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W杯優勝で思い出した、スペインの空気

スペインの優勝で閉幕したワールドカップ。

私がスペインと聞いて思い出すのは、あのカラッと乾いた空気。
赤い屋根と黄色い壁の建物たち。
どこまでも続く青い空。
そして、街中に自然と溶け込んでいる人々の笑顔。

今から約10年前、私はバックパッカーとして世界一周の旅に出ました。

旅では30か国以上の国々を訪れましたが、スペインはその中でも「もう一度行きたい」と思える数少ない国です。

私は基本的に、一度訪れた国へはあまり戻りたいと思いません。
世界には、まだ見たことのない景色がたくさんあるからです。

そのなかでもスペインは別だな、と思う理由があります。


スペインは、なぜ人を惹きつけるのか


スペインはヨーロッパ南西部、イベリア半島に位置する人口約4,900万人の国です。

「情熱の国」というイメージを持つ人も多いと思いますが、実際に訪れて感じた魅力は、それだけではありません。

豊かな歴史や文化、美食、温暖な気候。
そして何より、「人生を楽しむこと」が当たり前になっている人々の暮らしがあります。

スペインは、ワークライフバランスを大切にする

スペイン人を一言で表すなら、「人生を楽しむことが上手な人たち」です。

仕事中心の生活ではなく、家族や友人と過ごす時間のために仕事をする、そんな価値観を大切にしています。

また彼らは食事をとても大切にしていて、ランチを1時間以上かけてテラス席で食べたり、夜になるとバルやレストランは多くの人で賑わいます。夕食が21時、22時から始まることも珍しくありません。

日本人からすると驚く生活リズムですが、それだけ「人と過ごす時間」に価値を置いている国なのだと感じました。

街を歩けば、子どもからお年寄りまでが公園や広場で思い思いの時間を過ごしています。忙しくても、人生を楽しむことを忘れない。
そんな空気が街全体に流れていました。

外で過ごすことが気持ちいい国

スペインは一年を通して晴天の日が多く、地中海沿岸は乾燥した温暖な気候が特徴です。日本のような蒸し暑さが少なく、暑い夏でも日陰に入れば驚くほど快適でした。

だからこそ、テラス席で食事をしたり、広場でのんびり会話を楽しんだりと、「外で過ごす文化」が自然と根付いています。旅人にとっても、この開放感は大きな魅力でした。

食事は期待を裏切らない

スペインは美食の国としても知られています。
パエリア、ハモン・イベリコ、生ハム、アヒージョ、トルティージャ、タパスなど、名前を挙げればきりがありません。

地中海と大西洋の両方に面しているため魚介類も豊富で、高級レストランだけでなく街角の小さなバルでも驚くほど美味しい料理に出会えます。

またスペインは世界有数のワイン産国ですし、ビールも小さいサイズで売っているので、美味しいごはんにつられて、ついお酒もすすんでしまいます。

「どこで、何を食べても美味しい。」
それもスペインの魅力の一つでした。


私がスペインに「また行きたい」と思った理由


「ヨーロッパで一番おすすめの国は?」
そう聞かれたら、私は少し迷います。

最初に勧めるのは、もしかするとイタリアかもしれません。歴史的建造物や有名な観光地の数では、やはりイタリアは圧倒的だからです。

でも、「旅を楽しみたい。」
そう思うなら、私は迷わずスペインを選びます。

いくつもの有名観光地を慌ただしく巡る必要はありません。
名も無き路地裏を歩き、カフェでゆっくり過ごし、夜風に当たりながら外で食事を楽しむ。そんな何気ない時間こそが、スペインで一番贅沢な時間でした。

街には活気があり、人は笑顔で、美味しい料理が並び、夜遅くまで賑わっています。数字やSNSだけでは測れない豊かさが、そこにはありました。

サッカーはスポーツではなく文化だった

スペインでは、サッカーは単なるスポーツではありません。
地域の誇りであり、人々の日常そのものです。

FCバルセロナやレアル・マドリードをはじめ、多くのクラブが街に根付き、人々の生活とともに存在しています。

試合の日になると街全体が熱気に包まれ、スタジアムでは何万人ものサポーターが一体となって歌を歌います。現地で試合を観戦すると、「サッカーを見た」というより、「スペイン文化を体験した」と感じました。

カンプ・ノウで見た、忘れられない光景

そんなスペインの旅で、忘れられないのが、FCバルセロナの本拠地・カンプ・ノウで試合を観戦したことです。

巨大なスタジアムを埋め尽くす観客。
そして、スタジアム中に響き渡るメッシを称える大合唱。
あの光景は今でも鮮明に覚えています。

印象的だったのは、試合開始後もしばらく空席が目立っていたことです。
日本ならキックオフ前後には満席になりますが、スペインではみんなビール片手にゆっくり席へ向かってきます。

誰も焦らない。誰も急がない。
その姿を見て、「サッカーは特別なイベントであり、生活の一部なんだ」と実感しました。


旅は「景色」よりも「空気」を持ち帰るもの

もし「ヨーロッパでおすすめの旅行先は?」と聞かれたら、私はスペインよりも、イタリアやギリシャなんかを先に勧めるかもしれません。

でも既にそれらの国を訪れたことがある人や、「観光名所めぐりではなく、その国の空気を味わいたい」という人には、ぜひスペインをおすすめしたいです。

派手な冒険が待っているわけではありません。それでも、不思議なくらい心がほどけていく。そんな穏やかな時間が、この国には流れています。

旅は、ときに価値観を大きく変えてくれます。

でも、スペインは「人生が変わった国」というより、「こんな生き方もいいな」と静かに教えてくれた国でした。

人は笑いながら食事をし、音楽が流れ、夜風を楽しみ、その日一日を大切に過ごしている。

ワールドカップ優勝のニュースを見て思い出したのは、トロフィーでもゴールシーンでもありません。

乾いた風。赤い屋根。黄色い壁。
そして、あの街に流れていた、スペイン時間でした。

もしスペインを訪れた事が無い方は、ぜひ観光名所だけではなく、その街の「空気」を感じながら歩いてみてください。

きっと、ガイドブックには載っていない、本当のスペインに出会えるはずです。

税理士 萩原 寛太郎

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