。欲望を肯定しながらも、
 その条件を決めるのは常に自分自身。「マリファナを吸うのに忙しかったら、あなたとはヤらない」という一節は、そのスタンスを端的に示す。

PANTALOM 全歌詞・AI日本語訳要約

ねえパパ、パンツ脱がしたらどうなるかな
コンドーム使いたくないのわかってる
四つん這いになって奥まで入れて
あなたといるのって気持ちいい
でもマリファナ吸うのに忙しかったら
あなたの顔も見ないし、ヤらない
あなたの顔も見ない、ヤらない
(以下リフレイン)
あなたの顔なんて見ない
あなたの顔なんて見ない

 実際、Six Sexはフェス出演時にこんな発言をしている。
 男性中心のラインナップに違和感を覚え、“あえてパンツを選んだ”と語っている。

動画の中でSix Sexはこう言ってる👇

* 「場所によってはもっと快適に感じるところもある」
* 「ある男性たちと同じラインナップで正直あまり快適じゃなかった」
* 「だからパンツを履いた」

だからこの曲は単なるコンセプトではなく、現実の身体感覚から来ている

 「PANTALOM」は、ただの挑発的なクラブソングではない。それは、“どう見せるか”“どう関わるか”を自分で選び取るための、現在進行形の意思表明でもある。

 MVはクリエイティブ・ディレクターにSix Sex本人とLean Vazquezを迎え、制作はDale Play Records傘下の1000%とNoTan Agencyが担当。

ガルデル賞ノミネート

2026年4月29日、アルゼンチン音楽業界最高峰の賞「プレミオス・ガルデル(Premios Gardel)」の2026年度ノミネートが発表され、Six SexはEP『X-Sex』で最優秀エレクトロニック・アルバム部門(Mejor Álbum de Música Electrónica)にノミネートされた。

 最優秀エレクトロニック・アルバム部門の結果。受賞したのはPeces Rarosの「Peces Raros - Spotify Sessions」。Six SexのEP『X-Sex』は惜しくも受賞を逃した。 

 授賞式を5月26日に控えるガルデル賞のノミネート発表からわずか数日、このタイミングでの投下は明らかに意図的だ。デビューアルバムのリリースが迫る中、「PANTALOM」はその序章として十分すぎる存在感を放っている。

boyfree  リリース 2026年4月3日

「クソ野郎ども」からの卒業。2026年、Six Sexが鳴らす解放の産声
 2026年後半のフルアルバムに向け、Six Sexが投下した今回の新曲『boyfree』を一言で表すなら、それは「過去の清算と、自己所有権の奪還」だ。
前作で見せた不穏な空気感はそのままに、歌詞の内容はより具体的、かつ攻撃的なまでにストレートになっている。

 元カレのラッパー、スケーター、売人といった「依存の対象」を一人残らず突き放す。繰り返される 「I'm clean」 という言葉は、薬物だけでなく、他人による支配から自分を浄化したという力強い宣言に他ならない。
肉体の所有権を取り戻す

「Don't enter in my body(私の体に入ってこないで)」
「No sugar daddy(パパはいらない)」

 誰の所有物でもない「自分だけの肉体」を主張し、性的搾取やパトロン文化を真っ向から拒絶する。ブエノスアイレスからマイアミへと拠点を移しながらも、最後には 「Todas estamo' boyfree(私たちはみんな自由だ)」 と仲間との連帯を歌い上げる。

 「もうクソ野郎どもに用はない」と言い放つ彼女の瞳は、かつてないほど冷徹で自由だ。本作は単なる新曲ではなく、ポップミュージックの枠を借りた、支配的なファンタジーへの「最高の宣戦布告」である。

Ultra Terrorific Fantasy x Not ur mom  リリース 2026年3月3日

カオスと中毒性の融合

 タイトルの通り、2つのトラックがシームレスに混ざり合った構成。
 重低音のインダストリアルなビートとミニマルなシンセを軸に、同じフレーズが反復されるトランス的な構造が特徴だ。そこにささやくような、時に突き放すようなボーカルが重なり、幻想と不安定さが混ざった奇妙な空気を作り出している。「Ultra Terrorific(超・恐怖の)」という言葉通り、不穏なファンタジー空間に迷い込んだような中毒性がある。
 ポップでありながら、壊れたおもちゃのような危うさ、これがSix Sexのサウンドの核心だ。

ビジュアルとのシンクロ
 MVのウサギを抱えた幻想的なシーンや、サイバーパンク的な銃器のコラージュアートワーク、ホラームービーオマージュ、この曲の「不気味な可愛さ」と「攻撃性」を完璧に補完している。単なる音楽の枠を超え、Six Sexというアイコンそのものをプレゼンする一枚だ。

Ultra Terrorific Fantasy
 「私はあなたのポルノスターじゃない」というフレーズを繰り返す。自分のアイデンティティへの混乱と、他人からの性的な視線・支配への拒絶がテーマ。「自分が楽しいと思うことが、あなたには怖く見えるかもしれない」という部分が印象的で、他者の価値観に縛られないという強いメッセージ。

Not ur mom
 「私はあなたのお母さんじゃない」=世話を焼く存在・依存される存在であることへの拒否。自分が何者かを問われることへの疲弊と、関係性からの解放を歌っている。

 万人受けするポップスではありませんが、「可愛いけど怖い」「キャッチーだけど不快」という、相反する感情を同時に呼び起こす、非常にSix Sexらしい野心作です。

 The Faderによる最新インタビュー記事(2026年3月4日付)

 Six SexことFranciscaのアーティストとしての核心を突く、彼女が語った映画的ルーツ、アニメの影響、そして2026年後半の展望に焦点を当てて詳細に要約しました。

は、Six SexことFranciscaのアーティストとしての核心を突く、彼女が語った映画的ルーツ、アニメの影響、そして2026年後半の展望に焦点を当てて詳細に要約しました。

The Faderが暴く、Six Sexの「毒性と美学」
 世界的な音楽メディア『The Fader』が、新曲をドロップしたばかりのSix Sexを直撃。そこでは、単なるハイパーポップの枠に収まらない、彼女のドロドロとした「シネマティックな執着」が語られていました。

1. クローネンバーグ的「ボディ・ホラー」の継承
 記事内で最も印象的なのは、彼女がデヴィッド・クローネンバーグ監督(『ビデオドローム』『ザ・フライ』等)の「ボディ・ホラー(肉体変容の恐怖)」から強い影響を受けている点です。

 「肉体は常に変化し、時には裏切るもの。私は自分の体を、誰かの所有物(ポルノスターや母親)としてではなく、制御不能な『生物学的ファンタジー』として提示したい」

 歌詞にある「Not ur mom(あんたの母親じゃない)」という強烈な拒絶は、単なる反抗心ではありません。「自分の肉体を社会的な役割から切り離し、怪物的な美しさへと解放する」という、極めて映画的なアプローチから生まれています。

2. 「キャンプ(Camp)」と「B級ホラー」の惨劇
 記事タイトルの「Campy Club Carnage(キャンプなクラブの惨劇)」が示す通り、彼女のルーツは洗練されたハイアートではなく、1970〜80年代の過剰なB級ホラー映画やエクスプロイテーション映画の質感にあります。

• 不気味なコントラスト: 腕に抱かれた無垢な「ウサギ」と、背景に漂う「血生臭い暴力」の違和感。
• 悪趣味の肯定: ジョン・ウォーターズ監督のような「悪趣味の極致をポップに昇華する」キャンプな精神。彼女にとっての不快さは、観客を挑発し、既存の「美」を解体するためのツールなのです。

3. 90年代サイバーパンク・アニメの「記号化」
 彼女のビジュアルに見られる銃やサイバーなガジェットは、『攻殻機動隊』や『パーフェクトブルー』といった90年代日本アニメの退廃的な空気感へのオマージュです。
自分を「Hentai Avatar(ヘンタイ・アバター)」と自称するように、アニメにおける「性的・暴力的に記号化された女性像」をあえて自ら演じ、それを内側から爆破することで、男性中心的なファンタジーを無効化しようとするハイパー・フェミニズムの側面が強調されています。

4. アルバムへの「不穏な予告」
 年内リリース予定のフルアルバムについて、彼女はこう締めくくっています。
 「今まではみんなを踊らせるための曲を作ってきた。でも次は、『ダンスフロアの真ん中で、ふと背後に誰かがいるような恐怖を感じる』アルバムになる」

 今回の新曲『Ultra Terrorific Fantasy』は、その「悪夢の幕開け」であり、私たちの安寧を奪うための宣戦布告(The Opener)なのです。



Six Sex × MCR‑T

Boiler Room出演

Boiler Room Ibizaにアルゼンチンの異端ポップアイコン Six Sexと、ベルリンのレイヴマスター MCR‑Tが登場。

 ジェンダーの境界を揺さぶる衣装、官能的かつユーモラスなMC──
Six Sexの奔放なヴォーカルと、MCR‑Tの硬質なビートが重なり合い、
Ibizaのフロアに“ベルリンクラブの哲学”が立ち上がる。


 そして2026年デビュースタジオアルバムリリース予定



最新そして連続リリース 【2025年9月】

「あの曲だけじゃない。」
2025年の後半、Six SexがMCR‑Tとともに放ったコラボ楽曲は、単発では終わらなかった。
「MOJADO Y MOJADA」で火を点け、「CLUBHOUSE」「GIIRLSWORLD」 そして先のシングル3枚を収録した「CLUB EROTICA」を連打。  

 レゲトン×ゲットーテック、ペルレオ×クラブ・ポリティクス──身体とビートがぶつかり合う場所で、彼らは“クラブという空間そのもの”を音で再定義している。

 だが、これは“突発的な出会い”ではない。
すでにSix SexのEP『X‑Sex』にてMCR‑Tはプロデューサーとして関わっており、その関係性は水面下で始まっていた。
 彼女の音楽がラテンアメリカの濡れた夜から、ベルリンの白く乾いたクラブ空間へとスライドする中で、MCR‑Tという“器”が彼女の欲望と怒りを受け止めていたのだ。

 そして今、Live From Earthという共犯的レーベルの中で、その連携は偶然ではなく、必然だったと証明されている。

Apple music


🎧 最新フィーチャリング【2025年8月】

MCR‑Tとは誰か?


“踊る政治”を鳴らす、ベルリン発・ジャンル越境型プロデューサー

MCR‑T(エムシーアール・ティー)は、ドイツ・ベルリンを拠点に活動するプロデューサー/DJ/ラッパー/クラブ・アクティビスト。
本名は Julian McCarthy(ジュリアン・マッカーシー)。ドイツ・アメリカ・ジャマイカのルーツを持ち、
音楽、身体、政治が交差する場としての“クラブ”を再定義する存在として国際的に注目されている。



🧠 クラブは政治だ。「踊ること」がメッセージになる

MCR‑Tが象徴するのは、“踊る政治(politics of dancing)”という思想。
彼にとってクラブは単なるパーティー空間ではなく、「誰が踊れるか」「誰が触れ合えるか」が問われる政治的な空間であり、
そこで流れるビートは、抑圧に対する抵抗や、身体表現の自由を体現する武器でもある。

“I don’t think clubbing is separate from politics.
Who gets to be seen, heard, or touch someone in the dark is already political.”
― Crack Magazine, 2023 interview

「クラブは政治から切り離された場ではない。
誰が見られ、聞かれ、暗闇で触れることを許されるか…
すでにそこに政治があるんだ」
― Crack Magazine(2023年インタビューより)

彼の音楽は、踊らせながらも社会に問いを投げかける。
笑えるビートも、挑発的なリリックも、すべてが解放と抗議のリズムになっている。



🎧 サウンドの特性と変幻性

ジャンルに縛られず、ゲットーテック、ジャージークラブ、ヒップホップ、バウンス、ハードテクノなどを自在に横断。
過激でハイテンション、時にユーモラスなMCR‑Tの音楽は、
**“はみ出し者のためのクラブ”**という美学を全身で体現している。



🔗 Six Sexとの連携──身体と政治がぶつかる場所

2025年、アルゼンチン出身のSix Sexとのコラボレーションが本格化。
EP『X‑Sex』収録の「Bitches Like Me」での共演を皮切りに、以下の3作を連続リリース:
• MOJADO Y MOJADA
• CLUBHOUSE
• GIIRLSWORLD

そしてこれらをまとめる形で、EP『CLUB EROTICA』がリリース。
ベルリン×ブエノスアイレスの官能と抵抗が交差する、異色かつ挑発的なプロジェクトとなった。

この共演は、身体そのものがメッセージとなるSix Sexの表現と、
MCR‑Tが提唱する**「クラブ=政治」の美学**が完全に合流した瞬間といえる。



🏷 所属:Live From Earthの中核として

MCR‑Tは、ベルリンの前衛的レーベル/コレクティブ**Live From Earth(LFE)**に所属。
HorsegiirLやDJ Gigolaらと共に、**音楽・映像・ファッションをまたぐ“ユースカルチャーの変革拠点”**を形作っている。



まとめ

MCR‑Tは、クラブを“騒げる場所”から“語れる場所”へと変えてきた異端のプロデューサー。
そのビートは踊らせるだけでなく、問いを投げかけ、揺さぶり、解放する。
Six Sexとのコラボは、まさにその“踊る政治”がベルリンとラテン世界で接続された象徴的プロジェクトだ。


pasarella👠 Emilia ft Six Sex


 これは「パサレラ(=ランウェイ)」の象徴的な定義を提示するようなもので、EmiliaとSix Sexによる曲のテーマを示唆しています。
見た目やステータスがすべて評価される場」であり、「快適さ」は二の次、という皮肉や批評も含まれている。

REYSHA RAMI × Six Sex「black0ut」


ロサンゼルスを拠点に活動する**REYSHA RAMI(レイシャ・ラミ)**は、インダストリアル・ポップ〜ハイパークラブ系を貫くアーティスト。
彼女の“CYB3RPOP”と称される鋭利な電子サウンドに、Six Sexが客演した最新曲がこの「black0ut」。


 低音が爆発するダンサブルなビートに、
Six Sexがスペイン語混じりの挑発的なバースで応酬。
 暗闇の中、ビートと身体が同化していくような、“ブラックアウト”の感覚をテーマにした強烈なフロアアンセム。

「部屋を暗くして、ベースを鳴らせ」──サイバーな夜の衝動がここに。

Yeri Mua と Six Sex


 Ya Cogí con Otro(フィーチャリング Six Sex)
(ヤ・コヒ・コン・オトロ=“もう他の人と寝た”)
は、
アルゼンチンのクィアアーティストSix Sexをフィーチャーしたことで、音楽性もテーマ性も大きな進化を遂げた注目作。

    Yeri Muaについてはこちらをぜひ💁

Bellakath & Six Sex    A QUE TE ARUÑO


Bellakathは、法学教育を受けたインテリな一面と、TikTok発のバイラルヒットで成名した女性レゲトン・アーティスト。
 Lo‑fi クンビアとパーティ系レゲトンを融合させたサウンド、強烈な個性、そして社会的発言も兼ね備えたアーティストです。グローバルな女性アーティストとしての存在感も急上昇中で、「A QUE TE ARUÑO」でのSix Sexとのコラボレーションもその流れの一環といえます。



1. はじめに

 Six Sex(シックス・セックス)は、アルゼンチン・ブエノスアイレスのダンスフロアで産声を上げ、ネオペレオの混沌と快楽の渦の中から登場したペレオ・レイヴの女王である。

 しかし彼女の魅力は、官能的なサウンドや過激なリリックにとどまらない。
“エレクトロもポップもレゲトンも全部自分のもの”とするような大胆不敵な態度、
遊びとユーモアに満ちた歌詞、
そして何よりも**“挑発こそ自己肯定”**と語るような自己演出が、世界中の耳と身体を惹きつけてやまない。

https://www.papermag.com/six-sex-x-sex#rebelltitem5

 ⬆️この2本のインタビュー記事を元にしてます

   3分でわかるsix sex⬆️

2. プロフィール|Francisca Cuello=Six Sexとは

「名前の由来をハッキリ説明することはあまりしない。だけど、“Six”は数字で、“Sex”は性だけを意味しているわけじゃない。**欲望、力、自己表現、そして幻想(ファンタジー)**の象徴でもあるの」

「Sixという数字は“完成”や“バランス”を意味することもあるし、“Sex”は私にとって武器でもあり、遊びでもある」


本名:Francisca Agustina Cuello(26歳)

出身:Villa Tesei(ブエノスアイレス西部)

• 幼少期にレゲトンとクンビア、家庭ではチャマメ(民俗音楽)も。

• 10代後半、テクノクラブ勤務を経て電子音楽に開眼。

• 2020年代初頭より、ネオペレオ/電子系レゲトンの旗手として注目。

キーワードは「身体=マニフェスト」「音楽=自己変革」。
「Six Sex」は単なる芸名ではなく、「こうありたい理想の自分像」として語られる。

影響を受けたアーティストと美学

Six Sexの音楽とキャラクターは、彼女の語るように**「2つの世界が融合したもの」
育った環境ではレゲトン、クンビア、チャマメ(民俗音楽)が日常にあり、それが身体性/リズム感覚のベース**となった。
10代になるとMTVやMuchMusicを通じて、よりビジュアル志向のポップスターに強く影響を受けるようになる。

彼女が明言した影響アーティスト:
• Madonna(身体・ジェンダーの解放)
• Britney Spears(アイドル像の再解釈)
• Lady Gaga(ファッションと音楽の融合)
• Björk(実験的サウンドと非直線的構成)
• Arca(電子音楽と身体の再接続)

💬「GagaやMadonnaが開いたビジュアルの扉を通って、私はArcaに出会えた」
─ Six Sex(PAPER誌インタビューより)

また、スペインやラテンアメリカのアンダーグラウンドに目を向けたとき、彼女にとっての最初の“自分の世界を踊らせてくれた”存在が、Las Culisueltasという女性だけのキッチュなダンス集団だったことも語られている。


それらを通じて、「**踊れる」「叫べる」「自分の体に誇りを持てる」**音楽へと自分も進んでいった。

Six Sexは、2022年頃のインタビューで自身のキャラクターを「ヘンタイ・アバター(hentai avatar)」と表現していたことがある。これは、日本語の「変態」ではなく、**国際的なオタク文化における「hentai=誇張された性的アニメ表現」**という意味合いを踏まえた、自己プロデュースのメタファーだ。

舞台上で見せる過剰なセクシュアリティや、挑発的でありながらどこかアニメ的なポージング、極端に誇張されたスタイル──それらは、Six Sexというキャラクターが**「現実のFrancisca Cuello」とは異なるもう一人の自分=バーチャル人格**として機能していることを示している。

「現実の私じゃ言いにくいことも、Six Sexとしてなら言える。
それはまるで、ネット上のフェイク人格みたいだけど、私にとっては一番正直な姿でもある」
─ Six Sex(2022年・Remezclaインタビューより)

近年のインタビューではこの言葉をあまり使っていないが、この“ヘンタイ・アバター”的な演出は、彼女の初期ビジュアルやMVの世界観を語る上で重要なコンセプトだった。

1. Kappa Kitty Gato(2019『Fantasy』より)

• Six Sexの初期キャラクター形成に重要な一曲。
• ボーカルのピッチは高く、“super cute / better than you”といったアニメ的・強気な口調が印象的。
• リリック、トラック、語り口、すべてに“誇張されたフェティッシュ性”が宿る。
• “ヘンタイ・アバター”的表現の原型として最も象徴的な楽曲。

※2024年にはセルフリミックス「Kappa Kitty Gato 2」として復活(『Satisfire』収録)。

2. 4 noviosS(2024『Satisfire』より)

TikTokでバズったクラブ・アンセム。
• 固定バイクに乗って歌うMVや、“私は彼氏が4人いる”というふざけたリリックが話題に。
セクシュアリティとユーモアの同居、自己パロディと自己肯定が混ざる構造は、Six Sexの現在を代表する楽曲。
スタイリングや視線のカメラワークにも「ヘンタイ・アバター」的な表現が現れている。


3. ディスコグラフィー全レビュー(EP全5作)


◆ Fantasy(2019)

極端にミニマルで重低音が支配する、脱構築エレクトロ作品。
• 初期Six Sexは、あえて“聞きやすさ”を拒否することで、キャラと音楽のギャップを際立たせていた。
• 「Kappa Kitty Gato」は“super cute / better than you”と、自信満々に自己像を構築。
• チャカポコしたビートの裏に、快楽を理性で切り刻むような冷たさがある。



◆ Área 69(2022)

• プロデューサーLa Finesseと共に作った、代替的レゲトンの完成形。
• 「PUSSY CARAMELO」は、「味見させないキャラメル」と歌う性的支配と遊戯性を示す代表曲。
• 地元ブエノスアイレスのダンスビート“ターロ”の要素も感じられる、ラテンとクラブの結節点。
• リミックス版「DURO」で聴かせた破壊力が、後の『Satisfire』に繋がっていく。


◆ 6X(2023)

レゲトン色が濃く、構成もより歌モノ/ポップへ。
• 「MI AMIGA」や「ARODILLATE」はキュートなノリで親しみやすく、SNS映えするサウンド。
• 一方で「REBOTA」や「AY PAPI」など楽曲の個性が薄い部分もあり、リスナー評価が分かれる。
• Six Sexの実験性がやや後退し、「声の魅力」にフォーカスした過渡期の作品。

、⸻

◆ Satisfire(2024)

タイトルの通り、“快楽を満たす”ことに全振りしたクラブ仕様のエレクトロ回帰作。
• 「4 noviosS」はTikTokなどでバイラル化。固定バイクに乗って歌うMVも象徴的。
• その後「Kappa Kitty Gato 2」や「Sex Dealer」でセルフサンプリングを多用し、自作世界の再編・再利用=Six Sex Universe構築を進める。
• 「Hot&perfecT」や「FuckU」など、“セクシー×破壊的”のバランスが研ぎ澄まされた楽曲が並ぶ。


◆ X-sex(2025)

現時点での集大成とも言える5作目。「夜の興奮」と「その後の感情の波」を一つの物語として描く。
ジャンルはポップ×エレクトロ×レゲトンだが、Six Sexの意識は“構成”“詞”“音響”すべてに通底するコンセプト重視の方向に進化。



🎧 収録曲解説


1. U&ME
• 「My boyfriend is gay / My baby is shit」などパンチライン満載。
Six Sexらしい皮肉と自己肯定の入り混じったラブソングならぬ“ノンラブソング”。
• キャッチーなビートと辛辣な言葉のコントラストがクセになる。


2. Performance Actitud (Pose)
• 白背景×機内安全ビデオのMVでも象徴的。
“ポーズ=演技=セルフブランディング”というテーマを視覚/聴覚で一貫して表現。
• 一見ポップだが、アイデンティティとジェンダー表現の問いが奥底にある。

3. How to Make Your Ass Bigger
スクワット指南のふりをした、身体と性的自律のポップ賛歌。
• “Step one…“から始まる構成が本当に楽しいが、裏に「女性の身体を商品化して返す」ような皮肉も込められている。

4. Tócame (feat. Dillom)
• Dillomとの共演で、グリッチ・レゲトンの極地へ。
彼の独自性とSix Sexの世界観が、“快楽の押しつけ合い”のように交錯する。
• 六感(Sex+Sense)を刺激する最高の化学反応。

5. AHHHHHH
• EPで最も静かに痛い一曲。
• トランス状態から醒めたような、アフターの孤独/ダウンタイムの内面描写。
「実体験をもとにした曲だけど今は語れない」と本人が語るほど、個人的なトラック。


6. Bitches Like Me
• Kylie Minogueの名曲を引用しつつ、「Bitches like me like bitches like me」と繰り返す、選民的なセルフラブ賛歌。
クラブで流れていてもおかしくない強度とアイロニーが共存。



🎧 総評:『X-sex』とは何か?

• 前作『Satisfire』が“夜の熱”なら、『X-sex』は**“夜と朝の狭間”**にいる。
• “快楽の肯定”だけでなく、“快楽の代償や空白”も描くようになったSix Sexは、明らかに物語を語るアーティストへと進化している。
• ポップス、レゲトン、クラブの間を縦横無尽に飛び越えながら、“Six Sexだけの音楽言語”を確立しつつある。

4. 『X-sex』に至る進化と心情の変化

• 「快楽だけでなく、その**“後の虚無”や内省も描きたかった」」
• 「Ahhhhhh」はまさにその心情から生まれた楽曲。
ベルリンでの制作経験は、彼女のクラブ観をより深く更新した。


5. ビジュアルとライブ演出、身体性の武器化

• 固定バイクに乗って歌うMV、白背景での機内安全ビデオ風映像など、ユニークで象徴的なビジュアル戦略。

• Berghainからパリへ、移動中もステージに立ち続ける強靭なパフォーマー。


6. ジェンダー観とLGBTQ+、フェミニズムの視点

「男が女性を性的に描くのはOKで、女性が自分を描くと叩かれる」──この二重基準への反発が動機のひとつ。
• “Provocar por provocar no”(挑発のための挑発じゃない)という信念を持ち、挑発を自己肯定の手段として武器化している。


7. 共同体としてのS.A.M.Aと仲間たち

• Juana Rozas、Fiahらと結成した **S.A.M.A(Sindicato Argentino de Mostras Amigas)**=「アルゼンチン・モンストラ姉妹組合」。
Juana Rozasについては以前noteにまとめてますのでまたよろしくければ。

S.A.M.A の他のメンバー紹介

• Fiah(Fiah Miau):レゲトン~テクノ・レイブを超えるシーン派。Lolla出演。


• Faraonika:ポップ×エソテリックなヴィジュアル派アーティスト。

• Vera Frod:ラテン・ポップへのディスコ的アプローチで躍進中。

• Chita:ジャズ/ソウル教育を活かしたエモーショナルR&Bシンガー。


それぞれに明確な音楽性と表現の軸がありながら、**“女性による自己再解釈のスペース”**という共通テーマで結びついています。

🔹 結成の背景と目的
• 元々アングラ〜クラブシーンの現場で**“よく出会う仲間”**だったことがきっかけ。「ある誕生日会で“これを本当にやろう”と火がついた」 
「女性アーティストは特に脆弱な立場にいる。だから相互支援・連帯のしくみを自分たちで作ろう」という意図から“姉妹の組合”として発足

🔹 活動内容
お互いの作品に足を運び、イベントでつながることでサポートを行う
• 音楽制作やライブ、社会課題について語り合う安全な場として機能
• “Ruido”=音を立てること、“Contención”=受け止める/支えることを意識した実践。 

🔹 なぜ今必要だったのか?
業界に根強い 男女二重基準・マッチョ文化 への明確なアンチテーゼ。
• Six Sexも語るように、「男性が女性を性描写しても叩かれないのに、女性がやると非難されるのは明らかにおかしい」
• だからこそ、“姉妹としての連帯”を自分たちの力に変えるために立ち上がったのがS.A.M.A。

🔹 実績と広がり
メンバー全員で国歌を歌うなど、公共の場でも連帯と可視性をアピール(Fiah、Chita、Juanaなど) 


• Instagramリールやショート動画でもその価値観や活動を発信し、“合言葉”としての告知や呼びかけを増やしている。



💬 S.A.M.Aの意義
• **「支え合う女性のアーティストネットワーク」**として誕生したS.A.M.Aは、まだまだ少数勢力かもしれないが、「アンダーグラウンドの舞台から主流になるための連帯と行動の形式」を示す組合である。
• まさにSix Sexのいうところの「挑発のための挑発ではない、現実に根差した抵抗としての演出と表現」の延長に、この共同体は位置づけられている。

男性中心の音楽産業構造に対し、「互いに見る/支えるネットワーク」を形成している。


8. 今後の展望とアルバム計画

2025年内に初のフルアルバムリリース予定。
• EPとの違い:「制限を外し、もっとジャンルを跨ぎ、音の彫刻をしたい」
生楽器の導入も構想にあり、さらなる広がりが期待される。


9. 用語解説(Four Key Words)

● ペレオ(Perreo)

レゲトン文化における官能的なダンススタイル。腰を落としてリズムに乗るセクシーな動きが特徴。性の解放とダンスの快楽が直結する。

● ネオペレオ(Neoperreo)

インターネット以降の新世代レゲトンカルチャー。ラテンxクラブxジェンダー越境的な表現が特徴。Ms Nina、Tomasa del Real、Isabella Lovestoryなどが代表格。

🌈 なぜネオペレオはクィア層にウケるのか?

① 性的自己表現の自由さ
• ネオペレオは性を隠さず、肯定的に語るジャンル。
• 「女だからこうすべき」「男だからこうあるべき」という規範をぶち壊す歌詞・ビジュアルが多い。
• 同性愛、バイセクシュアル、ノンバイナリーなアイデンティティを公然と祝福する表現が多く、クィアな人々が自分自身を肯定できる場になる。



② フェミニズムとの共振
• 「女の身体=男のためのもの」という視点に抗い、女性やクィアの主体的な快楽・欲望を描く。
• 強いビッチ像、セクシーでありながらも媚びない姿勢に、ジェンダーに縛られない自己像を重ねる人が多い。



③ クラブ文化との親和性
• クラブはもともとクィア・コミュニティにとってのセーフスペース。
• ネオペレオはその文脈を引き継ぎ、夜=解放の場として、音楽と身体性を通じて「誰もが主役になれる空間」をつくっている。



④ 反マッチョイズム/反権威主義
• ラテン文化に根強く残るマチスモ(男性優位主義)を嘲笑・パロディに変える表現が多い。
• 権威あるラテン・ポップの形式よりも、チープでDIYなビジュアル、ヘンタイっぽいキャラを肯定することで、主流から外れた者の連帯感が生まれる。



代表的なフレーズ(Six Sexにも当てはまる)

✨「私がビッチで何が悪い?」
✨「クラブは私のステージ、身体が私の武器」
✨「規範も権力も、全部笑い飛ばしてやる」



🎤 Six Sex自身の言葉にも…
• 「私の音楽は、私のような存在がクラブで自分を肯定できる空間を作るためのもの」
• 「ゲイの友達が最前列で踊ってくれると、ほんとにパワーもらえる」


● ターロ(Cumbia Turra)

アルゼンチン・ブエノスアイレスで00年代に流行したローカルなベース&打ち込み主導のクンビア。Six Sexの根っこにあるビート。

● Mostras y Reinas de la Noche

直訳は「夜の化け物と女王たち」。Six Sexが仲間たちを表す誇りある自己呼称。派手で強くて、美しくて下品で最高な存在たち。


10. おわりに──六感を刺激する“Six Sex Universe”


Six Sexはただのシンガーではない。
彼女はジャンル/ジェンダー/美学/振る舞いのすべてにおいて、既存の型を破壊しながら、新しい快楽の地図を描いている。
レゲトンも、ポップも、レイヴも、セックスも、愛も、拒絶も、ぜんぶ混ぜて笑いながら歌い、踊る。
この2025年、彼女が次にどんなサウンドを鳴らすのか、いま最も楽しみな瞬間に私たちは立ち会っている。

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