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【番外】息子の金融リテラシー②キッゾ運用計画、その後

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キッザニア内の銀行にキッゾを預金し、景気のいい利回りで資産形成をしていく。
大人になるまで預金しておき、自分の子供に贈与する。
それが、息子の中での計画だった。

しかし、その予定はもろくも崩れた。
誕生日プレゼントとして、久しぶりにキッザニアに連れていくことになったのだ。
小4の息子は、波がありながらも、塾にピアノにと頑張っていた。
それを労う意味もあった。
もうすぐ小5になろうとしている息子は、果たしてキッザニアを喜んでくれるだろうか。
と言うか、前回の記憶はあるのだろうか?
しかし、その心配は杞憂だった。
息子は、予想以上に喜んで大はしゃぎしていた。
前回の記憶をたどりながら、しまいこんでいたキッザニアの通帳を取り出す息子。
「どのくらい増えてるんだろう!」
息子にとって、キッザニアが楽しみなのは、キッゾが増えているワクワクでもあった。

「大きくなったから、前に行った時より色々なことができそうね」
はしゃぐ息子に、私もワクワクしながら、2人でキッザニアのサイトを見た。
電車好きな息子は、前回、電車の仕事をコンプリートしている。
今回も、乗り物系は外せないだろう。
「どんなお仕事がいい?」
2人でサイトを見ると、息子が真っ先に指さした。
「これやりたい!絶対これ!」
証券会社の株取引の体験だった。
斜め上からやってきた返答に、私はしばし言葉を失った。
「これでキッゾを増やせるぞ!」
キッゾに取り憑かれている……。
戸惑いつつ、私は他の仕事の内容も見せてみた。
「……ほら、このお仕事は、体験したら記念品がもらえるんだって」
「それもやる!」
息子は、体験の後にお土産がもらえるアクティビティが大好きなのだ。
「あと、警察をやりたい!科学捜査をやりたい」
なるほど、そっちね。
「お医者さんになって、手術をするのは?」
「怖いからやりたくない。研究員をやりたい」
勢いに乗った息子が続けた。
「あと、車の免許を取って、レンタカーに乗りたい」
警察、研究員、車の運転。
メモを取りながら、私は改めて聞いた。
「予約の優先順位をつけておこう。どれが一番やりたいことなの?」
「株をやりたい」
「キッゾを必ず増やすんだ!」
意気込む息子に、私は確認を入れた。
「警察や車は人気だから、早めに予約入れないと」
「うん! でも株は絶対やりたいんだよ」
「……わかった」
息子の熱意に根負けして、私はメモに「①株」と書いた。

その夜、帰宅した夫に、息子が株を一番やりたがっている話をした。
夫はニヤニヤしながら言った。
「あいつは、キッゾが必ず増えると思ってるんだな」
夫の微笑から、息子に株で失敗する経験をしてほしいと思ってそうな気がした。
私は、初めての投資で大損でもしたら、息子はキッゾごとやる気を失ってしまうのではないかと心配になった。

当日、息子は運転免許を取得し、レンタカーを乗りこなした。
仕事が終わるたびに、
「証券会社」
「株やるぞ」
と、私に釘を刺してくる。
その後、警察官として働いたあと、いよいよ証券会社に乗り込んだ。
予約には苦労しなかった。
一緒に体験する子供は、みんな息子より年上だった。
一人、ゲーム気分で乗り込んでいく息子を、私はハラハラしながら見守った。
結果的に、息子はキッゾを増やして出てきた。
「絶対また株やりたい!」
喜ぶ息子を、私は複雑な気持ちで眺めた。
渡された取引明細を真剣な眼差しで確認すると、夫は言った。
「こいつはギャンブラー気質だな」

その後、息子は子供デパートに行き、株で増やしたキッゾで自分のAIペットに小さなお土産を買った。
そして、手元のキッゾをATMから再び口座に預けた。
「これでまた増えるぞ」
嬉しそうな息子の目は、¥マークになっていた。

帰り道、息子は証券会社で聞いた話を私たちに披露してきた。
「あのね、いい株を長く持つのが大事なんだよ」
「資産形成っていうのはね……」

その日、キッザニアで学んだのは、お金の仕組みだけではなかった。
息子のお金との向き合い方まで、少し見えた気がした私だった。


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