【Kindle出版格闘記#9】「不況だから」で思考停止した役員会議室。組織の再生は、なぜ「一人の退場」から始まるのか
◆ 8万字の、いよいよクライマックス
皆様、いつも「現場知工房」をお読みいただき、ありがとうございます。
Kindle出版に向けた8万字の土台作りも、ついに大詰めです。
いよいよ本書のクライマックス、最終話(第10話)の執筆に入りました。
前回は、新しい部署の立て直しに入った優秀なエースが「初手」を間違え、組織を殺してしまう悲劇についてお話ししました。
今回の最終話で描くのは、そのさらに上の階層です。
役員会議室で起きている「思考停止」と、組織の再生に向けた「痛みを伴う決断」のリアルです。
◆ 「不況だから」で、全員が黙り込んだ日
日本企業の多くは、現場のオペレーション:個人、そして部門の経費削減や売上で成果を出した人材を、そのまま幹部へ昇進させます。
しかし、経営環境やゲームのルールが変わった時、彼らはどうなるのか。
現場で、目を覆いたくなるような光景を、何度も見てきました。
自分の成功体験に埋没し、過去のやり方を「もっと長く、もっと早く」やることしか考えられない幹部。
「不況だから」
「市場が縮小しているから」
「それは私の仕事ではなく、社長の仕事だ」
外部環境のせいにして、自分では新しい手を打てない、他責の塊です。

◆ 「管理」という名の、安全圏
さらに悪質なのは、「管理」という名の下に、自分だけは安全圏に引きこもるタイプです。
部下に提案させ、実行させ、自分はただ見張っている。
そして結果が出なければ、人間失格とまで追い込むほど論理的に、部下を詰めていきます。
こんな幹部たちが陣取る組織の手札は、いつだって、たった一枚しかありません。
このフリーズした組織を再生させる方法は、一つしかありません。
彼らから権力を剥奪し、その部署から退場させることです。
◆ 社長の躊躇を吹き飛ばした、一言
しかし、いざその「古参の退場」を前にすると、多くの社長は躊躇します。
「この管理型の人材を外したら、現場が緩むのではないか」
「一時的にせよ、業績がさらに落ち込むのではないか」
恐怖が、社長の決断を鈍らせます。
かつて現場で見た、ある劇的な再生の場面がありました。
社長の迷いを断ち切り、腹を括らせたのは、40代前半の若き現場リーダーの、たった一言でした。
「大丈夫です。自分たちでやれます。業績を伸ばしてみせます」

その覚悟の言葉が、社長に痛みを引き受ける決断をさせました。
◆ 重石が外れた後の、劇的な変化
安全圏から部下を萎縮させていた管理型上司が去った後、組織に何が起きたか。
それは、劇的な「デトックス効果」でした。
重石が外れ、解き放たれたように、現場が生き返りました。
自由闊達に、自分たちの意見や主張が飛び交うようになりました。
その若き事業責任者の下で、売上は信じられない勢いで伸び続けていきました。

本当の心理的安全性とは、生ぬるい仲良しクラブではありません。
痛みを伴う新陳代謝と、明確な責任と挑戦の場が与えられた時にだけ生まれる、熱狂のことです。
では、思考停止した役員たちを前に、たった一人で全権を委任された次期社長候補は、具体的に「何枚の手札」を、どうやって同時に切ったのか。
この「本物の経営の修羅場」と「痛みを伴う組織再生の全貌」を、Kindleの最終話に、すべて詰め込みました。
小手先のマネジメント論は、もう終わりにしたい。
そう思いながら、この原稿と向き合っています。
あなたの組織にも、「一枚の手札」にしがみつき、変化を止めている誰かが、いませんか。
痛みのない再生を、私はまだ見たことがありません。
誰かを守ることは、時に、誰かを退場させる決断と背中合わせです。
その決断から逃げた社長を、私は何人も見てきました。
そして、その決断を引き受けた社長だけが、次の景色を見ています。
組織は、優しさだけでは生き返りません。
覚悟を決めた誰かの言葉が、最後の一押しになるのだと思います。
最後までお読み頂きありがとうございました。
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