鉄緑会には行かなくていい──大切なのは自分を客観的に見つめて計画を立てること
東大受験といえば、やっぱり鉄緑会が有名ですよね。
「東大を目指すなら、とりあえず鉄緑会に入っておけば安心」と盲目的に信じる人もいると思います。
今年も理三合格者100人のうちの44人が鉄緑生だという驚きのデータが発表されました。
このデータは確かに鉄緑会の実績を示しています。
しかし、だからといって「東大を目指すからとりあえず入る」というやり方には疑問を感じています。
結論から言うとむしろ私は「行かないほうがいいんじゃないの?」という考えを持っています。
圧倒的な実績の裏に隠されたリアルと、なぜ行かなくていいと言い切れるのか、3つの理由を話そうと思います。
もちろんこれから話す内容は全て一個人の見解であり、不当に鉄緑会を貶める意図はありません。
1. 課題をこなすだけで、自分で学力を管理・マネジメントする力がつかない
鉄緑会のカリキュラムは、良くも悪くも「至れり尽くせりの大量演習パッケージ」です。 毎週、膨大な量の宿題と、それをこなすためのスケジュールが最初からすべて用意されています。
中学の間はまだマシですが、高2あたりから一気に課題の量が増え、多くの科目を取っている人ではもう手が回らなくなります。
そして学校の授業中も休み時間もひたすら課題をする羽目になります。
京都のR南高校は鉄緑会の予備校と化します。
誰も授業を聞かず、鉄緑の課題を進め続けるからです。
一見効率的ですが、問題視すべき点があります。それはあなたの「自分をマネジメントする力」が全く育っていない点です。
私は授業中に課題をすることに関しては否定をしません。
人によって進度は違いますし、学校の先生はあなたの人生の面倒を見てはくれません。
大学受験、特に東二次試験で最も必要なのは、「今の自分に何が足りないのか」を客観的に分析し、それを埋めるための戦略を自分で立てる力です。
いくら塾で勉強しても、最終的には自分の足りないところを客観視し、長期的な計画を立てなければなりません。
塾だってあなたの人生の面倒を見てはくれません。
塾の課題を消化することだけに追われていると、「指示待ちの優等生」になってしまい、試験本番の初見の問題や、予想外の難化に対応できなくなります。
しかも大学に入った後はどうするのでしょうか。
あなたの人生は大学に入ってからのほうが長いです。
大学に入れば講義も自分で選びますし単位も時間も全て自分でマネジメントしなければなりません。
鉄緑会で与えられた大量の問題を解き続けて通った人がその後燃え尽きるのは目に見えています。
つまり、自分で学習をコントロールする経験を奪われてしまうことこそが、鉄緑会に通う最大の隠れたリスクです。
むろん、通らなかったら意味がないのは言うまでもありません。
でも逆に言わせてもらいますが、それで通ってその後どうするのですか?
東大卒〇〇みたいな肩書をぶら下げ続けるのでしょうか?
2. 塾にすべてを捧げ、貴重な高校生活を棒に振る
受験は人生の通過点に過ぎませんが、中高の6年間は、人格を形成する上で二度と戻らない大切な時間です。
鉄緑会に通うとなると、毎週の小テストのランキングに一喜一憂し、学校の部活や行事を制限し、終わらない課題のために睡眠時間を削る生活が日常になります。
常にクラス落ちの恐怖や、周囲との比較によるプレッシャーに晒され、メンタルを病んでしまう生徒も少なくありません。
また、鉄緑が生活の中心に位置することで、あなたの高校生活にも歪みが生まれます。
クリスマス模試の点数を気にし続け、大学に入っても鉄緑のクラスどうこうを語る人も。
そこまでして、貴重な青春のすべてを「鉄緑会というシステム」に捧げるコスパは、本当に良いのでしょうか?
学校の行事でリーダーシップを執ったり、部活に熱中したりする経験。
友達とカラオケに行ったり、ボウリングに行ったり、くだらないことで笑い合ったりする経験。
それらを通して育まれる人間性やタフさこそが、実は受験のプレッシャーを跳ね返す原動力になります。
その上、大学に入ってから活きる経験は鉄緑会でのひとコマ3時間の授業で得られるのでしょうか。
現に、部活を引退してから猛スパートをかけて東大に現役合格していく人はたくさんいます。
3. 「合格実績」という因果関係の逆転
「でも、現に東大合格者の大半が鉄緑会出身じゃないか」という反論があるかもしれません。
しかし、ここにも少しおかしな点があるとは思いませんか?
鉄緑会は、開成、筑駒、桜蔭といった、「そもそも塾に行かなくても自力で東大に受かるポテンシャルを持った超トップ層」を中学1年生の時点で大量に囲い込んでいます。
つまり、「鉄緑会に入ったから頭が良くなった(因果関係)」のではなく、「もともと超優秀な人たちが集まっているから、結果として実績が出ている(相関関係)」に過ぎないのです。
「鉄緑会のおかげで受かった」のではなく、「鉄緑会に行かなくても受かっていたはずの人たち」が数字を作っている。
この因果関係の逆転に気づけば、実績の数字だけを見て焦って入塾する必要がないことがよく分かります。
そして、鉄緑会では上のクラスにはプロの講師が付く一方で、下のクラスには学生の講師がつきます。
時給5,000円、一コマ3時間で15,000円です。
しかしパワハラに加えて時間外労働も多く、大学生になっても講義中に内職して鉄緑の仕事をしている人も少なくありません。
いくら東大生であっても、学生は学生。教えるプロではありません。
常識的に考えれば、塾で何年も教えてきた実績のある教師に付くほうがいいに決まっているでしょう。
4. そもそも東大は鉄緑生を求めていない
ここで一度生徒目線、講師目線ではなく大学目線で考えてみましょう。
ex.)ここに二人の生徒がいます。大学として、どちらが欲しいですか?
生徒A。学校の授業を中心に、周囲のアドバイスを聞きながら自分で長期的な計画を立てた。学習方法は試行錯誤しながら、自分なりの学習メソッドを見つけた。高校では様々な委員や生徒会長を経験し、部活もとことん打ち込みつつ後輩の面倒も見てきた。模試ではB判定あたりが多い。
生徒B。難関中高一貫校を入学後、中1で鉄緑会に入塾。週5コマ、15時間の鉄緑会の授業を受けてきた。多すぎる授業と宿題のせいで部活も高校に入るとともに退部。授業中は内職が基本で、学校の課題は基本的に放置。テストの点数はよく、模試でもA判定をキープしている。
生徒Aは企業の上に立ったりリーダーシップを発揮する仕事、あるいは自分で進んで知をを深める研究者向きです。
生徒BはそんなAによる決定で与えられた作業をこなす作業者向きです。
日本でもトップの大学である東大は果たしてどちらの学生を求めるでしょうか。
最後に:自分の頭で合格ルートを描こう
鉄緑会に行かない、あるいは途中で辞めるということは、決して「受験からの逃げ」でも「脱落」でもありません。 「自分のキャパシティを理解し、自分の人生の主導権を自分で握るための、前向きで知的な決断」です。
理三を除けば、周囲のアドバイスを仰ぎながら、自分なりのビジョンで計画的に学習すれば、合格することは十分可能です。
塾のネームバリューという安心感に頼るのをやめ、自分の頭で合格までのルートを逆算してみませんか?
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