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展覧会ができるまで(美術館の舞台裏)vol.4

美術館で展覧会が開催されるまでの工程を、学芸員の立場からひとつひとつ解説していくコーナーです(前回の記事)。

全工程はこちら(↓)をご覧ください。

9. 作品を所蔵する美術館やコレクターに出品交渉をする

今までは、どちらかというと展覧会を開催する美術館の中だけで話が進んでいましたが、ここからは外部交渉が増えてきます。

展覧会には当然展示する作品が必要です。
その作品のリストアップは「04 作品や作家の情報収集を開始する」で、すでに行っています。
ただ、それはあくまで机上の構想、ドリームプランでしかありません。

これからそれを現実のものにしていかなくてはいけません。

その作品を所蔵している美術館(または個人のコレクター)に、出品のお願いをするわけです。
常識的に考えても分かるかと思いますが、電話やメール一本でできる話ではありません。貴重な作品を一定期間お預かりさせてもらうわけですからね。

アポイントをとって、先方へ出向きます。
用意するのは、工程05で作成した展覧会企画概要書、そして貸し借りをしたことがない相手であればこちらの美術館施設の設備がわかるもの(ファシリティー・レポートと呼ばれます)などです。

先方の学芸員さんに、企画内容を説明し、その企画にはどうしてもこの作品が欠かせない理由をお伝えします。
作品の状態が悪いため動かせない、ちょうどその時期に先約がある、などの理由で断られることもありますが、趣旨を理解してもらえれば、その場で二つ返事でOKが出るか、少し検討しますと言われて後日承諾の返事がもらえます。

出品交渉については、過去に詳しく書いていますのでよろしければ(↓)。

10. 正式な借用依頼を提出する

出品交渉で、先方から貸出OKの返事がもらえたとしても、それはまだ内諾という形で、口約束でしかありません。

ですので、ここで書類を取り交わす必要があります。

美術館の代表者(館長)名と公印を捺した正式な借用依頼書および先方に記入してもらう出品承諾書を作成し、郵送します。

借用依頼書には、

  • 借用を希望する作品名

  • 展覧会会期

  • 借用する期間(会期の前後2週間とか)

  • 画像データ(フィルム)提供のお願い

  • 図録や広報物への画像使用許可のお願い

などを記載します。

また返送してもらう出品承諾書には、貸出にあたっての条件を記入してもらいます。
「展示期間は○日以内にすること」「照明は○ルクス以下にすること」「写真撮影は禁止すること」「図録掲載時にはクレジットを入れること」などなど、これは各所蔵館によります。

整理すると、

まず直接会って出品交渉

借用依頼書の提出

出品承諾書の受け取り

という流れになります。
これを借用する作品の数だけ行います。

間違っても、出品交渉をすっ飛ばして、いきなり借用依頼書を相手先に送りつけたりしてはいけません。常識知らずと思われて、まず相手にしてもらえません(まぁそこは普通に考えれば分かると思いますが)。

***

出品交渉は、顔見知りの学芸員同士であれば、わりとカジュアルに進みますが、それでも大切な作品をお借りするわけですから、「親しき仲にも…」の精神で礼を忘れないようにしなくてはいけませんね。

つづく>>

■「展覧会ができるまで」全工程一覧(↓)

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