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今月のアジアカフェニュースまとめ 5選 | AIによる注文のパラダイムシフトから非コーヒードリンクの台頭まで(2026年6月)

いつもGAFUCAFEのnoteをご覧いただきありがとうございます。 GAFUCAFEのXアカウントでは、視察情報やnote記事のほかに、日々アジアを中心としたカフェ市場の最新海外ニュースをピックアップして発信しています。

発信したニュースの中から、特に重要だと感じたニュースを月に1度ピックアップしてまとめることにしました。

今回はAIによる注文体験の激変から、巨大チェーンが直面するコーヒーの枠を超えた戦略、さらにはスペシャルティコーヒーチェーンの厳しい現実まで、アジアのカフェ市場の「今」を一気に概観できる内容になっています。ぜひチェックしてみてください。


1. AIが注文の入り口になる時代の到来とプラットフォームの覇権争い

中国において、アリババやテンセントなどのスーパーアプリがAIエージェント機能の統合を進めている。
AIに話しかけるだけで、店舗検索からクーポン適用、ドリンクの注文完了までが1つのチャット内で完結するようになりつつある。
Luckin CoffeeやMIXUEなどの主要カフェチェーンがAI連携を開始する一方、AIに「注文の入り口」を独占されることを恐れた美団(Meituan)などの巨大デリバリープラットフォームも、WeChatのAI発表からわずか1週間で防衛同盟を結ぶなど、AIを巡るユーザー接点の争奪戦が激化している。

アプリやミニプログラムを使うための能動的な体験から、AIが先回りして提案してくれる受動的な体験へと進化し、複雑化したアプリの機能がシンプルな対話に束ね直されようとしています。
こうなってくると、ホーム画面に無数のアプリが並んでいる意味も薄れ、スマートフォンの形すら変わらざるを得ないかもしれません。
カフェのドリンクを「AIに話しかけて注文する」ようになる裏側で、既存の巨大プラットフォーム企業たちが「自分たちのアプリが開かれなくなる!」と恐怖し、生き残りをかけて入り口の奪い合いをしている構造に、時代の転換期に立ち会っているような面白さを感じます。


Qwen App Opens Its Ecosystem to Third-Party Agents, KFC, Luckin Coffee and Mixue Among Early Partners


2. カフェの主役はコーヒー以外へ? 高利益なアレンジドリンクの台頭

スターバックスやLuckin Coffeeといった巨大カフェチェーンにおいて、フルーツやココナッツを主役とした「コーヒー以外が主役のドリンク」の存在感が急激に増している。
多様な選択肢と視覚的な魅力で若い世代の来店頻度を高める狙いがあり、利益率が最大80%にも上るなど非常に高効率である。
実際にLuckin Coffeeでは「ココナッツラテ(累計21億杯)」や「オレンジアメリカーノ(同5億杯)」などの主力商品が牽引し、コーヒー以外の飲料だけで累計売上200億元(約4000億円超)を突破した。

「コーヒー屋だからコーヒーを売る」という前提が、世界中で崩れつつあるのを感じます。
Luckin Coffeeで一番売れているのは「ココナッツラテ」です(注文する画面に「世界での販売量No.1」と書かれています)。
もはやカフェは「純粋にコーヒーを飲む場所」から、「新しく面白い飲み物を体験する場所」へと変化しているのかもしれません。
中国市場では特にその傾向が顕著で、コーヒーチェーンとティードリンクチェーンが互いの領域を侵食し合い、カテゴリーの境界線が完全に消滅する競争フェーズに入っています。
巨大チェーンの今後の成長はこうした高単価で圧倒的に高利益な「コーヒー以外の飲料」にいかに注力できるかに懸かっていると言えそうです。

Starbucks, Dunkin’, and Luckin embrace non-coffee products


3. 1年で1000店舗、デザートスープチェーン「Mak Kee」に見るプロの投資ハック

中国のデザートスープチェーン「Mak Kee(麦記)」は、創業から4年間で53店舗の小規模チェーンだったが、外部のプロ投資家が参画したことで1年で1000店舗へと全速力で急拡大を遂げた。
「成功モデルは3ヶ月でコピーされる。窓が開いているのは1年しかない」という冷徹な市場の読みのもと、「ブランド名や商品という“車体”はそのままに、我々がエンジンとタイヤを最新型に付け替えた」と語り、オペレーションを丸ごと差し替えることで一気にスケールさせた。

1000店舗にスケールさせた投資家の「模倣でブランドが作れるなら飲食起業は簡単すぎる。ブランドには固有のDNAがある」という言葉が非常に本質的で刺さりました。
だからこそ優れたDNAに投資し、自分たちは裏側の運営に徹する。
「地域密着でゆっくり拡大したい」という創業者の意向を却下し、徹底した役割分担で全速力で市場を踏み抜くプロの戦い方からは、アジアの飲食市場のスピード感を見せつけられます。
アジアのカフェをヒントにいつか自分のカフェを作りたいと思っている私にとっても、「模倣でブランドは作れるか?」という問いは重く響きました。


4. 韓国コーヒー市場の二極化、スタバと低価格チェーンの世代間分断

韓国のコーヒー市場において、世代や属性による利用カフェの明確な分断が進行していることが調査により明らかになった。
利用率1位のスターバックスは「40代・社会生活10年目以上・専業主婦」のグループに強く支持されているのに対し、利用率2位のメガコーヒーなどの超低価格帯チェーンは「20代・社会生活3年未満・学生」の若年層グループに強く支持されており、市場が2つの異なる需要にくっきりと二極化している。

価格が安いものは若者が手に取りやすいという傾向は一般的ですが、韓国市場でここまで明確に世代間で分断が進んでいるのは興味深いです。
日本でも同様のギャップがあるのかもしれませんが、日本には韓国や中国ほど「超低価格帯のコーヒーチェーンゾーン」がコンビニエンスストア以外に存在しないため、また違った競争環境になっているのだと思います。
空間価値(居場所)を売るのか、圧倒的な安さで日常のインフラとして消費されるのか、アジアのカフェ市場の二極化を示す分かりやすい事例です。


5. スペシャルティコーヒーは多店舗化できるのか? 中国「Seesaw」の破産清算

中国におけるスペシャルティコーヒーチェーンの草分け的存在である「Seesaw」が、ピーク時の135店舗から31店舗にまで縮小し、破産清算を申請した。
高品質なコーヒーで支持を集めて一杯30元(約660円)で展開していたものの、Luckin CoffeeやCotti Coffeeが繰り広げる「9.9元(約220円)コーヒー戦争」といった激しい価格競争の波に巻き込まれ、チェーンとしての規模を維持することができなかった。

どれだけ品質で支持されていても、格安コーヒー戦争のなかでは規模を保てなかったという事実に、ビジネスの難しさを痛感します。
「美味しいコーヒーを丁寧に出す」という業態が、ビジネスとしてどこまでスケールできるのか考えさせられました。
日本のスペシャルティコーヒーが個店中心なのは偶然ではなく、「チェーン化した瞬間に価格競争へ引きずり込まれる」という業態の構造的な限界があるからなのかもしれません。
スペシャルティコーヒーの多店舗化というテーマに対する、ひとつの残酷な答えを見た気がします。



以上、AIによるインフラの変化、非コーヒー系ドリンクの台頭など大きく市場環境を揺さぶる変化の動きが感じられる1ヶ月のニュースでした。

海外のカフェニュースのまとめは毎月月末に公開予定です。
チェックしてみてください。

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