【実話】予算3割超過でも「行け」。年商200億会長の即断に学ぶ、リーダーの覚悟。なぜ私たちは決められないのか?決断を阻む「4つの心理的バイアス」とその克服法。
皆さん、こんにちは。北陸のツイ鳥です。
私がかつて仕えた「年商4.5億円の会社を10年で200億円にした会長」とのエピソード集。本当に多くの方から感想をいただいており、感謝しかありません。
これまでの話では、愛知攻略における「戦略眼」や、群馬出張での「現場視点」など、彼の経営者としての多面的な凄みについてお話ししてきました。
さて、今回は第五弾。今日のテーマは、経営において、いや、私たちの人生において最も重く、最も避けて通れないテーマ、「決断」についてです。
こんな質問をいただきました。
【読者からの質問】
ツイ鳥さん、いつも示唆に富んだお話をありがとうございます。私は中間管理職として働いているのですが、重要な決断を迫られた時、いつも迷ってしまい、なかなか決められません。
情報収集をすればするほど、リスクばかりが目についてしまい、結局、無難な選択や先延ばしにしてしまうことが多いです。
どうすれば、素早く、的確な決断を下せるようになるのでしょうか? 特に、どちらを選んでもリスクがある場合の心構えを教えてください。
ご質問ありがとうございます。そのお気持ち、痛いほど分かりますよ。
「決断」。それは、私たち人間に与えられた最も強力な力であり、同時に、最も大きなストレスの源でもあります。
なぜ、決断はこれほどまでに難しいのでしょうか?
それは、決断とは、「未来に対する責任を、自分自身で引き受ける」という行為だからです。
もし失敗したらどうしよう。もし間違っていたらどうしよう。その恐怖とプレッシャーが、私たちの思考を鈍らせ、行動を止めてしまう。
特に、現代のように未来が予測不可能な時代においては、確実な「正解」など存在しません。どんな選択肢にもリスクは伴います。だからこそ、私たちは迷い、立ち止まってしまうのです。
しかし、それでもなお、私たちは決断しなければなりません。ビジネスの現場では、決断の遅れが致命傷となることもあります。そして、私たちの人生においても、「決めない」という決断が、最大のリスクとなることもあるのです。
今日お話しするのは、私が若かりし頃、まさに「どちらを選んでもリスクがあり、しかし今すぐに決めなければならない」という極限の状況に直面した時の話です。
舞台は、栃木県宇都宮市。愛知攻略作戦から約1年後。私は、新規営業所の立ち上げ責任者として、再び過酷なミッションに挑んでいました。
そこで私は、会長が下した、あまりにも鮮やかで、そして冷徹なまでの「即断」を目の当たりにすることになります。
その決断は、データや論理を超えた、経営者としての「覚悟」そのものでした。
今日は、この宇都宮での出来事の全貌を語り尽くし、優れた経営者がどのようにして「決断」を下すのか、その思考プロセスと技術を、徹底的に解剖していきます。
題して、「決断の瞬間 ー 予算超過か、機会損失か。極限状況で試される、リーダーの『覚悟』」。
もし、あなたが今、何らかの決断に迷っているのなら。今日の話は、あなたの背中を力強く押す、実践的なガイドとなるはずです。
今回も、皆さんの疑問や不安を全て解消するために、徹底的に深掘りしていきます。非常に長くなりますが、ぜひ最後までお付き合いください。
第1章:初夏の宇都宮、順風満帆に見えたミッション
あれは、私が人材派遣会社に入社して5年目くらいのことだったでしょうか。季節は初夏。爽やかな風が吹く、気持ちの良い時期でした。
1-1. 次なる戦場、北関東・栃木県
当時、会社は北陸での基盤を固め、愛知県での挑戦も軌道に乗り始めていました。そして、次なる成長のエンジンとして、北関東エリアへの本格的な進出を計画していました。私たちが次に狙いを定めたのは、栃木県でした。
栃木県といえば、北関東最大の工業地帯を擁する、製造業の集積地です。人材派遣会社にとっては、非常に魅力的な市場でした。
私は、前回の愛知などでの経験を買われ、この栃木進出プロジェクトの先遣隊、つまり新規営業所の立ち上げ責任者として、再び白羽の矢が立てられました。
「ツイ鳥、栃木を頼む。データ上は、宇都宮しかないだろうが、最終的な場所はお前が決めてこい。」
会長からの指示は、いつも通りシンプルでした。
1-2. データが示す「最適解」と、自信に満ちた準備
私は、早速、市場分析に取り掛かりました。人口動態、産業構造、競合他社の状況。あらゆるデータを収集し、分析した結果、会長の言う通り、結論は明白でした。
「宇都宮に進出するしかない」
栃木県の人口比率や経済規模を考えれば、それ以外の選択肢はありませんでした。
私は、これまでの経験で培ったノウハウを全て注ぎ込み、準備を進めました。宇都宮市内の不動産情報を取り寄せ、データ上で「これは候補になるだろう」という物件を、7、8個ピックアップしました。
正直、この時点での私は、自信に満ち溢れていました。
愛知での攻略、現場視点の学びを経て、私は店舗マーケッターとして一回りも二回りも成長したと自負していました。
「立地選定なら任せてくれ」。そんな思いがあったのです。
1-3. 教育係としての役割と、芽生えた慢心
今回の宇都宮出張には、私以外に2人のメンバーが同行していました。
一人は、北関東エリア全体を統括するエリアマネージャー。そしてもう一人は、この新しい宇都宮営業所を運営することになる、新任の所長です。
二人とも、私より社歴は長く、年齢も上でした。しかし、新規営業所の立ち上げに関しては、彼らは全くの初心者でした。不動産を選定した経験もありません。
そのため、私は彼らの「教育係」として、この出張に臨んでいました。いわば、先輩としての立場です。
富山から高速道路を飛ばし、宇都宮駅で電車で来た二人と合流しました。
「お疲れ様です!いよいよ宇都宮ですね!」
「ツイ鳥さん、よろしくお願いします!」
私たちは、まるで熟練したツアーガイドと研修生のように、宇都宮の街を車で回りました。
「不動産の選び方ですが、まず重要なのは……」
「このエリアは車社会ですから、駐車場の確保が鍵になります。特に、登録に来る求職者の方が迷わないように……」
私は、これまでの経験で得た知識や注意点を、てきぱきと解説していきました。
さらに、時間が空けば、事前にリストアップしていた工業団地にも足を運びました。
「この工業団地は、〇〇系の企業が多いですね。ここは、最初に営業をかけると良さそうです。はい、これ、事前に作成したセールス用の地図です」
私が事前に準備していた資料を渡すと、二人は目を丸くして驚いていました。そして、私の言うことを一言一句聞き漏らすまいと、必死にメモを取り、多くの質問を投げかけてきました。
「すごいですね、ツイ鳥さん……。ここまで準備されているとは思いませんでした」
「正直、ツイ鳥さんって、普段本社で何をしているか分からない人だと言われていましたが(笑)、本当にすごいんですね……」
恥ずかしい話ですが、そんな風に言われて、悪い気はしませんでしたよ。むしろ、心地よい高揚感に包まれていました。
「自分はプロフェッショナルだ」。そんな自覚と共に、私の中に、少しだけ「天狗になっている」自分がいたことは、否定できません。
しかし、この順風満帆に見えたミッションの裏で、私たちは、ある重大な「ジレンマ」に直面することになるのです。それは、私の慢心を打ち砕き、決断の難しさを改めて痛感させる出来事でした。
第2章:完璧な物件と、たった一つの「致命的な欠陥」
3日間にわたる視察の最終日。私たちは、ピックアップした物件と現地で探した追加の物件を全て回り終えました。
2-1. 満場一致の「最高の物件」
視察を終え、私たちは少し遅めの昼食をとるために、近くのレストランに入りました。そして、どの物件が良かったのか、意見交換を始めたのです。
「さて、一通り見て回りましたが、お二人はどの物件が良かったですか?」
私が尋ねると、エリアマネージャーと新所長は、口を揃えてこう言いました。
「間違いなく、あの物件でしょう!」
「私も同感です。あそこしかないと思いました!」
彼らが指したのは、私たちが最後に訪れた、あるオフィスビルでした。
そして、驚くべきことに、私の意見も、彼らと完全に一致していました。それは、まさに「完璧」としか言いようのない物件だったのです。
立地、視認性、内装の綺麗さ。どれをとっても、他の候補物件を圧倒していました。
「そうですね。私も、あの物件がベストだと思います」
3人の意見は、完全に一致しました。新しい挑戦のスタート地点が決まったことで、二人の表情は興奮と期待で輝いていました。
「いやあ、良かった!最高の場所が見つかりましたね!」
「ここで働くのが楽しみです!」
しかし、そんな二人とは対照的に、私の心は、決して晴れやかではありませんでした。むしろ、私の表情は、苦虫を嚙み潰したように歪んでいたはずです。
なぜか。私は、この「完璧な物件」に潜む、二つの「致命的な欠陥」に気づいていたからです。
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【本文予告】
1,どう経営者として決断していくべきかの考察
2,どうして決断が重要なのかの考察
3,この決断の結果がどうなったかの考察、など
